中途採用の現状
高卒や大卒者を対象にした採用のことを新卒採用と言うのに対して、すでに社会人経験がある転職希望者を対象にした採用のことを中途採用と言います。
終身雇用が事実上崩壊し、転職者が増加傾向にある昨今では、中途採用を行う企業も増えてきていると言えるでしょう。
ただし、採用プロセスには時間も労力も、そしてコストもかかります。だからこそ、中途採用者が離職をすれば、それらが全て無駄になってしまうのが問題です。
中途採用者の離職率が高い原因8つ
一般的に、新卒で採用した社員よりも中途採用の社員のほうが離職率が高い傾向にあると言われています。
中途採用者は新卒社員のように教育面でのコストがかからず、即戦力としての活躍を期待できるというメリットがありますが、離職率が高ければデメリットのほうが大きいと言えるでしょう。
では、なぜ離職率が高いのでしょうか。ここからは、中途採用者の離職率が高い主な原因を8つピックアップしてご紹介していきます。
中途採用者の離職率が高い原因1:昇給の見込みがない
中途採用者の離職率が高い原因としてまず考えられるのが、昇給の見込みがないということです。
何年勤めても、またどんなに業績を上げても昇給の見込みがなく、給料が平均よりも低いならば、経済面で強い不安感を覚えて「このままこの会社にいてもよいことはない」と離職を決意することでしょう。
つまり、中途採用者の離職率を減らしたいならば、昇給制度を整備するなど給与への不満を招かないことが必要だと言えます。
中途採用者の離職率が高い原因2:長時間残業の常態化
長時間労働が常態化しているということも、中途採用者の離職率が高くなる原因のひとつとして考えられるでしょう。
近年では労働者の権利意識も高まり、また生活と仕事の調和を掲げる「ワークライフバランス」という概念も浸透してきていることから、長時間労働が常態化している職場に強い不満を抱き、離職を決意する社員も少なくありません。
中途採用者の離職率を低くするためにも、労働環境の改善が望まれるでしょう。
中途採用者の離職率が高い原因3:ワンマン経営
中途採用者の離職率が高い原因のひとつとして、ワンマン経営であるということも挙げられるでしょう。
社長や幹部がワンマン体質であり、社員の声や現場の声に全く耳を傾けず強引に会社の経営方針を決定し、それに社員を無理やり従わせるならば、中途採用者が会社を見限って離職するのも無理はありません。
とりわけ、経営者と社員の距離が近い中小企業ではこのような理由により中途採用者の離職率が高くなってしまいがちです。
中途採用者の離職率が高い原因4:待遇や条件が違う
入社前に聞いていたのと待遇や条件が違っていたということも、中途採用者の離職率が高くなる原因の一つに数えられるでしょう。
求人案内や面接時にはよい条件や待遇をアピールしていたのに、実際に入社してみると聞いていたのとは全く違い、条件も待遇も悪かったならば会社に強い不信感を抱き、離職するのも当然のことだと言えます。
このような理由で中途採用者の離職率が高くなるのは、とりわけブラック企業に多いでしょう。
中途採用者の離職率が高い原因5:将来性・安定性がない
中途採用者の離職率が高い原因のひとつとして挙げられるのが、将来性や安定性がないということです。
入社したのはいいものの、実際にそこで働き始めると会社の経営に不安要素が多いことに気づいたり、このままこの会社で勤め続けてもキャリアに何のメリットもないことを悟ったならば、自分のよりよい将来のために再度転職を決意することでしょう。
また、人員整理を始めた会社では、対象者以外の離職率も一気に高くなります。
中途採用者の離職率が高い原因6:やりたい仕事ではなかった
自分のやりたい仕事ではなかったというのも、中途採用者の離職率が高くなる原因のひとつでしょう。
退職後に転職活動を行った人の中には、なかなか内定が得られず焦りを感じて、自分に向いていない職種の会社に応募して内定をゲットし、結果的に仕事が合わず再び転職を余儀なくされる人もいます。
また、希望していた会社に入社したものの、自分のやりたい仕事を任せてもらえないことに不満を感じ離職する人もいます。
中途採用者の離職率が高い原因7:社風や職場環境があわない
中途採用者の離職率が高い原因のひとつとして、社風や職場環境が肌に合わないということも含まれるでしょう。
職場の人とはビジネスライクに接したいと考えている人が、よく言えばアットホームで悪く言えば行き過ぎた体育会系の社風の職場に入社すれば、ストレスを感じて職場に居づらくなり、離職を決意することになります。
事前に社風や職場環境に関する情報をきちんと調べていない中途採用者はこのような原因で離職しやすいです。
中途採用者の離職率が高い原因8:相談できる上司・同僚がいない
相談できる上司や同僚がいないというのも、中途採用者の離職率が高くなる原因のひとつとして考えられます。
中途採用ゆえに、すでにできあがった職場の人間関係の中に溶け込むことができず、仕事で困ったことや悩んでいることを相談できる上司や同僚がいなくて孤独感を覚え、今の会社を辞めたいと考える人も少なくないことでしょう。
このような事態を防ぐためにも、中途採用者に入社後のフォローをきちんと行う必要があります。
中途採用者の離職率を下げる方法3つ
採用プロセスにはお金も時間もかかるため、せっかく労力を割いて採用した中途採用者が早々に離職してしまっては、会社にとっては損でしかありません。
では、中途採用者の離職率を下げ、長く働いて会社に貢献してもらうためにはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。
ここからは、中途採用者の離職率を低くするために実践したい方法を3つご紹介していきます。離職率の高さにお悩みの会社は、ぜひ参考にしてみてください。
中途採用者の離職率を下げる方法1:社内コミュニケーションの活発化
中途採用者の離職率を下げる方法としてまず重要なのが、社内コミュニケーションを活発にするということです。
上司も同僚も垣根なくコミュニケーションを取るような雰囲気づくりを進めることで、中途採用者が職場で孤立して孤独感を覚えるのを防ぐことができます。
また、社内コミュニケーションが活発になれば、中途採用者の抱く悩みや不満にいち早く気付くことができるため、離職をしてしまう前に相談に乗ることができます。
中途採用者の離職率を下げる方法2:採用段階でのミスマッチ
採用段階でのミスマッチを減らすというのも、中途採用者の離職率を下げるために実践すべき方法のひとつとして挙げられるでしょう。
全くの異業種からの転職希望者を採用するのを減らしたり、面接を1回だけで済ませず2次面接まで行い、応募者の意欲・志望動機などをよく見定めることで、採用段階のミスマッチを減らすことが可能です。
また、面接時の質問を工夫するなどして、応募者に適性があるかをよく見極めるようにしましょう。
中途採用者の離職率を下げる方法3:やりがいを見出させる
中途採用者の離職率を下げる方法のひとつとして、仕事にやりがいを見出させる工夫を行うということも重要でしょう。
仕事にやりがいを感じられないと会社への不満が募り、離職の原因となってしまいますので、単純作業やレベルの低い仕事ばかりを与えず、中途採用者の適性や能力に応じて、適度にやりがいや責任のある仕事を任せることも必要です。
また、単純作業の仕事をさせる時にも、その作業の意義を説明するようにしましょう。
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中途採用者の離職率が低い会社の特徴5つ
以上では、中途採用者の離職率を低くするための方法をご紹介してきました。一般的に、中途採用者の離職率が高い会社はブラック企業であることが多く、また離職率が低い会社はホワイト企業である傾向にあります。
ここからは、中途採用者の離職率が低い会社に共通してみられる特徴を5つピックアップしてご紹介していきます。
以下で取り上げる会社の特徴を学び、それをぜひ参考にしながらよい職場づくりを行いたいものでしょう。
中途採用者の離職率が低い会社の特徴1:労働時間が適正である
中途採用者の離職率が低い会社の特徴としてまずご紹介したいのが、労働時間が適正であるということです。
一律的な長時間労働を社員に強制せず、また残業がない、あるいは残業を少なくするように職場全体で勤めている会社は、働きやすくホワイトな労働環境を社員に提供しているため、中途採用者の離職率は低くなります。
長時間労働は離職率を高める大きな原因ですので、ぜひ会社全体で改善していきたいと言えるでしょう。
中途採用者の離職率が低い会社の特徴2:長期休暇が取りやすい
長期休暇が取りやすいということも、中途採用者の離職率が低い会社の特徴のひとつです。長期休暇が取りやすいということは、仕事一色の生活ではなくプライベートも充実できる会社であることの証拠です。
昨今の労働者は労働者としての権利意識が高くなり、またワークライフバランスの充実を重視するようになってきているため、社員の幸福度を考え、長期休暇の取りやすいシステム作りを行いたいものでしょう。
中途採用者の離職率が低い会社の特徴3:評価制度が確立されている
中途採用者の離職率が低い会社の特徴のひとつとして、評価制度が確立されているということも挙げられます。
人事に関する評価制度が適正で客観的であり、頑張れば頑張った分だけ正当に評価されるシステムが確立されているならば、中途採用者を含む社員は、会社に対する不満を感じなくなることでしょう。
評価制度が曖昧だったり恣意的だと社員の不満を招き、離職率が上がってしまうので早急に改善が必要です。
中途採用者の離職率が低い会社の特徴4:管理者研修を行っている
管理者研修を行っているというのも、中途採用者の離職率が低い会社に見られる特徴のひとつでしょう。
管理者研修を定期的に行い、部下との適切な接し方や指示の仕方などを学ばせるようにすれば、パワハラやセクハラなどの問題行為を行う管理者が減り、働きやすい職場づくりを実現することができます。
また、管理者と部下とのコミュニケーションも円滑なものとなるでしょう。
中途採用者の離職率が低い会社の特徴5:教育環境の充実
中途採用者の離職率が低い会社の多くは、教育環境を充実させています。中途採用者であっても、入社後に手厚い教育システムや研修を受けることができるため、業務や職場にすんなりと溶け込むことができるでしょう。
中途採用者の離職率は高い!
今回は中途採用者の離職率が高い原因について特集してきましたが、いかがでしたでしょうか。
残念ながら中途採用者の離職率が高いのは紛れもない事実ですので、採用段階でミスマッチを起こさないように面接を工夫したり、入社後にきめ細かいフォローを行うなどして、中途採用者が長く働けるような環境作りを行いましょう。