キャッシュフローとは
経済ニュースで頻繁に「キャッシュフロー」という言葉を耳にしたことがある人もいるでしょう。「キャッシュフロー」とは、お金の流れ(流入・流出、収入・支出)のことです。
「キャッシュフロー計算書」は、会社の経営状態を資金の流れや増減を表したもので「貸借対照表」や「損益計算書」とともに重要な決算書です。
この記事では、「キャッシュフロー」と「運転資金」について、知っておきたい6つのポイントを中心に解説します。
利益とキャッシュフローの違い
決算書で出てくる「キャッシュフロー」と「利益」は違う意味の言葉で、現金以外の取引がある場合は「利益」と「キャッシュフロー」を個別に考える必要があります。
例えば、「売上」は商品を出荷した時点で計上するので、帳簿上「利益」は増えます。しかし、その場で現金が支払われない「売掛金」だった場合、実際に現金が入金されるまで時間がかかります。
「利益」と、実際の「キャッシュフロー」の違いはタイミングの問題です。
キャッシュフローの計算方法
会社運営に必要な運転資金調達のために知っておくべき「キャッシュフロー」とは、会社の売掛金の入金や、給与振込などの実際に動いたお金の流れのことです。
キャッシュフローの基本的な計算式は「損益 ± B/S(貸借対照表)科目の増減額」で求められます。
企業の決算日(3月31日が多い)時点での企業の財務状態を表す「貸借対照表」は「キャッシュフロー」と「運転資金」を知るために必要な決算書です。
キャッシュフローについて知っておきたいポイント6つ
会社の経営状態を資金の流れや増減を通してチェックすることができる「キャッシュフロー計算書」は、会社の一会計期間中の現金や現金同等物(3か月以内の定期預金、譲渡性預金など)の増減を表した財務諸表です。
ここでは「キャッシュフロー」と「運転資金」について、知っておくべき6つのポイントについて解説します。
キャッシュフローについて知っておきたいポイント1:運転資金を求めて入金と出金のズレを解消する
例えば、代金後払い(売掛金)で商品を売った場合、実際にお金が入っていないのに、帳簿には「売上」として計上することになるので、決算書の「損益計算書」に記載されている売上高や純利益等は、実際のお金の流れを表していません。
そのため「損益計算書」とは別に「キャッシュフロー計算書」が必要になります。
会社の経営に必要な現金(キャッシュフロー)が足りなくなった時、「運転資金」を借りる必要があります。
キャッシュフローについて知っておきたいポイント2:運転資金の求め方
運転資金は、入金と出金のタイミングがずれている場合に必要な資金のことです。
運転資金は下記の計算式で求められます。
経常運転資金(正味営業運転資金)=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産-買入債務(買掛金+支払手形)
キャッシュフローについて知っておきたいポイント3:運転資金がマイナスの場合
キャッシュフローが少ないと運転資金が足りなくなる場合があります。
例えば、「売上代金が翌々月払い」のケースは、実際に売上が入金されるのが2か月先ですが、従業員の給料や仕入れなどの諸経費は、先に払わなければなりません。
運転資金がマイナスの状態で放置しておくと、倒産する恐れがあるので、無理のない借入金ができないか検討することをお勧めします。
キャッシュフローについて知っておきたいポイント4:キャッシュ・インとキャッシュ・アウト
キャッシュフローには「キャッシュ・イン・フロー」「キャッシュ・アウト・フロー」の2種類があります。
売上や借入金、受取利息などの「入るお金」が「キャッシュ・イン・フロー」、経費や投資などの「出るお金」が「キャッシュ・アウト・フロー」で、売上を増やせばキャッシュフローが増え、経費が増えれば運転資金が多く必要になります。
キャッシュフローについて知っておきたいポイント5:キャッシュフロー分析は3種類
キャッシュフローは3種類の視点で分析できます。
1.営業キャッシュフロー(売上や経費など)
2.投資キャッシュフロー(現金で支払った設備・有価証券投資など)
3.財務キャッシュフロー(借入金や借入金返済など)
経営が順調な会社は、営業キャッシュフローがプラス(営業成績好調)、投資キャッシュフローがマイナス(積極的な設備投資)、財務キャッシュフローがマイナス(積極的な借入金返済)の傾向があります。
キャッシュフローについて知っておきたいポイント6:在庫とキャッシュフロー
キャッシュフローは会社から出入りするお金の流れです。お金の流れをよくする方法には「売り上げを増やす」「現金決済にする」「前受金をもらう」などの方法があります。
商品は仕入れる時に現金を支払い、売れるまで倉庫で保管します。在庫のままだとキャッシュフローは滞ったままになりますが、商品を早く売って現金化すると、さらに商品を入れて売ることができるので、「在庫の削減」もキャッシュフロー改善策として有効です。
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キャッシュフローが重要な理由5つ
企業の経営に絶対不可欠な「キャッシュフロー」と、入金と出金のタイムラグを埋めるために必要になる「運転資金」について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここでは、会社の経営でキャッシュフローを重視することの5つのメリットについて、みていきましょう。
キャッシュフローが重要な理由1:倒産の危険を事前に察知できる
「キャッシュフロー経営」は、現金収支を重視した経営管理を行うことで、会社が実際に使えるお金を増やす経営のことです。
キャッシュフローが豊富になると経営に余裕ができ、取引先の倒産の危険を事前に察知して、売掛金の回収を急ぐ、貸し倒れに備えるなど、自社を守るための行動を起こすことができるようになります。
キャッシュフローが重要な理由2:実際に儲けが出ているのかを求められる
営業を積極的に行って、表面上売上が増えていても、実際には経費がかかり過ぎて赤字になっていることがあります。それに気づかずに経営を続けていると、最悪の場合、倒産に至ることがあります。
キャッシュフロー計算をすると、実際にいくら儲けが出ているかを、具体的な数字で知ることができます。
そのため「キャッシュフロー計算書」は「貸借対照表」や「損益計算書」とともに、経営方針を左右する重要な財務諸表となっています。
キャッシュフローが重要な理由3:運転資金が不足していないかチェックできる
中小企業で起こりやすい「黒字倒産」は、決算上では売上が出て利益があるはずなのに、運転資金が足りなくなって、資金繰りがつかなくなった時に起こります。
資金繰りは、売掛金・買掛金・借入金返済などの入金・出金のタイミングが狂うと、簡単に悪化するため、運転資金がいくらかかっているかを常に把握することは、事業資金がそれほど豊富ではない中小企業にとって非常に重要です。
キャッシュフローが重要な理由4:銀行の融資を受けやすい
売上が出て、実際に現金が入金されるまでに、仕入れや社員の給料、諸経費の支払いがあって現金が足りない時、銀行などの金融機関から融資を受けることになりますが、キャッシュフロー計算がしっかりできていると、お金が借りやすくなります。
金融機関も、あらかじめ返済のめどが立っていて、返済が滞る恐れがない企業には積極的に融資してくれます。
キャッシュフローが重要な理由5:改善することで事業拡大
キャッシュフロー改善は事業拡大につながります。
キャッシュフローを改善する方法には「信用調査の実施と与信枠の設定」「前受金の設定」「入金の催促」「損害遅延金の請求」「在庫品の売却」「現金・クレジットカード払いの客への値引き」「不要な資産・不採算部門の売却」「借入金の早期返済」などがあります。
どの改善策をとるにしても、現時点でどの程度のキャッシュフローが必要なのかを計算できていることが前提条件です。
キャッシュフローと運転資金の管理をしっかり行おう
この記事では「キャッシュフロー」と「運転資金」について知っておきたいポイントについて解説しました。
「キャッシュフロー」と「運転資金」は、経営では避けて通れない問題で、うまく管理できなければ、最悪の場合、会社が倒産してしまいます。
経営者でなくても、株や投信信託などで資産運用をする方は、キャッシュフローについて知っておくと、より有利な資産運用ができるので、これを機会に覚えておくとよいでしょう。