ドミナント戦略とは
ドミナント戦略という言葉をよく見かけるようになりましたが、意味はご存知でしょうか。
ドミナント戦略とは特定のエリアに経営資源を集中し、市場の独占を狙う戦略のことを指しています。店舗経営において限られた資源量でも効率的にシェア獲得の期待ができる一方で、地域環境の変化によるリスクが集中してしてしまうという特徴があります。
この記事では、ドミナント戦略の意味やメリット、具体例などについてご紹介していきます。
売り上げアップに欠かせないもの
ドミナント戦略とは、攻める地域を特定して、その地域に優先的に経営資源を投入することで、支配的な地位の確立を狙う戦略です。ドミナント(dominant)には「支配的な」「独占的な」などを意味しています。
この戦略はもちろんリスクもありますが、多くのメリットがあります。特に小売業においては特定の地域の中でのシェアを拡大し、コストを削減したり、売り上げを上げることができる重要な戦略です。
ドミナント戦略の6つのメリット
ドミナント戦略を取ると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ドミナント戦略は、地域を特定の場所に絞ることによって、競争相手の出店意欲を削ぐほど圧倒的に有利な地位を狙うことができるというメリットがあります。それは具体的にはどういうメリットでしょうか。
ここでは、ドミナント戦略の具体的なメリットについて考えていきます。
メリット1:広告費削減
ドミナント戦略の場合、広告宣伝を全国規模にする必要がなく、出店している地域に絞って行うことができるため、広告宣伝費も削減するというメリットがあります。
また、ドミナント戦略を取ると、決まったエリアに店舗を集中して出店するので、そのエリア内のどこにいってもチェーン店のトレードマークが見られるようになります。そうすることによって、広告宣伝費を安く上げることができるというメリットもあります。
メリット2:物流コスト削減
ドミナント戦略を取ると、配送センターを基点として一定の距離に出店していることにより、効率的な配送ルートが設定できます。そのため、物流費の削減というメリットが得られます。
なお、チェーン店の経営指導にあたるスーパーバイザーの移動コストも減ります。効率よく各店を巡回することができ、指導するための時間をより長く確保することができるというメリットも得られることになります。
メリット3:店舗運営コスト削減
ドミナント戦略では市場調査を特定のエリアに限定して実施するので、エリアの消費者の人口や趣向、年齢層などの重要なデータを深く理解することができます。また、各店舗の移動がしやすいので調査コストを削減できるメリットもあり、効率的にコストを活用しながら売上アップを目指せます。
なお、ドミナントには時間がかかるので、出店が遅れている地域では他の企業がドミナントを先に達成してしまうというデメリットもあります。
メリット4:知名度向上
ドミナント戦略で出店することにより、集中出店している地域ではその店の知名度が高くなります。同時に競合の出店意欲を抑える効果も期待できるというメリットがあります。
なお、この知名度を奪い合うという点においては、出店する魅力度の高い地域を巡る出店競争が激化しているため、最近ではコンビニの隣にコンビニがあるといった状況も起こっています。
メリット5:効率的な出店
ドミナント戦略では限られた地域に集中出店するので、バラバラに出店するよりも効率が上がり、顧客を独占することができます。
まず、エリアの持つ商圏特性をもとにセグメント化し、そのセグメントに適した店舗モデルを準備します。これにより効率的に出店計画を立てられるというメリットが得られます。
なお、エリア内に同じチェーン店を出店するということは顧客を奪い合うデメリットもあり、より綿密な出店計画が必要になります。
メリット6:新規参入の障壁構築
ドミナント戦略によって店舗を集中出店したエリアが人口当りの店舗数が上限に近い状態になっていれば、新規参入企業が集客できる可能性が少なくなります。
ライバル企業が市場調査した段階で把握できることなので、結果として参入意欲を効果的にそぐことができます。そのエリアに大幅な人口増、ターゲット顧客増が見込めない限り、参入障壁を構築することができます。これもドミナント戦略のメリットの1つです。
ドミナント戦略の具体例
ドミナント戦略のメリットについてご紹介してきましたが、実際に活用している業種はどのようなところがあるのでしょうか。コンビニなどの店舗出店では聞く戦略ですが、他にも活用している業種はあるのでしょうか。
ここではドミナント戦略を活用している具体的な事例についてご紹介します。
コンビニ
ドミナント戦略は、大規模な小売チェーン、特にコンビニが収益性を高めるためによく使われる手段といわれています。
コンビニで特に売上を上げているのが弁当などの食料品ですが、食料品は鮮度が重要なので食料品の配送にかかる時間をいかに短くするのかが大きな課題です。
一定エリアに集中して店舗展開することによって、一店舗あたりの運送にかかるコストも運送時間も大幅に短縮することができます。
アプリ
ドミナント戦略は実はアプリにも活用されています。
たとえばAmazonは、Amazon自体が商品を販売するプラットフォームでありながら、同じ商品ページに他社が商品を販売することも可能です。
そうすることによって、圧倒的な商品カバーを可能にし、Amazonならなんでもあるから他社のサイトで探さなくても良い、という状態を作っています。これもネットショッピングという特定のエリアを支配するドミナント戦略です。
インターネットサイト
一般的にドミナント戦略とは、コンビニなどのチェーン店がとる戦略ですが、インターネットサイトでも同じような効果があります。
クックパッドは料理レシピをひたすら公開し続けてきたので、検索エンジンでの検索順位でほぼすべてのレシピで有数を独占しています。
検索順位という「エリア」に対して、すべての料理レシピである「店舗」が、すでに支配的に独占しているので、大手が後発で参入してきても撃退することができます。
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ドミナント戦略の類似用語
ドミナント戦略について、メリットや具体例を紹介してきましたが、このドミナント戦略という言葉には似たような類似用語も存在しています。よく似ていますが、意味はどのように違うのでしょうか。
ここではドミナント戦略の類似用語についてご紹介していきます。
ドミナント方式
ドミナント方式とはフランチャイズ出店戦略の1つで、認知度を高め、効率を高め、地域のシェアを高めるために行います。ドミナント戦略とほぼ同じ意味合いで使われますが、ドミナント方式は主にフランチャイズ出店についての戦略に絞って使われることが多いです。
ドミナント出店
ドミナント出店とは、小売業がある地域に集中的に店舗を出店する戦略のことを指します。こちらも、ドミナント戦略とほぼ同じ意味合いの言葉になります。
ドミナント戦略が必ずしも小売業に限って使われるわけでないのに対し、ドミナント出店やドミナント方式は小売業に限定して使うことが多いです。
ドミナント展開
ドミナント展開とは、特定の地域を面でカバーできるように店舗を出店していく戦略のことを指しています。ドミナント展開もドミナント戦略とほぼ同じような意味合いで使う言葉ですが、こちらも小売業に特化して使われることが多いです。
仕事成功には欠かせないドミナント戦略
ドミナント戦略について理解できましたでしょうか。コンビニなどの出店計画を立てるための戦略であるだけでなく、それ以外のビジネスにおいても活用できる重要な戦略です。
ドミナント戦略はエリア戦略と深い関係があります。集客が見込めるエリアを選んで、そのエリアの顧客に合う商品やサービスを提供するための店舗設計を行うことは、売上拡大と利益拡大にはとても重要です。
ぜひドミナント戦略を活用できるようにしましょう。