確定申告の際の消費税の計算方法
確定申告の際の消費税の課税方法は2種類あります。
原則課税
実際の売上・仕入・経費などの数字より納める消費税 売上(消費税課税分)8%-仕入・経費など(消費税課税分)×8%=納める消費税額
簡易課税
みなし仕入率により実際の仕入・経費などの数字と異なる 売上(消費税課税分)×8%-売上(消費税課税分)×みなし仕入率(90%・80%・70%・60%・50%)×8%=納める消費税額 ※簡易課税制度を選択していない場合は、すべて原則課税となります。
確定申告の際の消費税の計算方法
確定申告の際に知っておきたいのが簡易課税制度です。
簡易課税制度を選択した場合には、実際に掛かった仕入・経費などに変えて「みなし仕入率」を使って仕入控除税額を計算することになります。
この「みなし仕入率」は業種により割合が変わってきます。
1.第一種事業 卸売業 → みなし仕入率90%
2.第二種事業 小卸売業 → みなし仕入率80%
3.第三種事業 建設業・製造業など → みなし仕入率70%
4.第四種事業 飲食業 → みなし仕入率60%
5.第五種事業 サービス業、金融保険業 → みなし仕入率50%
6.第六種事業 不動産業 → みなし仕入率40%
(注)平成31年10月1日から10%に引き上げられる予定です。
確定申告で消費税の課税事業者になる判定基準は?
新規事業主・個人事業者の場合
●課税事業者・・・前々年(2年前)の課税売上高が1,000万円超
●免税事業者・・・前々年(2年前)の課税売上高が1,000万円以下または特定期間の課税売上高又は給与等支払額のいずれか低い方の金額が1,000万円を超える場合
法人の場合
●課税事業者・・・前々期(2年前の事業年度)の課税売上高が1,000万円超
●免税事業者・・・前々期(2年前の事業年度)の課税売上高が1,000万円以下
個人事業主は消費税を支払う必要がある?
個人事業者は消費税増税前が法人設立のチャンス 個人事業主から法人にした場合1期目、2期目は免税事業者となるので消費税の納税義務は発生しません。(資本金、売上高、給与等によって条件は変わります) つまり、法人成りをすることで2年間分の消費税をまるまる節税できるのです。
節税金額を具体例でみてみましょう。
課税売上高 5,000万円
課税仕入高 3,000万円
差引 2,000万円
税率 8 %
消費税額 160万円
160万円の2年分なので160万円×2年=320万円の節税、 消費税率が10%に上がった場合ですと2年間で400万円もの節税となります。(あくまで上記例の場合)
確定申告と消費税の納付期限
個人事業者:1月~12月の暦年ごとに納税額を計算 消費税の確定申告と納税:毎年3月末まで 会社・・・事業年度ごとにその事業年度終了の日の翌日から2か月以内 納税先・・・所轄税務署
確定申告や納付回数が1回では済まない場合
納める消費税額によっては、確定申告や納付回数が1回では済まない場合もあります。 消費税の中間納付・中間申告が必要なのは前年の納税額が48万円以上の人です。 個人事業主にとっての消費税に関して、注意すべき点として確定申告の中の「中間申告・中間納付」というものがあります。
中間申告 とは前年の納税額に応じて年度途中に納税の必要が発生 (一般的に、前年納税額の半額が納付予定額) ・48万円以下であれば、中間申告は不要(直前の課税期間の確定消費税額) メリットとしては年度途中に複数回に分けて申告することで事業者の負担が軽減されます。 また、直前の課税期間の確定消費税額が48万円以下であっても、年度末にまとめて申告納付するのは負担が大きいと感じるのであれば、自主的に6月中間申告書を提出することができます。 直前の課税期間の確定消費税額によって申告回数や時期が異なります。
・48万円以下…中間申告不要
・48万円超え400万円以下…年1回の中間申告
・400万円超え4800万円以下…年3回の中間申告
・4800万円超え…年11回の中間申告
もちろん分納という形式なのため、1回毎の申告納付額は、期間に見合った額となります。直前の確定消費税額が100万円だった場合の中間納付額は50万円となります。
消費税がかからない取引にはどんなものがあるの
基本的に取引のほとんどが消費税の課税対象
課税取引
・国内での卸売
・小売販売
・国内でのサービス提供、飲食業
・国内での建設・製造業 ・診療報酬(自由診療分)
・事務所・倉庫等の賃貸料
・礼金・更新料収入
・駐車場(青空駐車場を除く)の賃貸料収入
・賃貸期間1ヶ月未満の居住用家屋賃貸料収入、土地賃貸料収入
・車両、備品等の売却収入
個人事業者の消費税がかからない取引
免税取引
・日本から海外への輸出売上
・輸出物品販売場での売上
・海外の居住者
・法人へのサービス提供(国内での飲食・宿泊等を除く)
*反対に輸入品には消費税がかかります。
非課税取引
・土地の売却
・物品切手(商品券、プリペイドカード等)の売上
・有価証券の売却
・利息の受取
・診療報酬(社会保険分)
・居住用家屋の賃貸料
・礼金・更新料収入(賃貸期間1ヶ月以上)
不課税取引
・海外で行った公演の売上
・配当金の受取
・保険金の受取
・損害賠償金の受取
・寄付金、お祝金、香典等の受取
・税金の還付金
・補助金、助成金の受取 債務免除益
・敷金、保証金の受取(返却分)
・借入金の入金
消費税にかかわる届け出書類一覧とその役割
消費税課税事業者届出書とは ※個人事業主の平成26年の事業年度(1/1〜12/31)を基準に説明していきます。
消費税課税事業者届出書(基準期間用)
例)平成24年の課税売上高が1,000万円を超えた 売上高が1,000万円を超えた時点で、平成26年からは課税事業者となることが確定されますので、分かった時点で届出書を提出します。
消費税課税事業者届出書(特定期間用)
例)平成25年の1/1〜6/30の特定期間の課税売上高が1,000万円以上になった 特定期間の課税売上高が1,000万円以上になったことが分かった時点で提出します。
特定期間とはその事業年度の前事業年度開始の日以後、6月の期間
・個人事業主・・・前年1月1日から6月30日まで
・法人・・・・・・①設立1期目が7ヶ月以下の場合
②設立1期目が7ヶ月超の場合(設立日から6ヶ月の期間が特定期間)
例)前年4月15日設立で、期末が12月31日月中に設立した場合の特定期間は 前年4月15日から10月14日が特定期間ではなく、10月14日の前月末日の9月30日まで(前事業年度の期首から6ヶ月)となります。 法人の場合、設立1期目の事業年度を7ヶ月以下にする、または、平成24年設立の場合、平成24年12月30日以前の日付を期末とすることで、設立2期目も免税事業者となることができます。(改正法令の適用が平成25年1月1日以後の開始事業年度からであるため)
消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書
基準期間の課税売上高が1,000万円以下となり、免税事業者となる場合に提出します。
消費税簡易課税制度選択届出書
簡易課税制度を利用するときに、適用課税期間の開始日の前日までに提出します。 平成27年事業年度から簡易課税制度に移行したい場合は、前日の平成26年12/31までに提出します。
平成27年4月からみなし仕入れ率に第6種が新設されますので、適用を受けたいのであれば平成26年の12/31までに消費税簡易課税制度選択届出書を提出します。 また簡易課税の適用をやめたいと思ったときには「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しますが、簡易課税制度には2年縛りがありますので、2年経過しないと不適用届出書は受理されません。
個人事業主に関わる消費税以外の税金
所得税
経営者自身の所得にかかる国の税金が所得税です。もっと詳しくいえば、収入から経費や控除額を差し引いた「所得」にかかってきます。 2月16日~3月15日の間に、前年分の所得を確定申告して税額を納めなければなりません。
住民税
自治体から受ける各種行政サービスは、主に住民税でまかなわれています。住民税には、市区町村が課税する「市町村民税」と、都道府県が課税する「道府県民税」があり、所得に応じて課税される所得割と、所得にかかわらず均等に負担する均等割の2つがあります。 なお、住民税の申告については、所得税の確定申告書を提出していればとくに必要ありません。
事業税
事業税とは、事業を行なっている場合に課税される都道府県税です。事務所や店舗などがある都道府県に納付します。 事業税の申告についても、確定申告書を税務署に提出すれば、あとから納付書が自治体から送られてくるためとくに必要ありません。
国民健康保険税
所得額によって国民健康保険税も変わってきます。事業主にとっては、事業税や住民税よりも重い負担になることもあります。
固定資産税
土地、建物にかかる税金です。申告は不要で、市区町村から納付書が送られてきます。2・4・7・12月の4回で分納します。
償却資産税
償却資産税とは固定資産税の一種で、1個または1組の金額が10万円以上の機械、器具にかかります。1月31日までに償却資産の所在する市区町村に申告する必要があります。
確定申告と個人事業主の消費税を正しく理解しよう
いかがでしたか?確定申告に関わる税金のことをお伝えしてきましたがごりかいいただけましたでしょうか?確定申告は個人事業主でも必要となる手続きで、確定申告をしっかりとこなさないと税務署から怒られてしまいます。しっかり日頃から税率の変化に対応できる経営をしていくことが大切です。