未払金の具体例を7つと未払費用の具体例を4つご紹介!

財務・資金

未払金と未払い費用

未払金と未払費用は混同されやすい科目です。未払金は商品以外のものを購入する際に発生し、後で支払う必要のある債務のことをいい、未払費用は一定の契約に基づき、継続して支払う義務がある債務のことを言います。

実務の上では未払金と未払費用を同じ科目にて処理されることもあります。次項からは未払金と未払費用の共通点と違いについてご紹介します。

未払金と未払い費用の共通点

未払金と未払費用は、ともに負債勘定に計上されます。どちらも、営業取引以外のものを購入した際やサービスを利用した際に発生し、支払いが済んでいないものが未払金、未払費用として計上されます。

未払金と未払い費用の違い

未払金と未払費用の違いは、大雑把にいうと「単発か」「継続的か」で分けられます。

未払金は、単発の取引で発生する、すでに取引が終了しているものという定義です。例えば、備品として購入したパソコンや固定資産の後払いの代金などが該当します。

未払費用は継続的な契約で発生し、すでに役務の提供を受けているがまだ支払っていないものが定義です。例えば、水道光熱費や家賃などが該当します。

未払費用の具体例7つ

継続的に役務の提供を受けている中で、支払いがまだ済んでいないものを未払費用として負債に計上します。

例えば、給与や保険料など、既にサービスを受けていて、支払い期日に到達しないものを未払い費用としています。

1:給料

例えば給料を月末締め、15日支払いとしている場合、月次決算をする際にはまだ給料は従業員に支払われていません。しかし、既に労働力を提供してもらっていて支払いが決定している取引であるため、この場合の給料は「未払費用」にて計上します。

勘定仕分けは、借方は給料、貸方は未払費用となり、給料が支払われた場合には貸方が未払費用、借方は普通預金など支払いをした科目になります。

2:社会保険料・労働保険料

事業主と個人がともに決められた割合にて支払う保険料で、「法定福利費」と「預かり金」に分けられます。未払費用に計上されるのは、事業主負担分である「法定福利費」です。

社会保険料、労働保険料は当月分を翌月に納付するため、未払費用または未払金として計上する必要があります。

支払った際には、個人負担分である預かり金とともに借方に未払費用と預かり金、貸方には普通預金など支払った科目にします。

3:借入利息

借入利息は、借入金に付随する利息分です。借入金は負債勘定、利息は費用勘定で処理します。支払利息は借り入れが返済完了するまで、毎月支払うもので支払期日があります。

当月分の借入利息を翌月に支払う、あるいは引き落とされる場合に未払費用勘定を用います。

支払利息を計上する場合には、借方は費用の支払利息、借方は負債の未払費用になります。支払った時には、借方は未払費用、貸方は普通預金など支払った科目にします。

4:水道光熱費

水道代、ガス代、電気代などが水道光熱費に計上されます。水道光熱費は毎月発生するもので、請求月と支払い月にずれが生じることが多い科目です。

口座振替を利用していたり、クレジットカードなどで支払っている場合などに、未払費用科目を用います。

水道光熱費は現金で支払った時や口座支払日などに計上する「現金主義」では未払費用は発生しません。取引が発生した時点で計上する「発生主義」では未払費用とします。

5:通信費

電話代やインターネット代、郵便代や宅急便の代金など通信のため使用した費用は通信費勘定で処理します。

電話代、インターネット代金は契約に基づき、毎月発生し、支払い日が使用した月とずれが生じるため、未払費用勘定を用いて計上します。

6:リース代

リース料はリースに従い支払う費用のことです。リースは賃貸借取引で契約により継続的に支払う義務があり、支払い期日前の前月分は未払費用として計上する必要があります。

リースと似た科目で賃借料(レンタル)があり、違いは長期継続か短期一時的かです。長リースは長期契約でレンタルするコピー機などが代表的でしょう。レンタルは一時的に使用する物品を借りることで、イベントなどで借りる場合に賃借料として計上します。

7:広告費用

広告費用とは不特定多数の人に販売促進を目的として広告を出した場合に計上されます。広告はポスター、チラシはもとより、看板や試供品の配布、インターネットなど多くの人に知ってもらうことが目的なので、その形はさまざまです。

この宣伝にかかる制作費や発送費、掲載費用が広告宣伝費になります。未払費用勘定を使う対象は、契約に基づき継続的に行う宣伝です。インターネットの広告や新聞の長期掲載などがそれに当たります。

未払金の具体例4つ

未払金は非継続的で営業取引外の既に確定している債務のうち支払いが済んでいないものを負債として計上します。

具体例としては固定資産の購入にかかる代金や備品消耗品費の後払いの分などが挙げられます。具体例の詳細をこれからご紹介しますので参考にしてみてください。

1:固定資産の購入費用

固定資産は会計上では、販売目的ではなく、継続的に会社で使用することを目的とする財産のことを言います。固定資産というと建物や土地を思い浮かべますが、それだけではなく、有価証券や特許権、のれん代なども固定資産として数えられます。

税法上での固定資産は、土地建物や車両などが該当します。土地や建物、車両などを購入し、代金を後払いにした場合に未払金勘定を用いて計上します。

2:備品や消耗品の購入費用

備品や消耗品などを購入し、代金を後払いにする場合にも、未払金勘定にて処理します。未払金ではなく買掛金ではないのかと、疑問に思われる方もいるでしょう。しかし、会社で使用することを目的として購入した消耗品や備品は営業外取引なので、営業費用である「買掛金」勘定は用いません。

備品や消耗品など、いわゆる事務で使う物品を購入した時には未払金として処理、営業活動費か営業外活動費かに分ける必要があります。

3:ホームページの作成費用

ホームページの作成費用は、広告費か固定資産のソフトウエアになります。会社概要や商品紹介のために作成したものが広告費に当たります。固定資産に該当するソフトウエアとは、自社仕様に作成された高機能のホームページなどが該当します。

どちらも契約の後に短期間に支払いされるものなので、支払いが発生より後になる場合には貸方は未払金になります。

4:税理士・社労士・弁護士費用

税理士や社労士、弁護士に支払った費用は「支払い報酬」が最も適切です。

従業員給料は労働契約で継続的な労働力の提供を受け、その対価として給料を支払います。継続的な契約の費用です。そのため未払費用で処理します。

税理士や労務士、弁護士の報酬は「契約金」の性質を持っているため、給与とは異なります。報酬は契約金のため、継続的でない契約に当たり、未払金で処理します。

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未払金と未払費用を使い分けることのメリット

未払金と未払費用を分けることにより、営業活動と営業活動外の未払い費用を分けられるようになります。分けることにより勘定科目の増減に大きな変化が起こった時、それが異常なものかが判断できます。

未払費用は継続契約であり、大きな金額の増減はありません。そのため、科目に大きな変化があった時に、変動のきっかけを発見できます。

未払金と未払費用を知ってうまく使い分けよう

未払金と未払費用は税法上では分けなくてもあまり影響はありませんが、会計上は必要です。未払金と未払費用をうまく使うことにより、正確な管理会計ができ、今期の利益がいくらだったのかを把握しやすくなります。

未払金は単発の契約で、すでに債務が確定している取引で用い、未払費用は継続的な契約で、債務が確定していない取引で用います。使うのは未払金勘定が圧倒的に多いですが、未払費用も覚えておくと役に立つでしょう。

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