会社を設立する際に必要な知識
会社を設立しようと考えた時、どのような手続きをおこなわなければいけないのかご存知でしょうか。今回は、新しく会社を設立しようと考えている起業家のために、会社を設立する時のメリットや会社の種類、手続きの手順などをわかりやすくご紹介します。
会社設立のために知っておきたい事や、確認しておきたい手順などを抑えておけば、いざという時に役立つでしょう。
会社設立のメリット
会社を設立する以外にも、手軽にはじめられる個人事業主として起業する事もできます。個人事業主になるための手順は開業届を税務署に提出するだけですので簡単です。しかし、個人事業主と会社設立には大きな違いがあります。
個人事業主に比べると会社を設立した方が法人としてのイメージがあり、他の企業からの信用度が違ってくるでしょう。優秀な人材を雇用する事ができますし、資金調達などの面でも楽になります。
起業初期に使える助成金/補助金
会社を設立する時の手順として、まずは資金調達が必要になるでしょう。資金調達にはさまざまな方法があり、起業家の初期費用として使う事ができる助成金や補助金がある事をご存知でしょうか。補助金や助成金は融資とは違い、国や地方自治体から援助してもらえるお金です。
助成金や補助金を受けるためには条件を満たし審査に通らなければいけませんが、いつでも申請でき、原則として返済する必要がありません。
会社には種類がある
会社を設立するにあたって、会社にはいくつかの種類がある事をご存知でしょうか。経済を活性化させるために会社形態が自由になったため、合同会社という会社を設立する方も増えてきています。
株式会社と合同会社の形態の違いを分かりやすくご紹介します。どちらの会社形態を選ぶかは起業家の考え方次第ですが、設立のための費用や手順なども若干異なる部分がありますので、違いを参考にしてみるとよいでしょう。
株式会社
株式会社とは、株式を発行し投資家から資金を調達して事業活動をします。株式会社という言葉は他の会社形態に比べてイメージが良いことがポイントです。信用度も高く、取引をおこなう際にも有利に話を進める事ができるのではないでしょうか。
株式会社を設立のために登録免許税が15万円程度かかりますが、社会的な信用度を得るためのコストと考えればそれほど高い金額ではないでしょう。株式を上場して事業拡大などもできます。
合同会社
合同会社とは2006年に新たに設けられた会社形態で、経営者と出資者が同じで柔軟な事業経営を行うことができます。
株式会社ではなく合同会社として設立するメリットは、設立するためのコストが株式会社に比べると安いという点です。合同会社は株式会社に比べて認知度や信用度は低いというデメリットがありますが、コストを抑えて会社を設立したい場合は合同会社にするとよいでしょう。
会社設立する6つの手順
会社を設立するための手順を6つの項目に分けてわかりやすく説明します。新しく事業を起こそうと考えている方の中には、どのような手順や方法があるのかわからないという方も多くいらっしゃるでしょう。
会社設立のための手順をしっかりと頭の中に入れておけば、慌てることなく会社を設立することができます。会社設立に関する興味がある方にもぜひ読んでいただきたい内容です。将来起業する気持ちがある方は参考にしてみて下さい。
手順1:会社設立の流れ
会社設立の手順として、流れを抑えておきましょう。どのような手順で会社を設立するのか、設立前にチェックしておくことでスムーズな申請手続きができるのではないでしょうか。
設立するための手順には「基本事項の決定」「定款作成」「資本金の払い込み」「登記書類作成」「登記申請」「登記後の各種行政などへの手続き」の6つの手順があります。手順ごとに具体的な内容をご紹介しますので参考にしてみましょう。
基本事項の決定
手順の1つめとして会社を設立するために、まずは基本的な事を決めなければいけません。基本的な事とは会社の「商号」は何にするのか、「住所」や「事業の目的」、「出資」「役員」などになります。基本的な事柄を決めていく事は会社設立の第一歩として考えましょう。
基本事項を決定した後の手順は基本事項の決定に従ってすすめていきます。基本事項については、定め方にルールが設けられている場合がありますので注意しましょう。
定款作成
手順の2つめとして定款を作成します。定款(ていかん)とは会社を設立する時に決める、運営していく基本的な規則です。定款に記載される事は「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つがあります。
「絶対的記載事項」は「商号」「目的」「所在地」「設立に際する出資財産の価額または最低額」「発起人の氏名と住所」「発行可能株式総数」で、必ず定款に記載しなければいけません。
資本金の払込み
手順の3つめとして資本金の払い込みをします。資本金は最低金額が1円でも良いとされていますが、現実的な金額を設定するようにしましょう。資本金の注意事項として考えられる事は、1,000万円をこえた金額を資本金にする場合、課税されてしまう点です。
資本金の目安としては100万円から1,000万円の間を考えておくと良いでしょう。資本金はお金だけではなく現物出資もすることができます。
登記書類作成
手順の4つめは登記書類の作成です。会社の形態によって登記書類の作成書類が違いますので注意しましょう。登記書類のサイズは全てA4サイズで、登記申請に必要な書類はさまざまです。
「登記申請書」「登録免許税の収入印紙を貼付した用紙」「登記すべき事項を保存したCD-R」「定款」「発起人の決定書」「取締役就任承諾書」「代表取締役就任承諾書」「監査役就任承諾書」「払込を証する書面」「印鑑届出書」を作成します。
登記申請
手順の5つめは登記申請です。。登記申請は原則として代表取締役が法務局にておこないます。会社の成立日が登記申請をした日になりますので、良い日を選んで申請するようにしてみてはいかがでしょうか。
申請できる法務局は会社の所在地がある場所になります。登記するために用意した書類一式をもって法務局へ行き申請しましょう。申請する際には収入印紙が必要になりますので事前に用意しておくことで手順がスムーズになります。
登記後の各種行政などへの手続き
会社を設立した後にもいくつか手順がありますので注意しましょう。手順の6つ目は各種行政などへの手続きです。会社が設立できたからと言って、行政手続きを怠ってしまうと後々大変になりますので、速やかに手続きするようにしてください。
手続きには「印鑑証明書の交付」「税務署への届出や申告」「社会保険関係の手続き」などがあります。それぞれ手続きする場所が違いますので気をつけましょう。
手順2:会社設立登記に必要な準備
会社設立登記に必要な準備や手順についてご紹介します。手順1で紹介した「基本事項の設定」にあたり、会社登記のための必要事項を決めていきましょう。「商号決定」「印鑑作成」「役員報酬額の決定」「資本金額の決定」が主に必要となる項目です。
企業ロゴや名刺などを準備するためにも必要になりますし、営業資料にも使われるようになりますので、イメージや雰囲気も大切にして決めていきましょう。
商号決定
商号を決めるという事は会社の名前を決めるという事です。名前を自由に決める事ができますが、使用できる文字や記号が決まっていますので注意しましょう。漢字やひらがなカタカナ、アルファベットはもちろん、アラビア数字も使う事ができ、大文字や小文字も選べます。
記号を使う場合、カンマや黒中点、ピリオド、ハイフン、&、アポストロフィは使う事ができる記号です。株式会社の場合は「株式会社」と入れなければいけません。
印鑑作成
会社の印鑑も作成しておく必要があります。登記申請の申請書類には会社の代表印を押印しなければならず、申請の際に一緒に届出もしますので用意しておきましょう。
簡単に作る事ができる印鑑で済ませてしまうという方もいらっしゃいますが、これから起業しようとしている大切な会社ですので、デザインや造りなども吟味してきちんと作ってもらってください。印鑑を注文してでき上がるまでには時間がかかりますので注意しましょう。
役員報酬額の決定
役員報酬額も決めておく必要があります。役員報酬額とは経費にすることができないため、税法などと照らし合わせて計算をしてから決めなければいけません。
役員報酬額を決めるのは通常、定款作成時か株主総会の決議によってになります。定款は会社設立時に定めるものですので、役員報酬額は決めておかなければいけません。
役員報酬額によって税金の額が変わります。経営戦略と税額を考えて役員報酬額を決める必要があるでしょう。
資本金額の決定
資本金額の決定に悩む方は多いでしょう。会社設立のための資本金は1円でも良いとされていますが、資本金額は社外的な信用にもつながる場合も多く、きちんとした金額を決定する必要があります。
資本金は1,000万円を超えた場合、税金がかかりますので注意が必要です。会社の設立に伴う初期費用ですので適当に決めていい額ではなく、元手として会社経営を半年は活動できる金額を資本金額にすると良いでしょう。
手順3:定款の作成
設立の手順として、基本原則である定款を作成しましょう。定款に記載する事項は「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つですが、絶対的記載事項がない場合は定款が無効になってしまいますので注意しましょう。
「事業目的」「商号」「本店所在地」「設立に際して出資される財産の価額または最低額」「発起人の氏名または名称および住所」「発行可能株式総数」の6つは絶対的記載事項です。
手順4:資本金の払込み
資本金にはお金と現物出資から選ぶことができますが、一般的にはお金を対象とした場合がほとんどです。目安は100万円から1,000万円になります。
自分の通帳に資本金があったとしても、振込をする必要があり、自分名義の口座に自分名義で振込み、通帳の振込ページと一ページ目をコピーしてください。払込証明書を作成し継ぎ目に会社代表の印を押します。法人名義の口座を作って資本金額を法人名義口座へと移しましょう。
手順5:登記書類を作成
手順の中でも用意しなければいけない書類がたくさんありますので、ひとつひとつ作成していくようにしましょう。会社の形態によって必要書類が変わりますので気をつけてください。
登記書類には「発起人決議書」「発起人会議議事録」「代表取締役選定所「取締役就任承諾書」「監査役就任承諾書」「印鑑届書」の6つがあります。登記書類は作成した後製本する必要がありますが、製本といってもホチキスでとめるだけですので簡単です。
手順6:法務局への会社設立登記申請
会社を設立するための書類を作成し、資本金を払い込んだ後は2週間以内に法務局へ登記申請をする必要があります。登記申請は法務局でおこないますが、登記申請をした日が会社設立日になりますので、良い日を選んで法務局へ届け出るようにしましょう。
法務局への登記申請は原則として代表取締役がおこなわなければいけません。作成した書類を窓口へもっていき、指示されたとおりに提出するだけですので難しくはないでしょう。
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会社設立後の手続き
申請して会社を設立できた後にも必要な手続きがいくつかありますので、チェックしてみましょう。主な手続きは「印鑑証明書の交付」「税務署への届け出や申請」「社会保険の手続き」の3つです。
ご紹介する手続き以外にも、会社を設立した後、契約書類などを用意する場面が考えられます。人を雇う場合の雇用契約や秘密保持契約の他、業務を委託する場合は業務委託契約書などもあり、必要に応じて契約書を作成しましょう。
印鑑証明書の交付
会社を設立した後には口座を開設したりする場合もあり、印鑑証明書が必要になります。申請をした際に受け取ることができる印鑑カードを使って、会社の印鑑証明書を交付できますので、何枚かまとめて発行してもらうようにしましょう。
税務署への届出・申告
会社設立申請が終わった後は、税務局へも足を運ぶ必要があります。会社の所在地のある税務署へ行き、必要書類を提出しましょう。
「法人設立届」「青色申告の承認申請書」「給与支払事務所等の開設届出書」「源泉徴収の納期の特例の承認に感ずる申請書」「棚卸資産の評価方法の届出書」「減価償却資産の償却方法の届出書」の6つが必要になりますが、窓口でしっかりと確認してから提出するようにしてください。
社会保険関係の手続き
社会保険関係の手続きも必要です。社会保険の加入は義務となっていますので、手続きを怠らないようにしましょう。「年金事務所」「労働基準監督署」「公共職業安定所(ハローワーク)」へ足を運びます。
年金事務所では健康保険の加入手続きと厚生年金の手続きを行うことができます。労働基準監督書では労災保険の加入手続き、ハローワークでは雇用保険の加入手続きをおこないましょう。
会社設立は慎重に進めましょう
会社設立の手順や手続き方法についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。会社設立にはさまざまな書類が必要になります。設立のための書類をひとつひとつ確認し、スムーズに手続きができるように進めていきましょう。