管理監督者とは|管理監督者の定義と陥りやすい4つの問題点

組織・人材

管理監督者とは

ビジネスでは、さまざまな役職があります。社長や部長、課長などはよく耳にする馴染み深い役職ですが、それらの役職以外にもたくさんの役職やポジションが存在しています。「管理監督者」というポジションは、あまり耳にしない役職だと考えられます。

そこで今回は、「管理監督者」というポジションに注目して、どのような役職や立場なのか、考察していきます。

管理職と管理監督者の違い

「管理監督者」と聞くと、「管理職」を連想する方も多いと考えられますが、実際には異なるポジションです。

「管理監督者」というポジションは、労働基準法で定めれている特定の基準などが適用されない、特殊な存在のことを指します。

一方、「管理職」の場合は、法律で定義や条件などは特に定めれていないため、企業やグループによって管理職の定義や権力、業務内容が異なる可能性があります。

労働基準法上の管理監督者とは

上記で述べたように、管理監督者は労働基準法で定められている基準・定義などに適用されない、特殊なポジションです。しかし、管理監督者が労働基準法上ではどのような存在になっているのか、内容や詳細を知らないという方も、多いと考えられます。

そこで続いては、管理監督者が労働基準法上で、どのような扱いになっているのか、労働時間や賃金などの項目別に考察していきます。

労働基準法上の管理監督者1:労働時間

一般的に、労働基準法で定められている労働者の労働時間は、原則として1日8時間まで、1週間で40時間以内とされています。

そのため、一般的な労働者は上記の時間内の労働時間で働くことになります。また、上記の時間以上の労働をさせる場合、企業側は労働者に残業手当などを支払う必要があります。

しかし、労働監督者の場合は、労働基準法が適用されない存在のため、上記の労働時間に関する基準も適用されません。

労働基準法上の管理監督者2:休憩時間

労働基準法では、労働者の休憩時間についても定義として決まっており、原則としては労働時間に応じて適切な休憩時間を設けなければならないようになっています。

一般的に、1日の労働時間が6時間以上8時間未満の場合は45分以上の休憩時間、労働時間が8時間以上の場合は60分以上の休憩時間を与えるよう、企業は義務付けられています。

労働監督者の場合は、上記の休憩に関する労働基準法も、適用されないことになります。

労働基準法上の管理監督者3:休日

労働基準法では、労働者の休日の日数についても、定義が決まっています。一般的には、1週間に最低でも1日は週休を与えるのが会社側の義務となっており、もしくは4週間で4日以上の休日を与えるよう定められています。

しかし、管理監督者は労働基準法の休日に関する定義も適用されないため、休日に関しても上記の基準には当てはまりません。

労働基準法上の管理監督者4:賃金

上記では、労働基準法の労働時間についてご紹介しました。一般的な労働者の場合は、労働基準法で定められた時間以上の労働をした場合、時間外労働として残業手当などの賃金が発生し、会社側は支払わなければなりません。

しかし、管理監督者の場合は、労働基準法の労働時間に関する定義が適用されません。そのため、管理監督者は時間外労働をした場合も、残業手当などの賃金は発生せず、会社側も支払う義務はないとされています。

管理監督者の定義

労働基準法の労働時間や休日に関する基準・定義が適用されない管理監督者ですが、会社においてはどのようなポジションにあたる存在なのか、気になるところです。また、どのような業務や職務を行う存在なのか、知らないという方も多いと考えられます。

そこで続いては、管理監督者の職務内容や責任、権限などの定義について、考察していきます。

管理監督者の定義1:職務内容

管理監督者は、経営者と一体的な立場として扱われる従業員だと言われています。ですから、オーナーや社長などの経営者とともに、経営方針や各種予算などを決定したり、労働者や従業員の労働時間や業務内容の管理をしたりすることが、主な仕事と言われています。

経営者と一体的に業務をする存在が管理監督者のため、経営者からの指示で一部の業務や部署をまとめている管理職の従業員とは、立場や職務内容は大きく異なります。

管理監督者の定義2:責任

上記でも述べたように、管理監督者は経営者と一体的な立場となっているため、社内における責任も大きなものだと言われています。

管理監督者は、時には経営者と同様に、経営方針のもとに部下や従業員の賃金や各業務の予算などを決定することができます。そのため、管理監督者の決定によって出た結果や結末などの責任は、管理監督者にあると言われています。

管理監督者の定義3:権限

上記でも触れたように、管理監督者は一部においては経営者と同様の権限が与えられていると言われています。

管理監督者の権限の一例としては、経営方針をもとにして、部下や従業員の労働時間や賃金などを決定することも可能だと考えられます。また、従業員の配置や賃金、各種予算などについて、決定する権限も与えられているとされています。

管理監督者の定義4:勤務形態の相違

何度かご紹介したように、管理監督者は労働基準法による定義が適用されない存在です。そのため、管理監督者は、始業時間や就業時間に関係なく勤務・労働することができ、出勤や退勤、休日なども、自分の裁量などで自由に決定することができると言われています。

従業員を管理する立場であっても、上司や上位者に許可などを取らないと出勤や退勤、休日などを決定することができない立場の場合は、管理監督者には当てはまりません。

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管理監督者をめぐる諸問題

経営者と同等の権限などが与えられているとされてる管理監督者ですが、労働基準法の定義が適用されない従業員という特殊な存在であるため、さまざまな問題やトラブルが生じるケースもあります。

そこで続いては、管理監督者に関するトラブルや問題について、事例などをご紹介していきます。

管理監督者をめぐる諸問題1:飲食業での裁判ケース

飲食店においては、企業から管理監督者と見なされ、法外な労働時間の労働を強いられ、裁判に発展したケースもあるとされています。

1ヶ月の残業時間が100時間以上で休日出勤も多かったりしたにも関わらず、残業代も支払われななかったため、飲食店の店長が会社を訴えた事例もあります。

裁判所では、店長という立場は労働基準法の定義が適用されない管理監督者には当てはまらないと判断したと言われています。

管理監督者をめぐる諸問題2:過重労働よる健康被害

管理監督者に労働基準法が適用されないことを企業側が利用し、従業員が過重労働を強いられるケースは少なくありません。

コンビニエンスストアで店長に任命された従業員が、過重労働により健康的な被害を受け、店長というポジションから外れることになったために会社側を訴えたケースもあります。

裁判所では、店長は労働基準法が適用されない管理監督者ではないと判断し、会社側に残業代や慰謝料の支払いを命じたとされています。

管理監督者をめぐる諸問題3:実態のない管理監督者

上記でご紹介した2件のケースからも読み取れるように、管理監督者というポジションだけを与えられ、実際には権限なども与えられず、残業代なども支払われないまま長時間労働を強いられる従業員も、少なくありません。

管理監督者の、労働基準法の定義が適用されないとい性質を利用する企業も少なくないため、管理監督者の定義や在り方を見直す必要があるという声も存在しています。

管理監督者をめぐる諸問題4:36協定の代表になれない

企業では、36協定を適用することも可能で、36協定を定めた場合は、適用される範囲であれば従業員を休日出勤させることなどが可能になります。

36協定の内容や定義については、経営者側で一方的に決定することはできず、従業員代表に意見などを聞く必要があります。

管理監督者の場合は、36協定の定義を決定・変更する際の従業員代表になることが、できないとされています。

管理監督者の正しい立場を確認しましょう

今回は、「管理監督者」というポジションをテーマにして、定義や職務内容、権限や管理監督者をめぐる諸問題などについて、考察・ご紹介しました。

管理監督者は経営者と一体化しているとも言える、上位のポジションですが、労働基準法の一部基準などが適用されないという特徴を利用して、重労働などを強いられるなどの、管理監督者をめぐる問題も生じています。

管理監督者の定義などを見直し、正しく理解することが大切です。

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