住民税非課税の条件と非課税世帯のメリット|年収/障害者・給付金

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住民税とは一体どんな税なのでしょうか?

住民税(市町村民税・道府県民税)はその地域に住んでいる人たちが負担をする税金のことです。自分たちが住んでいる地域社会の費用をできるだけ多くの地域住民に分担してもらうという意味合いの性格を持っている税金です。一般的には、市町村民税と道府県民税の総称が住民税と呼ばれています。

この住民税ですが、個人だけでなく、会社などの法人にも課せられます。なぜかというと、法人は地方公共団体の一員として行政が提供しているサービスを受けているという考えがあります。なので住民税には個人に課す個人住民税と法人に課す法人住民税の2種類があります

今回は、個人に課せられる個人住民税をご紹介します。

個人住民税地域格差がある?非課税世帯?

住民税は、市町村民税と道府県民税の総称でしたが、この住民税は住んでいる地域で税金が変わると聞いたことはありませんか。「自分が住んでいる地域は住民税が安い。」「うちのところは高い。」など、地域格差があると聞いたことはありますか?

また、同じように働いているのに非課税と非課税じゃないのはどうしてなのだろうと疑問に思ったことはありませんか?

住民税には均等割と所得割というのがあります。次はこの均等割と所得割のご紹介をします。その後に非課税と非課税じゃない差や非課税の場合のメリットや住民税の計算方法を詳しくご説明します。

均等割と所得割

均等割

住民税の均等割とは、前年の所得が多いか少ないかにかかわらずその地域の人たちが負担する均等の税額のことです。市町村民税と道府県民税を足した金額が徴収されます。

均等割は標準の税率が決められています。2014年度より今までの金額よりも500円引き上げられました。住民税の均等割の標準税率は市区町村税が3500円、都道府県税が1500円です。しかし、自治体によって金額に差が出ている場合もあります。市区町村税は標準税率の3500円から4400円、都道府県税は標準税率の1500円から2500円と自治体によって1000円から2000円の差があります。

均等割は非課税の人を除き、所得に限らず、自治体によって金額の差はあれど、すべての地域住民で同じ金額が徴収されます。

所得割

住民税の大部分は所得割が大部分を占めています。所得割は前年の所得に応じて負担する税額が変わります。所得額が多く、税金を負担できる力が大きい人には多く、所得額が少なく、税金を負担できる力が小さい力の人には小さくという風にその人の力に応じた税金を払ってもらうという考えが所得割にはあります。

所得割は、給与や個人事業主による売上げ、アパート賃貸料などの前年1年間の個人の所得に応じて税額が変動しています。若干の例外を除き住民税の所得割の税率は全国一律です。市町村民税6%と都道府県税4%で合計10%となっています。

例外となっているのは、財政再建団体の北海道夕張市で0.5%上乗せしています。

住民税の地域格差はある?

住民税は均等割と所得割があるのはご紹介しましたが、それによって地域格差はでるのでしょうか。均等割と所得割の項目でご説明した通り、地域格差はほとんどありません。一部の地域を除き、均等割は市町村民税と都道府県民税合わせて5000円、所得割は10%となっています。均等割が標準よりも高いところで+1200円となっているため、地域格差となるほどの金額にはなりません。しかし、多くの人が住民税は地域格差があるという認識を持っています。

では、なぜ地域格差の認識を持っている人が大人数いるのでしょうか。実は、ほかの税金と住民税を誤解している人が多いからです。

住民税ではない地域格差がでる税金は?

地域格差がでる税金は、国民健康保険料です。この健康保険と住民税を混同している人が多いために住民税に地域格差がでると勘違いしています。

国民健康保険料ですが、地域によってかなり格差が存在しています。しかも、都道府県別ではなく市町村によって金額が変わります。隣の市は安いのに自分が住んでいる地域は高いなんてこともあります。一番高い自治体と安い自治体だと約1.6倍もの差があります。

しかし、2018年の4月から市町村別だった国民健康保険料金は都道府県ごとになります。なので同じ県なのに保険料が違うということはなくなります。

非課税じゃない人が住民税を納める方法

特別徴収

住民税を納める方法は会社員の人と、自営業などの人と異なります。まずは会社員の人ですが、会社員は給与を支払う者、いわゆる事業主より、その年の6月から翌年の5月までの12回に分けて給料から天引きされます。天引きした料金を、事業主がまとめて住民納付します。(なぜその年の6月から翌年の5月かというと、住民税にとっての年度が6月から翌年の5月になっているからです)

なので、会社員の人は特に自分で何かの支払いを行うなどはしません。

普通徴収

自営業者や年金所得者、会社勤めをしていたがやめた人など、会社員のように給与から住民税を差し引けない人などを対象とした納税方法です。通常、毎年6月に、市町村などから納付書が送られてきます。この納付書により市区町村の役場や金融機関などで自分自身で支払いを行います。

納期は6月・8月・10月・1月と年4期の4回支払うことになっていますが、支払い月は各市区町村によって異なります。4回分の納付書を一度に送ってくる自治体が標準ですが、その都度一回ごとに納付書を送っている自治体もあります。

住民税が非課税となる場合の条件に地域差はある?

住民税が非課税となる場合の条件に地域差はあるのでしょうか。住民税には非課税限度額というのが設けられています。この非課税限度額ですが、所得割と均等割の両方に設けられていますが、両方が非課税となれば住民税が非課税ということになります。また、均等割の方が基準が低いため、均等割が非課税になれば、両方非課税ということになります。

非課税の条件による地域差は実はあります。地域によって非課税限度額が変わるからです。これは生活保護基準の級地区と関係があります。級地区は東京23区や指定都市、県庁所在地などで分けられており、1級地、2級地、3級地となっています。これに応じて非課税限度額の基準が変わります。

この非課税限度額は、地域によっては1級地と3級地で30万円以上の差も出てくるため、地域差があります。

住民税非課税の条件のうち年収はいくらから?

年金の場合

年金受給者は非課税の対象になるのでしょうか。年金は雑所得扱いになるので、課税の対象です。なので年金受給者も前年の所得で非課税になるのか、またはならないのか決まります。年金は他の所得に比べて課税となる対象金額が少なく設定されています。

課税対象金額は、所得金額から所得控除を引いたものになります。自治体によって差はあるものの、非課税の所得金額は配偶者や扶養親族がいない場合は35万円以下となっています。年金収入額だと、65歳以上の場合は155万円、65歳未満の場合は105万円以内であれば非課税の対象です。

この非課税になる金額も自治体によって異なる事があるために、確認が必要です。

給与の場合

給与をもらっている人が非課税になるには所得がいくらからのなのでしょうか。また、非課税になる大前提として、世帯家族全員が非課税である必要があります。

独身の会社員の場合は年収が100万円以下で非課税の対象となります。家族がいる場合は会社員+専業主婦+子供1人の三人家族の場合は年収205万円以下、会社員+専業主婦+子供2人の四人家族の場合は年収255万円以下となっています。

ただし、会社員の場合も年金受給者と同じで、住んでいる自治体によって非課税額の金額が変わるので注意が必要です。

住民税が非課税になる条件は?

障害者

障害者が非課税になるにはいくつか条件があります。1月1日時点で障害者認定を受けていることと、前年の所得が125万円以下の場合です。

障害者認定を受けると所得から課税対象となる金額を一定額差し引かれます。そもそも障害者とはどのような人たちの事を指すのでしょう。

それは、知的障害や身体障害、精神障害により認定を受けている人たちの事をいいます。そんな中でも、より重度の障害を持っていると認定された場合は、特別障害者と認定されて控除の金額が大きくなります。

寡婦

寡婦とはご存知ですか。あまり耳なじみのない言葉ではありませんか。これは、配偶者と死別や離別をして再婚していない独身の女性のことをいいます。

また特別寡婦控除もあり、その場合は配偶者と死別か離別をして、再婚もしておらず扶養親族である子供がいてなおかつ合計所得が500万円以下の人は特別寡婦となります。

寡婦の場合、非課税になるには、所得の金額が125万円以下の場合です。ちなみに控除額ですが寡婦の場合は27万円、特別寡婦の場合は35万円控除されます。

非課税世帯とは

世帯とは、一つの家族として同じ住居に住み生計を同じくしている人たちの事です。では、非課税になる世帯とは、どんな世帯なのでしょうか。上記でも記載していますが、世帯家族全員が非課税の場合非課税世帯となります。

収入の金額が非課税の年収内に留まっていることや、障害者や寡婦、または生活保護受給者など自分や配偶者、子供や世帯主のすべてが非課税の世帯の事です。

住民税の申請が必要な場合と計算方法

通常、確定申告した場合や年末調整した場合など住民税の申告をする必要はありません。では、どのような場合に申告が必要となるのでしょうか。

それは、
・年末調整をしたけど、給与の所得以外に20万円以下の所得があり、確定申告していないもの
・退職などで年末調整を行っていない給与の所得があったもの
・400万円以下の公的年金収入のみで、確定申告の必要がないもの
に当てはまる人たちです。

計算方法は
年収:所得割×税率+均等割-調整控除=住民税という風になります。次項で計算の例と申告手続きの方法をご説明します。

また、注意が必要なのは配偶者の扶養に入っていて配偶者控除を受けている人です。所得税と住民税だと基礎控除額に差があるために、住民税が非課税にならない所得の場合があります。その時は、もちろん住民税の申請が必要です。

住民税の申告手続きと計算の例

札幌市の場合

申請方法

市民税の申告が必要な人の申告方法ですが、1月1日現在の住所地の区を管轄する市民事務所市税課にて申告をしに行きます。その際に持っていくものは
・印鑑
・収入の分かる書類
・医療控除を受けられる場合は医療費控除などの明細書
・生命保険や地震保険の控除を受ける場合は証明書
・社会保険控除を受ける場合は社会保険任意継続や国民健康保険料などの証明書
・個人番号が分かるマイナンバーカードなど
以上の物をもって申告に行きます。申告の期間は3月15日までで毎年特設会場が用意されています。

計算方法

年収が300万円の独身者の場合で計算してみます。まずは所得控除ですが、年収ごとに控除額が決まっており300万の場合、収入×18%+18万となるので、108万になります。社会保険料が年収の14.22%程になるので300万×14.22となり42.7万円となります。

住民税の基礎控除は33万円となっており、そのすべてを足して住民税の控除額合計は184万円となります。年収から184万円を引いた金額の116万円所得割の金額になり課税対象になります。

300万:所得割116万円×10%+均等割5000円-調整控除2500円=11.8万円

11.8万円が住民税となります。

横浜市の場合

神奈川県横浜市の場合も3月15日までに住所地の区役所へ申告をします。横浜市の場合前年中に所得がなかった場合にも国民健康保険加入者の減額の判定や各種福祉関係の所得証明書などの交付のために申告が必要です。必要書類に関しては、札幌市と同様です。

それでは住民税の計算をしてみましょう。札幌市と同様に独身者の300万円の年収がある場合の計算です。神奈川県横浜市は水源環境保全税と横浜みどり税があって合わせて均等割が1200円、所得割が0.25%高くなっています。

所得控除と社会保険料は札幌市と同じで108万円と42.7万円となっています。基礎控除額も同じく33万円なので、課税対象となる所得割の金額は116万円です。この金額を計算式に当てはめると
300万:所得割116万×10.025%+均等割6200円-調整控除2500=11.9万円

11.9万円が住民税となります。

住民税非課税世帯のメリット

臨時福祉給付金

所得が低い世帯などの非課税世帯の消費税増税の負担を軽減するため、臨時福祉給付金が支給されます。国の経済対策の一環となっており、2017年4月から2019年9月までの2年半分を一括して支給されます。金額は15000円です。

国民健康保険料金の減免

所得が低い非課税世帯は国民健康保険料が減額されます。自治体によって差はありますが、所得に応じて2割から7割の減額となる場合があります。各自治体によって取り扱いが異なるため、確認が必要です。

高額医療費の減額

同じ医療機関で診療を受けた場合、1カ月に支払う自己負担額が35,400円になります。しかも、違う医療機関を受診した時にも医療費を合算できる場合など、更に自己負担額を減らせる可能性もあります。

補助金など

非課税世帯ではさまざまな補助金を受けられる場合があります。例をあげると、幼稚園や奨学金などです。それ以外にも、保育園料が減額されたり予防接種料金が無料になったりとたくさんの恩恵があります。各自治体によって違いがあるので、上手に活用していきましょう。

住民税の非課税について

住民税についてですが、住民税の地域差はほとんどなく、地域によって安い高いという認識が間違いであることが分かりました。また、所得額が低い世帯などには給付金が出たり住民税の免除など恩恵があります。

非課税になるには、所得額や世帯での総所得額などが関係してきます。さまざまな控除があるので分からないことや、疑問に感じたことがある場合は各自治体の納税課などに確認をとり、上手に活用していきましょう。

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