規模の経済とは
規模の経済とは、生産量を拡大することでコストカットを実現することを意味します。コストには、固定費と呼ばれる生産量によって変化しない費用が存在するため、生産量を拡大しても、全てのコストが上がるのではなく、コストを減少させることができます。
この記事では、規模の経済の例や上手く使うポイントについてご説明します。コストダウンの参考に、ぜひ読んでみてください。
範囲の経済との違い
規模の経済と範囲の経済には、コストダウンが規模の拡大でもたらされるか、範囲の拡張で生じるかの違いがあります。範囲の経済は、生産量を拡大するよりも、商品や事業の種類を拡張していくことでコストダウンを図ります。
自社にとっては、規模の拡大と範囲の拡張のどちらがコストカットになるかを考えた上で、規模の経済や範囲の経済を活用してみましょう。
規模の経済の例とメリット
ここからは、規模の経済について、ケーキ作りを例に挙げて見ていきましょう。規模の経済で考えると、ケーキ作りには、「材料を大量に発注する事で値引きしてもらえる」「たくさん作ると一個当たりの固定費は安くなる」といった2つのメリットがあります。
実際にケーキ作りのような商品を作るサービスに携わっている人は、2つのメリットを活用することで経済的にお得になるでしょう。
例1:ケーキ作り
ケーキ作りの事例には、規模の経済が適用できます。規模を大きくすればするほど、ケーキ作りにかかる経済的な負担が少なくなるためです。また、規模の経済を活用すると、材料や固定費が安くなります。
ケーキ作りなどの商品作成に携わっている人は、予算や余力の範囲内で、規模を大きくすると良いでしょう。ただし、規模を拡大すると不経済となってしまうケースもありますので、注意が必要です。
メリット1:材料を大量に発注する事で値引きしてもらえる
ケーキ作りの事例では、材料を大量に発注する事で値引きしてもらえるメリットがあります。材料を売る側は、大量発注ならば値引きしても良いと考えることが多いからです。
また、材料を値引きしてもらえることで、ケーキ1個あたりのコストも下がります。材料を大量発注する際は、どれくらい発注したらいくら値引きになるかを事前に確認し、最も材料費が安くなる量を発注しましょう。
メリット2:たくさん作ると一個当たりの固定費は安くなる
ケーキ作りの事例では、たくさん作ると一個当たりの固定費が安くなります。固定費とは、生産量に関わりなく、ケーキ作りにかかる費用のことです。大量のケーキを作ることで、結果的に一個あたりの固定費は安くなります。
例えば、ケーキを作る際に10万円のオーブンを使うとします。ケーキを1個だけ作る場合と100個作る場合では、ケーキ1個あたりのオーブンの費用は変わります。
規模の経済のポイント4つ
規模の経済には、「コストダウンの意味を把握する」「コスト構造を理解する」「規模の経済を検証する」「規模の経済の範囲を確認する」といった4つのポイントがあります。
規模の経済を深く理解し利用していくためにも、4つのポイントを最低限把握しておきましょう。また4つのポイント以外にも、規模の経済に役立つ考え方を思い付いたら使ってみましょう。
1:コストダウンの意味を把握する
規模の経済を活用する際には、コストダウンの意味を把握することが大切です。なぜなら、規模の経済とは、規模を大きくすることで、商品一個あたりの費用を下げることを意味するからです。
また、どれくらいの規模にするとどれくらいの費用になるかも明確にすると、求めているコストがはっきりするでしょう。
2:コスト構造を理解する
規模の経済の活用には、コスト構造の理解も重要です。なぜなら、規模の経済を考える際に、生産量と固定費と変動費の関係性を知る必要があるためです。
生産量が拡大し、結果として、商品一個あたりの固定費が低下する状態のことを規模の経済の成功と言います。生産量が拡大するだけでは、変動費が減らない場合が多いことも覚えておきましょう。
3:規模の経済を検証する
規模の経済には、検証も重要です。なぜなら、何が固定費になり、何が変動費と見なせるかを明確に分けなければ、規模の経済を活用できないからです。
生産量を増やしても費用が増えていない部分を固定費として、変動費から切り分けると良いでしょう。また、何が固定費で何が変動費になるかは企業ごとに異なりますので、他の企業の固定費と変動費はあくまで目安として考えてください。
4:規模の経済の範囲を確認する
規模の経済を活用するには、規模の経済の範囲の確認も重要です。規模の経済を活用するために規模を拡大するとしても、組織が持ちこたえられるか、お金を用意できるかといった点が大事だからです。
例えば、規模を拡大して生産量を増やし、固定費を減らせたとしても、人手が必要になって人件費が拡大したり、商品一個あたりの固定費が削減されても、全体の生産のためのお金が足りなくなっては意味がありません。
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規模の経済の注意点4つ
規模の経済には、「範囲を超える「規模の波が激しい」「個別案件の積み重ね」「大規模になった際の複雑化」といった注意点が4つあります。ここからは、これらの注意点について解説していきます。
規模の経済を使用する際には、4つの注意点に引っ掛からないようにしましょう。また、4つの注意点にかかってしまった場合も、規模を考え直したり、注意点を改めたりすることで改善される場合も多いです。
1:範囲を超えると不経済
規模の経済でも、範囲を超えると不経済になるケースがあります。例えば、商品を20万個しか作れない製造機で、23万個作ろうとした場合、23万個作るためには、製造機をもう一台買わなければならないので、20万個作る場合よりも、一個あたりのコストが増大してしまいます。
このケースのようにならないために、どこまでの範囲であれば、規模の経済で得するかを計算した上で生産量を決めましょう。
2:規模の波が激しいと不経済
規模の経済を活用する際は、規模の波が激しいと不経済となります。例えば、生産量が毎回異なる場合がこれにあたります。大量生産するのなら、毎回同じくらいの量を生産しなければ、使わない材料費や不要な人件費などが発生してしまい、逆にコストがかかってしまいます。
また、普段よりも大量生産しようとしたにも関わらず、一部の材料が足りず生産できない場合も、他の材料費が無駄になってしまうので不経済となるでしょう。
3:個別案件の積み重ねは不経済
規模の経済では、個別案件の積み重ねだと不経済となります。例として、大量生産によってコストを下げようと考えて、普段はケーキを一個作っている人が、ケーキと寿司とチャーハンを一個ずつ作ろうとする場合が挙げられます。
同じケーキを大量生産するからこそ、使う材料や設備が共有となり、一個あたりのコストを下げることができます。寿司やチャーハンの生産を増やしても、一個あたりのコストダウンにはつながりづらいです。
4:大規模になると複雑化して不経済
規模の経済では、大規模になると複雑化して不経済となります。大規模になると、考えなければならない要素が増えるため、計算ミスや想像していなかった状況が発生し易いからです。
例えば、大量生産しようとして事業を拡大して、人材もたくさん雇用したにも関わらず、急に多くの人材が病気になってしまったり、多くの人材の教育が上手くいかなかった場合は、コストカットにはつながりにくくなります。
企業例を知り規模の経済の意味を理解しよう
具体例として、ケーキ作りの例を挙げながら、規模の経済の意味や活用の仕方などを解説しました。また、規模の経済を活用する際のポイントや、活用する際に気をつけるべき注意点についても例とともにご紹介しましたが、いかがでしたか。
実際に活用する際には、迷うこともあるかもしれませんが、ご紹介した例も参考にしながら、規模の経済の意味を理解して、事業のコストカットに活かしていきましょう。