金額別手取りと額面の計算方法
よく年収の話になると、月の額面がいくらとか手取りがいくらという話になります。この手取りとは何を意味するのでしょうか。手取り金額とは、会社から支払われた給料の額面金額から税金や社会保険料などを引いたものをいいます。通常は、サラリーマンの場合は、額面金額の80%前後が手取りとなります。ここでは、金額別に額面金額と手取り金額についてみていきます。
手取り金額
前述しましたように、「手取り」とは、会社から支給される給料の額面金額から所得税、住民税などの税金と健康保険料や年金などの社会保険料を差し引いた金額のことをいいます。要するに、毎月の給料として会社から実際に手元に残る給料のことを指します。
給与明細を見ると、支給と控除に分かれていますが、この支給が会社からあなたに支払われる給料の全額で、この金額には基本給のほかに残業代である時間外労働手当、出張手当、など各手当を含む全額になります。また、控除は給料からあらかじめ引かれる健康保険料や年金などの社会保険料(半分は会社負担)、また所得税や住民税などになります。
おおよその手取り金額
手取り金額を算出する場合には、額面給与のおおよそ75~80%が手取り金額となります。
手取り金額の計算
手取り額を計算するには、支給額に対して控除をひとつひとつ引いていけば良いです。ここでは、総支給額別にそれに対する控除額がいくらになるかを出した上で、手取り金額を算出します。控除の項目としては、健康保険料、厚生年金、雇用保険、介護保険、住民税、所得税になります。
金額別の計算の条件
以下に試算する条件として独身かつ40歳未満であることとします。それは独身か扶養家族がいるか、40歳以上か未満によって控除額が変わるからです。また、健康保険料と介護保険料は、大企業などは各会社で組合を作り保険料率を設定しているところもあるため、ここでは協会けんぽ(東京の場合)の9.91%で計算します。
厚生年金は標準報酬月額によって率が変わります。雇用保険料については一般事業として0.3%で計算します。(農林水産、清酒製造、建設は率が異なる)所得税は社会保険料を差し引いた給与金額と扶養人数によって源泉徴収税額が異なることから、ここでは扶養なしで計算します。住民税は、前年の年収から控除を引き10%を掛けて均等割りにあたる5,000円を足して総額を算出、それを12か月で割って支払います。以下の計算では住民税は差し引かないこととします。よって、実際の手取り金額は以下より少ない金額となります。
給与所得の源泉徴収税
給与所得によって源泉徴収税は変わってきます。ご自分の源泉徴収額がいくらになるのかは、以下の源泉徴収税一覧をご参照ください。
金額別手取りと額面の計算方法;23万
総支給額面23万の場合、健康保険料率が9.91%が保険料率となりますが、会社が半分持つため実質は4.955%です。
1.健康保険料 23万円×4.955%=1万1,365円
2.介護保険 今回の試算では40歳未満を想定するため介護保険は発生しないこととします。
3.厚生年金 一般の厚生年金保険料は18.182%ですが、会社との折半のため9.091%となり、23万円の場合は、21,818円となります。
4.雇用保険に関しては、給与の0.3%のため、23万円×0.3%=690円
5.所得税 23万円-1万1,365円-2万1,818円-690円=19万6,127円となり、前述した一覧により4,630円が所得税となります。
総支給額面23万円の場合は、住民税を引かない手取り額が23万円-1万1,365-2万1,818円-690円-4,630円=19万1,497円です。
金額別手取りと額面の計算方法;25万
25万円が総支給の額面であった場合は以下のようになります。
1.健康保険料 25万円×4.955%=1万2,387円
2.介護保険 今回の試算では40歳未満を想定するため介護保険は発生しないこととします。
3.厚生年金 9.091%のため25万円の場合は、22,727円となります。
4.雇用保険に関しては、給与の0.3%のため、25万円×0.3%=750円
5.所得税 25万円-1万2,387円-2万2,727円-750円=21万4,136円となり、前述した一覧により5,270円が所得税となります。
総支給額面23万円の場合は、住民税を引かない手取り額が23万円-1万1,365-2万1,818円-690円-5,270円=20万8,866円です。
金額別手取りと額面の計算方法;27万
27万円が総支給の額面であった場合は以下のようになります。
1.健康保険料 27万円×4.955%=1万3,378円
2.介護保険 今回の試算では40歳未満を想定するため介護保険は発生しないこととします。
3.厚生年金 9.091%のため27万円 の場合は、24,545円となります。
4.雇用保険に関しては、給与の0.3%のため、27万円×0.3%=810円
5.所得税 27万円-1万3,378円-2万4,545円-810円=23万1,267円となり、前述した一覧により5,890円が所得税となる。
総支給額面27万円の場合は、住民税を引かない手取り額が23万円-1万1,365-2万1,818円-690円-5,890円=22万5,377円です。
金額別手取りと額面の計算方法;30万
30万円が総支給の額面であった場合は以下のようになります。
1.健康保険料 30万円×4.955%=1万4,865円
2.介護保険 今回の試算では40歳未満を想定するため介護保険は発生しないこととします。
3.厚生年金 9.091%のため30万円の場合は、27,273円となります。
4.雇用保険に関しては、給与の0.3%のため、30万円×0.3%=900円
5.所得税 30万円-1万4,865円-2万7,273円-900円=25万6,962円となり、前述した一覧により6,750円が所得税となる。
総支給額面30万円の場合は、住民税を引かない手取り額が30万円-1万4,865-2万7,273円-900円-6,750円=25万212円です。
金額別手取り額面の計算方法;35万
35万円が総支給の額面であった場合は以下のようになります。
1.健康保険料 35万円×4.955%=1万7,342円
2.介護保険 今回の試算では40歳未満を想定するため介護保険は発生しないこととします。
3.厚生年金 9.091%のため35万円の場合は、31,818円となります。
4.雇用保険に関しては、給与の0.3%のため、35万円×0.3%=1050円
5.所得税 35万円-1万7,342円-3万1,818円-1050円=29万9,790円となり、前述した一覧により8,420円が所得税となる。
総支給額面35万円の場合は、住民税を引かない手取り額が35万円-1万7,342-3万1,818円-1050円-8,420円=29万1,370円です。
金額別手取りと額面の計算方法;40万
40万円が総支給の額面であった場合は以下のようになります。
1.健康保険料 40万円×4.955%=1万9,820円
2.介護保険 今回の試算では40歳未満を想定するため介護保険は発生しないこととします。
3.厚生年金 9.091%のため40万円の場合は、36,364円となります。
4.雇用保険に関しては給与の0.3%のため、40万円×0.3%=1200円
5.所得税 40万円-1万9,820円-3万6,364円-1200円=34万2,616円となり、前述した一覧により11,850円が所得税となる。
総支給額面40万円の場合は、住民税を引かない手取り額が40万円-1万9,820-3万6,364円-1200円-11,850円=33万666円です。
金額別手取りと額面の計算方法;45万
45万円が総支給の額面であった場合は以下のようになります。
1.健康保険料 45万円×4.955%=2万2,297円
2.介護保険 今回の試算では40歳未満を想定するため介護保険は発生しないこととします。
3.厚生年金 9.091%のため45万円の場合は、40,909円となります。
4.雇用保険に関しては、給与の0.3%のため、45万円×0.3%=1350円
5.所得税 45万円-2万2,297円-4万909円-1350円=40万5,444円となり、前述した一覧により17,000円が所得税となる。
総支給額面45万円の場合は、住民税を引かない手取り額が45万円-2万2,297-4万909円-1350円-17,000円=38万8,444円です。
おおよその手取り額
上記では、詳細な計算方法についてみてきましたが、実際の住民税がよくわからないという方で、おおよその手取り額を知りたい場合は、額面金額×0.8で計算すると大体の手取り額となります。ただし、そこには扶養家族の有無や年齢による介護保険の有無などがあり、きちんと計算すると若干金額に差異が発生しますので、飽くまで参考程度に考えてください。
手取りと額面の割合の目安
上記で額面から控除される金額を差し引くと、おおよそ額面の20%程度が控除額にあたるということをご説明しました。しかし、それは飽くまでおおよその話で、額面が上がるほどに控除割合は率が上がっていきます。以下がその年収と控除割合の一覧です。額面金額から控除金額を差し引いたものが手取りとなります。
年収(額面金額) | 控除割合 |
---|---|
300万 | 20% |
400万 | 20% |
500万 | 20% |
600万 | 20% |
700万 | 25% |
800万 | 25% |
900万 | 26% |
1000万 | 27% |
手取りと額面の違い
手取り額は、額面金額から税金や社会保険料などの控除分を差し引いた金額であることがわかりました。給料の話で「額面いくら?」と聞かれた場合は、この控除を含まない金額を指します。手取りは?といったときには、税金や社会保険を差し引いた、実際に手にして受け取る金額のことを意味します。額面と手取りは違うということを覚えておきましょう。
手取りと額面の違いと計算方法を覚えましょう
いかがでしたか。就職活動や転職活動をしているときに、給与額は重要な考慮ポイントだとおもいますが、この額は額面であって、手取り金額ではありません。実際にもらえる手取り金額は、その額面金額から税金や社会保険料などを差し引いた金額となります。
額面と手取りについて全く知らないと、最初にお給料をもらったときに、何かの間違いではないかとおもってしまうほど、手取りが少なく感じるでしょう。しかし、給料からは、税金や社会保険料は必ず差し引かれて支給されますので、きちんと覚えておきましょう。