業務効率を上げられるツールには、さまざまなものがあります。そのなかで、今回取り上げるものは名刺情報をデータ化するサービスです。
紹介するのは、「連絡とれるくん」「Sansan」「Eight」の3サービス。それぞれの特徴を項目ごとに比較して紹介します。
連絡とれるくん・SANSAN・eightの比較
紙の名刺情報をデータ化して管理できるサービス、「連絡とれるくん」「Sansan」、「Eight」。一見似たようなサービスですが、それぞれに違いがあります。初めて導入する場合は、まず3つのサービスの特徴を掴んだうえで、もっともニーズに合ったサービスを選びましょう。
ここでは、3つのサービスを項目ごとに比較していきます。比較する項目は、以下の6つです。
- 導入企業数
- 名刺管理機能
- 名刺管理以外の機能
- セキュリティ
- 料金
- その他アプリ、ツールとの連携
導入企業数
導入企業数は、3サービスを比較できる数字を公式が出していないため、はっきりとは比較できません。また、そもそも「Eight」は個人向けユーザーを対象としたサービスです。
「連絡とれるくん」と「Sansan」は、異なる数字ではありますが、導入数を明示しています。公式発表によると、「連絡とれるくん」は974,000ライセンス、「Sansan」は約6,000社です。
「連絡とれるくん」は、企業ごとではなく、ライセンスごとに契約する仕組みです。最低5IDから契約可能であり、その後は社員数に応じて柔軟に契約数を調整できます。
一方、「Sansan」は企業で導入し、規模や内容に応じて個別に見積もりを上げる仕組みです。どちらのサービスの大手企業の導入実績があるため、安心してご利用いただけるサービスと言えます。
名刺管理機能
「連絡とれるくん」、「Sansan」、「Eight」は、すべて名刺管理機能を有しています。それぞれの特徴を以下の表で見てみましょう。
サービス名 | 特徴 |
---|---|
連絡とれるくん | スマートフォン・スキャナ・一部メーカーの複合機から読み取り可能 |
Sansan | 専用スマートフォンアプリを使用し、複数枚の名刺データを一気にデータ化可能 |
Eight | アプリを起動し、1枚ずつ撮影してスキャンする「連続スキャン」、複数枚の名刺を一気に撮影してスキャンする「クイックスキャン」のいずれかが可能 |
「Eight」は、読み込んだ名刺の持ち主が「Eight」ユーザーである場合、撮影し取り込んだ段階ですぐに「Eight」上でつながることができる点も特徴です。
「Sansan」と「Eight」は、AIと手入力を組み合わせることにより、名刺情報をより正確にデータ化できることを強みとしています。
名刺管理以外の機能
名刺管理機能以外の機能を、以下の表で比較してみましょう。
サービス名 | 機能 |
---|---|
連絡とれるくん | Web電話帳・着信表示・他、有料オプションあり |
Sansan | 同僚コラボレーション・顧客データHub |
Eight | メッセージ機能 |
クラウド電話帳サービス
「連絡とれるくん」や「Sansan」には、社内の電話帳をクラウド上に保管できる「Web電話帳」や「同僚コラボレーション」機能があります。
「Web電話帳」は、内線番号や名刺登録をした顧客情報、社員のスマートフォンに入っている顧客の連絡先やコミュニケーションツールなど、業務に使用するすべての連絡先を登録できます。一元管理でき、登録者のスマートフォンやタブレット、パソコンから検索・連絡できる点が便利です。
「Sansan」の「同僚コラボレーション」は、社員の所属やプロフィールも管理でき、個々の強みが一目で確認できる点が特徴です。新規プロジェクトを立ち上げる際、部署を超えて適した人材を探せるでしょう。
着信表示
「連絡とれるくん」の「着信表示」は、「連絡とれるくん」に登録がされていれば、個々の端末に登録されていない相手であっても、発信元が表示される機能です。
メッセージ機能
「Eight」の「メッセージ機能」は、SNSのダイレクトメールをイメージするとわかりやすいでしょう。電話やメールとは異なり、気軽に連絡を取れる点がメリットです。
セキュリティ
いずれのサービスも、クラウド上にデータを保管しているため、端末を紛失した際であっても情報漏洩の心配がない点が特徴です。
その他、「Sansan」は、公式ホームページに以下のセキュリティ機能を記載しています。
セキュリティ機能 | 内容 |
---|---|
2要素認証 | ID・パスワードの他、認証コードを求めることで第三者からの不正ログインを防止する |
AD連携 | ID・パスワード情報の一元管理が可能 |
アクセスコントロール | 情報の閲覧範囲を部署・項目単位で設定可能 |
IPアドレス制限 | 接続可能なIPアドレスを設定し、未登録IPからの接続を拒否できる |
デバイス利用制限 | スマートフォンからSansanのWeb版へのアクセスを制限できる |
キャッシュレスモード制限 | アプリ上にキャッシュデータを保持しないことで、端末紛失時に名刺データが漏洩することを防止できる |
同じ会社が運営する「Eight」は、読み取ったデータを暗号化し、セキュリティ審査機関より認定されたデータセンターで保管していることを明示しています。
料金
各サービスの利用料金を、以下の表にまとめました。
サービス名 | 料金詳細 |
---|---|
連絡とれるくん | 1ユーザーあたり月額300円、最低5ユーザーから利用可能(初期費用50,000円) |
Sansan | 契約により見積もり価格は変動、Sansanのスキャナは1台あたり月額10,000円 |
Eight無料版 | 無料 |
Eightプレミアム | 月額480円または年額4,800円 |
覚えておきたいのは、「Sansan」は見積もりを上げなければ正確な価格がわからないこと、そして「Eight」には「無料版」と「プレミアム版」があることです。
プレミアム版を契約すると増えるのは、以下の機能です。
- スピーディーなデータ入力
- 名刺データのダウンロード
- お礼メール
- 画像メモ機能
- 連絡先アプリとの連携
- PFU社製スキャナー「ScanSnap」連携用ソフトウェア「PC用 Eight scan β版」の利用 企業向けプレミアムへの参加、同僚への名刺のシェア
無料版とプレミアム版とは、ニーズに合わせて選びましょう。まずは無料版から始めてみて、あとからプレミアム版にすることも可能です。
その他アプリ、ツールとの連携
その他アプリやツールとの連携を見てみましょう。
- Webex Meeting
- Zoom
- Cisco Jabber
- Skype for business
- LINE WORKS
- Chatter
- Sansan
- MicrosoftOffice365
- AzureAD
- salesforce
- MicrosoftDynamicsCRM
- PhoneAppli
- MAツールなど
- 特になし
- 端末の連絡先アプリ
「連絡とれるくん」と「Sansan」とも連携可能です。双方の強みを活かしたい、片方だけでは機能が足りないといった場合に連携を検討してみましょう。
連絡とれるくん・SANSAN・Eightの総合的評価
6つの項目について、「連絡とれるくん」、「Sansan」「Eight」を比較きました。この章では、それらを踏まえたうえで、それぞれがどのような人や企業に向いているのかについて紹介します。
連絡とれるくんの評価
「連絡とれるくん」は、以下の人や企業におすすめです。
- 電話帳機能の使いやすさを重視している企業
- 5~10人程度の小規模企業
- リモートワークなど、オフィスに出社しない社員が多い企業
サービス名からもわかるように、「連絡とれるくん」は社内外への連絡ハードルを引き下げられるサービスです。そのため、電話帳をもっと使いやすく整えたい企業に適しています。
5ID以上であれば、1ID単位での調整が可能です。そのため、小規模企業や必要な人数分だけ利用したいといった企業にとって利便性のあるサービスでしょう。
SANSANの評価
「Sansan」は、以下の人や企業におすすめです。
- 名刺管理を正確・スピーディーに行いたい企業
- 名刺の情報をビジネスに活かしたい企業
「Sansan」の強みは、名刺管理の精度の高さです。社員がバラバラにもらってくる名刺情報を管理し、必要なビジネスシーンで活かせます。
Eight評価
「Eight」は、以下の人や企業におすすめです。
- 個人で名刺をデータ化し管理したい人
- SNS感覚でビジネス相手と連絡を取り合いたい人
「Eight」は、3つのサービスのうち、唯一の個人向けサービスです。そのため、個人事業主など、個人で名刺をデータ化して管理したい人に向いています。
また、メッセージ機能により、ビジネス相手とコミュニケーションが取りやすい点もメリットです。
利用目的に合わせてツールを選ぼう
3つのサービスは、それぞれに特徴があります。今回の記事を参考にして、もっとも利用目的に合うものを選びましょう。