減給とは?減給になる5つの理由と不当な減給の具体例

財務・資金

減給とは

会社から減給を受けてしまい、そのことに納得できないというビジネスパーソンも意外と多いのではないでしょうか。

減給とは、会社から支給される給料が減額されることを意味する言葉です。減給を受けると生活が苦しくなってしまうだけではなく、仕事に対する意欲やモチベーションも損なわれてしまうでしょう。

この記事では減給を受けた方のために、減給になる理由や不当な減給の例について徹底解説しているので、ぜひご覧ください。

労働契約の取り決め内の対応

減給と言っても、会社側が恣意的にその額を減らすことはできません。雇用時に会社と結んだ労働契約の取り決めの範囲内においてでしか減給は行えず、それに反した場合は、いわゆる「労働条件の不利益変更」にあたります。

労働契約で不利益変更を行う際には、必ず会社側と労働者側の双方の同意が必要です。

減給になる5つの理由

それでは、減給になってしまう理由としてどのような場合がありえるのでしょうか。ここからは、減給になる正当な理由を5パターンご紹介していきます。

自分の努力次第で減給を防げる場合もあれば、会社の事情で減給の申し出を受け入れざるを得ない場合もあります。いずれにせよ、もしも減給を受けた時にそれが正当なのかどうかを判断するために、以下のパターンについて詳しく知っておきましょう。

理由1:懲戒処分

減給の理由としてまず挙げられるのが、懲戒処分を受けたということです。職場の秩序を乱したり会社に大きな迷惑と損害を与えたと判断された時には懲戒処分を受け、月収の一定額を一定期間減給されることになります。

ただ、懲戒処分が理由にせよ、いくらでも減給できるわけではありません。労働基準法では、減給の1回の額が「平均賃金の1日分の半額」を超えてはならないと明記されています。

理由2:降格

降格も、減給の理由として挙げられるでしょう。業績を十分に上げることができなかったり、セクハラやパワハラなどの問題を起こして降格処分を受けると、当然ながら以前のポジションよりも給料が減り、結果として減給になってしまいます。

ちなみに、減給の額が大きかったとしても、降格が理由であるならば、基本的には上でご紹介した労働基準法の減給制裁規定に違反しません。

理由3:経営難

減給を受ける理由のひとつに、会社の経営難も挙げられます。会社が経営難に陥り、給与を満額労働者に支払う金銭的な余裕がなくなると、会社側から減額の申し出が行われます。

労働契約の取り決めによって、会社側が経営難を理由に一方的に減額を強制することはできません。ただし、減額を受け入れなければ現実的にその会社でそれ以上働くことは難しくなるため、多くの労働者は渋々減給の申し出を受け入れることになるでしょう。

理由4:人事制度の変更

人事制度の変更も、減給になる理由のひとつとして含まれるでしょう。人事制度を変更した結果、労働者全員への支給総額を変えることなしに給与の分配だけを変え、結果として特定の労働者が減額になるのは法的には問題ありません。

なお、労働者全員への支給総額を引き下げてしまうと、労働条件の不利益変更にあたるため、会社側が一方的に減給を行うことはできず、全ての労働者の同意を得なければなりません。

理由5:度重なる遅刻や無断欠勤

減給になる理由のひとつとして、度重なる遅刻や無断欠勤も挙げられるでしょう。勤務態度が不良であり、注意や指導を受けても改善が見られない場合には、ペナルティとして減給を受けることがあります。

このように制裁の意味合いで減給を行う場合には、会社側が減給の額を恣意的に決められるわけではなく、就業規則に明記された減給の規定にもとづいて額や期間が決定されることになります。

不当な減給の具体例

以上でご紹介したパターンは、どれも正当な理由での減給です。労働者側としてはとても辛いことですが、正当な理由ですので、どうしても納得できないという場合を除き、受け入れざるを得ない部分が大きいでしょう。

ですが、中には正当な理由でないのに会社が恣意的に減給を行う場合もあります。ここからは、不当な理由での減給の具体例についてチェックしていきましょう。

就業規則に明記されていない

不当な理由での減給の例としてまず挙げられるのが、就業規則に明記されていない理由で減給を受けたということです。

制裁による減給の場合には必ず就業規則に明記された事由でなければいけませんが、就業規則に書かれていないにも関わらず、上司や会社経営者の恣意的な判断で減給された場合は、不当だと言えるでしょう。

社員の同意が得られていない

社員の同意が得られていないということも、不当な理由での減給の具体例として挙げられるでしょう。

会社の経営難などが理由で減給を行う際には、「労働条件の不利益変更」にあたりますので、必ず減給対象となる全ての社員の同意を得ねばなりません。

それにも関わらず、社員の同意を得ないまま減給に踏み切ると、会社は労働基準法に違反していることになります。この場合は、労基署に相談すべきでしょう。

事前通告がないもの

不当な理由での減給の具体例のひとつに、事前通告がないということも挙げられます。減給は労働者の生活に大きな影響を与えるものですので、労働者の生活を守るためにも、必ず会社側が事前通告を行わねばならないと法律で決められています。

このような規定にも関わらず、事前通告を行わず、突然「今日から減給だ」と申し渡した場合には、不当な減給と言えるでしょう。

会社都合のもの

会社都合による減給であるということも、不当な減給の具体例のひとつです。よっぽどの理由がないかぎり、会社都合による一方的な減給は、労働者の権利を守るために法律で認められていません。

会社都合による減給が合法だと認められるハードルはかなり高く、もしもこのような理由で減給を一方的に受けた場合には、労基署や弁護士に相談することをおすすめします。

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減給を行う際の注意点

ここからは、会社側が減給を行う際に注意せねばならないポイントをご紹介していきます。減給は労働者の生活に直接的なダメージを与えてしまいかねない重大なものですので、法律に則った上で適切に行うように心がけましょう。

法律で限度額が決まっている

減給を行う際の注意点としてまず挙げられるのが、法律で限度額が決まっているということです。

たとえば、制裁が目的の減給の場合であっても、労働基準法第91条によって1回の処分につき1日の給料の半額までしか減給をすることはできません。

この限度額を超えて減給をしようとすると、それは法律違反になるので注意が必要です。

一事案に対して一回

ひとつの事案に対して一回しか減給ができないということも、注意すべきポイントとして挙げられるでしょう。

懲戒処分に値する行動を労働者が取ったならば、その1回の行動に対して複数回減給を行うことはできません。

相当性の確保

減給を行う際の注意点として、相当性を確保するということも挙げられます。減給は労働者の生活を非常に不安定にする重大なものですので、客観的かつ法的に見て、減給をするのが当然であるという相当性が確保されなければなりません。

相当性が確保されない状態で減給を行うと、労働者側から訴えられるリスクもあるので注意しましょう。

過去に対しての運用は不可

過去の問題行動に対しての運用はできないということも、注意点のひとつです。

労働者が問題行動を起こして減給をしたいと考えたものの、その行動を減給処分と明記した就業規則が現時点でないのならば、就業規則を書き換えて後日その労働者に制裁としての減給を行うということはできません。

減給に対して不当と感じたらまずは調べよう

今回は減給について特集してきましたが、いかがでしたでしょうか。労働者にとって減給は、現在の生活だけでなく将来設計も大きなダメージを受けてしまうことですので、不当だと感じたならば、まずはそれが労働基準法に違反していないかどうかを調べてみましょう。

法律違反の疑いがある場合には、労基署に相談をするか、労使トラブルに強い弁護士に相談することをおすすめします。

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