ミッションとビジョンの違い|ビジョン・ミッションの事例10選

組織・人材

ミッションとビジョンの違い

会社や組織の運営の話になると、よく耳にする言葉にミッションとビジョンがあります。この二つは似ているようでいてやや内容に違いがあります。今回はミッションとビジョンの違いを述べながら、その内容について理解していくという特集としてお送りします。

まずはミッションとは何か、ビジョンとは何かという詳細の違いからご紹介します。

ミッションの意味と定義

ミッション(mission)とは何か、そしてビジョンと比べて違いは何かについての定義です。英語表記では使節、使命、キリスト教の伝導といった意味があります。軍事的になると作戦のことを指し、それを遂行し完了すればミッション達成とされます。

やがてビジネスシーンにも浸透して、その組織の使命、任務の意味で用いるようになりました。ビジネスではチームや組織が果たすべきことであり、その具体化が望まれています。

ビジョンの意味と定義

ビジョン(vision)とはミッションとどう違うのか、これは将来の見通し、幻想、視覚などの意味があり使い方は状況によって変化します。ビジネスの世界ではよく登場し、将来の構想や未来像として取り扱います。会社のビジョンなどという使い方をよくします。

その会社や組織が将来どのような構想で歩んでいきたいのか、未来を目指していくのか、どのような目標を立てているのかをビジョンとして体系化する必要性があります。

ビジョン・ミッションの作り方の違い

組織や会社では、経営理念を作ることが普通にあります。その時にはミッションやビジョンが欠かせないアイテムです。ここではミッションとビジョンの違いを判断しながら、それらの作り方について言及していきます。

ミッションとビジョンは混同されがちなので、ぜひその違いを認識して作ってみてください。

ミッション作りの4つの方法

ミッションとはどんな違いがあるのか、これは企業そのものとスタッフの双方で認識しておく価値観と、果たしていく社会的使命感を表現します。通常すべてのスタッフが知っていなくてはなりません。現代の経営において必須とも言われています。

ミッションを作ることは意外と難しいと思われています。しかし作り方のポイントがあるのでコツを掴めば可能です。ここでは、ミッション作成の際に必要な4つのポイントをご紹介します。

方法1:ミッションが必要な理由

ミッションを作るために最初に考えるべきことは、なぜそれが必要なのかという理由を明白にすることからです。

この会社は何のために存在しているのか、そして社員が働く理由は何か、顧客にはどのような価値を提供するのか、他社とはどのような違いや特徴があるのかといった考えを、改めて整理しながら明文化していきます。

方法2:素材集め

ミッションを作るためには、その中の素材の組み込み方が重要となります。素材とはどのように集めるのかと言えば、作り手によって千差万別になるので一概には言い切れません。ただし、最低限これは入れてほしいというポイントが3つあります。

其々「社会に生じている 困りごと」「それをどう解決するのか」「解決後の理想像」という3点、これらと自社の商品サービスとを照合し他社との違いを見出し、適切な言い回しで考えます。

方法3:ミッションを組み立てる

自分たちの会社や組織が、社会に対してどのようなことを貢献できそうか、どのような商品サービスを提供しどんな違いがあると最善なのか、それをやる前と後での違いは何かを、思いつくまで書き出してみましょう。

そして一つの文章に取りまとめてみることで、ある程度の方向性が見出されてくるはずです。まずは思いつくだけの自社のメリットや強調したいこと、スタッフ同士が納得いけるフレーズをかき集めて組み立ててみます。

方法4:ミッションを見直す

最後に集めた素材を組み合わせミッションを作ります。その際にポイントとなるのは、組織全体に行きわたる文章、唱和しやすい内容の言い回しにするという点です。ミッションの理解に差や違いが生じてはなりません。

誰しもが共通でそのミッションが唱えることを理解しておく必要性があるからです。そこで、ミッションを文章化した際に、言い回しが難解にならないように何度も見直して修正しながら完成させるということです。

ビジョンの作りの5つのポイント

自社や組織のミッションについて決定したら、次に考えるのがビジョンの設定です。ビジョンとは、その企業や組織が理想とする将来的な展望とその姿なので、適切なビジョンへと進んでいくために、現行で提供できる価値や自社の顧客との関わり方、考え方を取り決めたミッションから先に作っておくのが順序です。

それに準じて、今後のビジョンを後で思い描くことにより、実現化が可能になっていきます。

ポイント1:ビジョンは論理で作らない

ビジョンや経営理念を作ることは良いと述べているので、自社でも作ろうという動きもあるはずです。しかし、せっかくのビジョンが数年経過してみたら、すっかり忘れ去られているということも珍しくありません。

実は機能しないビジョンが圧倒的に多いのは、論理で作ろうとしたからです。ビジョンとは、スタッフが納得できる将来的な姿が見えていないと浸透しません。本当に目指したい指針は何かをスタッフ全員で考えてみましょう。

ポイント2:ストーリーを作る

ビジョンとは集まった人々が共有する言葉となるので、前向きな意味がなくては機能しません。決めたことを実現させるのだという強い意志が宿り、共有するスタッフすべてを奮起させるように作りあげます。

一連のストーリーに仕立てて目指す未来の姿やあり方を順序立てて描いてみましょう。すべてのスタッフが同じ方向へと進むための希望に満ちた物語を想定することで、一人一人が日々の仕事の中で活き活きとできるからです。

ポイント3:ビジョンターゲットを設定する

ビジョンを作り上げる上で想定しておかなくてはならないのは、どのようなビジョンターゲットを掲げているのかです。ターゲットとは標的のことです。

その会社や組織がある仕事を行うことによって、最終的にいつ誰がどんな状態になって役だっているのかを考慮していきながら、自社のスタッフも共に幸福で豊かになるという図式を描かなくてはなりません。具体的なそのビジョンの効果とも言い換えられるでしょう。

ポイント4:嫌われる勇気を持つ

そもそも嫌われる勇気はアドラー心理学に基づいた考えで、周囲からどう思われようが自分の価値や考え方が正しいのなら、左右されずに突き進むことを意味します。決して業と嫌われるようなことをするということではなく、自分を信じろという意味で違いがあります。

ビジョンを作ることも同じで、世の中の言いなりになるビジョンではなく、役に立つために自分たち独自なやり方を考えて行動するための指針となっていきます。

ポイント5:ビジョンターゲットと「We」になる

ビジョンを描いて最終的に夢を共有できるよう確認しましょう。ビジョンは共有されなくては意味がありません。例え名の知れた企業でも、スタッフをもの扱いするブラック企業では、ビジョンが共有されていません。威圧的に支配するだけの関係では必ず破綻していきます。

機会あるごとにビジョンを自分たちが確認し、各々に違いや差が生じないよう心掛けましょう。組織とは、共通の目的意識で集まった人々で形成されなくてはなりません。

マーケティングにおけるビジョンの役割

マーケティングとビジョン、それにミッションとはどのような違いや関係性があるのでしょうか。一見、何も一貫性がないように思えますが、マーケティングを行う上でビジョンやミッションは欠かせない項目です。

組織はビジョンで未来像を描き、その実現に向けた使命(ミッション)を掲げることで、統一感とモチベーションを保持します。そして目的や目標を戦略的にこなすためにマーケティングを行います。

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経営ビジョン・ミッションの事例10選

多くの有名企業では、各社が独自にミッションやビジョンを作っていてスタッフへ浸透させていることは珍しくありません。その各企業ごとにミッションやビジョンの違いなどを確認することができます。ここでは、実際の経営ビジョンやミッションの事例についてご紹介します。

事例1:セブン&アイHLDGS

セブン&アイHLDGSの経営ミッションは、「私たちは、お客様に信頼される、誠実な企業でありたい。私たちは、取引先、株主、地域社会に信頼される、誠実な企業でありたい。私たちは、社員に信頼される、誠実な企業でありたい。」です。

近年では沖縄にも出店を成功させ、全国展開する広域な企業なので、オールラウンドな見解でミッションを成立させて、どこにいても格差や違いがないような言い回しで工夫されています。

事例2:ファーストリテイリング

ユニクロなどのファストファッションを展開するファーストリテイリングのミッションは、「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します。 独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します。」です。

グローバルな視点で普及させたいという願いが込められています。

事例3:イオン

イオングループの経営ミッションは、「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」です。他者と違い、とても短くまとめあげてありつつ、普遍的な内容を追求しようという意思が働いています。

元々イオンとはラテン語で「永遠」を意味します。顧客への貢献を永遠の使命にするという強さを表現しています。

事例4:高島屋

老舗百貨店として有名な高島屋の掲げるミッションは、「いつも、人から。」というとても短いフレーズです。この短文に込められているのは、人の心を大切し本業を通じて社会に貢献することをモットーにしています。

短いフレーズなので個人によって受け取り方の違いもあり得ますが、概ね、全社スタッフに浸透しやすく覚えやすいというメリットがあります。

事例5:ローソン

コンビニエンスストアのローソンのビジョンは、「実行一流企業へ。」というフレーズです。これは全スタッフが顧客のニーズと変化を考えながら、スピーディに実行していくことを願っています。

その繰り返しにより「マチ」の暮らしにとって、なくてはならない存在を目指すといった内容です。街もしくは町をあえてカタカナ表記にしているのが特徴的で、大小ある全国のマチへの、違いのない公平なサービスを心がけている表現です。

事例6:ドンキ・ホーテ

ドンキ・ホーテの経営ミッションは、他者の多くのミッションと違い「顧客最優先主義」という経営原理に基づき、全部で6つのミッションが存在します。

「第一条 高い志とモラルに裏づけられた、無私で真正直な商売に徹する」というのが印象的です。しかし既成概念を壊して創造していくという気持ちも込められています。

事例7:良品計画

無印良品でお馴染な良品計画には、「良品には、あらかじめ用意された正解はない。しかし、自ら問いかければ、無限の可能性が見えてくる」というビジョンがあります。

自分たちがなぜ存在しどこに向かおうとしているのか、何が違い何が同じなのかを全社あげて考え抜こうという、そんな熱い思いが込められています。

事例8:DAISO

100均の代表的な店舗で知られているダイソーの経営ミッションとは、「ダイソーは、敬意と感謝の心を持って楽しいお店を造り続け、世界中のお客様に笑顔と豊かな生活をお届けします。」という内容です。

たったワンコインでも、他と違いのないクォリティを約束する商品を店頭に並べることに注力しています。

事例9:アスクル

アクスルが掲げている企業理念はかなりシンプルなフレーズで、「お客様のために進化する」です。創業当時から自分たちのあるべき姿を模索し続け、常に顧客の声を聞きながら商品、サービスの内容、システムを作り進化させているという自負があります。

社会の革新的インフラを、環境負荷が少なくかつ他とは違いがわかるよう実現するという願いがあります。

事例10:ヤクルト

ヤクルトが掲げているミッションは、「人も地球も健康に。ヤクルトは地球環境全体の健康を視野に入れ、全ての事業を通じて世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します。」という内容です。

毎日の人々の健康を考え、地球にも優しい企業努力をしながら、他とは違った進歩を遂げることをモットーにしています。

ミッションとビジョンの違いを把握しましょう

以上のように、ミッションとビジョンの違いについてをお送りしました。この双方は似ているようでいて違いが明らかです。そして必ず順序があり、叶えたいビジョンのために、どう関わって運営していくのかを、ミッションとして提唱するというのが基本です。

もし今後、自身でもミッションやビジョンの制作に携わる場合には、その違いを明白にしながら進めて行きましょう。

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