住民税の所得割額とは+住民税の所得割額の計算方法+年収と住民税の所得割額の関係+ふるさと納税の場合の住民税所得割額
住民税の所得割額とは
住民税とは賦課期日(1月1日)において、都道府県、市区町村に住所等を有している場合において、課される税金です。住民税は、均等割、所得割、利子割、配当割、株式等譲渡所得割というふうに様々な種類によって課税されています。この中でも、住民税所得割額というのは、前年の所得によって課される住民税となります。住民税所得割額は所得税法に関する法令に基づいて課税されることとなります。
住民税の所得割額の計算方法
住民税所得割額の具体的な計算方法はどのように行うかというと、まずは前年の課税標準を算出します。課税標準とは所得税法のルールに基づき、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得と10個の所得によって計算される所得(儲け)の合計を言います。この中でも住民税所得割額に使用されるものとされないものがあり、退職所得や土地や建物、株式などの譲渡所得は住民税所得割額の計算の基礎としては使用されません。これら以外の金額の合計を出し、総所得金額を算出し、そこから、所得控除などを差し引き、最終的に住民税所得割額を算出します。
年収と住民税の所得割額の関係
年収が高ければ高いほど、当然、住民税所得割額というのは高くなります。住民税所得割額は所得の金額によって変動するため、年収が高い人は高い金額を納め、低い人は低い金額を納めるということとなります。
例えば、サラリーマンの年収が500万円だとした場合、給与所得控除で約154万円控除され、給与所得は346万円となります。そこから社会保険料控除や基礎控除が引かれます。独身、扶養家族無し、社会保険料控除と基礎控除以外の所得控除が無い人ですと、約14パーセントですので、70万円が控除され、さらに基礎控除として33万円が控除されます。最終的な課税所得金額は243万円となり、ここから住民税10パーセント(道府県民税4パーセント、市町村民税6パーセント)が課さられることとなります。よって、243万円の10パーセントである24.3万円が住民税所得割額となります。
ふるさと納税の場合の住民税所得割額
最近話題のふるさと納税を行った場合の住民税所得割額がどうなるかというと、住民税所得割額には寄付金控除という制度があるため、地方公共団体への寄付という形になり、住民税所得割額が軽減されます。寄付金控除は寄付した金額の2000円を超える部分が直接住民税所得割額から控除されます。つまり1万円を寄付すれば、8000円は税金が緩和されることとなります。
ふるさと納税というのは、実質2000円で豪華商品がもらえるというのはこういった意味合いがあるのです。さらにふるさと納税制度は住民税所得割額の控除の特例があり、さらにそこから税金が軽減されるという仕組みがあります。住民税所得割額を多く支払う人にとってはふるさと納税制度というのは、節税にうってつけの制度なのです。
住民税所得割額の非課税対象者
住民税所得割額はすべての日本国民に課税されるかというとそうではありません。非課税となる対象者もいます。住民税所得割額の非課税となる対象者というのは、下記の計算に当てはまる者をいいます。
その年の前年の所得について算定した総所得金額の課税標準の合計額〈=35万円×(控除対象配偶者+控除対象扶養親族の数+1)+32万円
前述の給与年収500万円の所得金額は346万円でした。この場合において、住民税所得割額が非課税になるのは、控除対象配偶者と控除対象扶養親族が合計で8名いれば、35万円×8+32万円=347万円となり、上記の式に当てはまる対象となります。よって、住民税所得割額は非課税となります。しかしながら、控除対象配偶者と控除対象扶養親族が合計で8名いるというのは、現実的にはなかなか難しい数字です。それなりの稼ぎがあるのであれば、住民税所得割額は課税されるという見解が正しいと言えるでしょう。
住民税所得割額の所得控除
住民税所得割額は総所得金額から所得控除を控除した課税総所得金額に課せられることとなります。では、所得控除がどういったものがあるかというと、多額の医療費を使用した際の医療費控除や生命保険料を支払った場合の生命保険料控除、控除対象配偶者がいる場合の配偶者控除、控除対象扶養親族がいる場合の扶養控除など、住民税所得割額は基本的には所得税と同じ内容の控除となります。
しかしながら、所得税と少し違うところもあり、例えば所得税は配偶者控除や扶養控除、基礎控除が38万円ですが、住民税所得割額の場合は33万円となります。つまり少し住民税の方が控除額が少ないのです。ですので、よく言われるのが、所得税の非課税は103万円、住民税所得割額の非課税は100万円ということですが、住民税の非課税の点が少し低いのは、上記のように所得控除が低めに設定してあるからとなります。
住民税所得割額の調整控除
上記にあるとおり、住民税所得割額は所得税に比べて、人的控除の金額が少なくなっています。実は、これらの差を調整する仕組みが住民税所得割額にはあり、それは調整控除と呼ばれています。実際に調整控除がどのように行われているかというと、まず、課税所得金額が200万円以下であるか200万円超かによって分けられます。
200万円以下の場合は下記のとおりに調整されます。
1 5万円+人的控除の差の合計額
2 住民税所得割額の合計課税所得金額
1と2のいずれか小さい方の5パーセントが住民税所得割額から控除されます。
200万円超の場合は下記のとおりに調整されます。
1 5万円+人的控除の差の合計額-(住民税所得割額の合計課税所得金額-200万円)
2 5万円
1と2のいずれか大きい方の5パーセントが住民税所得割額から控除されます。
住民税所得割額の他の税額控除
住民税所得割額から税額が直接控除される制度はふるさと納税の寄付金や上記の調整控除以外にもまだあります。配当金を受け取った際の配当控除であったり、住宅を購入し、ローンを組んだ際の借入金がある場合の住宅借入金等特別税額控除、外国税額控除などがあります。この中でも、住宅借入金等特別控除はマイホームを購入する人や購入する予定の人にとっては、身近な税額控除と言えるでしょう。
住民税所得割額の税率
住民税所得割額の税率は標準の税率としては、10パーセント(道府県民税4パーセント、市町村民税6パーセント)となっています。しかしながら、住民税所得割額というのは国税ではなく、地方税ですので、地方自治体によってはこの税率を変更することができます。例えば名古屋市であれば、市町村民税は5.7パーセントと低めに設定をされていますが、北海道の夕張市は市町村民税6.5パーセントと高めの設定にされています。これは各地方自治体の財政状態などを考慮して各地方自治体が決めていますが、市町村民税が6パーセントを超える自治体というのは、この夕張市と兵庫県豊岡市(6.1パーセント)の2つの団体だけとなっており、道府県民税で見ても、神奈川県が4.025パーセントとわずかに4パーセントを超えているだけとなっています。
ほとんどの都道府県、市町村は標準税率の6パーセント、4パーセントを使用していますが、こういった超過している自治体や過少となっている自治体もあります。住民税所得割額の税率が少ないということは、それだけ地方自治体の財政に余裕があるということと同時に地方自治体にとっては良いアピールポイントにもなるのです。
住民税所得割額の普通徴収と特別徴収
住民税所得割額の徴収方法は普通徴収と特別徴収があります。企業から給与をもらって働いているサラリーマンの方であれば、給与明細に毎月天引きされている住民税がある場合、それは特別徴収となります。逆に天引きがされておらず、地方自治体から納付書が自宅に届くケースがあります。こちらは普通徴収となり、1年分を一括で支払うこともできますし、4回に分けて支払うこともできます。