デューデリジェンスとは
今回の記事では、「デューデリジェンス」について解説します。「デューデリジェンス」とは金融や経済・証券関係のビジネス用語で、企業の価値を査定したり投資先のリスクを調査するなど、ビジネスに関する調査活動や情報収集のことを指しています。
「デューデリジェンス」のそもそもの言葉の意味とはどのような意味なのか、M&Aにおいて「デューデリジェンス」が必須であるとされている、その理由についてなど解説していきます。
言葉の意味
「デューデリジェンス」とは、元々は英語で「Due Diligence」というスペルになっており、正当な注意や適切な注意、といった意味があります。ビジネス用語での「デューデリジェンス」では正当な注意や適切な注意、といった意味から転じて、必要な調査活動や正当な情報収集という意味になっています。
企業に対して投資活動をしたり、M&Aなどリスクのあることをする際には、「デューデリジェンス」は欠かせません。
M&Aに必要な要素
M&Aは「Merger and Acquisition」を略したもので、企業の買収や合併のことを表しています。M&A、企業の買収や合併をする際には「デューデリジェンス」を行いその企業の価値について適切に査定すること、リスクを正しく調査することは必要不可欠な要素と言えるでしょう。
M&A以外では、金融機関による企業への投資や融資の際にリスクを把握するための調査として「デューデリジェンス」が行われます。
デューデリジェンスの6つの項目
ここまでの項目ではデューデリジェンスと言う言葉の意味について、どのようなときに実施されることがあるのかなど紹介してきました。ここからは、デューデリジェンスの種類について6つの項目を解説していきます。
デューデリジェンスの種類は6種類で、税務デューデリジェンスやリーガルデューデリジェンス、ITデューデリジェンスとビジネスデューデリジェンス・人事デューデリジェンス・財務デューデリジェンスがあります。
デューデリジェンスの項目1:税務デューデリジェンス
項目1つ目の税務デューデリジェンスでは、対象となる企業の過去の税金関係の支払い状況、また将来的にどれだけの税金を支払う必要があるのかそのリスクの程度を調査し、把握することが目的となっています。
こちらの項目では税務ということで、過去に未払いの税金があったりしないか、追徴課税が発生するようなリスクはないかを判断します。M&Aによる合併や買収時に支払う必要のある税金についても、調査する必要があるでしょう。
デューデリジェンスの項目2:リーガルデューデリジェンス
デューデリジェンスの項目2つ目、「リーガルデューデリジェンス」は「法務デューデリジェンス」と呼ぶこともあり、M&Aや融資の対象となる企業に法律的な問題点が潜んでいないかどうかをチェックすることを意味しています。
法律的なこととなるため、こちらの項目のリーガルデューデリジェンスでは法務に携わり専門的な知識を持つ専門家に依頼して行うことがほとんどです。チェックすべき項目事態も、多岐にわたります。
デューデリジェンスの項目3:ITデューデリジェンス
項目3の「ITデューデリジェンス」では、対象となっている企業のもつ情報システムにかかっているコストについてや発生する可能性のあるリスク、情報システム自体の価値がどの程度あるか把握・調査することを意味します。
「ITデューデリジェンス」の項目ではその情報システムを使い続けた場合のリスク、統合や廃止をした場合のリスクや価値、ソフトウェアのライセンス料金やセキュリティに関するコストなどを調査します。
デューデリジェンスの項目4:ビジネスデューデリジェンス
項目4の「ビジネスデューデリジェンス」は、「事業デューデリジェンス」と呼ばれることもあります。対象としている企業が行っている事業の現況、将来の収益性の予測についてやシナジー効果の把握、M&Aで買収や合併をした場合にどのような影響があるのかを試算します。
「ビジネスデューデリジェンス」の項目では企業の事業内容から経営の実態など細かい項目をチェックしなければならないため、専門家に依頼する場合があります。
デューデリジェンスの項目5:人事デューデリジェンス
デューデリジェンスの項目5つ目の「人事デューデリジェンス」では、人事面における企業のリスクや過去の問題がないかどうかを調査していくことが目的です。
この項目でチェックされるのは、過去に未払い残業代などが発生していないか、事業に対する人員数は妥当なものなのか、人件費についてのリスクなどです。M&Aでは対象となる企業の人員について、履歴書や職務経歴書などの個人データを要求することがあります。
デューデリジェンスの項目6:財務デューデリジェンス
項目6の「財務デューデリジェンス」は「フィナンシャルデューデリジェンス」と呼ばれることもあります。M&Aや融資の対象先となる企業の決算における財務諸表を検討して適正なものであるかどうか、財政状況や資金の状況について現在の状況や将来を検討します。
専門的な知識が必要となることも多いため、こちらの項目「財務デューデリジェンス」でも監査法人や会計事務所といった専門家に依頼する場合があるでしょう。
デューデリジェンスの3つの目的
デューデリジェンスはM&Aや企業への融資を検討する際に必要な要素であると解説してきましたが、実際にデューデリジェンスを行うことにどのような目的があるのでしょうか。デューデリジェンスを行う側にはどのような目的があるのか、ここからはデューデリジェンスの主な目的について、3つの項目で解説していきます。
デューデリジェンスの目的1:対価額の決定と交渉
デューデリジェンスの項目で紹介したように、主に6つの法務や人事などの項目から客観的に適切な評価をくだすために行われることが多いでしょう。
M&Aでは企業を買収・合併することになりますが、相手企業側は高く売りつけようとしM&Aを仕掛ける側はなるべく安く買おうとしています。M&Aの対価となる額について適切な額を計算するために、あるいは提示額で相手を納得させるためにデューデリジェンスを行います。
デューデリジェンスの目的2:成功率の向上
M&Aは仕掛ける側にとってもリスクのあることですが、デューデリジェンスを行うことでM&Aの成功率を高める、という目的があります。
M&Aは失敗することがない訳ではありません。M&Aを行っても投資した額に見合わない利益しか出なかったり、損害すら発生しときには破産することすらあります。そんな失敗を防ぐため、事前にデューデリジェンスを行っておくことでM&Aの成功率を向上させる目的のために行います。
デューデリジェンスの目的3:リスク確認と対策立て
どんな企業でもたいていは何かしらリスクがあるものなので、デューデリジェンスを行っておくことでどのようなリスクがあるのかを確認しておき、しっかりその対策を立てておく、という目的です。
デューデリジェンスの6つの項目でその企業のおおよそ全てのリスクを把握することができたら、そのリスクが投資に見合うかどうか、対策を立てることで安全かどうか確認を行います。こちらも、M&Aの成功率を高めることになります。
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デューデリジェンスの進め方5ステップ
ここからは、M&Aでデューデリジェンスを進めるための5ステップについて解説いたします。
デューデリジェンスの進め方として、やり方には大きく分けて3つの方法があります。情報収集をすること、現地で確認をすること、マネジメント層と呼ばれる人を対象に直接インタビューをすること、以上の3つです。
実際に契約書を作成するまでのデューデリジェンスの進め方、5ステップについて詳しく見ていきましょう。
デューデリジェンスの進め方1:資料の開示請求
M&Aでのデューデリジェンスの進め方として、まず1番に行うのが対象となる企業への「資料の開示請求」です。相手企業の詳しい状況についてまだほとんど何も知らない状況なので、この段階で企業について詳しい調査を開始します。
デューデリジェンスをするために必要な書類を全て、相手企業に資料の開示請求を行っておきましょう。請求した資料が届いたら、内容について詳しくデューデリジェンスを行っていくことになります。
デューデリジェンスの進め方2:マネジメント・インタビュー
資料の開示請求を行い、内容について精査をしたら「マネジメント・インタビュー」を行います。ここでいう「マネジメント・インタビュー」の対象は経営者や、M&Aのためのデューデリジェンスであることを情報開示された人へのインタビューとなるでしょう。
すでに仕入れた資料などの情報についての確認や、資料だけでは把握しきれなかった項目についての確認を口頭で行うことになりますので、質問内容をまとめておきましょう。
デューデリジェンスの進め方3:各デューデリジェンスの分析
資料の内容の精査を行い、直接マネジメント・インタビューで情報の補完をしたら本格的にデューデリジェンスの6つの項目の内容について分析を行っていき、分析結果について報告書にまとめます。
できあがった報告書から、そもそもM&Aの対象としてよい企業なのかどうか、対象の企業に対してどのような方針でいくのかを判断していくことになります。
デューデリジェンスの進め方4:買収価格の決定
デューデリジェンスの結果を受けて、実際にM&Aを行う企業の買収価格を決定します。相手企業を適切な価格、妥当な価格で買収できるかどうかでM&Aの成否が左右されることすらある、重要な局面です。
デューデリジェンスによる適切な企業価値を算出し、M&A側が妥当な価格を提示します。相手が算出した買収価格に納得するように、価格の交渉をする際にも金額の根拠としてデューデリジェンスを活用することがあるでしょう。
デューデリジェンスの進め方5:契約書の作成
デューデリジェンスの進め方、最後はM&Aの「契約書の作成」を行うことになりますが、デューデリジェンスの結果を内容にしっかり盛り込んでおきましょう。
もしも顕在化しそうなリスクがあればその対策をするように、あるいは問題が起こった場合に備えて取り決めなどをしておくとよいでしょう。デューデリジェンスの結果をきちんと契約書にも生かすようにすることが重要となってきます。
デューデリジェンスは次世代事業に必要なもの
デューデリジェンスはM&Aや企業への投資活動などには必要です。デューデリジェンスをおろそかにしたり、行わずにM&Aや投資を行うということは、相手企業をよく知らずに大事なことを決めてしまうことにつながり、下手をすれば失敗します。
デューデリジェンスは次世代事業に必要なものなので、目的や項目をしっかり押さえて行いましょう。