総務とは
総務とは、会社などの組織の中で必要となる、全体の事務に関する業務のことです。会社組織で言えば、従業員の給与関係や健康管理、来客・顧客の受付など、会社の規模に関わらず大事な仕事のことです。
総務の業務は、備品・消耗品などの管理、福利厚生業務、ホームページの管理、会社行事、情報セキュリティの整備、イベント業務など多岐にわたります。会社のさまざまなな業務を担当する総務は、何でも屋さん的な存在と言えます。
総務の会社の立場
従業員の住宅手当・家賃補助、メンタルヘルスケア、保養所・レクリエーションなどの福利厚生などの従業員が安心して会社で働けるようなサポート業務が多く、会社と従業員を円滑につなぐための架け橋的な立場にあるのが総務です。
また、総務は営業・生産・研究などさまざまなな部署と関わることが多くなります。そのため、会社が目指している目標を達成するために、各部署の従業員をひとつにまとめるといった役割も担っています。
丸分かり!総務の主な仕事内容23個
ここからは、会社組織の総務の主な仕事内容について説明します。総務の主な仕事内容は、文書や印章、固定資産・備品、消耗品などの管理・保安・防災業務・情報セキュリティの整備・受付業務・福利厚生業務・安全衛生管理などあります。
さらに、ホームページの管理業務・株主総会・取締役会業務・社会貢献活動・契約、契約書管理・官公庁との渉外・業務委託管理・リスクマネジメント・社葬の実施なども総務の仕事です。
1:文書や印章、固定資産・備品、消耗品などの管理
文書や印章、固定資産・備品、消耗品などの管理の仕事内容について説明します。総務が管理する文章には、指示・命令・報告・連絡の文章と議事録などの記録があります。印章の管理は代表者印・役職者印・社印・銀行印です。
固定資産の管理は、固定資産管理台帳に記載されているものが実際に会社内にあるかをチェックする仕事で、備品、消耗品の管理は、文房具・オフィス用机・椅子などを予算と照らし合わせながら購入することです。
2:保安・防災業務
保安・防災業務について説明します。総務の仕事である保安とは、会社に有害になる人の入場規制などの警備や会社の文章の漏洩・紛失、PCのウィルス管理などのセキュリティのことを指します。防災業務は、地震・火災などの災害を想定したガイドラインの作成と防災訓練の実施です。
従業員の数が多い会社は、会社内に消防車を置いていることもあり、そのような場合は総務が管理することになります。
3:情報セキュリティの整備
総務に於ける情報セキュリティの整備は、ウイルス汚染を防止するための対策ソフトの導入や、ウイルス汚染した端末の処置、USBの持ち出しや紛失の管理などが主な仕事です。
また、「会社の情報の漏洩を防ぐために情報は持ち出さない」「USBなどの情報アイテムを安易に放置せず、外からの持込みも禁止」「USB保管庫に鍵をかける」「情報を外で話さない」などの情報セキュリティを保つためのルール作りも総務の仕事です。
4:受付業務
総務の受付業務は、顧客・来客の案内が主な仕事です。取引先の顧客は、会社にとって大変大事な人です。その業務を行うのも総務の仕事になります。また、初めて会社を見学に訪れた来客への対応は、会社の第一印象をよく見せるための重要な業務です。
また、受付業務には、単に顧客・来客の受付や応接室に案内したりすることだけではなく、コーヒーを入れたり、弁当の手配をしたりすることも含まれます。
5:福利厚生業務
総務の福利厚生業務は、雇用保険・健康保険・労災保険・厚生年金などの保険関係と、住宅手当・文化・レクリエーション・家族手当などに分かれます。また、自己啓発活動への支援、レジャー・スポーツなどの施設利用の案内と補助も福利厚生業務に入ります。
さらに、結婚・出産・入学の祝い金の支給や、家族の病気や不幸による見舞金の支給も総務が関わる福利厚生業務です。
6:安全衛生管理
総務の安全衛生管理は、故意・過失によって他人の権利を侵害することで起こる損害賠償、労働安全衛生法違反といった、会社の社会的な信用を低下させる事案が発生しないように管理することです。
総務の安全衛生管理によって、従業員は安心して働くことができ、仕事に集中しやすくなります。また、生産性の向上、災害発生の抑制によって、コストの削減にもつながります。そのため、安全ポテンシャルの指摘の活動が重要です。
7:従業員の健康管理
従業員の健康管理は、従業員と会社の良好な関係を保つために大事な仕事です。健康管理は、定期的な健康診断の実施や人間ドックの受診の案内と管理、ストレスチェックなどの実施による心のケアなどが主な仕事です。
また、会社にもよりますが、会社内に診療所を設けて、残業が多い人、上司との関係で悩んでいる人などを定期的に診察したり、カウンセリングしたりすることも健康管理の業務になります。
8:社内外の慶弔業務
総務の社内外の慶弔業務は、慶弔業務のルール作りとお金の配布です。社内の慶弔業務には、本人と子供の結婚祝い・出産祝い、怪我や病気の見舞い、災害時の見舞い、本人と家族の不幸による弔慰金などの慶弔業務のルール作りとお金の配布があります。
社外弔事の場合は、会社との関わり方でランクを決めておくことが大事です。ランクに応じて見舞い金やお祝い金の額がわかるようにしておくなどのルール作りも重要な総務の仕事です。
9:社葬の実施
総務は、社葬について定義を決める必要があります。どのランクの人、あるいは会社にどれほど貢献をした人を社葬にするのかを決めることです。具体的には、実施の決定者は誰にするのか、費用はいくらにするのか、葬儀委員長の選択方法などのルール作りのことを指します。
10:秘書業務
会社の秘書業務は、上司のスケジュールを管理するのが主な仕事です。他社に訪問する際の日程調整などのアポイント、会議室の確保、出張の際のキップや宿の手配、講演会や学会などの社外イベントの資料作成の手伝いなどがあります。
会議などで使用した不要な資料の破棄や、残す資料のファイリングなどの管理、上司に届く社内・社外からの郵便物の投函や仕分けなどの管理、来客への案内と弁当などの手配も秘書業務になります。
11:会社行事、イベント業務
会社行事、イベント業務は、従業員のモチベーションアップと他部署とのコミュニケーションのために大切な行事で、それを計画するのが総務です。会社行事、イベントには、夏まつり、秋の運動会、暮れの納会などがあります。
それらのイベントの立案・計画・企画、当日の準備・進行・段取り、スケジュール作成などを行うのも総務の仕事です。また、家族を招待して行うファミリーデーなども総務のイベント担当者の仕事です。
12:契約、契約書管理
会社の契約書には、不動産売買契約書・物品売買契約書・建物使用貸借契約書・業務委託契約書・顧客との契約が成立したことを証明する契約書など重要な契約書が多くあります。それらの会社にとって重要な契約書を管理するのは総務の仕事です。
重要な契約書を管理するには、契約番号・契約名・締結日などがわかるような契約書管理台帳を作成します。また、契約書がしっかり保管されているかを確認する棚卸しも総務の仕事です。
13:株主総会・取締役会業務
株主総会・取締役会業務は総務の仕事です。取締役の選任・解任などの決議案を決まる株主の集まりである株主総会や、3ヶ月に1回以上召集される取締役会の開催に向けた通知の発送と資料作り、運営、日程調整と取締役会の事務局としての議事録の作成などの業務も総務が行ないます。
14:株式管理
総務が行う株式管理は、従業員に向けた株式の発行や誰がどのくらいの株を保有しているかを知るためのリスト作りが仕事です。株主総会議事録や取締役会議事録、株主名簿作成も株式管理の業務になります。
15:IRの実施
IR(Investor Relations)は、経営陣が的確に会社を運営しているかを、保険会社・投資信託・信託銀行などの機関投資家や個人投資家に経営の情報を発信することで、総務の仕事となります。
IRは、投資家に会社の株を購入して貰うための宣伝広告活動と、経営へのモニタリングの目的で行なうものです。
16:社内・社外広報
社内・社外広報の制作は、総務の仕事です。会社でどんなことが起きているのかなどのトピックを発信して、従業員のコミュニケーションの機会を増やしたり、モチベーションアップの目的で行なうのが社内広報です。そのため、情報収集が主な仕事になります。
また、自社の商品やサービスに関する情報を社外に発信したり、メディアの取材対応をするのも社外広報の仕事です。
17:ホームページの管理業務
ホームページの管理業務は、ホームページを定期的に更新することや、サーバー・ドメインの管理が主な仕事です。また、ホームページに寄せられる意見や疑問などに回答するのもホームページの管理業務になります。
さらに、サーバーのトラブルや不具合の対応もホームページの管理業務です。
18:官公庁との渉外
官公庁への登記や登記事項証明書の届け出、許認可申請をすることも総務の仕事です。総務が申請する登記事項証明書には、現在事項証明書・履歴事項証明書・閉鎖事項証明書があります。法務局や登記所の窓口に行って、これらの登記事項証明書の交付を請求するのが仕事です。
19:地域との渉外
会社にとっては、地域との関わりが大切です。地域との渉外業務は、地域とコミュニケーションを取りながら、地域の人たちが会社にどんなイメージを持っているのかや、会社への苦情や不満を早く知ることが仕事です。
地域の人たちの苦情や不満を知り、迅速に対応することで、問題が大きくならないうちに解決することができます。
20:社会貢献活動
社会貢献活動は、地域との渉外業務に似ています。社会貢献活動には、従業員が地域の人たちと一緒に駅周辺の清掃したり、会社の敷地を地域の人たちに公園として開放することなどがあります。それらの計画を立てて実施するのは、総務の仕事です。
21:環境対策
環境対策の主な仕事には、冬・夏の適正冷暖房温度の設定、節電・節水の励行、省エネ・緑化の推進、自動車利用の抑制、ペーパーレス化などがあります。適正冷暖房温度を設定することや、使用していないOA機器などの電源をオフにすることは、節電や省エネにもつながります。
22:リスクマネジメント
会社の抱えるリスクには、景気・株価・為替などの変動やマスコミ批判などの社会リスク、労働災害・火災などの災害、事故リスクがあります。また、ハラスメント・コンプライアンス違反・不良債権などの経営リスクもあります。
これらの多岐に渡るリスクを管理することは、総務の重要な仕事です。
23:業務委託管理
総務の業務委託管理とは、自社でできない仕事を他社や個人に依頼する業務委託契約を管理することです。業務委託契約は、安い人件費で任せることができるので、コストを削減することができます。
また、業務委託管理の業務を行うには、業務委託契約に関する法律を知っておく必要があります。
総務の仕事に向いている人の特徴3つ
ここからは、総務の仕事に向いている人の特徴を説明します。総務の仕事に向いている人の特徴には、裏方として人の役に立つのが好きであること、守秘義務を守れること、臨機応変に対応できることがあります。これらの特徴について具体的に見ていきましょう。
1:裏方として人の役に立つのが好きな人
総務の仕事は、裏方として人の役に立つのが好きな人に向いています。総務の仕事は、机の上での事務作業が多く、仕事の成果が表面に出にくく、あまり目立たないため、どちらかと言えば裏方のような業務になります。
そのような総務の仕事は、人前で目立つのが好きな人には不向きで、裏方として人の役に立つのが好きな人に向いている業務と言えます。
2:守秘義務を守れる人
総務の仕事には、会社にとって重要な契約書や社外秘の資料を管理することが含まれるため、社外で会社のことを何でも喋ってしまう人には不向きで、守秘義務を確実に守れる人に向いています。
また、総務は従業員の給料や家族構成などの個人情報を把握しているので、守秘義務を守れる人でなければ務まりません。
3:臨機応変に対応できる人
総務は、会社内の何でも屋さん的な立場にあるため、通常の業務以外の仕事を頼まれることがあります。そのため、どんなことに対しても臨機応変に対応できる人でなければ総務の仕事は務まりません。
総務は、従業員と会社の良好な関係を保つ上で大切な存在で、時には従業員から無理難題を頼まれることもあります。そんな時には、素早く頭を回転して気転を聞かせ、臨機応変に対応できることが望まれます。
総務の仕事内容を理解しよう!
総務にはさまざまな仕事があり、会社と従業員の良好な関係を保つために重要な役割を担っています。また、総務の仕事は社内だけと思われがちですが、地域の人との関わりや社会貢献活動も大事な業務の1つです。
総務の仕事は表立って目立つことが少ないですが、会社で従業員が安心して働けるのは、縁の下の力持ち的な存在の総務の仕事をしている人たちのおかげであることを理解しましょう。