寒冷地手当とは
「寒冷地手当」とは、国家公務員などに支給されるいわゆる地域手当、それも寒冷地限定の手当のことを指しています。
寒冷地手当が支給されるのは基本的に「雪国」と言われるように雪深い、冬がとくに寒い東北地方や北海道が対象となっています。そのため、寒冷地手当自体を知らない人や、知っていてももらう機会のない人の方が多いことでしょう。
寒冷地手当の目的
寒冷地手当の目的は、雪国のように冬の冷えが厳しい寒冷地での冬季暖房用の燃料費用への手当です。
東北や北海道のような雪国では、冬の寒さが他の地域よりも厳しく、暖房代は家計を直撃してしまいます。給与が全国基準で変わらないとしても、生活にかかる費用が寒冷地の冬季だけ突出することになりますので、それに対する手当と考えてよいでしょう。
寒冷地手当の歴史は、昭和の石炭手当まで遡ることができると言われています。
寒冷地手当を取り巻く問題
寒冷地手当については、その手当そのものの存在が不公平であるなど問題を抱えています。
例えば、冬が寒い地域への暖房手当はあるのに、夏が暑すぎる地域への冷房手当はないことが問題だという意見があります。また、隣り合う自治体でも寒冷地手当がつく・つかないで給与の額に相当の差がつくことなども問題となっています。
民間企業の寒冷地手当の現状
民間企業でも寒冷地手当を支給している企業はありますが、その数はけして多くはないというのが現状でしょう。
民間企業が寒冷地のような地域手当を支給するのは、むしろ地域による給与の差を調整するため、という側面が強いと言われています。民間での寒冷地手当にも問題があり、勤める自治体によって給与が違うという不公平感の是正のため、廃止していく傾向にありました。
民間企業で寒冷地手当が支給される地域5つ
民間企業で寒冷地手当が支給されている地域として、北海道・東北・関東甲信越・岐阜県・広島県の5つの地域について紹介いたします。
国が出している寒冷地の情報を元に、民間でも寒冷地手当を出している企業があります。一度は廃止していく方向性になっていた寒冷地手当などの地域手当ですが、人材不足による労働者確保のために、近年では場合によっては維持・または復活する企業が出てきています。
民間企業で寒冷地手当が支給される地域1:北海道
民間企業で寒冷地手当が支給されている地域、1つ目は日本で最も気温が下がる地域といっても過言ではない「北海道」です。
北海道の代表的な都市である函館や札幌・釧路・旭川の12月~2月までの平均気温はおよそ5℃以下となっています。東京の同じ時期の平均気温が10℃を下回ることがないことからみても、寒冷地と言えます。
労働者の待遇改善のため、廃止していた寒冷地手当を今年から復活させる民間企業があります。
民間企業で寒冷地手当が支給される地域2:東北
民間企業で寒冷地手当が支給されている地域として、雪深いとして有名な東北地方もその対象となっています。
東北地方は青森県・秋田県・岩手県・山形県・宮城県・福島県までを含んだ地域のことを指しています。県によって差はありますが、基本的に冬である12月~2月の時期の平均気温は5℃以下であることが多い、という点から寒冷地手当を地域手当として支給する民間企業が多いです。
民間企業で寒冷地手当が支給される地域3:関東甲信越
民間企業が寒冷地手当を支給している地域に「関東甲信越」がありますが、これは広い関東地方のことを指していますので、実際には民間で寒冷地手当の支給が行われていない地域が多いです。
関東甲信越というと、東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県・長野県・新潟県、1都9県です。新潟や長野、山梨、茨木・栃木・群馬の内、寒冷地とされている地域で寒冷地手当が支給されている場合があります。
民間企業で寒冷地手当が支給される地域4:岐阜県
中部地方や東海地方とされる岐阜県もまた、民間企業で寒冷地手当が支給されることのある地域となっています。
実際にどの位の寒冷地手当(地域手当)が支給されているのかは、民間企業なのでそれぞれに違いがあります。一般的には、5,000円から10,000円程度の金額であることが多いでしょう。
民間企業で寒冷地手当が支給される地域5:広島県
広島県は中国地方なのですが、同じ中国地方である岡山と共に準寒冷地となっている場所の多い県です。
広島県でも民間企業の寒冷地手当は企業により差が大きく、10月に寒冷地手当を支給する企業や、11月~3月まで出す企業など、支給する企業でも差があります。
寒冷地手当の平均支給額
寒冷地手当の平均支給額ですが、「国家公務員の実態」のデータでは国家公務員の平均支給額は16,670円となっています。
民間では平均支給額を出している自治体が少ないのですが、北海道の旭川の平成30年度のデータでは世帯主平均が109,024円、準世帯主62,864円、独身40,235円となっています。ただし、北海道は最も寒冷地手当の支給額が多い地域に相当します。他の地域はもっと低いでしょう。
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民間企業や公務員に支給される地域手当とは?
ここまでは民間企業や公務員に支給される寒冷地手当について解説してきました。寒冷地手当は地域手当の中の1つであるため、実際には地域手当として寒冷地手当や他の手当を支給している場合が多くあります。
寒冷地手当以外にも!地域手当の種類2つ
寒冷地手当以外の地域手当の中には、地方と都市の給与差を埋める「都市手当」と「徳地勤務手当」という手当があります。ここからは、この2つの地域手当について、それぞれに詳しく見ていきましょう。
寒冷地手当以外にも!地域手当の種類1:都市手当
「都市手当」とは、地方勤務者と都市部勤務者が同じ給与であった場合、地域によって異なる物価水準で不公平となることがあるため、導入されている地域手当です。
したがって、都市手当が支給される地域は「東京」や「大阪」といった大都市圏が対象となります。地方で生活する場合の物価と、国際空港などがある東京や大阪などの都市部では物価に大きな違いがあるとされているのが、その根拠となります。
寒冷地手当以外にも!地域手当の種類2:特地勤務手当
「特地勤務手当」は、簡単に言えば生活するにあたって非常に不便な場所で生活せざるを得ない場合に支給される地域手当です。
生活に非常に不便な場所とは、「離島」や「山間部」が対象となるでしょう。特地勤務手当は、このような不便な場所で勤務することを嫌がられないために、支給されている地域手当となります。
民間企業の寒冷地手当について知ろう
寒冷地手当は公務員も民間企業も出しているのですが、最近では民間企業の方が積極的に取り入れているケースがあります。人手不足解消のため、各種手当を充実させて待遇を良くしようとする目的からです。
民間企業の寒冷地手当や、地域手当について知って、対象の地域ならば手当のでる企業を探すなど有効活用していきましょう。