サクセッションプランとは?
サクセッションプランとは、優秀な人材を将来の重役候補として早期に確保(プール)して後継者を育成するプランの事です。ここでは、サクセッションプランの目的と実施タイミングについてご説明します。
サクセッションプランの目的
社長などの重役が役職を突然辞めざる得ない状況になった場合に、辞めた人物と同じ実力がある適切な人物を選任するには時間がかかり、一時的に重役ポストが空いてしまう場合があります。
サクセッションプランの目的は、企業の重役ポストが空白状態になるような事態を避けるために、早い段階で企業の重約ポストを任せられる人材を確保(プール)して後継者として育成していく事で安定した経営を目指すというものです。
サクセッションプランの実施タイミング
サクセッションプランの実施のタイミングは、重役ポストの後継者リストを作成したら早期に実施するのが望ましいです。企業の重役ポストの後継者となるには、企業の経営理念や方針などを深く良く理解している事が必須です。
そのためには、長期にわたる人材育成計画を立てて人材育成を行っていかなければなりません。経営の重要な重役ポストを担う人材を確保(プール)したら早い段階でサクセッションプランを実施するようにします。
サクセッションプランの重要性
サクセッションプランは、企業の経営の中心を担う人材を育成する重要なプランです。一部の専門的な分野に長けている人材の育成ではなく、経営戦略や経営方針など企業の経営全般にかかわる幅広い知識や経験が必要です。
将来、経営者として企業を引っ張って行けるような優秀な人材を育成する事で、重役ポストの空白期間を作らなくてすみ安定した経営を行う事ができます。
企業の持続的成長
サクセッションプランを実施する事により、重役が突然辞めなければならない事態になっても重役の後を問題なく引き継ぐ事ができるので、重役不在で経営がス有数する事なく企業の成長を持続させる事が可能になります。
企業の経営理念や経営戦略、経営方針を既に後継者はサクセッションプランにより、良く理解しているため、改めて説明や重役ポストについての教育をする必要がありません。
未来への投資
サクセッションプランは、長期にわたる後継者を育成していかなければならないため、ある程度のお金がかかりますが、将来の経営の要として経営戦略や経営理念をよく理解しているので企業の望んでいる経営方針を進めていく事ができます。
サクセッションプランは、長期間かけて後継者となる人材を育成しなければなりませんが、後継者問題の解消にもなるので、企業の未来にはプラスになるプランです。
サクセッションプランのメリット6つ
サクセッションプランによって、優秀な人材を早期に確保(プール)し後継者として育成していく事が、企業の未来の成長を握るカギになります。ここでは、企業の未来の成長を握るサクセッションプランのメリットを6つご紹介していきます。
サクセッションプランのメリット1:経営幹部ポストの空白期間の消失
サクセッションプランのメリットは、会長や社長のみならず、最高執行責任者、最高財務責任者といった経営幹部ポスト全般の後継者を育成していくため、経営幹部ポストの後継者が決まらず空白になってしまう期間を作らずにすみます。
企業を経営していく上で、経営幹部ポストの空白期間があるのは安定していた経営に影を落とす事にもなりかねないので、サクセッションプランを実施する事は、企業にとって大きなメリットになります。
サクセッションプランのメリット2:優秀な人材のリテンション
サクセッションプランの2つ目のメリットは、企業の経営戦略や経営理念を良く理解している社員を増やす事ができ、誘導によって社員のモチベーションも上げていくので優秀な人材がリテンション(定着)するようになります。
サクセッションプランは、その時の優秀な人材を発掘するというよりも優秀な人材に育てていくプランでもあります。サクセッションプランは、後継者育成だけではなく優秀な人材を育て企業を支え成長させます。
サクセッションプランのメリット3:後任者の育成に対する問題点の解消
サクセッションプランの3つ目のメリットは、後任者育成の問題点を解消できるという事です。
現任者と年齢や立場が近い人が後任者として短期間で育成される事が多かったため、現任者が交代を恐れ、後任者育成に非協力的になってしまうなど後任者育成が上手く行かないという問題点がありました。
サクセッションプランは、若手から将来の後任者として育成していくものなので、前任者が協力しやすいというメリットがあります。
サクセッションプランのメリット4:事業拡大時の人材的余裕
サクセッションプランの4つ目のメリットは、事業拡大のチャンスに人材不足で、事業拡大を諦めるチャンスロスを避ける事ができるというメリットがあります。
サクセッションプランは、多くの社員を対象者として優秀な人材を育成しているプランですので、人材不足に陥る心配がありません。新規事業を立ち上げて、経営陣の異動があっても後継する社員がいるので安心して経営をまかせる事ができます。
サクセッションプランのメリット5:採用や育成コストのリスク低下
サクセッションプランの5つ目のメリットは、採用や育成コストのリスク低下する事ができるという所です。
企業内で多数の社員を経営幹部の後継候補として育成している事から、外部から幹部候補を採用して改めて経営理念や経営戦略を理解してもらうための育成をしていく手間が省けます。
また、せっかく幹部候補を外部から採用したのに育成途中で退職してしまうリスクを負う必要がなくなります。
サクセッションプランのメリット6:人材登用基準と人材育成の見える化
サクセッションプランの6つ目のメリットは、うやむやになりがちな、人材の登用基準と人材育成のプロセスを社員にはっきりと明確に「見える化」して社員なら誰でも確認が取れるようにする事で、社員のモチベーションを維持させる事ができるという所です。
人材の登用基準と人材育成のプロセスをはっきりと明確にする事で、社員の不信感を除き育成対象の社員のやる気を起こさせます。
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国内外のサクセッションプラン事例4つ
サクセッションプランについてのご説明をしてきましたが、ここでは実際にサクセッションプランを実施している国内外のサクセッションプランの事例を4つご紹介します。
サクセッションプランに興味のある方は、サクセッションプランを実施している企業は、どのようにサクセッションプランを行っているのかを読んで参考にしてみて下さい。
国内外のサクセッションプラン事例1:General Electric
General Electric(以下GE)は、日本のサクセッションプランに大きな影響を与えたアメリカの企業です。
現在は休止中ですが、縦軸にパフォーマンス度、横軸に元々GEの定義である1、外部志向2、明確な思考3、想像力と勇気4、包容力5、専門性の5つのGrowth Valueを用いて縦軸3つ横軸3つの「9ボックス」というマトリックスを作成して人材を振り分けて適材適所に必要な人材を育成していました。
国内外のサクセッションプラン事例2:株式会社良品計画
株式会社良品計画は、特定の評価スキーム(評価の枠組み)を構築して自社でサクセッションプランを実施しています。
ファイブボックスという横軸に潜在能力、縦軸にパフォーマンスのマトリックスを作成して、次期社長クラス、常務・専務レベル、これから台頭する人材・次世代、合格範囲最後のコア・パフォーマーまでの人材を確保します。
プロフィールシートやキャリバー・ポテンシャル・レポートなどを使って人材を育成します。
国内外のサクセッションプラン事例3:日本IBM
日本IBMは、ER・TR・TTという人材区分をして人材選抜制度を行ってサクセッションプランを実施しています。ERはエグゼクティブリソースといって50歳前後でCEOや経営幹部になれる人材が対象の育成プランです。
TRはテクニカルリソースといって経営幹部候補ではなく、技術面に特化した特定分野のスペシャリストをERより少人数で育成します。TTは経営幹部ではなく、営業マンとして非常に優れた社員を選抜します。
国内外のサクセッションプラン事例4:帝人株式会社
帝人は、将来の幹部候補の人材育成にはSTRECH(ストレッチ)という段階的な人材育成システムを行っています。
「STRECHⅠ」が役員直前の50代前後(40人程度)、「STRECHⅡ」が40代(70人程度)、「STRECHⅢ」が30代(100人程度)となっています。
選抜された50代~40代の社員をビジネススクールに通わせて1年ごとに入れ替えます。役員が推薦した候補者を定期的に人事委員会で審議します。
サクセッションプランは重要な成長戦略
サクセッションプランは、企業の重役ポストの後継者を育成するプランです。未来の会長や社長の後継者を育成するだけではなく、企業の経営には欠かせないその他の重役ポストの後継者も育成していくので後継者がいないという状態を無くす事ができます。
後継者候補から外れてしまっても、育成された優秀な人材によって企業を成長させる事ができます。サクセッションプランは、企業にとって重要な長期にわたる成長戦略です。