離職率とは
離職率とは、ある時点での在籍者数に対し、ある一定期間後に退職した人の割合です。
この離職率を計算する期間は目的によって変動します。1年間で計算する場合が多いですが、3年間で計算されることもあり、何を求めたいかで期間が違います。
この離職率は、従業員の仕事満足度に比例しますので、企業が追わなければならない指標の一つと言えるでしょう。
従業員の仕事満足度につながる
先程も述べたように、離職率は従業員の仕事満足度につながります。
これは、職場環境や人間関係、仕事内容、待遇など、従業員が希望しているものでない場合に退職することが多いため、離職率が高い、退職者が多いということはその職場の仕事内容や環境などが良くない、ということに直結するためです。
なので、離職率を計算することは、その企業の従業員満足度を表すということに繋がります。
離職率の計算方法4ステップ
離職率を計算する方法は、「退職した人÷在籍者数×100」で計算することができます。
ただし、目的別によって期間が異なるため、何の離職率を計算したいのかを明確にしておく必要があります。たとえば、入社1年後、入社3年後、中卒従業員の3年後などが挙げられます。
では、離職率を算出するための計算方法について、分かりやすく手順をご説明します。
ステップ1:期間を決める
離職率は、ある一定の期間における従業員の退職者数の割合ですので、離職率を計算するためには、まずその、ある一定期間の期間を定めましょう。
上述したように、入社1年後、入社3年後、、中卒の従業員の3年後、大卒従業員の1年後など、計算する期間は目的に応じてさまざまです。
ステップ2:期間中の退職者を数える
ある一定の期間が決まったら、その間に退職した人数を数えましょう。
ただ退職した全体の数を数えるのではなく、中卒従業員の○年間以内に退職した人数、大卒従業員の○年間以内に退職した人数など該当するものを数えなくてはなりません。
ステップ3:期間中の在籍者を数える
前述で決めた、ある一定の期間において、企業に在籍する人数を数えましょう。
これもステップ2と同様に、該当するものを数えなくてはなりません。たとえば、新入社員10名で企業全体の在籍者が200名だった場合、新入社員の離職率を求めたいなら在籍者数は「10」になります。
ステップ4:退職者数を在籍者数で割る
前述した退職者数と在籍者数が数えられたら、「退職者数÷在籍者数×100」を計算をしたら離職率が求められます。
例として、新入社員が1年以内に離職した割合を計算してみます。この企業が「200名の従業員が在籍しており、10名の新入社員を採用、1年以内に2名が退職」だった場合、2÷10×100=20なので、新入社員の1年以内の離職率は20%になります。
離職率と定着率の違い
これまで「離職率」とその計算方法についてご説明してきましたが、次は「定着率」についてお話しします。
一般的に定着率とは、離職率とは反対のような意味で用いられ、企業に定着している(=離職していない)割合を指します。
違い1:定着率は明確な定義がない
先程、定着率とは、離職していない割合と説明しましたが、実はこの定着率は明確な定義がされていません。
厚生労働省が用いている言葉の中にも定着率という言葉はありませんが、一般的には離職率の対義語として用いられています。
違い2:離職率から計算した数が定着率
一般的には、「100-離職率=定着率」です。
明確な定義がないので、定着率の明確な計算式は存在しませんが、離職率の対義語が定着率なので、100(%)から離職率(%)を差し引くことで定着率(%)が求められます。
たとえば離職率が20%の企業の場合、「100-20=80」を計算すれば定着率が求められるので、定着率80%という答えになります。
違い3:数字の低さと高さが意味するもの
離職率が低い、定着率が高いということは、退職者が少ないことを意味します。反対に離職率が高い、定着率が低いとは、退職者が多いことを指しています。
離職率が低い、定着率が高いと聞くと良いイメージを受けますが、実は○%以下は低い、○%以上は高いといった基準となる数字や決まりはありません。したがって、計算した結果の数字は一つの指標にしか過ぎないということを念頭に置いておきましょう。
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離職率が高くなる5つの原因
離職率の計算方法については上述しましたが、その数字を見て離職率が高いなと感じる場合もあるでしょう。離職率が高くなるということは、退職者が多くなるということを意味します。
退職する人が多くなる(離職率が高くなる)のには、職場環境や仕事内容、人間関係などさまざまな要因があります。
そこで、離職率が高くなる具体的な原因についてご紹介します。
原因1:給与
給与の金額は、離職率が高くなる原因に直結します。
労働者にとって、気になるのが給与でしょう。同じ時間を働くのであれば、当然給与の高い企業に勤めたいと思うのが普通です。
ところが、給与面に不満があり、これから昇給する見込みもない場合、その企業から離職したいと思う人は増えてきます。給与面において、より良い企業に移りたいと思うのは当然のことですので、給与が低すぎる企業は退職者数も多くなります。
原因2:休みが少なく労働時間が長い
休みが少ない上に労働時間が長いのも離職率が高くなる原因に直結します。
働き方について議論されている昨今、休みが少なく労働時間が長い企業は敬遠されがちです。多くは自分の余暇を大切にしたいと考えていますので、あまりにも労働時間が長く、休みも少ない企業の場合、他の条件の良い企業に移りたいと思うのが普通でしょう。
そのため、休みが少なく労働時間も長い企業は退職者が多くなる傾向にあります。
原因3:評価への不満
評価への不満が原因で退職する人も多いです。
いくら頑張っても、いくら成績を上げても、それをしっかりと評価してくれない企業だと、仕事のやる気が損なわれてしまいます。頑張っても評価されないなら、転職したいと考えるのは当然でしょう。
したがって、評価に不満がある企業では、離職率は高くなります。
原因4:人間関係のストレス
人間関係がうまくいっていない企業においても、離職率は高くなります。
給与面や労働環境が良かったとしても、人間関係がうまくいっていない場合、その企業を退職したいと思うのは当然のことです。パワハラやセクハラなど、目に見えないところで何かしら問題がある場合もあります。
このように、人間関係のストレスから、退職する人は意外と多いです。
原因5:将来への不安
その業界における将来の不安というのも、離職率が高くなる一つの原因と言えます。
その業界全体が衰退していたり、あまり先のない業界だと感じるなら、早めに退職して他の業界に転身したいと思う人は多いでしょう。自分はいつ首を切られるか、またはいつ倒産するのか、不安に感じていればなおさらです。
このように、企業の将来に不安を感じることも離職率が高くなる原因と言えます。
離職率は正しく計算して公表しよう
離職率について理解を深めることはできたでしょうか。
離職率は、その企業における仕事満足度の一つの指標と言えるので、正しく計算して公表することが大切です。一方で、企業側は仕事満足度の向上、職場環境を改善することが課題です。これからは、どの企業においても、できる限り離職率を低くする努力が課題と言えるでしょう。