多様化する勤務形態
生産性の高い働き方として、時間管理を厳重にするという方法は従来からありましたが、日中より定時後に業務が多い社員や、時差がある海外との仕事をする社員の増加から、勤務形態が多様化するようになってきました。
その1つである「スライド勤務」や混同されやすい「フレックスタイム制」についてここでは紹介していきます。
スライド勤務とは?
スライド勤務とは時差出勤のことを指し、始業がずれた分終業もずれることになりますが、一日の所定労働時間は固定となります。
例えば、勤務時間が8時間という固定時間は変わらず、シフトほどの幅はなく、午前7時から11時の範囲で、業務の開始時間が設定できます。そこから8時間後が終業時間となる勤務形態です。
会社の規定で8時間という枠が決められているので、社員自身が、時間管理で苦心するということは少ないでしょう。
スライド勤務の目的
定時以降の残業が必須となる社員、夜の個人宅訪問が多い営業職、時差で早朝や夜に仕事が集中する海外取引部門の社員の体力的負担を減らすとともに、残業代を払っていた会社も無駄な残業代をコストカットする目的で設定される会社が増えています。
またスライド勤務は社会的にも、決まった時間に一斉に混雑する通勤ラッシュの緩和効果にも期待できます。特に東京都では時差BIZにあるようにスライド勤務の導入が推奨されています。
スライド勤務のメリット
会社にとっても、労働者に都合がよい時間に出社してもらって、出勤で疲れることなく変わらないパフォーマンスが発揮されるのはメリットになります。
首都圏では、通勤電車の混雑緩和を目的に推奨しています。通勤ラッシュ時間以外で通勤することが可能なので、通勤のストレスが減るというメリットがあります。
グローバル化が進んでいる現代では、時差がある中でのやり取りも増えてきており、スライド勤務が合う場合もあります。
スライド勤務のデメリット
スライド勤務を認めることで、会社や同僚の協力が必要であったり、顧客対応がメインの業種では、顧客に時間を合わせなければならないので、時間設定が難しくなることがデメリットと言えるでしょう。
社内会議などで人を集めたい時に、午前中に時間を決定しにくくなる可能性もあります。またスライド勤務を採用して通勤ラッシュを緩和しようとしても、早い出勤を選ぶ人が多いので、結果的にあまり改善されないという現実もあります。
フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制は、始業・終業時間、労働時間の長さを労働者本人が決めることができる制度です。
多くの会社は、コアタイムと呼ばれる必ず出勤していなければならない時間を設けています。
フレックスタイム制では一般的に、月単位で労働時間の長さが設定されることが多くなっています。決まっている労働時間を満たさない場合には欠勤や遅刻と見なされるので、時間外労働時間の管理を自分で行う必要があります。
フレックスタイム制の目的
フレックスタイム制は、労働者の働きやすさを目的に作られています。例えばデザイナーやライターなどクリエイティブ系の仕事や企画職などは、何時間働いたから必ず成果が出るというものではありません。
その日の業務状況を考えて、自分の仕事の時間を決められるフレックスタイム制の方が、より生産性の高いパフォーマンスができると考えられます。
また、プライベートと仕事を両立させることも目的にしています。
フレックスタイム制のメリット
フレックスタイム制メリットとして挙げられるのが、多様な働き方への対応策となり得る点でしょう。自分の働きやすい時間帯を選んで働けることは、自分のライフスタイルを大切にしながら、生産性の高いパフォーマンスにも繋がると考えられます。
空いた時間を、余暇や休養、自己啓発に充てることもできますし、育児・介護など、さまざまな事情によって就業の制約を受ける労働者を救済することにもなるでしょう。
フレックスタイム制のデメリット
フレックスタイム制のデメリットとしては、チームワークのために顔を合わせるコミニケーションは必要だが、勤務時間がバラバラだとチームワークとしての力が発揮できないということが考えられます。
具体的に心配されることとして、緊急時に該当する勤務の責任者がいないと対応ができない事案が発生する、出退勤管理が自己管理できない人にとってフレックスタイム制は、ルーズな働き方を助長するという見方もあります。
スライド勤務とフレックスタイム制の違い
スライド勤務は通勤ラッシュや定時後に忙しくなる社員の疲弊を避けるため、フレックスタイム制は、自分で働きやすく成果が出やすい時間に働き、業務の効率化を図る目的で導入されるようになりました。
スライド勤務は、通勤時間を例えば9時を10時にするなど調整できるだけで、1日に働く時間は調整できませんが、フレックスタイム制は、既定の時間さえ守っていれば、1日に働く時間を例えば6時間にするなど調整が可能です。
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スライド勤務やフレックスタイム制で働きたい場合の注意点2つ
スライド勤務やフレックスタイム制を導入している企業でも、就業規則に明記しているにもかかわらず、現場の上司が理解しきれておらず、トラブルになることも少なくありません。
また、暗黙の了解で、ないと書かれているはずのコアタイムが存在している会社も残念ながら存在します。
ここでは、スライド勤務やフレックスタイム制を導入している会社で働く際、後からトラブルにならないようにするための注意点をご紹介ます。
スライド勤務やフレックスタイム制で働きたい場合の注意点1:応募前・面接前に企業へ確認
スライド勤務やフレックスタイム制は、導入しいても、その実態はさまざまです。
選考対象になってしまうと、自分の都合に合った条件を提示しにくくなるため、出来る限り、応募・面接前に、自分の働きたい時間帯があるのか、コアタイムが何時からなのかなど詳細をリサーチしましょう。
どうしても聞きにくいは、実際にその会社で働きている社員や元社員が書いたレビューや口コミなどをネット検索して参考にしてみるのもお勧めです。
スライド勤務やフレックスタイム制で働きたい場合の注意点2:導入されている制度の詳細を確認
もし、会社で制度が導入さえれている場合は、その詳細についても確認が必要です。スライド勤務であれば、実働時間は何時間で、どのような勤務時間帯が選択できるのか、フレックスタイム制であれば、週・月あたりの労働時間が何時間なのかを、確認することが大切です。
スライド勤務やフレックスタイム制によるトラブルは、お互いの確認不足から起こることが多いので、未然に防ぐためにも、企業側に確認を怠らないようにしましょう。
スライド勤務やフレックスタイム制で企業側が注意すること
スライド勤務やフレックスタイム制は、まだ浸透しきっていない比較的新しい制度なので、導入を考えている企業が導入にあたって注意すべきことをご紹介していきます。
企業側も導入することが、会社の利益に繋がるかどうか慎重に考え、社員全体が、制度を理解し活用できる環境作りをしていかなければなりません。
自分の企業にあった制度を導入する
スライド勤務やフレックスタイム制を導入す際は、目標を定め、効果を探り、テレワーク(自宅にいながら会社とパソコン、インターネット、電話、ファックス等で連絡をとる働き方)などの他の制度と合わせて、総合的に生産性を高めることが可能か検討することが大切です。
どういう時間帯の選択肢を作れば、生産性を高めることができるか模索し、社員の意識改革も同時に行いながら、慎重にスライド勤務の導入を行いましょう。
就業規則に詳細を記載する
スライド勤務やフレックスタイム制を導入する際は、必要事項を網羅した労使協定を締結し、終業規則に詳細を記載するようにしましょう。
スライド勤務もフレックスタイム制も、会社の就業規則は体制が整っていても、現場の管理職が運用ルールを正しく理解しておらず適切に動いていないケースも残念ながら少なくありません。
相互に正しく就業規則の内容を理解し、疑問点のある場合は納得できるまで話し合えるような環境が必要です。
個人の状況や職種に合わせた働き方を選ぼう
育児や介護と両立しながら働く人の増加や、IT化、グローバル化した社会で、同じ時間に出退勤しなくても働くことができる働き方が求められています。
時差がある海外とのやり取りが多い職種や、定時後に仕事が増える社員には、スライド勤務が合う場合が多いです。また保育園に送ってから勤務したい方にも優しい働き方といえます。
また自己管理に優れ、クリエイティブな仕事の従事者にはフレックスタイム制が合っているでしょう。