給料の税金の計算方法|所得税/住民税・給料の税金がかかる割合

財務・資金

給料の税金はどう計算するか

所得税の場合

給与に係る所得税を計算する場合の給与とは、俸給、給料、賃金、賞与などの名目にかかわらず労働の対価として受け取る給与全般をいいます。給与所得は給与所得控除後の金額です。給与所得控除額は給料の額に応じて所得税法で定められています。

その人の所得が給与所得のみであれば、給与所得から社会保険料控除や扶養控除などを差し引いた金額(課税所得金額)に所得税率(最低5%から最大45%)をかけるなどして所得税を算出します。通常は勤務先で年末調整し、12月最後の給料日に精算することになります。

2箇所以上から給料をもらっていたり、給与所得以外の所得があれば、確定申告することにより、給料を含む全体の所得で税金を計算します。

住民税の場合

給料について年末調整したり確定申告した場合は、税務署が市町村に申告内容を通知するため住民税の申告は不要です。ほとんどの人は申告する必要はありませんが、年末調整をしていなかったり、給与所得以外に20万円を超える所得がある場合などは住民税の申告が必要になります。

住民税の場合も所得税と同様、給与所得控除や社会保険料控除などの所得控除があり、課税所得金額に乗じる所得割の税率は一律10%です。ほかに均等割として一律4,000円が課税されます。

健康保険料が差し引かれる場合

現在では、週20時間以上の労働時間があれば、誰でも健康保険や健保組合に加入しなければなりません。勤務先の給与担当者が資格取得届や標準報酬算定基礎届を行いますので、手続きは不要です。健康保険料は標準報酬の額によって1等級5万8千円から50等級139万円に区分され、保険料率は都道府県によって差異があります。

保険料率は、東京都の場合、平成29年9月以降は2号被保険者(40歳以上64歳未満)が11.56%、2号被保険者以外が9.91%となっています。健康保険は厚生年金保険と同時に加入しなければなりませんが、70歳以上75歳未満は健康保険のみとなります。また、労働時間が週20時間未満の労働者は、国民健康保険に加入することになります。

毎月の給料に税金がかかる割合は

毎月の給料にかかる税金は給与の支払者が源泉徴収して国に納付します。源泉徴収の額は毎年国税庁が定めた源泉徴収税額表により決まります。給与所得者は所定の「扶養控除等申告書」を提出すると、源泉徴収税額表の甲欄が適用され、「扶養控除等申告書」の提出しない場合は、甲欄より税金の高い乙欄が適用されます。甲欄は扶養親族の数により税額が違ってきます。

給料を2箇所以上から受け取っていて、「扶養控除等申告書」を主たる給料をもらっている所に提出し、他の所へは「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出する場合があります。その場合は主たる所が甲欄適用、従たる所が乙欄適用になりますが、乙欄の該当する金額から扶養親族1人ごとに1,610円を控除した金額が税額になります。

源泉徴収税額表は、その月の給料から健康保険料などの社会保険料を控除した後の金額に対して適用されます。次に具体的な給料の額に対していかほどの税金が徴収されるか平成29年1月以降の適用分についてみていきますが、この場合の給料の額は社会保険料控除後の金額とします。

30万円の場合

給料の額が30万円だとすると、税金は乙欄適用の場合は一律に52,900円ですが、「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している場合は52,900円から扶養親族1人ごとに1,610円を控除した金額になります。この1,610円控除については給料の多寡にかかわらず一律に適用されます。以下乙欄のこの計算方法はみな同じです。

甲欄適用の場合は、扶養親族が0人だと8,420円、1人6,740円、2人5,130円、3人3,510円、4人1,890円、5人280円になり、6人以上だと税金はかかりません。扶養親族が0人でも扶養控除等申告書を提出すれば甲欄適用になり毎月の税金は安くなります。

50万円の場合

給料が50万円だとすると、税金は乙欄適用の場合は一律に143,500円、甲欄適用の場合は、扶養親族が0人だと29,890円、1人23,430円、2人18,370円、3人15,140円、4人11,900円、5人8,670円、6人6,870円、7人5,250円になります。

扶養親族が7人を超えると7人の場合の税額から7人を超える1人ごとに1,610円を控除した金額が税金になります。このルールは給料374,000円以上の場合に適用されます。

100万円の場合

給料が100万円になると計算が少し複雑になります。甲欄適用で970,000円を超え1,720,000円に満たない金額の場合は、970,000円の場合の税額に、970,000円を超える金額の33.693%相当額を加算した金額が税金になります。給料100万円は970,000円を30,000円超えていますから10,107円を加算することになります。

給料100万円に対する税金は、乙欄適用の場合は一律に378,076円、甲欄適用の場合は、扶養親族0人だと133,297円、1人125,867円、2人118,427円、3人111,877円、4人105,417円、5人98,957円、6人92,477円、7人86,017円になります。

500万円の場合

355万円を超える給料に対する税金は、甲欄適用の場合は、355万円に対する税額に、給与のうち355万円を超える金額の45.945%相当額を加算した金額になります。したがって、500万円に対する税金は、355万円に対する税金に666,202円を加算します。扶養親族0人だと1,789,472円、1人1,782,042円、2人1,774,602円、3人1,768,052円、4人1,761,592円、5人1,755,132円、6人1,748,652円、7人1,742,192円になります。

乙欄適用の場合、給料172万円を超えると、税金は672,200円に給料のうち172万円を超える金額の45.945%相当額を加算した金額になります。したがって給料500万円の場合の加算額は1,506,996円、乙欄適用の税金は2,179,196円となります。

税金滞納で給料が差し押さえられた場合の対処法

差し押さえできる限度額

税金を滞納した場合、何度督促しても納付されない場合は、国税徴収法による滞納処分として給料の差し押さえを受けることになります。給料は労働者が受ける労働の対価であり、生活上必要なものであることから、滞納者の最低限の生活に配慮して、差し押さえることができる給料の限度額を定めています。

給料手取り額の4分の3は差し押さえが禁止されています。ただし、4分の3に当たる額が33万円を超える場合は、その超える部分も差し押さえることができます。

具体的には、「給料支給総額ー源泉所得税ー特別徴収住民税ー社会保険料など=給料手取り額」から生活保障費(本人100,000円+扶養親族一人に付き45,000円)を差し引いた額を計算します。その額に0.2をかけた社会的対面維持費をさらに差し引くと差し押さえ可能額が算出されます。

差し押さえの解除

国税徴収法と地方税法では、滞納処分の停止(解除)の要件の一つとして、「滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき」に滞納処分を停止することができるとされています。

国税徴収基本通達では、「生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき」とは、「滞納者の財産について滞納処分の執行(差し押さえ)をすると、滞納者が生活保護法の適用を受けなければ生活を維持できない程度の状態になるおそれのある場合をいう」となっています。

上記の理由で差し押さえを解除してもらうためには、税務署や市役所などの担当窓口に事情を説明するための資料を準備して申し出を行う必要があります。税金の滞納についてはたとえ自己破産手続を行っても免責されませんのでご注意ください。

給料以外に副業で稼いでいる場合の税金はどうなる

確定申告する

給料以外に、家賃収入などの不動産所得や、年金や原稿料などの雑所得がある人は確定申告をする必要があります。ただし、給料を1箇所から受けていて、給与所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の人は確定申告をする必要はありません。

また、給料を2箇所以上からもらっている場合は原則として確定申告をして、給料全体を通算して給与所得控除や税金の計算をする必要があります。ただし、年末調整をされなかった給料の収入金額と給与所得以外の合計額が20万円以下の人は確定申告をする必要はありません。

税金の計算方法

確定申告をする場合は、所定の確定申告書の該当箇所に国税庁の発行した手引きに従って記入、計算します。基本的には、その年の収入金額から必要経費を差し引いた所得金額から社会保険料控除や扶養控除などと基礎控除(一律に38万円)を控除し、課税所得金額を計算します。課税所得金額に対する税額は手引きから算出します。

上記で算出された税額に復興特別所得税を加算するなどし、既に徴収済みの源泉徴収額などを差し引いて最終的に収める税金を計算します。源泉徴収税額のほうが多いと収める税金はマイナス、つまり還付されることになります。

税金の知識を深めて上手に節税しよう

すべて国民には納税の義務がありますが、特に給与所得者にとっては、給料の額が簡単に捕捉できるため申告額を低く抑えるとかの細工はできません。それでも税金の知識があればいろいろなケースで節税できることがあります。そのためにも、自分の給料についての税金の知識を深めておく必要があります。

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