資本準備金とは|資本準備金として計上するメリット3つ|おすすめ書籍3選

財務・資金

資本準備金とは

「資本準備金」は、株式会社において設定を強制される準備金で、資本金を守るバッファーとしての役割を担い、利益以外の財源から積み立てる準備金(株式発行差金・株式払込剰余金・減資差益・合併差益)を言います。

株主からの出資金はすべて資本金として計上する必要はなく、出資金のうち2分の1を超えない額を準備金として計上できます(会社法445条)。この資本準備金は欠損填補と資本金への組み入れ以外は取り崩せません。

そもそも資本とは?

「資本」とは、生産の基本的要素(土地・労働・資本)の一つで、本来的には原料・機会・設備など生産手段を意味します。会計学における資本は事業・営業の成立・存続に要するために株主が出資した資金、資本金を言い、会計学上では通常「自己資本」と呼称します。

株式会社の「資本」は、貸借対照表の「純資産の部」の「株主資本」に規定され、資本金・法定準備金(資本準備金、利益準備金)・剰余金から構成されます。

資本=資産なのか?

経済学における資本は、土地・労働に並ぶ重要な生産要素で、その大部分が生産設備(工場、機械など)、在庫(製品、原材料、仕掛品など)、建物などの形をとった資産として捉えられます。

会計学における資本は、外部から資金が企業に入ってきた源泉を指し、貸借対照表では資産と負債の差額として捉えられます。このような資本は純資産、自己資本などとも呼ばれ、具体的には資本金、資本準備金などの合計額として示されます。

資本金とは

「資本金」は広義的には営利事業に投下された貨幣額を指しますが、株式会社の場合、株主の拠出額全額(発行済株式の発行価格の総額)を言います。資本金が5億円以上の株式会社は、公認会計士による監査が義務づけられています。

「資本金」は、株式会社の会社財産維持のため設定される一定の金額で、会社は株式発行により払い込まれた金額の2分の1以上を資本金に計上しなければならず、残額は資本準備金として計上されます。

資本剰余金とは

「資本剰余金」は、企業会計における「株主資本」の一つで、「株主資本」を構成する資本金の額を超える部分を指し、その剰余金の発生源泉の違いにより「資本剰余金」と「利益剰余金」に区分されます。

「資本剰余金」は会社の資本取引から生じた剰余金で、「資本準備金(法律で積み立てが義務化されている資本剰余金)」と「その他資本剰余金(資本金・資本準備金の減少差益、自己株式の処分差益など)」に分けられます。

会社を設立するにはお金が必要

新会社法施行により、会社設立は1円以上の資本金があれば制度上可能ですが、現実問題として会社が法的に設立するまでに種々の費用がかかります。

「財務諸表規則取扱要領」にある支出諸費用を見ると、定款など作成費用、株式募集その他広告費、設立事務所の賃貸料、通信費、事務員の給料などが挙げられます。これらの開業時の準備金や設立後の運転資金など計算した上で資本金や資本準備金などを決定する必要があります。

資本準備金として計上するメリット3つ

「資本準備金」は、資本金を守るバッファーとしての役割を担い、利益以外の財源から積み立てる準備金を言います。

株主からの出資金のうち2分の1を超えない額を準備金として計上することで、会社の業績が悪化した場合に資本準備金で会社の運営を継続することが可能になります。

以下、資本準備金を計上することによるメリットを見てみましょう。

資本準備金として計上するメリット1:節税効果がある

資本準備金として計上するメリットの第一は、節税対策です。資本金が1億円未満の企業は「中小法人」として、法人税率の軽減、交際費課税の特例、欠損金の繰越控除など優遇措置を受けられます。

会社の財務上のテクニックとして、資本金を資本準備金として計上して資本金を1億円未満とすることにより、法人税率の軽減など中小企業税制の優遇措置を受けるほか、外形標準課税の対象外になるなど節税効果が期待できます。

資本準備金として計上するメリット2:手続きが簡便

資本準備金として計上するメリットの第二は、資本準備金にかかわる手続きの簡易性で、資本準備金の減少など、債権者保護手続きが不要なケースでは、株主総会の普通決議の決議でよく、登記も不要です。

資本金の減少などは株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権数の3分の2以上で可決となる決議)を要し、登記変更の手続きが必要になるなど手続き的に煩雑となります。

資本準備金として計上するメリット3:資金移動が容易

資本準備金として計上するメリットの第三は、資本準備金の資金移動が容易であることが挙げられます。会社の業績悪化などによる欠損を補填をするための資本準備金の取り崩し手続きは比較的容易に行えます。

資本金の取り崩しにより欠損補填する場合、株主への影響が大きいため、原則として株主総会の特別決議が必要となり、債権者保護手続きとして、官報での公告と債権者への個別催告を行うなど手続きと時間に手間がかかります。

資本金や資本準備金が多い方が融資に有利なのか

金融機関の企業に対する融資では、企業の財政状態(資金の運用実態、資金の調達状況など)、経営状態(当期の業績、企業の認知度、信用力など)、担保価値(現金、預金など)を内部審査します。

「資本金」や「資本準備金」は、企業の財務上の安定性を示すバロメーターであるところから、融資の判断に参考となりますが、より重視されるのは、融資に対する返済が可能な自己資金(現金、預金など)の有無です。

資本金が5億円以上になるとどうなるのか

会社法で定められている会社区分で、最終事業年度にかかる貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上の大会社では、株主や債権者の数が多数となることが想定されるため、これらステークホルダーを保護する必要が生じます。

このため、三人以上の監査役の選任や取締役会の設置などが規定され、通常の株式会社に比べ内部牽制による規律が機能しやすい機関構造が設けられ、会計監査人の監査も義務づけられています。

会社設立までが学べるおすすめの書籍3選

会社の実態が形作られても、会社の設立手続きが途中で挫折し設立登記まで至らないことがあります。会社が成立しなかったときは、発起人は連帯して設立に関した行為に全責任を負わなければならず、会社設立に関し支出した全費用も負担しなければなりません。

昨今の空前の起業ブームの中で、会社設立のメリット・デメリットから失敗しない会社づくりのノウハウまでを学べるおすすめの参考図書を紹介します。

会社設立までが学べるおすすめの書籍1:新版 日本で有数わかりや すい会社のつくり方

本書は、会社設立のプロセスとして、「会社を作る前に考えるべきこと」、「設立までの手続き」「設立後の手続きとアクション」を詳細に説明しています。

参考資料として「すぐに使える定款サンプル」「現場の弁護士から見た会社経営のよくある問題」の2つの資料が合巻されていて、会社設立を目指すビギナーに役立つ内容となっています。

会社設立までが学べるおすすめの書籍2:らくらく株式会 社設立&経営のすべてがわかる本

本書は、東京シティ税理士事務所のスタッフが総力をあげて、定款作成、登記申請など手続き全般から経理、決算、税務申告、節税対策などを記入例をつけて詳細に説明します。

会社設立を目指すビギナーに必要な知識にターゲットを絞り、効率的な実務例を満載して提供してくれます。

わからないことばかりの私には参考書のような本です。

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会社設立までが学べるおすすめの書籍3:改訂 ダンゼン得する いちばんわかりやすい 会社のつくり方がよくわかる本

本書は、「会社をつくるメリット・デメリット」「個人と会社 徹底比較」「税金のシュミレーション」「会社をつくる準備」など会社設立を目指すビギナーが疑問に思うことを詳細に説明します。

付録として、会社をつくった方がいいのかどうか、しっかりと判断できるチェックリストがついていて、あなたの判断を助けてくれます。

視覚的でわかり易いです。初心者の方にとっつき易い良著でオススメです。

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資本準備金は今後の事業展開において重要なポイント

資本金を資本準備金のリストに計上することで、「節税効果がある」「手続きが簡便である」「資金移動が容易である」など多くのメリットがあり、財務上も大切なポイントになります。

資本準備金は、会社発展期における資本金増強などにおいてその組み入れの源泉となるほか、会社欠損時の填補資金として取り崩せるなど極めて大切な役割を担っています。

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