部長とは
部長とはどういった役割を持つ仕事なのかご存知でしょうか。部長の役割を聞かれても、きちんと理解している方は多くはないでしょう。
社員にとっても重要な立場である部長はどういった存在なのか、今回は部長の役割だけではなく、部長としてやらなくてはいけない仕事や、部長として心掛けなければいけない事などをご紹介します。他の役職との違いや、部長の役割を理解して、会社の利益になるように行動しましょう。
部長の組織内の立場
管理職として重要な立場を持っている部長は、組織内では経営や管理をする職務を任されている立場にあります。社員のスキルを管理したり、会社や部署の適切な管理体制を向上させるため、必要に応じて業務内容の改善策も考える必要があるでしょう。
業績や生産性をアップさせるためにはどのような方法を用いればよいのか、自分自身の考えだけではなく、俯瞰的に物事を見る目を持っていなければいけないのではないでしょうか。
部長と課長の違い
部長と課長の職務の違いを大まかに分類すると、経営側から見た管理を行うか、現場における管理を行うかという事になるでしょう。課長職も管理職には違いありませんが、現場目線に立って業務実績を求め、部下が円滑に仕事を進められるように適切な判断をする必要があります。
対して部長職のような管理業務は、マネジメント的な視点を持つ事が大切で、経営戦略を立てたり、現場と組織との緩衝材の様な役割もする必要があります。
部長って?意外と知らない部長の主な役割10個
部長の仕事はさまざまあり、部下の目線で見ていても、何をしているのかは分かりにくい事もあります。デスクに座って何をしているのか、正しく答える事ができる方は少ないでしょう。部長の意外な役割を知れば、自分の部長職という役割について理解が深まるのではないでしょうか。
管理職と言う立場でありながら、現場のサポートとしても活躍する部長の仕事を、詳しくご紹介しますので、ぜひ部長職に対して知識を深めてみて下さい。
1:「ヒト・モノ・カネ」の経営資源を上手く使う
経営資源と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。経営資源とは、「会社で働く人材(ヒト)」「会社で扱っている製品や設備(モノ)」「経営資金(カネ)」の3つになりますが、経営資源を上手く活用させることが部長の意外と知られていない役割のひとつです。
経営管理業務も部長の仕事のひとつであり、会社で立ち上げるプロジェクトにはどのような人材を活用し、業績を作って部下を成長させていくのかなどを戦略立てていきます。
2:将来のメシの種を創り出す
部長の様な管理職では、将来的な利益も考えて業務内容を考えていかなくてはいけないでしょう。その場の利益だけを求めるのではなく、会社を成長していくための将来性のある事業を立ち上げたりする事も大切な業務内容と言えます。
会社の成長のため、将来に繋がり長く続ける事ができる新しい事業が必要となってくるでしょう。そのために、将来に繋がる業務体系の構想や能力開発の様な経営戦略を立てていかなければいけません。
3:部署全体を管理する
部長が管理するのは会社の部署全てになり、課長職の管理内容とは規模も人数も違ってくるでしょう。全体の管理と言っても、ひとりひとりを毎日の業務の中で管理する事は難しく、全体的なマネジメントが主な仕事になるのではないでしょうか。
課長から現場の声を聞いたり、課長をとおして細かい指示をおこなう事もあります。社員個人に対するフォローを適切に行うためには、部署全体の雰囲気を把握しておくことが大切になるでしょう。
4:課長や現場への教育
部長の役割として大切な事が、部下の教育です。仕事の楽しさや意義を理解してもらうためにも、適切なアドバイスを与える事が必要になるでしょう。課長に対しても、部下の持つスキルを把握させて、適材適所で仕事を割り振るようにしていくアドバイスをしても良いのではないでしょうか。
過去の経験からアドバイスをおこなうのではなく、データとして判断するようにすれば、現場としても分かりやすく問題点も見つけやすくなります。
5:部下が働きやすい環境をつくる
部長と言う役職に就いてしまうと、部下が職場に対してどのような感情を抱いているのかを把握しづらいことも多くなってしまいます。認められたいと考えている部下が多い中、きちんと仕事や行動を把握していく事が業績アップにもつながるのではないでしょうか。
部長は部署全体を管理する役職ですので、自身の主張を控え、部下ひとりひとりの行動に正しい評価をする事で、お互いに信頼関係が生まれて働きやすい環境になります。
6:対外的な仕事をする
部長は自分が所属している部署内だけで仕事を行っているのではなく、自分の部署以外の部署との連絡係や上の役職との対外的なつながりをもつ仕事もしなければいけません。自分の発言が部署全体の意見になりますし、部署の責任者として役割を持っています。
部署内で問題が起こってしまった場合には責任者として謝罪をする必要もあるでしょう。部長という役職には責任感が必要で、問題解決に力を尽くさなければならない役職です。
7:自分(部長)および経営者の意思(決定内容)を社員に伝達
部長の役割として、会社の決定事項や自分の意思を正しく社員に伝達する事も大切な業務です。会社の経営者側がどのような事を求めているのか、目標を達成させるためにはどのような伝え方をすればよいのかも部長の腕にかかっているのではないでしょうか。
目的意識を正しく持つ事で、全体的な成長につながっていきますので、伝え方や報告の仕方を工夫すれば、チームワークや仕事に対する意識を高める事ができるでしょう。
8:部のビジョン・方針の策定
部長は部の方針を決定するために部のビジョンを明確にしていかなければいけません。部のビジョンとは、部署の目標や達成基準の設定、重点的におこなわなければいけない方策になります。
部署の方向性を決定するためには中長期的な経営計画が必要で、高すぎて達成できそうにない目標を立てるのではなく、達成できそうな高い目標を立てて部署を成長させていく必要があるでしょう。何に重点をおくのか、部署を動かす方針を決めています。
9:現場の状況を経営者層に伝達
管理的な立場にある役職の場合、部署の責任を担うため、現場の状況を常に把握し、経営者側に伝達する事も大切な業務内容のひとつになるでしょう。部長は課長と共に、部下や現場の状況把握にも努めなければならず、把握した内容を文書や口頭で経営側に伝達しなければなりません。
経営側は部長の報告をもとにして、会社全体での経営方針を考えていく立場にあります。正しい報告、連絡、相談がおこなわれなければいけません。
10:部下を評価する
役職を持つ部長と言う立場になっても、部下が仕事や部署に対して抱いている考えはきちんと把握し、正当な評価を下す事が求められるのではないでしょうか。部下にとっての評価は、自分の出世や給与に直接関わってくる項目です。
評価対象となる部下の人数が多くても、ひとりひとりのスキルはもちろん違います。評価を正しく行うポイントとして、さまざまな視点を持つために普段からよくコミュニケーションをとっておく事が大切です。
部長に求められるスキル5つ
部長として役職を理解して仕事に従事する事は大切ですが、部長に求められるスキルとはどのようなものがあるのかご存知でしょうか。管理職である部長にはさまざまなスキルが求められていますので、求められているスキルを5つご紹介します。
部長として、管理職として必要とされるスキルには「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」「クリティカル・シンキング」「キャスティング」があります。
1:テクニカルスキル
「テクニカルスキル」とは、業務内容を遂行する能力の事を言います。業務内容を実行するための知識、能力を管理職と言う立場から持ち合わせておかなければいけません。
部下ができない業務内容であっても、教育や指導の観点から、どのようにすれば部下が上手く業務を遂行することができるのかを導いてあげる必要があるでしょう。組織や部署全体の事をマネジメントしていくスキルが必要になるのではないでしょうか。
2:ヒューマンスキル
「ヒューマンスキル」とは、人間関係、対人関係に関わるスキルになります。コミュニケーション能力はこのような「ヒューマンスキル」に分類され、すべての管理職業務をおこなう人に求められるスキルと言えるでしょう。
ヒューマンスキルは「リーダーシップ」や「コーチング」「交渉力」「調整力」「ファシリテーション」「コミュニケーション」などで、能力自体がお互いに影響しあってヒューマンスキルと呼ばれています。
3:コンセプチュアルスキル
「コンセプチュアルスキル」は、取り組むべき部署の課題に対して、どのような概念を形成するのか見極める事ができるスキルになります。会社や部署の具体的な将来像を描き計画や予想を立てて問題を解決に導くことができる能力です。
本質的な課題を分析して組織や部署を解決に導くための方針や計画を遂行するために必要なスキルですので、部長以上の役職の方には求められる事が多いスキルと言えるのではないでしょうか。
4:クリティカル・シンキング
「クリティカル・シンキング」とは、問題や物事の判断をする場合において、感情に流されずに俯瞰的な見方をすることができる考え方の事を言います。物事が妥当であるかどうかを論理的な思考から導きだし、的確は判断を下す事ができるようになるでしょう。
物事の本質を見抜くことができる能力は、日々のトレーニングによって身につける事ができるスキルです。思い込みを排除して客観的な見方を普段から心がけて下さい。
5:キャスティング
適材適所の人材管理をする能力が「キャスティング」スキルになります。スキルアップを目指した人材配置をする事で、部署が一丸となって円滑にプロジェクトを進めていく事ができるようになるでしょう。
顧客やプロジェクトごとに最適な人材配分がなされているかどうかも考えていく必要があります。部下の持つスキルや現場の状況を把握し、適任な業務に割り振る事で、会社の生産性や業績アップにもつながるでしょう。
部長の役割を理解しよう!
部長の役割についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。会社にとって部長職とは、なくてはならない管理職です。部長という管理職の職務内容や求められているスキルを知って、部長を目指す、または見つめなおすきっかけとしてみましょう。