決算とは
決算とは年度の収入と支出を計算して、1年間の利益もしくは損失を算出することを言います。会計年度の最終日を決算日と呼びます。原則として、作成した決算書類や申告書を提出するのは決算日から2ヶ月以内です。
法人は会計期間の設定が自由にでき、決算書の作成や提出時期はまちまちです。個人事業主の場合は一律で期間が1月1日~12月31日と決められ、確定申告の時期に決算書や申告書を作成して提出することになります。
決算書を作成する時期は
決算書の提出を行う時期は、決算日から提出する2ヶ月以内までですが、期限まで1週間ほど余裕を持って、決算書類の作成をし終えるのが望ましいです。
決算書はその年度の会社の状況を示す資料で、決算報告書、総勘定元帳、法人税の申告書などを指します。株主総会の承認が必要な場合もあります。正確な数字が必要となり、決算から申告書の提出期限まで、1ヶ月程度の短期間で作成する必要があります。
決算書を作成する時に必要な書類
決算書を作成するために必要な書類がいくつもあるので、作成の際には全て準備しましょう。法人の場合は、顧問税理士がついている場合が多いので、事前に確認しておくのもおすすめです。
必要書類の中には、税務調査が入った場合に確認されることがあるので、決められた期間内まで保管する必要があります。作成した申告書類は控えを取って、一緒に保存するといいでしょう。
1:総勘定元帳
総勘定元帳とは、勘定科目ごとにお金のやり取りをまとめた帳簿で、会社の全ての取引を記載した大切な記録です。売上や仕入などの勘定科目を会社ごとにまとめたい場合は、補助科目を付けて見やすくすることもあり、その場合は補助元帳も必要になります。
伝票や仕訳帳、出納帳で1つずつのお金の取引を記録している所が多く、それぞれの仕訳を総勘定元帳に転記して仕上げます。決算書の作成時には漏れがないように注意しましょう。
2:領収書綴り
領収書綴りとは、領収書やなどを保存してまとめておく物です。領収書は決算書の作成に根拠となる重要なデータで、税務調査で確認する場合があり保存が必要です。
個人事業主なら、出費先ごとに封筒にまとめる方法でも構いませんが、ある程度の規模の法人となると税務調査などがあった時に確認するのが大変です。領収書を日付順にして、A4用紙にのり付けし、穴開け式のファイルに綴っておくといいでしょう。
3:決算報告書
決算報告書とは、財務諸表と計算書を指しています。決算書の作成と税務申告の提出には欠かせません。金融機関に融資を申し込む時にも、会社の経営成績や財務状況を表すので、審査の必要書類として提出を義務づけられる場合が多いです。
決算報告書には、財務諸表にあたる貸借対照表、損益計算書の他に、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書、製造原価計画書などの各種計算書があります。
4:勘定科目明細書
勘定科目内訳明細書とは、財務諸表(貸借対照表と損益計算書)に記載されている勘定科目の内訳を記載した明細書です。資産の勘定科目の場合は残高が明記されている物、損益の場合は主要な物を記載する必要があります。
勘定科目ごとに用紙がありそれぞれに記入します。詳しい相手先の内訳、期末現在(決算日時点)の残高、取引内容を記した適用などを項目ごとに記載します。決算書や法人税の申告書と一緒に作成して提出します。
5:法人税申告書
法人税申告書は、企業の所得に対してかけられる法人税の税額を申告するための書類です。作成して決算書などと一緒に提出します。法人税申告書には別表一~五までがあり、作成と提出は必須です。
法人税申告書の内容は、企業の基本情報や税額についてのこと、同族会社の判定、法人の所得金額を計算する過程、資本金などの計算、租税公課の納付状況などの記載が必要です。決算書を作成してから、データを元に申告書の作成をします。
6:消費税申告書
消費税申告書とは、課税対象となる消費税の取引を計算して、支払うべき消費税の金額を申告する申告書です。
納付する消費税額は、売上などで受け取った消費税の金額から、購入や仕入の取引で支払った消費税を差し引くと算出できます。ただし、消費税の対象外の取引、非課税取引は対象とならず、計算が複雑になりがちです。
中小企業向けに、業種ごとに一定の割合をかけて消費税額を計算する簡易課税制度も用意されています。
7:税務代理権限証書
税務代理権限証書とは、税務申告する企業に代わり、税理士や税理士法人が申告書を作成したことを表す証明書のことです。この証明書を決算書や申告書と一緒に税務署に提出すると、税務調査が入る時にも税理士側に連絡が入るため、スムーズに手続きできます。
法人税の申告書の作成や記帳業務、決算書の作成は、法人側が全て行うのは大変な場合があります。ほとんどの場合、顧問税理士が引き受けることが多いです。
8:地方税申告書
地方税申告書とは、都道府県や市町村などの地方公共団体に納めるべき税金の計算をして申告をする書類です。地方税には、地方住民税(都道府県民税と市町村住民税)、法人事業税、地方法人特別税があります。
申告書は、市町村民税は市町村の役所や役場の税を扱う担当部署に提出し、それ以外は都道府県の県税事務所などに提出します。提出期限は法人税の申告と同じく決算日から2ヶ月以内です。
9:法人事業概況説明書
法人事業概況説明書は、法人税の申告時に決算書と一緒に税務署に提出する書類です。内容は、税務署がそれぞれの法人の業務内容・状況などを把握するために、法人名や納税地、事業内容や期末従業員数の状況、主要科目ごとの金額などを記載します。
主要科目ごとの金額の記入は、財務諸表から転記します。手書きで写す場合は、金額を間違えないように注意が必要です。
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決算書を作成する手順
決算書を作成するための手順は、帳簿への記入や決算整理事項などを確認して作業を行うのが大切です。作成するのに金額に誤りがあったり、仕訳帳や伝票からの転記ミスがあると、税務申告の金額に誤りが出るもととなります。
間違いがあると税務申告の金額を間違える元となります。税金を納付し過ぎたり、過少申告になった場合に、加算税などのペナルティが課される原因にもなりかねません。
1:記帳
決算書の書類を作成するには、経理のデータを出すために正確に記帳する必要があります。
小規模な法人では領収書を1年分まとめて記帳する場合があります。たいていの企業は、パソコンで会計ソフトを使い、仕訳帳や伝票に記入したデータを自動的に総勘定元帳や補助元帳などに流用して、月ごとに試算表を作成して確認している所が多いです。
該当する会計年度の取引が、記帳されているかどうか確認しましょう。
2:決算整理事項を確認する
元帳の記入が終わったら、決算整理事項を確認します。決算整理事項とは、次の会計年度にまたぐお金を今期分と時期分に振替して仕訳が必要な一連の作業を言います。決算書を作成する時に、時期の取引が入らないようにするためです。
経費の未払分、保険料などを前払い分が、決算日をまたぐ場合には仕訳が必要です。期末の棚卸し品の計上や、資産の減価償却の処理も含まれます。現金や預金通帳の残高の照合もしましょう。
3:決算書を作成する
帳簿や決算仕訳の振替などの処理や確認をすると、正確なデータが出されるため、決算書の作成に移ります。会計データの修正が必要ないという所まで、丁寧に何度も確認して作業しましょう。
決算処理をした後に、財務諸表の損益計算書や貸借対照表、計算書などを作成します。会計ソフトを使う場合には、決算書作成のボタンを押すと、入力されたデータを元に自動集計でき、画面上で確認できます。
4:申告書を作成する
作成した決算書を元に、法人税や消費税、地方税の申告書を作成します。申告書を作成する際に、納めるべき税額を出すことになります。
法人税の計算は、税法に基づいて計算することになります。会計法による計算ではないので、非常に分かりにくく、専門家でないと難しいでしょう。顧問税理士と契約を結んで、法人税の計算を代行してもらった方が確実です。
5:税金の納付
申告期限までに税務署や地方公共団体の役所に持参したり、電子申告で送信したりして提出した後に法人税や消費税、地方税の納付をします。納付期限は、申告期限と同じく、決算日から2ヶ月以内なので、早めに申告書を作成して納付に備える必要があるでしょう。
税金の納付は、申告書と一緒に送付された納付書に金額を入れて、コンビニや金融機関に持参して現金で支払う方法が一般的です。
6:書類の保存
作成した決算書や、データとなる総勘定元帳などは保存期間が作成日から10年と決められています。厳重にファイルに綴じて保管する必要があるでしょう。
法律によっては一部の書類は保存期間が7年までとされていますが、保存期間が長い方を優先させた方がいいでしょう。一般的に会社法の方が法人税法よりも期間が長く設定されています。
会計ソフトを利用すると決算書の作成がスムーズになる
決算書などの書類は、所轄税務署や国税庁のホームページで入手できます。手書きでも作成が行えますが、会計ソフトを使った方が便利でしょう。
会計ソフトがあると、伝票形式などで入力したデータを使って自動的に帳簿への転記が行えますし、決算書を作成するのに自動集計をするので計算ミスも防げます。初心者向けの会計ソフトも販売されているので、導入すると楽にでき、時間の節約にもなるでしょう。