システム開発の見積方法3つを紹介|見積のチェックポイント5つ

財務・資金

システム開発にかかる費用は適正なのか

近年、仕事の効率化を図るために作業をシステム化をする流れがあります。そのため新規にシステムの導入を考えている企業も多いでしょう。

しかし企業の担当者の中には「提案された見積金額は適正だろうか」、「見積金額の根拠が知りたい」と感じている人もいるのではないでしょうか。

システム開発の見積はどのような根拠をもとに算出しているのか、発注側も押さえておくべき「システム開発の見積手法」について、詳しくご紹介します。

手法によって金額は違う

システム開発の見積金額は、算出する手法によって異なります。システムの詳細が未決定の段階では、おおよその情報をもとに見積金額を推測するしかないため、システム開発会社がどのような手法で算出するかによって金額が変わります。

概算で算出する場合、一般的に余裕を持った見積金額に設定されますが、顧客との打ち合わせで曖昧だった要件が詳細になってくると、当初の見積金額とはズレが生じることも珍しくありません。

システム開発の見積方法3つ

システム開発の見積手法はさまざまですが、一般的によく使われている3つの見積手法についてご紹介します。各見積手法にはそれぞれ特徴があり、使われるタイミングも異なるので、発注側もよく覚えておきましょう。

システム開発の見積方法1:類推法

類推法は、システム開発会社が過去に経験した案件を参考に、規模・工数・金額などをザックリと試算する見積手法です。

類推法は初期の見積の際のよく使われる手法で、要件定義などの詳細な見積を出す段階ではほぼ使われることはありません。

見積る人の経験や能力に依存するだけでなく、見積の根拠も曖昧なことが多いため、見積の精度としてはあまり高くありません。

業界水準の見積

見積初期に使われる類推法の場合、他社と金額を合わせた業界水準の見積額となるのが一般的です。

見積初期の段階ではシステム開発会社も、「今は他社と比較をしている段階だ」と理解しているため、他社と同額か、他社よりも若干安い金額見積を出す傾向があります。

高い・安いの根拠を明確に

他社と比較して見積金額が過度に高かったり安かったりする場合は、根拠を明確に聞いておくことが大切です。

例えば業界水準より金額が安い場合、「類似のソフトウェア資産があるので、短時間で安く開発できる」といった根拠があるはずです。業界水準より金額が高い場合、無駄な機能まで追加で提案されている可能性もあります。

明確な根拠を説明してもらうことで、信頼できるシステム開発会社かどうかも判断できるでしょう。

システム開発の見積方法2:ファンクショナルポイント法

ファンクションポイント法は、システムの機能を見積に反映させる手法です。

「外部入力」「外部出力」「外部照合」「内部論理ファイル」「外部インターフェイス」の数をカウントし、各難易度を3段階(容易・普通・複雑)で評価してポイント化した上で、難易度に見合う金額を掛け算して見積を出します。

例えば、画面数「5」で難易度「容易3・複雑2」の場合、(容易10万×3)+(複雑30万×2)=90万となります。

明確な基準があるので根拠がわかりやすい

ファンクションポイント法は、明確な基準をもとに算出されるため、特に知識がない発注側であっても見積金額の根拠が分かりやすいでしょう。受注側としても、顧客に見積金額の根拠を説明する際、相手に納得してもらいやすい見積手法だと言えます。

要件定義が完了してないと見積が難しい

この見積方法は、明確な基準により根拠が分かりやすいというメリットがある一方で、デメリットとしては要件定義が完了していない時点では正しく見積るのが難しいという点があります。

例えば10画面中の8画面は要件定義まできちんと完了しているものの、残りの2画面は今後の打ち合わせで仕様を決定する場合では、完了していない箇所が概算となってしまうため、見積制度が落ちてしまう可能性があります。

システム開発の見積方法3:ボトムアップ法

ボトムアップ法は、機能単位や作業単位で見積もった工数を積み上げていく手法です。積み上げ式なので他の見積方法と比較すると金額が高くなることが多々ありますが、金額の根拠は分かりやすいでしょう。

ボトムアップ法では、機能や作業の細かな内容まで分解して組み込まれるため、抜けや漏れが少なく、見積制度は非常に高いと言えます。受注後のプロジェクト管理にそのまま利用することができるレベルの見積手法です。

材料が出揃った後の最終見積

ボトムアップ法は、要件の洗い出しが完了し、すべての材料が出揃った後の最終見積で使われる手法です。見積を作成するのに時間も労力も掛かるため、他社と見積を比較する初期の段階ではあまり使われません。

一般的には、予算規模が大きなプロジェクトにおいて、契約前の数社に絞った段階でシステム開発会社に提出してもらう見積です。

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システム開発の見積のチェックポイント5つ

ここからはシステム開発を見積る際のチェックポイントをご紹介します。通常は受注側が注意すべきチェックポイントですが発注側も意識しておくと、見積金額の内容について、より理解を深めることができます。

どんな項目であっても金額を算出するための根拠が存在します。見積書を見て根拠の分からない金額が含まれていた場合は、必ず契約前にシステム開発会社に金額の根拠について説明を求めましょう。

システム開発の見積のチェックポイント1:算出の根拠となる項目を明確にしてもらう

見積書を受け取ったら、金額を算出する根拠についてシステム開発会社から説明してもらいましょう。

一般的にシステム開発会社は、「プロジェクトの期間」「開発(改修)の範囲」「開発環境」「担当範囲」などを根拠に見積金額を決めています。

一般的には「一人が行うと何ヶ月(何日)掛かるか?」を表した単位「工数」に、単価を掛けることで算出されます。そのため、工数の算出理由を聞くと根拠が分かりやすいでしょう。

見積項目一覧

システム開発とひとことで言っても、発注側が支払うのは「システム開発費」だけではありません。システム開発会社は利益を上げなければならないため、プロジェクトに掛かる経費も事前に算出して見積金額に含めています。

以下では見積項目に入っている代表的な費用を紹介します。

  • 要件定義費
  • 設計費
  • デザイン費
  • 開発費
  • テスト費
  • 導入費
  • 導入支援費(社内教育など)
  • 購入費(備品・物品など)
  • 交通費

システム開発の見積のチェックポイント2:作業の範囲をはっきりさせる

システム開発会社がどの範囲までの作業を担当してくれるのか、明確にしておく必要があります。

例えば新規でシステムを導入する企業の場合、顧客社員に対して使い方のレクチャーまでしてくれるのか、保守や運用は見積金額に含まれているか、などを確認します。

発注者側が望んでいたことが見積範囲に含まれていない場合、別途費用が掛かってしまう可能性もあります。契約に至る前に見積に含まれる作業範囲をよく確認しておきましょう。

システム開発の見積のチェックポイント3:備品や物品のコストも入っているか

システム開発会社の見積の中に、備品や物品などのコストも含まれるのかを確認します。通常は物品なども含めて見積を作成しますが、場合によってはハードウェアなどの物品代が含まれていない可能性もあります。

見積の内容に物品などのコストが含まれていない場合には、念のためシステム開発会社に確認しておきましょう。

システム開発の見積のチェックポイント4:管理・調査・分析にかかる工数も入っているか

システム開発会社の見積には、管理・調査・分析などに掛かる時間も含まれています。

既存のシステムを改修する場合、既存プログラムの事前調査や分析にも時間が掛かります。開発担当メンバーの経験値によっては、教育やサポートをする必要も出てくるでしょう。

通常、そのような諸事情は発注側に説明されませんが、実際には管理・調査・分析などの工数も見積に含まれていると理解しておきましょう。

システム開発の見積のチェックポイント5:開発見積の工数は妥当かどうか

開発見積として出された工数が妥当かどうか、発注側が判断するのは大変難しいことです。

そのため「小さな変更なのに開発期間が長いな」と感じたら、まずはシステム開発会社に根拠を説明してもらいましょう。一見すると簡単そうに見える変更箇所も、実は内部のプログラムが複雑に組まれている可能性もあります。

発注側は「任せておけば大丈夫」ではなく、疑問に感じたことは積極的に根拠を確認し、意思疎通を図っておきましょう。

見積方法とチェックポイントをおさえておこう

システム開発の見積は複雑で分かりにくいことが多めです。

特にソフトウェアは見えにくく、発注者のイメージと違っていたなどの理由で再開発になることもあります。その場合、最初に見積もった金額よりも多く費用が掛かる可能性があり、システム納品後にトラブルに発展するケースも少なくありません。

無事にシステムを稼働できるように、発注側も見積方法とチェックポイントについて、よく理解しておきましょう。

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