取締役会の役割5つ|押さえておきたいワードCGコードとは?

組織・人材

取締役会の役割とは

株式の上場会社や、監査役会設置会社などは、会社法で取締役会の設置が義務付けられています。すべての会社が取締役会を設置しているわけではありません。

会社法では、会社運営の意思決定と、その決定事項が会社運営で順守されているかのチェック機関として機能することが取締役会の責務と定義しています。

・取締役会設置会社の業務執行の決定
・取締役の職務執行の監督
・代表取締役の選定及び解職

CGコードとは

CGコードとは、コーポレートガバナンス・コード(Corporate Governance Code)の略称です。コーポレートガバナンス・コードとは、日本語では「企業統治原則」ともいわれ、中長期的な企業価値の向上に向け、上場企業の経営者が取り組むべき指針のことを指します。

平成26年6月に安倍政権が策定した成長戦略に盛り込まれていたもので、東京証券取引所や金融庁が中心に平成27年3月にまとめ、6月から全上場企業への適用が開始されました。

CGコードに対応した運営をする

CGコードは「上場会社による透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を促す」ことを目的の1つとして策定されています。CGコードに対応した取締役会では、下記3点の役割を果たす運営が求められます。

・企業戦略等の大きな方向性を示すこと
・経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境を整備すること
・独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと

CGコードを取り入れた取締役会の役割

従来の取締役会に比べ、CGコードに対応した取締役の運営は、取締役会による適切なリスクテイクの促進を掲げています。

CGコードはグローバル競争時代において、我が国企業の「稼ぐ力」の向上のために策定されたものです。

「守りのガバナンス」から「攻めのガバナンス」への転換を図る目的で、CGコードに対応した取締役会はより大きな視点での議論に集中する役割が求められています。

1:審議事項を絞り込む

CGコードに対応した取締役会で、企業戦略の方向性や中長期的な視点の議論を行う際は、まず、取締役会での審議事項を絞り込むことが必要になります。

会社にとって、規模が小さかったり、戦略性が低かったりする内容については、経営会議や取締役へ決定権限を委任可能とします。

取締役会の役割の一部を、経営会議や取締役へ委任することで、取締役会自体は会社の戦略的な方向付けに関わる議論により多くの時間を割けます。

付議基準を見直す

審議事項を絞り込むためには、取締役会の付議基準の見直しが不可欠です。社外取締役も参加する取締役会で、些細な事項の審議に時間を割くことは、きわめて効率の悪いことといえます。

あらかじめ、取締役会の役割機能が最大限に活きる審議事項のみに絞り、本来は取締役会の役割であっても、他機関に委任可能な事項は取締役会の審議事項から切り離します。

そのために、付議基準の見直しを行い、審議事項の適正化を図ります。

機関設計を見直す

審議事項を絞り込むために、機関設計を見直し、監査等委員会設置会社へ移行することも考えられます。

取締役会での審議事項の絞り込みを行おうと考えても、取締役会の役割を委任する機関が存在しなければ、結果的には絞り込みができないことになります。

監査等委員会設置会社であれば、社外取締役を設置したり、定款に定義したりすることによって、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができます。

2:独立社外取締役が貢献と監督をする

CGコード対応の取締役会では、社外の人材である「独立社外取締役」が、取締役会において議論を戦略的に方向付ける役割を担うなど、議論の活性化に貢献することを促しています。

社外取締役は、貢献と共に、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うことも期待できることから、積極的に活用していくことを促しています。CGコードでは、少なくとも2名以上の独立社外取締役を、選任するよう求められています。

3:任意の仕組みを作る

CGコードでは、会社法に定められる機関設計に加え、任意の仕組みを活用することで、会社としての統治機能を充実させるべきとしています。

取締役会における独立社外取締役の数が、過半数に達しない場合でも、取締役の指名や報酬などの場面でも関与していくことで、取締役会の機能の強化につながると考えられています。

会社法にない、任意の仕組みとして、「社外有識者」を諮問委員会に加えるような例もあります。

4:審議を活性化するための方策

取締役会での審議の活性化を図るため、CGコードとして以下の原則が提示されています。

・取締役会の資料が事前に余裕をもって配布される
・取締役会の資料以外にも必要に応じ会社から情報提供がされる
・年間スケジュールや予想される審議事項につき決定しておく
・審議項目数や開催頻度を適切に設定する
・審議時間を十分に確保する

5:後継者の計画を監督する

CGコードでは取締役会の役割として、次代の最高経営責任者(CEO)などの後継者計画を監督することを求められています。

CEO人材の育成および選任は、中長期的な観点で取り組むべきであるため、取締役会として計画を適切に監督すべきであると考えられているためです。

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会社法とCGコード

同じ「取締役会」という会社の機関について語る場合でも、会社法で定義されている「取締役会」とCGコードに対応した「取締役会」では、取締役会として負っている役割が異なる部分もあります。

会社法とCGコードそれぞれの「取締役会」の役割を確認してみましょう。

1:会社法においての取締役会の役割

会社法では、株式を上場している会社には、取締役会の設置が義務付けられています。株式上場をしていない会社でも、会社運営の基礎となる「定款」に定義することで、取締役会を設置することができます。

取締役会を設置するためには、最低3人の取締役が必要で、取締役会では会社運営の重要事項の決定が行われます。経営のチェックをするのも取締役会の役割です。

2:CGコードにおいての取締役会の役割

CGコードによる取締役会の役割も、会社法における取締役会の役割から大きく外れるわけではありません。CGコード対応の取締役会には、会社法としての役割よりもより踏み込んだ、経営戦略に重点を置く役割が与えられています。

3:取締役会は義務なのか

取締役会は、すべての会社に設置を課されているわけではありません。上場企業については、設置が義務付けられていますが、非上場企業である「非公開会社」については、任意設置となります。

法律を守りながら会社の飛躍を促す議論の場

取締役会というのは、企業にとって重大事項といえる内容を検討し、企業としての意思決定を行う役割をになっています。単純な「会議」ではないのです。

会社として、法を遵守しながら、会社が飛躍できるよう戦略的な意思決定がされることを、取締役会の役割として期待されています。

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