退職金前払い制度とは
退職金前払い制度とは、通常退職時に支払う退職金を前払いする制度です。昨今、退職金前払い制度を導入する企業が増えています。
従来の退職金制度は、勤務年数や在職中の給与によって決められていました。これを、月々支払われる給与に上乗せして支払われるのが退職金前払い制度です。
退職金前払い制度の目的
退職金前払い制度の目的は、働き方の変化に即した制度です。以前は、一度入社した会社へは定年まで勤めあげるというのが美徳とされていましたが、今は大きく変わりました。転職を繰り返すことでキャリアアップや、働き方を見つめていく生活へ移行しつつあります。
従来の勤務年数により退職金が支払われるという制度自体が、現代では適応できなくなっています。退職金前払い制度は現代人のための制度ともいえます。
退職金前払い制度の対象者とは
対象者は、退職手当金支給の対象となる社員です。さらに企業内で退職金前払い制度を導入していれば選択することができます。
退職金は企業にもよりますが誰でも受け取れるものではありません。正社員であることや勤続3年以上など条件をつけているところもあります。
退職金前払い制度のメリット3つ
ここからは、退職金前払い制度を利用する3つのメリットを紹介します。目に見えて給与の手取りが増えることや、転職の際にも有利になるなど多くのメリットがあります。
自分のキャリアプランを想定しながら考えてみると良いでしょう。
退職金前払い制度のメリット1:給与の手取りを増やせる
1つ目のメリットは毎月の給与に退職金がプラスして払われるため、確実に手取りを増やすことができます。
入社して間もない時は給料が少なくお金に困ることも多いでしょう。月々使えるお金が増えれば自己啓発や趣味に使うこともでき、資金用途の幅も広がります。退職金前払い制度を利用することで受け取れる給料が多くなる影響は大きいです。
退職金前払い制度のメリット2:退職金が受け取れないリスクを回避
2つ目のメリットは、退職金が受け取れないリスクを避けることができます。もし今勤めている会社からリストラをされてしまった場合、受け取れる退職金が減額される可能性があります。
時代は大きく変わり大企業だか絶対安心ということはありません。どんな企業でも業績悪化により退職金を満額もらえないリスクもあります。先を見越し、随時退職金にあたる金額を受け取ることができるのでリスク回避をすることが可能です。
退職金前払い制度のメリット3:転職希望の30代までに有利
3つ目のメリットは、転職希望の30代までに有利ということです。最近はキャリアアップのために積極的に転職をする人が増えています。将来的には転職を考えている人には退職金前払い制度がおすすめです。
通常退職金は、勤務年数や在職中の給与によってきまるので在職期間が短いと、退職金が大幅にカットされることがあります。若いうちに転職を考えている場合は、退職金前払い制度を活用しあらかじめ受け取るほうが良いでしょう。
退職金前払い制度のデメリット3つ
ここでは、退職金前払い制度のデメリットを紹介します。
メリットも紹介しましたが将来のことを考えデメリットも理解しておくことは重要です。すべて理解した上で自分に合ったものを選択するようにしましょう。
退職金前払い制度のデメリット1:年収が増えて税率が上がる
1つ目のデメリットは退職金前払い制度を利用することで給与は上がりますが、年収として計算されるので住民税や所得税の税率が上がることです。
日本は、年収や給与所得の金額に応じて税率が変わる仕組みになっています。よって、給与が上がれば支払う税金も増えます。せっかく毎月の給与が増えたとしても、その分税金や保険料が増えれば実際に使えるお金も減ってしまうためもったいないです。
退職金前払い制度のデメリット2:社会保険料や税金の支払いが発生する
2つ目のデメリットですが毎月受け取る給与は、社会保険料や税金が引かれています。
退職金を前払いで受け取る場合、給与という形で受け取ることになります。給与で受け取ることで社会保険や税金の支払い対象になるというデメリットがあります。
退職金前払い制度のデメリット3:一括払いより給付額が少ない
デメリット3つ目は、退職金前払い制度を使うと一括払いで受け取るより総受給額が少ないことが多いです。一括払いで受け取るときの積み立て利率がかかっていないことが原因です。
会社によって異なりますが、退職金は年数が経過するごとに一定の利率が上乗せされます。定期預金のように少しずつ金利が付いている状態になります。しかし、前払いで受け取ると金利分は無いのでトータルの受給額は少なくなります。
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退職金前払い制度と確定拠出年金の選択
退職金の受け取り方法として、退職金前払い制度と確定拠出年金が選択できる企業が増えています。
選択できるというのは、企業からの退職金を確定拠出年金の掛金として拠出するのか、掛金として拠出する代わりに毎月の給与に上乗せして退職金前払いで受け取るのか従業員が選べることをいいます。
ここでは、確定拠出年金の概要とメリット・デメリットを紹介しています。
確定拠出年金とは
確定拠出年金とは、会社が拠出したかけ金額とその運用収益との合計額をもとに給付する年金制度です。
社員は掛け金をもとに金融商品の選択や資産配分の決定などさまざまな運用を行います。そして、定年を迎える60歳以降に一時金が年金の形式で受け取ることができます。また、積み立てた年金資金は60歳まで引き出すことができません。
確定拠出年金のメリット
確定拠出年金のメリットは、税制優遇措置が充実していることや将来の年金を若いうちから準備できることです。中でも1番のメリットは税制優遇です。掛け金の全額が所得税と住民税の控除になることです。
通常、投資などをした場合運用益が出れば税金がかかります。しかし確定拠出年金は運用益が非課税です。自分では貯蓄が難しい方には嬉しいメリットがたくさんあります。
確定拠出年金のデメリット
デメリットは、金融商品により運用を行うので相場が崩れた場合に手取りが減ってしまうことや将来の年金額が確定していないことです。常に為替リスクや価格変動リスクが伴います。
原則60歳まで引き出すことができないので急にお金が必要になったときに使えないことがデメリットです。途中で辞めることも難しい制度なので、加入する場合はしっかり考える必要があります。
退職金前払い制度のメリットを理解して自分に合ったマネープランを構築しよう
今回は、退職金前払い制度の概要とメリットデメリット、確定拠出年金について説明しました。
退職金の受け取り方法は、年齢やマネープランにより大きく変わっていきます。それぞれに注意してほしいポイントがあるので制度の概要をしっかり理解してご自身のマネープランやキャリアプランに合ったものを選択してください。