「出張手当」相場・課税?/非課税?・手当が出ないときの対処法

財務・資金

一般的な出張手当の相場とは

一般的に、宿泊を伴う出張の場合、その宿泊手当の相場は一般社員で2,000円前後だといわれています。また、日帰りの場合には1,000円という場合が多いようです。会社の規模によっても異なりますが、およそこのあたりが相場です。

出張手当として規定されているのは、一日ごとに支給される額で、「一泊二日の出張であれば4,000円」「二泊三日の出張であれば6,000円」と、日数分支給されます。

役職別にみる出張手当の相場とは

同じ企業でも、役職によって出張手当には差があります。役職別に出張手当の相場を見てみましょう。
・社長などの代表役員:4,500円~6,000円
・役員:4,000~4,500円
・部長、課長などの管理職:3,000円前後
・一般社員、係長など:2,000円前後
ほとんどの企業では、2,000円~5,000円の範囲で、役職によって出張手当に差をつけているのが一般的です。

海外出張での出張手当の相場はどのくらい?

海外出張などの遠出の場合には、国内出張とは別規定で出張手当の額が決まっていることが多いです。もちろん、国内の出張手当よりも金額は高めに設定されています。
社長クラス:7,000円~7,500円程度
役員・部長・課長クラス:5,000円~5,500円程度
一般社員:一日当たり4,500円~5,000円

海外出張の場合、出張地域によっても出張手当に差がつけられていることがあります。中国や韓国、台湾などの比較的近いアジア地域が最も低く、北米やロシア、ヨーロッパなどになると高くなる傾向があるようです。また、国内であっても、長期滞在の場合には、出張手当が減額されることがあります。

例えば、同じ地域に3週間以上滞在する場合、日当の支給額が「通常の80%」になるなどの規定もあります。一般的な出張手当の相場は、2015年度産労総合研修所調査による出張手当の相場を参照してみてください。

なぜ長期滞在で出張手当は減額されるのか

なぜ長期滞在で出張手当は減額されるのかでしょうか。滞在が長期に及んでも、3週間もすれば現地での生活に慣れてきて、ある程度金銭的にもうまくやりくりできるようになり、精神的・肉体的負担も軽減されてきます。このように、出張という慰労の意味合いが薄れてくることが、大きな減額の理由といわれています。

出張手当は課税?それとも非課税?

一般的に出張手当は非課税となり、所得税、住民税、社会保険料などの計算からは控除されます。参考までに、国税庁のホームページに記載されている文章を抜粋しました。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6459.htm

上記に定めるように、出張に対して支給した旅費、宿泊費、日当については通常必要であると認められる部分の金額は非課税となります。文章内の課税仕入れとは、消費税の計算上、課税売上げから控除される仕入金額のことです。

出張旅費規定がないと、出張手当を非課税にできない!?

出張手当が非課税となるのは前項で紹介しました。ただ、国税庁の抜粋文章に記載があるように、「通常必要であると認められる部分の金額」と明記がある点に注意が必要です。通常必要であるというのは、会社として定めた規定に則っているかという点と、規定に則っていたとしても、その規定が「通常必要であると認められる部分」の金額になっているかという点がポイントです。

よって、まず出張旅費規程が作成されていないとこれらの判断すらできないことになります。もし、出張旅費規程を作成していない場合はすぐに作成するようにしましょう。

出張手当、いくらまでなら非課税にできる?

出張手当は、いくらまで非課税にできるのでしょうか?ここからは、具体的な例を用いて詳しく解説していきます。

宿泊費用の限度額を決めよう

例)「出張による1泊あたりの宿泊費の限度額・役員 10,000円・管理職 9,000円・一般社員 8,000円」また、宿泊費用の金額設定については明確な基準がありませんので、常識範囲内と判断できる費用を設定するようにしてください。

日当の計算方法を決めよう

日当は1日につき次に定める金額とし、出発の日から帰着までの日数によって計算する・役員 3,000円・管理職 2,500円・一般社員 2,000円※日当の金額設定については、国税庁が日当の上限を公表していませんので「社会通念上の常識範囲」という見解で金額を設定するようにしてください。

出張手当をうまく活用して節税しよう

「通常必要であると認められる部分の金額」とある出張手当。所得税基本通達9-3によると、「(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。」と明記されています。

このようなことから、前項で紹介した産労総合研修所調査の一般的な出張手当が妥当な金額ラインということになりそうです。国内日帰り出張の場合、「・部長クラス 2,497円・一般社員 2,041円」で、国内宿泊出張の場合、「・部長クラス 2,809円・一般社員 2,276円」この金額が一般的な相場となり、これら金額の上下20%くらいまでが通常認められる金額になるのではないでしょうか。

会社勤めの一般的なサラリーマンであろうと、会社を経営する社長であろうと、出張手当は一般的な基準をもとにした金額であれば非課税でした。会社を経営する社長だからと、法外な出張手当を受け取っていたとしたら、課税対象にされてしまう可能性がありそうですね。抜け道があるような制度でもないので、真っ当な旅費規程をまずは作り、旅費規程にきっちりと則って、規定通りの出張手当の支給を受けるようにしましょう。

出張しても手当が出ないときの対処法

出張日当の支給は移動距離によって決める出張日当は、それ単体で支給するしないという判断をせず、「日帰り出張」「宿泊出張」という区分の中で、それぞれの出張とはどのようなことかを定義し、それぞれに対して支給額を決めているケースが大半のようです。

例えば、「日帰り出張は会社から片道100kmを超える移動距離を言い、これに該当する出張には1日当たり2000円の出張日当を支給する」などと定義して支給しているケースです。調べた中では、宿泊出張の場合は、日当を日帰り出張よりも多く設定している場合がほとんどです。

そして、2015年度産労総合研修所調査によると、「日帰り出張で日当を支給している企業は91.4%」「宿泊出張に日当を支給している企業は92%」です。このことから、日本の多くの企業では日帰り、宿泊出張には日当を支給しているようです。出張日当が支給されない場合は、会社の旅費規程の日帰り出張、宿泊出張に該当しない移動がそれにあたるということですね。

自宅からは100kmだけど、会社からは100km以内の場合、出張手当・日当はでる?

100km以上の移動を出張としている場合、会社から100kmが基本にはなると思いますが、自宅からの直行と言うケースもあります。この場合、一般的に100kmはどこからを基軸として扱われ、自宅から100kmでも出張日当はでるのでしょうか。上記のケースで言うと、一般的に出張日当はでない企業が多そうです。

自宅から直行の場合、自宅最寄駅もしくは会社最寄駅から出張先が近い方を距離計算する規定が多いようです。そのため、自宅からは100kmでも会社から100km以内の場合、出張日当は出ないケースが多いということになります。ただ、これも会社の旅費規程によって異なるので、自社の旅費規程を改めて見直してみてください。この距離を50kmなどと規定している場合、出張日当をもらえるケースが多いかもしれませんね。

出張手当は会社規定による

旅費規定によって様々ですが、出張日当が支給されるかされないかは、移動の距離とどこから移動するか課税対象かという点が重要のようでした。多くの会社では、きっちりと旅費規程を定めているので、この規定に則って出張日当がもらえるケースを把握しておきましょう。出張日当を申請できたのにし忘れていたなんて勿体ない話ですからね。

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