福利厚生とは
社会人になると、福利厚生という言葉を聞く機会は多いものの、その意味を正確に知っている人は少ないのが現実です。福利厚生の意味と制度の内容について、見ていきましょう。
福利厚生とは、企業が社員に対して与える、給与以外の援助やサービスのことをいいます。そして、福利厚生の拡充は、主に社員の確保や社員のモチベーションの向上を目的としています。つまり、福利厚生が充実している企業は魅力的で人気が高くなります。
二つの要素から成り立っている
福利厚生の内容は、主として二つの要素から成り立っています。
1つ目が「法定福利」です。これは法律で定められた福利厚生を指し、健康保険や厚生年金保険などの社会保険、雇用保険や労災保険などの労働保険がこれにあたります。
2つ目は「法定外福利」です。これは社員に対するサービスであり、企業ごとに設けられています。例えば、保養所の格安利用や人間ドック受診に対する手当の支給など、多様なサービスがあります。
福利厚生がない会社で働く5つのデメリット
福利厚生は一定額が企業負担となり、当然福利厚生を充実させると費用がかかります。そのため、事業成績が悪化している会社などは、福利厚生がなかったり、福利厚生に力を入れていないこともあります。
福利厚生がある会社は、社員や就活している学生には魅力的で人気が高くなりますが、逆に福利厚生がない会社には、デメリットが生じます。具体的にどんなデメリットがあるのかを挙げていきます。
デメリット1:モチベーション低下
福利厚生がない会社で働くと、社員の仕事への熱意やモチベーションが低下します。
福利厚生だけが会社の評価要素ではありませんが、福利厚生があることで愛社精神が高まり、「この会社のためにも頑張ろう」という気持ちにつながります。
また、法定福利さえ整っていない会社では、「なんでこんな会社のために」という感情が芽生えてくるのも自然な流れでしょう。
デメリット2:生産性の低下
社員の仕事に対するモチベーションが低下すれば、おのずと生産性も低下します。仕事の生産性は、社員の気力や活力の大小が大きく影響します。
会社の保養所で休息をとったり、社員旅行やレクリエーション活動で英気を養ったりして仕事に臨めば生産性も高まるでしょう。また、研修費用や宴会費用などの支給も、社員の知識ややる気をアップさせます。逆に福利厚生のない会社は、仕事の生産性が低下します。
デメリット3:離職率が高まる
法定外福利はもとより、法定福利さえ確立されていない「ブラック企業」と呼ばれる会社が存在します。ブラック企業では離職率が高まり、残った社員にそのしわ寄せがくることにより、さらなる過重労働に苦しめられるという悪循環に陥ります。
福利厚生の充実は離職に歯止めをかける要素にもなりえます。離職率の高い会社は自社の福利厚生を見直すべきです。
デメリット4:人材クオリティの低下
福利厚生の存在は、優秀な人材を確保するために必須条件といえるでしょう。転職が一般的になりつつある近年、優秀な人材を確保・定着させていくためにも、ユニークな制度を導入する会社が増加しています。
逆に、福利厚生がない会社には人材が定着しないことが多く、充実した法定外福利の導入している会社に流れてしまいます。福利厚生がない会社が人材のクオリティが低下していくのは、自然な流れだといえます。
デメリット5:社員間のコミュニケーション低下
社員旅行や会社主催の忘年会などで、社員間のコミュニケーションを図ることも多いでしょう。会社に設置された休憩所などでも、社員間で自然と会話が生まれます。
すると、社員間での情報共有や他部署の協力を得られやすい体制となり、それがひいては会社の業績アップにつながります。
しかし、福利厚生がない会社では、そういった社員間のコミュニケーションを図る場がなく、仕事の生産性が低下することになります。
福利厚生がないことで起こり得るリスク
福利厚生がない会社で働いている社員は、仕事のモチベーションや生産性が低下するだけでなく、さらに直接的な不利益があると考えられています。
福利厚生というと、給与とは別のプラスアルファ的楽しみや娯楽というイメージにより、「給与さえ払われていれば良い」と考えがちです。
しかし、福利厚生がないことにより、社員自身が悩み苦しむような現実が起こりえることも頭に入れておくべきです。
健康への悪影響
福利厚生の一つに人間ドッグ受診への援助があります。会社がほとんど全額支払う会社も多く、それにより病気を未然に防ぎ、大病を初期段階での発見に寄与します。人間ドッグ受診手当の有無は大きな差と言えるでしょう。
また、ブラック企業では法定福利がないばかりか、残業代が支払われなかったり、過労死につながる過重労働が問題となっています。これは、直接社員の命も脅かす重大な問題です。
メンタルへの悪影響
法定外福利の一つである会社の保養所で休息をとったり、社員旅行やレクリエーション活動で英気を養ったりすることは、健全なメンタルを保つためにも重要な要素です。
仕事が多忙でも、しっかりとした福利厚生があれば、心身の苦痛が軽減されやすいでしょう。また、たとえメンタルが病んでも産業医のカウンセラーによる診察など、回復を手助けしてくれる制度があります。
休暇が取れない
法定福利である健康保険や雇用保険の加入により、病気やケガでの休職中に疾病手当金が支払われます。また、仕事中での怪我などには労災保険から手当金が支払われます。
しかし、これらの法定福利に加入していない場合、経済的な問題から病気やケガをしても、なるべく休みたくないと考えるでしょう。
また、福利厚生がないブラック企業などでは、過重労働を強いられ、法定休暇すら満足に取れない会社もあります。
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福利厚生がない会社でどうしても働きたい場合
福利厚生がないとわかっていても、どうしてもその会社で働きたい、という場合もあるでしょう。仕事内容が自分に合っている、会社が小規模で厚生年金に入れない、ブラック企業だとわかっているがその会社しか採用されなかった、などの理由があります。
その場合でも、福利厚生がないことによるデメリットや、悪影響から逃れる方法を考え、別の手を打っておくことが重要です。
外部サービスを利用する
個人で加入できる福利厚生代行のサービスがあります。サービスの内容は、介護や育児の手当金や慶弔時の見舞金の支給、資格取得時の補助金の支給など、実用的なサービスを提供しています。
自分の会社では法定外福利は期待できないが、福利厚生を利用したいという方は、ぜひ自分に合った福利厚生代行の外部サービスを探してみましょう。
自分で保険に入る
ケガや病気などで会社を休職した場合などに備えて、事前に保険に入っていくと良いでしょう。特に、長期休暇を取らざるを得ない場合、経済的に困窮する可能性は高くなります。
また、福利厚生がない会社では、病気などにより解雇される可能性もあります。収入保障に該当する保険なども考えておくと良いでしょう。
健康面などの自己管理の強化
法定外福利がなく人間ドッグの受診手当が出ない会社などは、自治体主催の健康診断などを利用しましょう。無料、または安価で利用できます。
また、将来的に健康面やメンタル面で不安を抱える可能性もあるため、日々体を鍛える、食事に気を付ける、休暇でリフレッシュできる環境を整えるなど、プライベートを充実させるよう努力しましょう。
福利厚生がない会社はデメリットが必ずある
このように、福利厚生がない会社は必ずデメリットがあります。自分の会社の福利厚生をしっかりと確認しておきましょう。
福利厚生がない会社だった場合は、それでもその会社にいるべきか、いたいのかをよく考えましょう。そして、もし会社に残る道を選択するのならば、デメリットを補完する手段を考え、実行に移しましょう。