労務管理の主な仕事内容16個|労務管理に役立つ資格5つ

組織・人材

労務管理とは

働き方改革が大きな注目を集めています。長時間労働の抑制や有給休暇の取得促進など労働者が働きやすい環境を作ることが企業には求められています。

そこで必要なのが適切な労務管理を行うことです。労務管理とは労働に関するさまざまなことを管理することです。社員の採用や退職についてや社員教育。人事評価制度の構築や各種規定の作成など内容は多岐に渡ります。中心となるのは人事部で、経営陣と連動して施策を決めていきます。

労務管理の目的

労務管理の目的は、企業の存続・成長です。どれだけ素晴らしい製品やサービスを売りにしていてもそれらを扱う人が育たなければ企業はやがて衰退します。

企業の持続的な成長のためには、正しい労務管理を行うことが必要です。人員の配置や教育、コンプライアンスの徹底など従業員の管理や、職場内教育訓練等を通じた従業員のパフォーマンスを最大限引き出すための施策を行うことが最大の目的です。

労務管理って?労務管理の主な仕事内容16個

では、具体的に労務管理を行うためにはどのようなことが必要なのでしょうか。日々の実務的事務作業から、より高度なマネジメントスキルが必要なことまで人事に求められる仕事は非常に多くあります。

ここでは代表的なもの16個をご紹介しますが、もちろんこれだけではありません。人事としての経験やスキルによって任される業務内容も変わってきます。特に後半で紹介する事項に関してはキャリアや専門的な知識が求められます。

1:労働契約の締結

優秀な人材の採用は企業にとって非常に重要な課題です。人事部門は採用計画を立て、企業PRや募集面接などの業務を担います。採用に至った場合は、雇用契約書を準備し双方合意のものとに契約を締結します。

ここ数年は就活でも売り手市場が続き、いかに優秀な人材を確保するか人事部の腕が問われています。また労働契約は労働基準法に準じているかなどのチェック作業も当然欠かすことはできません。

2:労働条件の変更

一定期間勤務していると昇進や昇給で、入社当初と労働条件が変化することがあります。その場合に事例という形で個々の従業員に労働条件の変更を伝達するのも労務管理として必要です。

会社の諸規定に照らし合わせて労働条件を決定し、変更を行います。従業員の能力や社内のバランスなどをきちんと把握し、不満が出ないよう調整するのも労務管理の妙といえるでしょう。

3:労働条件の管理

労働条件は自社内の規定だけでなく、社会情勢や経済状況など世の中を取り巻く雇用環境の変化によって変えざるを得ないこともあります。

給与水準が企業規模や経済状況とそぐわなければ、経営悪化の原因となります。逆に好況時に以前の給与体系のままだと人材の流出につながります。

世の中の動きを見ながら、労務管理の舵取りをすることも求められるため、常にいろんなところにアンテナを張っておく必要があります。

4:就業規則等の作成・届出

常に使用する労働者が10人以上いる事業場は就業規則を作成し、労基署に届出る義務があります。中小零細企業で初めて10人を超えた場合や、支店開設で従業員を10人以上雇う場合は就業規則を速やかに作成し提出しましょう。

就業規則は会社の労働条件を定めた重要な文書です。作成も通常数ヶ月かかることもありますのでしっかりと準備を行うことが大事です。

5:就業規則等の変更

就業環境の変化や労働関係法規の改正に伴い、就業規則を変更する場合があります。自社の就業規則が最新の法律に準拠しているかチェックすることも労務管理上とても必要です。もしも法律に適合していない状態のままになっていると労基署からの指導や是正の対象となるリスクがあります。

労務管理を適切に行うためにも、法改正の状況やそれが、自社にどのような影響を与えるかの検討は日頃から欠かせません。

6:就業規則等の周知

就業規則などの諸規定は作ってしまえば問題ない、というわけではありません。実は就業規則には従業員への周知義務があります。従業員に就業規則を周知していない状況では効力自体に疑問符がつくことになります。

労務管理の一環として、就業規則の説明会を従業員向けに行うなど、周知のため必要な措置を取るべくスケジュールの調整なども人事の仕事の一つです。

7:社会保険の手続き

従業員の入退社に合わせて社会保険の加入や喪失の手続きを行います。労務管理ができていないと手続き漏れが生じることもあります。

誰がいつ入社して、どのような手続きが必要なのかなどはきちんと把握しておく必要があります。専用のソフトには手続き漏れがないかアラートが出る仕組みのものもありますので、積極的に活用したいところです。

8:労働保険の手続き

労災保険や雇用保険に関しては年に一回保険料を確定し、収めるための確定申告があります。給料の集計や従業員数の把握など必要なデータを毎月入力しておけば、申告時期に慌てずに済みます。

また雇用保険の資格取得や喪失の手続きも労務管理上よく発生する手続きです。得喪の事実が生じたら速やかにハローワーク等で手続きを行います。

9:勤怠管理

日々の勤怠管理も労務管理の重要な項目の一つです。従業員が問題なく出退勤を行なっているかチェックします。遅刻が多ければ注意が必要ですし。無断欠勤が続く従業員には自宅訪問などを行うこともあります。

勤怠に関する労務管理では、「何も起こらないこと」が良いこととされています。従業員が当たり前に出勤して当たり前に業務に臨む。そうした体制構築のサポートが労務管理では求められます。

10:給与・賞与の計算

給与や賞与など賃金の計算も労務管理の重要な作業の一つです。お金に関する事項ですので間違いは絶対に許されません。

また給与や賞与の額は経営上の予算管理とも密接に絡みます。自社の財務状況や収益の状況を把握することや、問題があれば経営陣に進言するなど高度なスキルが必要なこともあります。

11:健康診断の実施

正社員等に対して法律では少なくとも年に1回の健康診断が義務付けられています。深夜帯勤務の場合は年に2回の健康診断が必要です。

企業には労働者への安全配慮義務があります。従業員の健康管理は労務管理上欠かすことのできない項目です。健康状態は高度な個人情報でもありますので取扱いには細心の注意が必要なのはいうまでもありません。

12:メンタルヘルスケア対策

精神障害を発症して休職する労働者の数が近年急増しています。過重労働やハラスメントなど原因は様々ですが、企業にとってもメンタル不調に陥る従業員への対策は喫緊の課題となっています。

社内の人間関係は問題ないか、業務の負荷は適正かどうかなど日頃から部署間の密なコミュニケーションを心がけましょう。メンタルヘルスに関する一定の知識も必要です。

13:長時間労働者への面接指導

従業員が過重労働をしていないか、勤怠情報等から把握しておくことは労務管理上必要です。長時間労働が続いている従業員がいたら、面談し場合によっては産業医との面談をするよう指導しなければなりません。

そのほか有給休暇などの休みを取るよう提案したり、一定期間残業を禁止するなど労務管理上必要な措置を施さなければなりません。

14:残業時間の削減

長時間労働の弊害が社会的に認知されてきました。過度な残業時間により心身の不調を起こす労働者が急増しており社会問題ともなっています。

国が進める働き方改革では残業時間を削減し、時間ではなく成果で評価するような制度へのシフトチェンジを目指しています。従業員の健康や残業代負担軽減のため、残業時間の削減策を策定し実施する仕組みづくりもこれからの労務管理に求められます。

15:年次有給休暇の取得促進

2019年4月の法改正で一定の条件を満たす従業員には、年次有給休暇の取得を企業に義務づけることとなりました。

時に日本は有休取得率がおよそ50%程度と先進国中ダントツの最下位という状況です。政府はこれを2020年には70%まで引き上げることを目標としています。

個人ごとの有休日数や消化日数を管理簿等につけるなど労務管理上も必要となります。また有休を取れてない従業員には声かけするなど対策も講じましょう。

16:セクハラ・パワハラの防止

ハラスメント問題が社会的な関心を集めています。多様な働き方を実現する上ではセクハラやパワハラの根絶は必須です。

最近では管理職向けのハラスメント研修が盛んに行われています。外部または内部での研修を通じてハラスメントへの理解を進めるのも円滑な労務管理のためには重要です。問題が起きる前に予防するという姿勢が何より大切です。

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労務管理の仕事に役立つ資格5つ

企業内でうまく労務管理を行う上で知っておくといい知識や、持っておくと役に立つ資格があります。国家資格から民間の検定までいろいろあります。自身の知識レベルや経験に合わせて狙ってみてはいかがでしょうか。

企業内でキャリアアップを図ったり、転職時に自分の市場価値を高める上でも労務管理に関する資格を取得しておいて損はありません。

1:社会保険労務士

労働基準法や社会保険関係など労務管理に必要な知識が問われる社会保険労務士。国家資格でもあり独立も視野に入れられる資格であることから近年人気、需要ともに高まっています。

合格率は4〜5%と決して簡単ではありませんが、取得できれば一生使える資格だけにチャレンジしてみてもいかがでしょうか。

2:衛生管理者

50人以上従業員がいる企業では選任する必要がある衛生管理者。毎週1回以上作業場等を巡回し問題がないかチェックします。

主な業務は作業環境を良好な状態に保つよう指導することや健康管理、健康増進のための職場教育などです。受験資格を得るには一定の実務経験が必要です。

3:ビジネスキャリア検定

ビジネスキャリア検定は事務系の職種に必要な知識をいかに実務レベルに落とし込めるかが問われます。範囲は非常に広く人材開発や労務管理、企業法務や経理、マーケティングなどを対象とします。

BASIC級から最上位の1級まであり、概ね70%程度の得点率が合格の目安といわれています。試験は年に2回あります。

4:メンタルヘルス・マネジメント検定

従業員がメンタル不調に陥るのを防ぐために必要な施策を考え、職場環境改善に関する知識を学ぶのがメンタルヘルス・マネジメント検定です。

初級ともいえるⅠ種、部下がメンタル不調に陥らないようにケアすることができる管理職向けのⅡ種、企業全体のメンタルヘルスに関する施策を考案できる人事部門従事者や経営幹部向けのⅢ種まで難易度があります。

5:マイナンバー実務検定

人事労務担当者は社内の従業員の個人情報に最もアクセスできる存在です。そのため個人情報の管理には十分気を付けなければなりません。個人情報の流失が重大事故につながることもあります。

そこでマイナンバー実務検定を取得する人も増えてきています。マイナンバー制度の理解や取扱う際の実務を学ぶことができます。入門的な2級と、より専門的な1級に分かれています。

労務管理について理解しよう!

労務管理は非常に幅が広く、行わなければならないことも多岐に渡ります。人事は企業の根幹をなすものです。人事の成否が企業の命運を左右すると言っても過言ではありません。それだけ労務管理を円滑に行うことは重要だと言えます。

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