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2019年09月12日

給料に対する所得税の計算方法・税率の表・扶養の扱い

所得税額は、課税所得金額に所得税率をかけたものであり、給料から所得控除を差し引いたものが課税所得金額です。所得税額から税額控除を差し引いた申告納税額を納税します。給与所得以外で損失がある場合、給料に対する所得税が減額されることがあります。

給料に対する所得税の計算方法・税率の表・扶養の扱い

所得税の計算方法

所得税額は、課税所得金額に所得税率をかけたものであり、収入金額(給料)から必要経費等を減じたものが所得金額、所得金額から所得控除を差し引いたものが課税所得金額、所得税額から税額控除を差し引いた申告納税額を納税します。

(1)収入金額-必要経費等  = 所得金額
(2)所得金額-所得控除   = 課税所得金額
(3)課税所得金額×所得税率 = 所得税額
(4)所得税額-税額控除   = 申告納税額

つまり、必要経費等と所得控除の合計額が所得税額と課税所得金額の差であり、必要経費等として評価できない分を所得控除で補償します。

給料は現金だけではない

給与は「金銭」と「金銭以外の経済的利益」の2つに分類できます。「金銭」には給与や賞与の他、諸手当や会社が負担する各種保険の掛け金、いわゆる渡切交際費は給与とみなされて(みなし給与)、給与に含まれます。「金銭以外の経済的利益」とは、たとえば「相場よりも安い社宅や寮」「会社が相場の半額より安く提供する社員食堂の食事」などが細かく定められています。交通費も月額10万円を超えた分は給与とみなされます。

必要経費等と所得控除

所得は10種類に分類されており、それぞれにおいて、必要経費が認められるかどうか、認められる場合にはどのようなものか、認められない場合には所得控除が認められるかどうかが細かく定められています。本稿では給与所得(給料)を中心に解説します。
給与所得(給料)には必要経費等は一切認められておらず、その代わりに給与所得控除が認められています。「何だ、経費は認められないのか!」ではなく経費を認めない代わりに定額の所得控除が認められているのです。
つまり、ふつうは事業収入から経費を差し引いた所得金額に税金がかかります。備品や会議費、交通費など、仕事に関連する支出であれば経費にすることができます。しかし、会社員のスーツや革靴などは経費としては認められません。これをカバーするのが「給与所得控除」です。サラリーマンの概算経費です。

損益通算とは何か

10種の所得の間では「損益通算」といって、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の損失は、他の所得から控除することができます。複数の所得の一部に赤字があった場合は、それで課税所得を調整できるということです。東京税理士会の HPに、非常にわかりやすい図があったので引用します。
ただし、不動産所得の一部の損失については、損益通算できません(注1)。また、土地などの譲渡については、損益通算ができませんが、一定の居住用財産の譲渡損失については損益通算できます(注2)。

10種類の給与所得控除

給与所得(給料)の控除項目の主なものは、「給与所得控除」「基礎控除」「社会保険料控除」「扶養控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「医療費控除」の9種類です。
ここでなかなかわかりにくい3つの言葉「扶養家族」「配偶者」「納税者と生計を一にしていること」を解説しておきます。

「控除対象配偶者」とは、「民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は非該当)」、扶養家族とは、「配偶者以外の親族、すなわち6親等内の血族及び3親等内の姻族であること」が必要でありかつ、いずれも次の3つの要件のすべてに当てはまることが必要です(わかりやすくするために、扶養家族の説明では例外的な事項は省きました)。

(1) 納税者と生計を一にしていること(下記説明ご参照)
(2) 年間の合計所得金額(給料)が38万円以下であること(給料のみの場合は給料収入が103万円以下)
(3) 青色申告者の事業専従者として給料の支払を受けておらず、白色申告者の事業専従者でもないこと。

ここで「納税者と生計を一にしていること」とは、「納税者とかならずしも日常生活を共にしている必要はなく、勤務や修学等の余暇においては常に活を共にしているか、あるいは常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われていれば扶養家族に含まれる」ということです。つまり、仕送りをしている子弟や親兄弟も扶養家族に含まれるということです。
○給与所得控除
給与収入額に応じて一定金額が控除されます。給与収入が660万円以上か660万円未満かで、適用される表が切り替わります。

○基礎控除
すべての納税者が無条件で38万円が控除されます。

○配偶者控除
納税者に所得税法上の「控除対象配偶者」がいる場合には、70歳未満の場合、最高38万円までの所得控除が受けられます。

○配偶者特別控除
配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられます。

○扶養控除
「扶養家族」にあたる者の年齢と人数に応じて控除されます。

○社会保険料控除
社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、年金加算掛金、雇用保険料)は、その全額が控除されます。

○地震保険料控除
地震保険に加入しているとき、加入額に応じて最高5万円控除されます。

○医療費控除
健康保険が適用される医療に関する医療費の自己負担額が年間10万円を超えた金額が控除されます。
所得控除は、国税である所得税と地方税である住民税で共通ですが、控除金額は異なります。次に示すのは、東京都のHPに掲載されている一覧表です。順番は若干異なりますが、最新の控除額が正確に記載されています。この金額はほぼ毎年変わると思ってよいので、最新のものを見る必要があります。

(出典:http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/kojin_ju.html#kju_6)

ふるさと納税の位置づけ

「ふるさと納税」とは、納税者が選んだ地方自治体へ寄付をすると、その寄付から2000円を減じた額がその年の所得税より還付されるとともに、翌年度の個人住民税でも控除されます。この納税に対して地方自治体からは、お米やお肉などの特産物がお礼品として提供されますが、これが実質負担金2000円で受け取れます。ただし、このメリットが享受できるのは、その寄付金が所得税や個人住民税を超えないことが必要です。また、ふるさと納税と所得税還付や住民税控除の時期に開きがあることも要注意です。

給与所得控除の金額(給料が660万円未満の場合)

給与所得控除は、給料等の収入金額が660万円未満の場合には、「所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)」によって計算します。この表は次のサイトにあります。
平成28年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(PDF/1,028KB)
全部で9ページもあるので、1頁だけ示します。この表からは、4000円刻みで定額の給与所得(給料)控除後の課税所得が得られます。
この表では、給与所得控除額を探すのではなく、収入金額(給料)から給与所得控除後の給与等の金額、すなわち課税所得金額を探します。
所得税には基礎控除額(38万円)があり、これに加えて給与所得(給料)だけの場合には最低65万円の給与所得控除があるので、控除額合計は基礎控除38万円+給与所得控除65万円=103万円となります。

給与所得控除の金額(給料が660万円以上の場合)

給与等の収入金額が660万円以上の場合はもっと簡単な表によって計算できます。給与等の収入金額が660万円以上の場合は次の表によって計算できます。

所得税額の算出

所得税額を算出するには、課税所得金額に所得税率をかけ、税額控除額を差し引いて計算します。これに提供されるのは次の「税率」と「控除額」です。

所得税額=課税所得×税率−控除額
【課税所得】        【税率】  【控除額】
195万円以下         5%   0円
195万円超330万円以下    10%   97,500円
330万円超695万円以下    20%   427,500円
695万円超900万円以下    23%   636,000円
900万円超1,800万円以下   33%   1,536,000円
1,800万円超4,000万円以下  40%   2,796,000円
4,000万円超         45%    4,796,000円

復興特別所得税

東日本大震災からの復興のための源の確保のために、所得税の納税者は、平成25年から平成49年までの期間、所得税額の2.1%の「復興特別所得税」を納める義務があります。

給料に対する源泉徴収と年末調整

会社員の方は、自ら確定申告をして所得税を納税する必要はなく、会社が給与から「所得税」を天引きして納税しており、その残額が「手取り給与」として支払われます(他に、住民税や社会保険料の本人負担分なども天引きされます)。この仕組みが「源泉徴収」です(源泉徴収については別稿で詳しく解説します)。
なお、源泉徴収で差し引かれる所得税は、1ヵ月あたりの所得税の「概算額」であり、年末調整でその年の所得税の正確な額が決まります(同時に翌年の住民税も確定します)。 この1年間で天引きされた所得税額の合計が源泉徴収票上の「源泉徴収税額」よりも多ければ、その差額分が還付され、不足分は年末の給与から差し引かれます。これが会社員の所得税納税のしくみです。

給料に対する所得税の計算と納税の流れの一例

複雑怪奇なしくみを長々と解説したので、実例を1つ紹介します。これは東京税理士会のhPに掲載されているものをわかりやすく書き直したものです。

(1)所得金額の計算

A社から年額400万円の給与をもらい、79,000円源泉徴収されると同時に、ここで社会保険料も支払っていて、その控除額が28万円であり、その会社に生命保険料を4万円申告してあるのでその分も控除されるとします。一方B社からも年額120万円の給与をもらい、42,000円源泉徴収されているとします。この納税者には配偶者はなく、家族は17歳の高校生1人と14歳の中学生1人だけの場合を計算します。
給与収入の額は、400万円+120万円=520万円であり、給与所得控除金額は、所得税法別表第五より158万円なので、給与所得金額は520万円-158万円=362万円となります。

(2)控除額と課税所得金額の計算

社会保険料等28万円と生命保険料控除4万円に加えて高校生だけが38万円の扶養控除を受けられ、さらに基礎控除38万円を加えると、控除額は108万円となります。給与所得金額362万円から控除額108万円を差し引いて課税所得金額は254万円となります。

(3)年税額の計算

課税所得金額は254万円に税率10%をかけて、税額控除97,500円を差し引くと、所得税156,500円が得られます。その2.1%の3,286円が復興特別所得税であり、合わせた159,786円が年税額です。
源泉徴収された金額は79,000円+42,000円=121,000円であり、これは所得税159,786円より少ないので、差分の38,700円(100円未満は切り捨て)を追加納税します。

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