労働基準監督署の調査内容4つと調査目的7つ|調査に備えて対応すべき事項7つ

働き方改革

労働基準監督署はどんな時に調査に来るか

労働基準監督署の調査は、大きく分けて2つあります。

労働基準監督署は、労働基準法にのっとり全国の会社を管理する行政機関で、内部告発などにより違反が疑われる場合に調査に入ったり是正勧告を行うなど必要な処置をしてくれます。

労働基準監督署の調査は大きく分けて、予定を組んで計画的に実施を行う定期調査と予告なくいきなり調査に入る臨時調査の2種類があります。

定期調査

定期調査とは、労働基準監督署が定期的に計画立てて行う調査です。

定期調査は定期監督とも呼ばれ、労働基準監督署が行う最も一般的な調査の一つであり、訪問する会社は無作為ですが、訪問前に事前連絡がある調査を指します。調査内容は監督官により異なります。

一般的な調査のため、法令全般について訪問する企業に対して違反がないかを確認しますが、監督した中で法令違反が発覚した場合は是正勧告などの処置を行います。

臨時調査

臨時調査とは、臨検と呼ばれる立ち入り検査です。

労働基準監督署が行う調査で、臨時調査とは労働基準監督官が行う会社に対しての立ち入り検査のことで、労災事故が発生しやすい業種や過去に大きな労災事故が発生した会社に対して行われます。

近年は労働者の権利意識が高まり、労働者の内部告発に伴う立ち入り検査や是正勧告が増加している一因となっており、今後もこの傾向は続いていくことでしょう。

労働基準監督署の調査内容4つ

労働基準監督署の調査内容は、一般的に4つあります。

労働基準監督署の調査内容は、定期監督、申告監督、災害時監督、再監督と大きく分けて4種類あり、それぞれ行われる内容や時期などが異なり、悪質な会社には夜間に抜き打ちの検査も行われています。

これらの4種類の調査内容を、項目ごとに順を追って説明していきますので労働基準監督署に関心のある方や相談したい内容がある方はご確認ください。

労働基準監督署の調査内容1:定期監督

定期監督とは、労働基準監督署の調査で最も一般的なものです。

労働基準監督署が行う調査で、最も多く行われるのが定期監督で、厚生労働省が労働基準行政の中で重点業種や重点事項を決定し、定期的に計画を立てて実施する立ち入り調査のことを言います。

重点業種や重点事項は毎年変化しますが、これに該当する会社は労働基準監督署が行う定期監督に選抜されて調査を受ける対象となることがあります。

労働基準監督署の調査内容2:申告監督

申告監督とは、内部で働く社員などからの内部告発により行われる調査です。

近年は、インターネットの普及などを受けて、会社で働く従業員や退職者から労働基準監督署への内部告発が増加しています。そこで行われる立ち入り調査が申告監督です。

相談内容で多いのが、残業代の未払いや解雇などの会社からの措置に対して納得のいかない人たちが会社に対して改善を求めて労働基準監督署の力を借りに行くことです。

労働基準監督署の調査内容3:災害時監督

災害時監督とは、大きな労働災害があった時に災害の状況を確認するために行われる調査です。

労働う基準監督署の調査の中で、災害時監督とは一定規模以上の大きな労働災害があった時にその状態を確認するために行われる調査で、災害の実態や原因究明、再発防止を目的に行われる立ち入り調査のことです。

大きな労働災害が起こる可能性がある業種としては、建設業や運送業、危険有害物を扱う業務に従事する会社です。

労働基準監督署の調査内容4:再監督

再監督とは、前回の検査で不適切な事項があった際、指摘事項が改善されているかを確認する為の調査です。

労働基準監督署が行う再監督とは、前回の定期検査などの立ち入り調査の際に不適合な事項があった際、一定期間をおいて、それが解決されているかを確認するために行われる調査のことです。

指定期日までに是正報告書を提出しない場合や、会社の対応が悪質な場合などに立ち入り検査となるケースもあります。

労働基準監督署の調査目的7つ

労働基準監督署が行う調査の目的は、労働者を守るために、さまざまなものがあります。

労働基準監督署は、労働基準法に基づいて全国の会社を管轄する機関ですが、調査目的の多くは立場の弱い労働者の権利を守るためであるといえます。その調査内容は多岐に渡り、違反がないかについて目を光らせています。

ここからはその調査目的について、項目ごとに順を追って説明していきます。

労働基準監督署の調査目的1:労働条件

労働条件とは、労働者が会社で働く条件を書面で交わす契約書でさまざまな内容があります。

労働条件と言っても、たくさんの条件がありますが、ここでは会社と労働者が雇用契約を交わす際、互いに合意に至る雇用契約書に記載された内容を指し、これに違反すると労働基準監督署の調査が入ります。

そのため、労働者は雇用契約書の細部に至るまで目を通し納得のいかない条件が一つでもあれば印鑑を押さず、会社側と交渉する必要があります。

労働基準監督署の調査目的2:労働時間

労働時間とは、月間の総労働時間と時間外労働時間の上限などです。

一般的に労働時間の上限は、1日8時間で1週間で40時間と定められており、これに週間や月間、年間を通して1週40時間となるよう調整した変形労働時間制度があり、これを超えると時間外労働となります。

労働時間や残業時間の一定数値を超えると法令違反となり、労働基準監督署の調査対象となり、立ち入り調査や是正勧告を受けます。

労働基準監督署の調査目的3:賃金

賃金は、都道府県ごとに最低賃金が定められており、これを下回ると法令違反となります。

都道府県の最低賃金は、平成29年度で最高は958円で最低は737円となり、全国平均が848円となっています。これを下回ると法令違反となり労働基準監督署の調査対象となって是正勧告を受ける可能性があります。

同じく、残業や深夜の割増賃金が支払われていない場合なども法令違反となり、労働基準監督署の調査対象となります。

労働基準監督署の調査目的4:年次有給休暇

年次有給休暇は、働く労働者の権利の一つです。

計画的に労働者が年次有給休暇を取得しているか、調査をするのも労働基準監督署の仕事の一つで違反する企業に対しては立ち入り検査や是正勧告が出される可能性があります。

労働基準監督署の調査目的5:安全衛生管理

安全衛生管理には、労働安全衛生法という法律があります。

安全衛生管理とは、危険を伴う作業現場などで働く労働者が安全で快適な作業環境で労働に従事できるように定めたもので、労働安全衛生法という法律に基づいています。

これに違反し、大きな労働災害などが発生すると労働基準監督署の調査対象となり、立ち入り検査や是正勧告を受けます。

労働基準監督署の調査目的6:健康管理

健康管理は、長時間労働と密接な関係があります。

近年、長時間労働や時間外労働の増加、休日出勤などに対する社会の目が厳しくなってきており、これらを守らないとそこで働く労働者の健康を害する一因となる可能性があります。

労働者の健康を守ることも労働安全衛生法に定められており、これに違反し社員が病気などになって内部告発があると、労働基準監督署の調査対象となり立ち入り検査や是正勧告を受ける可能性があります。

労働基準監督署の調査目的7:解雇

企業は、働く労働者を正当な理由なく解雇することはできません。

労働者の権利を守るため法律で定められており、違反すれば労働基準監督署の調査対象となります。

最近は、会社から社員を解雇することは難しいため、子会社への出向など従業員から会社を退職するように仕向ける陰湿な方法も社会問題となっています。

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労働基準監督署の調査への対応7つ

労働基準監督署の調査への対策は、企業にとって重要です。

労働基準監督署は、労働者が不利益にならないよう労働基準法を基に法令違反の可能性がある場合や、定期監督で発覚した場合は企業に対し是正勧告や場合によっては業務停止命令などの厳しい処罰を下す可能性があります。

労働基準監督署から指導を受けると、企業はもちろん働く従業員もダメージを受けますので、そうならない為の対策を項目ごとに順を追って説明します。

労働基準監督署の調査への対応1:規制の整備と遵守

企業は、労働基準監督署の規制の種類と法令を確認する必要があります。

ここでの規制とは、勤務時間や月間の残業時間オーバー、賃金の未払いや健康管理、安全衛生管理などいろいろな種類があり、一つでも違反すると立ち入り調査の対象となり、是正勧告を受ける可能性があります。

企業はそういったことにならないよう、労働基準法を理解しそれを実行し遵守していくという姿勢が重要となります。

労働基準監督署の調査への対応2:賃金支払い状況

労働基準監督書への相談で、特に多いのが賃金問題です。

労働者は生活のために企業へ就職し、労働を行うことで対価として賃金を受け取り日常生活を営んでいることが大半で、賃金の支払い状況は企業にとっても労働者にとっても重要な問題です。

賃金や残業、休日出勤などの時間外労働時の割増賃金などが、正しく支給されていかを労働基準監督署は調査しており、違反すると立ち入り調査の対象となり、是正勧告を受けます。

労働基準監督署の調査への対応3:勤務状況

勤務状況は、労働基準監督署が就業規則に沿った時間に従業員が勤務しているかを調査します。

時間外労働で就業規則に記載された時間を超えて勤務したり、就業規則以外の勤務時間を強要されたりしていないかを、労働基準監督署が調査します。

この規則に違反すると厳しい罰則が企業側に課されるため、企業の担当者は就業規則が労働基準法に沿っているかを確認する必要があります。

労働基準監督署の調査への対応4:時間外・休日労働

時間外や休日労働などのイレギュラーな勤務に対し、労働基準監督署は目を光らせています。

時間外勤務や休日出勤など、企業側も従業員に依頼することがありますが、労働基準法の規制以上に従業員を拘束したり、割増賃金が支払われていない場合は罰則を受けます。

企業側はそうならない為に、労働基準法を遵守し適正な時間外勤務や休日出勤を労働者に依頼するなど、必要な対応を取る必要があります。

労働基準監督署の調査への対応5:休暇取得状況

有給休暇の取得状況も、働き方改革により取得させないと法令違反となります。

有給休暇は、従業員にとって与えられた権利であり企業側は申請があった際は拒むことができず、休暇として許可する必要があります。

これを防ぐため、企業は交代で計画的に有給休暇を取得させる等、休暇の取得状況にも注意を払い、法令を遵守する必要があります。

労働基準監督署の調査への対応6:特殊な勤務形態の状況

変形労働時間制やシフト勤務など、特殊な勤務形態の状況にも企業は注意する必要があります。

変形労働時間制や、シフト勤務は通常の勤務形態とは異なるため注意が必要ですが、いずれも労働基準法に定められた時間を超えないように調整する必要が企業側にはあり、違反すると罰則を受けます。

これを防ぐため、企業側は労働基準法の労働時間を理解し変形労働時間制やシフト勤務の際はその時間を超えないように注意しましょう。

労働基準監督署の調査への対応7:健康管理の実施状況

定期健康診断は、労働安全衛生法で企業が行うよう義務付けられています。

企業は従業員に定期的に健康診断を受診させる義務があり、社員の健康を守る責任があります。これに違反すると労働安全衛生法に違反し企業が罰則を受けることになります。

これを防ぐため、企業の担当者は労働安全衛生法を理解し年間の然るべき時期や期間において、従業員に定期健康診断を受診させましょう。

労働基準監督署の調査について理解し労働環境を整えよう

労働環境を整えることは、働く従業員や企業にとっても幸福につながります。

ここまで、労働基準監督署の調査の内容や目的、対策について説明してきましたが、大事なことは労働環境を整えることは、働く社員の満足度につながり定着率や効率がアップして生産性が上がり、従業員も会社も幸福になります。

人材採用と雇用には多大な費用がかかりますが、企業はこれを蔑ろにせずむしろ重視することにより発展につながることでしょう。

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