通勤手当は課税?非課税?・通勤手当の相場と計算方法・上限

財務・資金

通勤手当は課税?非課税?

ほとんどの企業で制度化されている通勤手当。支給対象となっている方も多いと思います。その多くが非課税となっているのも嬉しいですよね。とはいえ、通勤にかかる費用はすべて非課税なのかというと、そういうわけではありません。

一般には以外と知られていない、さまざまな決まりがあるのです。どのようなものなのか、一緒に詳しく見ていきましょう!

さまざまな通勤形態に対応する通勤手当

一口に通勤と言っても、都市部では電車通勤が当たり前ですが、郊外ではむしろ車通勤が当たり前。企業によっては、車での通勤が前提のところもあります。通勤手当もこれに対応し、電車、バス、マイカー、さらには自転車まで対応しています。

通勤手当の算出方法と限度額は、電車やバスといった公共交通機関の場合と、マイカーや自転車といった場合とで異なります。これらの通勤手当については、後の項目で解説していきます。

企業側のメリット

従業員に支払う通勤手当は会社の経費となります。この分は課税されないため、節税につながります。しかし、すべての通勤手当が非課税であるわけではありません。非課税限度額というものがあるため、その点は企業側も注意が必要です。

従業員に対するメリット

通勤手当には所得税等がかかりません。会社でいう経費と同じ考え方です。こちらも同じく非課税限度額がありますが、基本的に税金がかからないのは嬉しいですよね。

非課税とならないもの

マイカー、自転車での2km未満での通勤手当は非課税となりません。また、電車通勤の場合でも、グリーン車の料金は非課税となりませんので、注意が必要です。これを知らずに通勤していると、予想していた通勤手当がもらえないということになってしまいます。

特に、マイカーで通勤している方は比較的多いと思われますので、十分に注意し、無駄な課税を避けていきましょう。

通勤手当の課税における特例とは?

「マイカーで長距離の通勤をしている人には、特例が適用される」なんてこと、聞いたことある方も多いと思います。しかし、本当にそんなことあるのでしょうか?この噂の真相を、以下で詳しく説明していきます。

マイカー通勤手当の非課税限度額の上乗せ特例の有無

マイカーなどの交通手段で通勤する人が通勤手当をもらう際にかかる課税額について、片道15km以上の人は非課税になる限度額が上乗せされる特例というものがありました。というのもこの特例、平成24年1月1日から適用されなくなってしまっているのです。

そのため、通勤手当の金額が距離比例額を超えてしまう場合は、超えた分が課税の対象になりますので、注意が必要です。

通勤手当の相場

厚生労働省の「平成27年就労条件総合調査結果」によると、1ヶ月当たりの通勤手当の金額は11462円となっています。このうち、従業員が1000人以上の企業については、13063円となっています。

通勤手当の相場はあくまで参考程度にとどめておくのが良いですが、会社からあまりにも不当な通勤手当しかもらえていないと感じる方は、一度見直しておくのが良いかもしれません。

計算方法

電車・バス通勤者の場合

経費節減のため、電車の場合は6か月定期、バスの場合は(6か月定期が無い事業者も多いため)3か月定期で購入して欲しいという経営者も多いことでしょう。

経理上は6か月定期の6分の1の通勤手当を毎月従業員に支給し、実際に従業員に支給する場合は負担にならないように6か月定期購入相当分の金額を予め支給しておくという方法が、多くの企業で行われている方法といえるでしょう。

通勤定期券などは一般的に、長い期間で一度に買えば買うほど安くなります。この点も考慮し、長いお休みがなければ6ヶ月で定期を購入することをおすすめします。

マイカー通勤者の場合

法律で定められている決まりはありませんが、あまりに低い通勤費ですと従業員の持ち出しになりますので、課税額なども考慮し適切な金額を支給したいものです。マイカーの場合は、以下のように計算すると良いでしょう。

・往復の通勤距離×月平均所定労働日数×ガソリン単価÷平均燃費

このうち、ガソリン単価は石油情報センターの「給油所小売価格調査」や総務省統計局の「小売物価統計調査」で、平均燃費は国土交通省から発表されている「自動車燃費一覧」で、それぞれ知ることができます。なお、「4-2.マイカー・自転車通勤者の上限額」で挙げる金額を超えないように設定してください。

自転車通勤者の場合

自転車通勤の場合は、最も頭を悩ませるケースだと思います。公共交通機関利用に準じて、またはマイカー通勤手当に準じて支払う、駐輪場料金相当を支払う、支給しないという方法があります。それぞれの状況に準じて、選択していきましょう。

通勤手当の上限額

平成28年の税制改正により通勤手当の上限額が引き上げられました。通勤手当の上限額は以下の通りとなっています。自分の通勤スタイルの項目をチェックしてみましょう。

電車・バス通勤者の上限額

通勤のための運賃・時間・距離等の事情を十分に考慮し、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額となります。そしてこの中には新幹線も含まれます。なお、上限額は15万円となります。

マイカー・自転車通勤者の上限額

片道の通勤距離が2キロメートル以上の場合が対象です。非課税限度額は通勤距離により異なり、その金額は以下の通りです。

2キロメートル以上、10キロメートル未満:4,200円
10キロメートル以上、15キロメートル未満:7,100円
15キロメートル以上、25キロメートル未満:12,900円
25キロメートル以上、35キロメートル未満:18,700円
35キロメートル以上、45キロメートル未満:24,400円
45キロメートル以上、55キロメートル未満:28,000円
55キロメートル以上:31,600円

なお、以前は電車やバス通勤に切り替えた場合の通勤定期代の方が高い場合はそちらを限度額として適用することができましたが、現在はこの特例は廃止されています。

電車・バスとマイカー・自転車を併用している場合

上限額は両方の金額を加算した金額、または15万円のどちらか低い額となります。

実運用での上限額

厚生労働省が発表している「平成21年就労条件総合調査結果」によると、通勤手当の限度額を10万円とする企業が49.4%、次いで5万円とする企業が31.2%となっています。

実務上では、電車・バス通勤の場合、最も安価なルートで通勤手当を支払う企業も多いようですが、直通列車が運行されている等の場合は最安でないルートが、また大幅な時間短縮が認められる場合は新幹線の利用が認められることもあります。

高速道路の扱い

税法上の扱い

税法上では、「4-1.電車・バス通勤者の上限額」と同様の扱いとなります。

実運用上の扱い

高速道路代を通勤手当として支給することは経費の増大になりますから、支給は難しいようです。国家公務員の場合は、条件つきで支払われる場合が多いようですが、一般的な企業に勤めている方に支給されることは厳しいと言えるでしょう。国家公務員が高速道路における通勤手当を受け取るには、以下の両方の条件を満たす必要があります。

・通勤距離が一般道路使用で60km以上または公共交通機関での通勤時間が90分以上、かつ始業1時間前までに到着できない場合または終業後1時間以内に自宅への終電が出発する場合

・高速道路を使用することで通勤通勤時間が片道30分以上短縮されること

国家公務員であっても、必ずしも通勤手当を受け取れるわけではないので、これから国家公務員を目指したいと思っている方は把握しておきましょう。

通勤手当について一度確認するのがおすすめ

今回は主に、通勤手当の非課税制度や一般的な相場などを中心に紹介していきました。しかし、これらはあくまでも一般的なものであって、あなたの勤める企業ではどのようなルールが適用されているかは分かりません。

どの企業も、課税についてはほとんど変わりないはずですが、支給額に関する細かい決まりはそれぞれ違うため、今一度、自分の会社のルールを確認しておくことをおすすめします。

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