女性管理職の比率
まずは海外と比較した「女性管理職の比率」について見ていきましょう。世界の国々と比較することで、国際的な女性リーダーの登用率や、日本の登用率についての理解も深めることができます。
日本の女性管理職の比率
国際労働機関(ILO)が発表した平成30年のデータによると、業界や経営規模などで分けずに総合して、日本の女性管理職の比率はなんと12%です。
G7の中では最下位で、女性のリーダー登用が先進国の中ではかなり遅れていることが発覚しました。また、女性管理職の比率の上昇率もかなり遅く、他国に大幅な遅れを取っています。
女性管理職比率の国際比
それに引き換え、ILOの発表した世界の女性管理職の割合は27.1%と、低くはあっても日本の2倍以上の割合を占めます。また日本経済新聞によると、この割合はスローペースながらも日本より早いペースで上昇していっているとのことです。
【業界別】女性管理職比率4選
女性管理職の比率は業界によってかなり差が大きく開きます。その背景には女性の採用率や男女格差があります。そこで次は、厚生労働省が発表した平成29年の業界別の女性管理職の割合を見ていきます。
【業界別】女性管理職比率1:医療および福祉関係
医療および福祉関係の業界は女性管理職の割合が最も高く、44.9%と管理職の約半数を女性が占めます。
これは医療や福祉の業界での女性労働者の採用率が71.7%と突出して高いことが大きく関係しているでしょう。医療分野では看護師、福祉分野では介護士、中でも看護師などの資格所有者の介護士が多いことも関係していると考えられます。
【業界別】女性管理職比率2:ガスや水道などインフラ関係
ガスや水道、電気などの供給といったインフラ関係における女性管理職の割合は2.6%と低く、鉱業や炭鉱業の2.8%を押さえて、業界別女性管理職の割合の中では最下位となっています。
これには元々採用される女性労働者の割合が低いことも理由として考えられますが、インフラ関係よりも採用率の低い業界よりも女性管理職の割合が低いことから、いまだに男女格差が根強く残る業界と言えるでしょう。
【業界別】女性管理職比率3:運送業
運送業に占める女性管理職の割合は、厚生労働省のデータでは郵便業とひとくくりにされてしまっているのですが、それでも5.6%と低めです。
女性がトラックの運転手をつとめていると「美人すぎる運転手」などとマスコミの取材が入るくらいですが、女性労働者の比率は21.6%と低くはありません。ただ管理職比率の低さから、やはりこちらも男女格差の根強く残る業界と言えるでしょう。
【業界別】女性管理職比率4:教育系
教育や学習支援といった業界では、女性管理職の比率は22.2%と、日本の平均値を大きく上回る数値です。ただし4分の1にはぎりぎりで届いていません。
ところが、女性労働者の比率はというと、52.8%と半数を超えています。それなのに管理職の割合が4分の1に満たないというのはやはり、教育現場には女性が多く上層部にいくにつれて男性の採用率が高くなる、男女格差の高い業界ということでしょう。
女性管理職比率が低いことの問題点5つ
女性管理職の比率が低いとどのようなことが問題になるのでしょう。男女平等は近年叫ばれ始めた概念ですが男女平等でなければどのような問題が生じるのか、5つに絞って考えていきましょう。
問題点1:仕事と育児の両立ができない職場
学校行事に合わせた有給の取得や子どもの急な体調不良に対して寛容な女性が管理職についていた方が、女性が労働しやすい職場をつくることができるでしょう。
「イクメン」という言葉が一時的に世を席巻しましたが、やはり育児は女性の仕事と考えられているのが実情です。そんな中で女性管理職の比率が低いということは女性労働者への無理解へと繋がり、「仕事と育児の両立ができないから」と女性労働者が辞めてしまいかねません。
問題点2:女性が管理職を目指す意欲を削ぐ
女性管理職の比率が元々少ない、同じ職場に女性管理職がいないと、「いくら頑張っても評価されないのでは」との心配や「どうせ評価されない」との諦めに繋がり、女性の上昇志向を妨げます。
実際にILOが発表した報告書でも、女性管理職を多く登用した職場の方が生産性の向上が認められたというデータがあり、女性が管理職を目指す意欲を削いでしまうのは、企業的にも雇用されている女性的にもネガティブな影響しか与えません。
問題点3:能力のある人材を活用しきれていない
女性だから能力そのものを評価してもらえないようでは、せっかく有能な人材が現れてもうずもれていってしまいます。
能力があるのに「女性だから結婚や出産などでいつか辞める」と能力の活かしきれない職場に採用されたり、出世とは無縁な仕事を任されたりばかりなことも珍しくありません。
問題点4:企業の規約違反に
女性を「能力を認めているにも関わらず見合った階級で仕事をさせない」ということは法令違反となり、処罰される恐れもあります。
「女性活躍推進法」が平成27年に施行されました。女性を積極的に登用してその能力に合わせた仕事を与えるという内容で、徐々に法令に同意し女性活躍推進法登録企業として認定された企業も増え始めています。
これらの企業では、男女の差別なく女性を活躍させることが重要となります。
問題点5:企業のイメージダウンにも
男女平等が訴えられる風潮でいまだに管理職の男女比率に大差があることは明らかに職を探す女性に不安要素となり、男女格差が大きいとマイナスイメージになってしまいます。
働きたい女性が急増する昨今、女性を評価しない企業はそんな女性にあまり良い印象を与えません。職探しをしている女性が指標にしているひとつが女性管理職の比率の高さです。女性管理職の比率が高いと、「女性に対する理解がありそう」と安心できます。
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女性管理職の比率を高くするための対策2つ
そこで、少しでも女性管理職の比率を高くする対策を2つ考えてみましょう。ここまでの問題点5つを踏まえると、女性管理職の比率を上げることは企業にとっても女性にとってもポジティブな影響があることがわかります。
育児・介護の休暇制度の充実
女性が存分に活躍できるようにするには男性の協力が不可欠ですが、企業側のとして女性にできることは、育児や福祉などの支援制度を充実させることです。仕事を辞めなくても良いように、女性の働きやすい環境作りを整えていきましょう。
たとえば最近増えた社内託児所というものがあります。女性社員の勤務時間に、子どもを社内で預かってもらえるサービスです。ただしこれは女性労働者が会社勤めをしている場合に限るのが欠点です。
女性社員へのコミュニケーションを増やす
働き方改革で、日経新聞によると、多くの人が「限られた時間の中で業務の量は変わらずストレスが増えた」と回答したとのことです。どうすれば社員が働きやすいか聞き取り調査を行うことは、女性社員に配慮する上で重要でしょう。
女性が管理職になることにポジティブなイメージを持てる職場に!
あなたも仕事と子育てを両立するか、子育てを男性に任せるかをしてみて男性同様に出世して、女性管理職のイメージを変えてみましょう。
女性が管理職になるというと、今は「気が強い」や「男勝り」などのイメージがつきまといますが、本来であれば男性も女性も同じく労働者として採用された身ですから、同じように出世しても良いはずです。