総支給額とは
総支給額について
総支給額は基本給に残業代、その他の手当てを合計した賃金になります。固定給の場合は固定給に残業代を足した合計が総支給額になります。そして固定給+歩合制の契約の場合は固定給に残業代と歩合給が足されることになります。
基本給について
基本給は基本的な賃金部分となります。賞与や退職金などはこの基本給がもととなり計算されています。そのため基本給が多い場合は残業代、賞与、退職金も高くなります。昇給の幅も広がります。
残業代について
残業代は 時間外労働手当てともいい、所定勤務時間以外に労働した時間分の賃金のことです。時間外労働手当ての中には超過勤務手当てに当たる部分もあります。超過勤務手当には深夜割増賃金、休日割増賃金などがあります。固定給の場合についての残業代ですが通常は固定給と別に残業代として手当がつくことが多いです。しかし、固定残業代・みなし残業代となっていた場合は残業代が固定給の中に含まれているということになりますので、固定給と別に残業代がつくということはありません。
その他の手当て(諸手当)について
その他の手当てには資格手当や住宅関連手当、出張手当などがあります。
<資格手当>
業務上必要な資格を取る場合や持っているときなどに出る手当のことです。
<住宅関連手当>
企業に、住宅に関する補助がある場合に出る手当のことです。
<出張手当>
出張する際、出張した際にもらえる手当です。企業によって支給する手当が違います。その他結婚手当や交通費などがあります。
総支給額と手取り
総支給額と手取りの違い
総支給額が基本給や残業代、諸手当が含まれた総賃金であるのに対し、手取りは総支給額から控除の金額を引いた実際に入ってくる金額になります。そのため総支給額よりも手取り賃金の金額の方が少ない金額となります。総支給額から引かれる控除には大きく分けて税金にあたる部分と、社会保険料のあたる部分があります。控除とは総支給額の税金の対象になる部分からあらかじめ引かれてしまう金額のことです。
控除される税金と社会保険料
控除される税金には所得税と住民税があります。
<所得税>
個人の所得に対して課せられる国税です。
<住民税>
都道府県や市町村区の住民で所得のある人に課せられる地方税であり、前年の所得に対して課せらる税金です。そのため前年の所得分の税金が現在の年の6月から次の年の5月までの賃金から引かれるようになります。社会保険には健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険などがあります。
<健康保険>
雇用される労働者を被保険者とする医療保険です。業務外での疾病、負傷、死亡、分娩などについて給付します。家族に対しても同様です。
<介護保険>
40才になると被保険者として介護保険に加入します。そして保険料が引かれるようになります。高齢者などの介護を公的に保障するためのものです。
<厚生年金>
保険料は事業主と被保険者が半分づつ負担します。厚生年金保険に加入している保険者が 老齢、病気、怪我などで動けなくなったときや死亡、退職したときなどに支払われる年金のことをいいます。
<雇用保険>
事業主と労働者が加入します。失業時に失業給付を受けとることができます。ほかにも労働組合のある会社の場合労働組合費などが控除されることがあります。
手取りの計算方法
手取りの計算方法
手取り金額は総支給額から控除額(社会保険料と税金)を引いた残りの金額になります。
控除される税金と社会保険料の割合
<所得税>
給与によって5%~45%と税率に幅があります。
<住民税>
前年の給料の10%になります。内訳は市町村民税が6%、都道府県民税が4%になります。
<健康保険料と介護保険料>
40歳未満の方の場合、給料の10.22%分になります。給料に10.22%をかけた金額が控除される健康保険になり、40歳以上の方の場合は給料の11.87%分になります。11.87%をかけた金額になります。この11.87%の内訳は10.22が健康保険料、1.65%が介護保険料になります。企業と本人で半分づつ負担になりますので10.22%かけた金額、11.87%をかけた金額の半分が自己負担分になり総支給額から引かれます。
<厚生年金>
現在は給料の18.182%です。そのため18.182%をかけた金額が厚生年金料になります。こちらも企業と半分ずつの負担になりますので実際は9.091%をかけた金額が総支給額から引かれます。平成29年9月までに18.3%まで上がることになっています。
<雇用保険>
29年度は割合が少し引き下がりました。労働者が0.3%、企業が0.6%の合計0.9%になります。自己負担分を計算するには給料に0.3%をかけると雇用保険料が分かります。
以上の割合をもとに、総支給額から引かれる税金や社会保険料のおおまかな金額がわかるようになると思います。ですが、扶養家族の有無やその他条件が人それぞれ違いますので 計算上の金額と実際の金額は同じではないと考えます。一般的には総支給額に0.8をかけると おおよその手取り金額がでると言われています。上記の割合を足すと0.3以上になっていしまい、一般にいわれている0.8かけるのとは違ってしまうように感じますが、その人の給料ごとによって足したり引いたりする金額があるため、そのようなことが生じてしまうのです。
交通費は含まれる?
総支給額でみた場合
総支給額は基本給に諸手当、残業代が含まれていますので交通費もこの諸手当になると考えられます。
社会保険で年収申告するか、税金として年収申告するかで違う
社会保険で年収申告する場合は交通費は全額含めた金額をいいます。税金計算、確定申告などの場合は、交通費が非課税になる部分については含まれません。非課税になる部分は所得税法で最大10万円までは非課税扱いになりますので、月10万円までの通勤手当については申告しなくても大丈夫です。通勤費が月10万円越える部分においては、課税対象になりますので申告が必要になります。給与と通勤費に区別のない勤務の場合は、全額申請対象になります。
総支給額別の手取り目安(15~50万)
手取り金額は 総支給額×0.8(60万円以上の場合は0.75)
総支給額の手取りの目安を知りたい場合の目安として 総支給額に0.8(0.75)をかけるとおおまかな手取り金額がわかると言われています。おおまかな手取り金額というのは、扶養控除など、その人の立場によって引かれる金額が違ってきますので、総支給額が同じだからといって手取り金額が同じとは限らないからです。総支給額が60万円未満の場合は0.8をかけます。60万以上の場合は0.75をかけた金額が手取りに近い金額だといわれます。それぞれの金額に単純に0.8をかけた金額です。
15万円 12万円
20万円 16万円
25万円 20万円
30万円 24万円
35万円 28万円
40万円 32万円
45万円 36万円
50万円 40万円
となります。
給料についてはしっかり知っておこう
総支給額だけでは実際の正確な手取額まではわかりません。そのため、就職するときや、転職するときは総支給額のみで比べるのではなく、基本給や手当てがどうなっているかを確認し、自分にあっている会社がどこなのかを判断することが必要です。
給料に含まれる諸手当や残業代、給料から引かれる社会保険料や税金などについても、よく分からなくて何となく避けてしまいたくなるかもしれません。税率もその年毎に変わることもあり、ますます敬遠しがちです。ですが、自分や家族の生活に関わることにもなりますので、少しでも知っておくといいかもしれません。
参考・参照ブログ
www.whlw.go.jp 雇用保険料率について/厚生労働省