アルバイトは休業補償をもらえる?|補償額の計算法2つと必要書類について

働き方改革

休業補償とは

休業補償とは、労働者が仕事中にケガや病気を負ってしまい仕事に就くことが不可能な場合に、労災保険より支払われる手当のことです。

しかし、アルバイトやパートなど正社員ではない立場の労働者には、このような規定が適用されるのでしょうか。ここでは、アルバイトやパートの休業補償について解説します。

休業損害とは

仕事ができなくなる程度のケガや病気を負ってしまった場合、その療養のために休業したことで収入を得ることができなくなってしまいます。

これにより、得られなかった収入や賃金のことを「休業損害」といいます。

財産的損害と精神的損害について

損害賠償ができる損害は大きく2つに分けられます。

「財産的損害」というのは、所有物の破損など「物」を失うことを指します。例えば、交通事故で自動車を破損してしまった場合は、財産的損害にあたります。

また「精神的損害」というのは、肉体的な苦痛や恥辱、悲嘆などの「心」の苦痛を指します。例えば、交通事故で負傷した際のケガの痛みなどは、精神的損害にあたります。

積極損害と消極損害について

損害はまた、「積極損害」と「消極損害」にも分けられます。

「積極損害」とは、損害が起きた際に実際に支払わなくてはならなくなった損害のことです。また、「消極損害」は、損害が起きた際に被害者が加害者に対して請求することができる損害のことです。

この記事で解説する「休業損害」は、仕事が原因でケガ・病気を負った事による休業中の収入損失に対して賠償請求ができる損害であるため「消極損害」にあたります。

アルバイトでも休業補償はもらえる?

アルバイトやパートでも、労働者には労働基準法が適用されます。

労働基準法第76条には「労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。」と記載されています。

アルバイトでも適用されるため雇用形態に関わらず、休業補償をしてもらうことは可能です。

休業補償をしてもらえない人

基本的に、労働者であり、かつ使用者の責によって休業せざるを得ない場合は休業補償は適用されます。アルバイトやパートの雇用形態でも同様です。

労働基準法の施行規則第37条の2によると、「労働者が懲役や禁錮もしくは拘留の刑の執行などで監獄に拘置されている場合や、少年院、児童自立支援施設などに収容されている場合は、使用者は休業補償を行わなくても良い」とされています。

このように、刑罰を与えられている人は、休業補償をしてもらうことができません。

休業補償をしてもらえる人

アルバイトやパートなどの雇用形態に関わらず労働者には休業補償を請求する権利があります。

自分はアルバイトだから休業補償は出ないのではと不安になっている方は、安心してください。万が一、仕事中にケガや病気になってしまった場合でも、休業補償が適用されます。

アルバイト・パートの休業補償の計算方法2つ

アルバイトやパートで働く人たちが、休業補償を請求することになった際には、その金額をどのように計算すべきなのでしょうか。これは、休業補償をどこに請求するかによって異なってきます。ここでは2種類のパターンに分けて解説します。

アルバイト・パートの休業補償の計算方法1:自賠責保険の場合

自賠責保険とは、原付を含む全ての自動車の加入が義務となっている損害保険です。もちろんアルバイトでも適用されます。

自賠責保険に対して、休業補償を請求する場合は「5,700円 × 休業日数」のような計算方法となります。

また、1日の基礎収入額が5,700円以上となる証明ができれば、1日あたりの休業補償額を上げることができる場合があります。ただし、1日19,000円が限度額となっています。

アルバイト・パートの休業補償の計算方法2:任意保険・裁判の場合

自賠責保険のみではカバーしきれない補償を担保するために入るものが、任意保険です。対物賠償保険や自損事故保険、車両保険など多くの種類の任意保険があります。特に、自賠責保険は物損事故に対する補償が無いため、任意保険により補償することになります。

計算式や限度額も保険会社ごとに異なっています。裁判における休業補償の金額は1日あたりの基礎収入×休業日数という式で計算します。アルバイトやパートでも同様です。

アルバイト・パートの休業補償に必要な書類

実際にアルバイトやパートの休業補償の請求には、何が必要なのでしょうか。

請求に必要な書類は「休業損害証明書」と「源泉徴収票」です。休業補償を請求する際に、勤務先にこれらの書類を依頼しましょう。

しかしアルバイトやパートの場合、短期間勤務であることも多く、事故前の源泉徴収票が作成できない場合もあります。その際には、給与明細や、賃金台帳、給与振込記帳のある通帳の写しを提出することで補填する場合もあります。

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アルバイト・パートは労災から休業補償をもらえるのか

原則、アルバイトやパートでも業務中にケガや病気となった場合は労働災害と認められ、休業補償がもらえます。実際に、どのようなケースが休業補償の適用内となるのか例を挙げて解説します。

通勤途中で自転車で転ぶなどで怪我した場合

通退勤時の事故「通勤災害」は「労働災害」と認められる可能性があります。

労働者災害補償保険法の第一条では、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害等に対して迅速かつ公正な保護をするとの記載があり、労災給付の対象となっています。

しかし、寄り道をしたり、学校などからアルバイト先へ向かった際の事故では、通退勤では無い場所や時間とされ労働災害として認められない可能性が高いでしょう。

労働災害により怪我をした場合

業務中の事故である「業務災害」は、「労働災害」と言えます。

例えば、工場勤務中に機械に挟まれてケガをしたり、営業車を運転している際に交通事故に合うなど、業務時間中に起こった事故を指し、それにより休業をすることになった場合には休業補償を受け取ることができます。

これもまた雇用形態に関わらず、アルバイトやパートの立場であっても適用されます。

会社の都合で休業させられた場合

会社都合による休業の場合、労働者はその休業期間中の賃金の全額の支払いを請求することが可能です。これは民法第536条2項に記載があります。

しかし、職場の就業規則や労働協約などに、例えば「会社都合の休業期間中の賃金は平均賃金の6割」という定めがある場合、休業期間中の賃金は6割となります。これらは雇用時に労働者と雇用主が個別に結ぶ契約であり、優先的に適用されます。自分の勤務先の規定を確認しましょう。

休業補償の支給要件について

実際にどれくらいの休業補償が貰えるのでしょうか。休業補償で貰える金額は、自身の賃金や休業補償を受ける際の状況により異なります。ここでは最低補償額と特別支給金について説明します。

最低保証額について

休業補償における1日あたりの平均賃金は、休業する前の3ヶ月間の賃金を暦日数で割った金額とされています。しかし、アルバイトやパートの場合は労働日数が少なく、暦日数で割ってしまうと1日あたりの平均賃金が著しく低くなってしまいます。

支給金額に最低限度の水準を確保するため、最低補償額が設定されています。実際の数字から算出した金額よりも、最低補償額から算出した金額の方が多い場合、後者が適用されます。

特別支給金について

休業補償を貰う際に、休業補償と併せて特別支給金が給付される場合があります。仕事中の事故や、仕事が原因で罹った病気により障害が残った場合や、治療期間が長引いた場合、また亡くなったり介護が必要になった場合など、該当する状況に応じて特別支給金が支払われます。

万が一、休業補償を請求することになった場合には、自分が特別支給金の支給対象かどうかを確認しましょう。

正当な保証を受けるために規定を知っておこう

今回は、アルバイトやパートで働いている労働者の休業補償について解説しました。どのような雇用形態でも、休業補償を受けることができる立場にあります。正しく規定を知り、万が一の場合に備えましょう。

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