定年後の再雇用制度とは?再雇用決定までに行う4つのこと

組織・人材

定年後の再雇用

定年年齢は企業によって異なりますが、法律により企業は65歳までは雇用しなくてはならない義務があります。定年年齢を65歳未満に設定している企業は、定年年齢を65歳に引き上げるか、定年の年齢を迎えてもそのまま雇用し続けなければなりません(勤務延長制度)。

65歳までの就労を義務化することにより、高齢化社会を迎える日本において、できる限りの人材を確保しようとしています。

定年後の再雇用制度とは?

定年後の「再雇用制度」とは、65歳未満を定年年齢に設定している企業に対して、定年退職後に「まだ働きたい」という本人の希望があれば雇用契約を結んで再雇用しなくてはならない制度のことをいいます。

この再雇用制度は、少子高齢化による働き手不足解消の一つとして、65歳までの安定雇用と人材確保のために制定されました。

定年前と定年前の労働条件の違い

定年退職した後も希望すれば、同会社(同グループ会社)で勤務し続けることが可能ですが、定年前と定年後では何がどう違うのでしょうか。「再雇用制度」は一度退職した後に雇用を結ぶ制度ですので、定年退職前との雇用形態や契約期間、給料などさまざまな部分で異なります。

では、具体的に何がどのように違うのか、以下で項目ごとにご紹介します。

雇用形態

雇用形態は企業によりさまざまですが、正社員やパートタイマー、アルバイト、委託社員などがあります。

一般的にはパートタイマーや委託社員などとして再雇用されることが多いですが、企業によって雇用形態は異なりますので確認しておいてください。また、フレックスタイムや在宅勤務制度を導入している企業もありますので、こちらも退職前に一度確認しておきましょう。

契約期間

定年退職後の再雇用で多いのが、契約期間1年などの有期雇用契約です。無期雇用の正社員とは違い、1年ごとに雇用継続の意思や健康状態の確認が行われ更新していく形になります。

また、この有期雇用契約が通算5年を経過した時に、本人が希望すれば無期雇用(契約期間の定めがない雇用)に切り替えられる権利が発生します。ただし一定の条件があり、切り替えの申請をしないと無期雇用にはならないのでご注意ください。

給料

多くの企業で再雇用した場合の給料は減額されます。その背景には、雇用形態が正社員から時間給制のパートタイマーや、アルバイトになったという人が多いからです。

厚生労働省によると、定年後の再雇用では給料が30%~50%以上減ったという人が約6割を占めていて、中には給料の額に変化がなかったり、むしろ給料が増えていたりする人もいますが、それはごく少数です。

業務内容

定年後の再雇用の場合、業務内容に大きな変化はあまりないのが普通です。

企業側にとっても、同じ業務内容を継続して就かせないといけないなどといった義務はないので、多少の業務内容の変化はあり得ます。また、多少の業務内容の変更だけでなく、責任範囲においても縮小されることは考えられますので、再雇用の面談時はしっかり確認しておきましょう。

保険

定年後の再雇用でも、原則として、社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険など)には加入しなくてはなりません。

保険料に関しては収入額に応じて金額が決まるため、再雇用後の給料が下がった場合は保険料も下がります。ただし、再雇用後の給料が上がっていた場合には、保険料も上がる恐れがあります。

また、1週間の勤務時間が20時間未満の場合、社会保険加入が認められないケースがありますのでご注意ください。

定年後の再雇用決定まで行う4つのこと

定年後に再雇用するためには、企業側は定年前に再雇用の案内と十分な説明をしなければなりません。定年退職対象の社員に対し、面談を行って「継続して働きたい」という意思と健康状態などの確認を行う必要があります。

制度の導入から再雇用決定までの流れについて詳しくご説明します。

1:制度導入の手続き

もし、まだ再雇用(継続雇用)の制度が導入できていないのであれば、制度の導入手続きが必要です。

再雇用(継続雇用)については就業規則に記載しなければいけませんので、就業規則の変更をするか、もしくは加えて別で規定を作るかしてください。就業規則を変更するだけでなく、必ず労働基準監督署へ届け出も行いましょう。

2:社員本人の意思確認

再雇用(継続雇用)の制度が導入されれば、あとはその社内規定に沿って進めていきます。

まずは定年退職を迎える社員に対し、このまま働きたいという意思はあるのかの確認が必要です。いきなり面談で確認する企業もあるでしょうし、定年対象者に対して雇用の継続の意思確認するための書類を配布して回答させてから面談を行う企業もあるでしょう。

企業によって確認方法が若干異なりますが、社員の意思を確認することが必要です。

3:面談の実施

社員の意思を確認したら、次は面談を行います。

再雇用を希望しているのであれば、雇用形態や業務内容、給与面や保険など、さまざまな面の確認が必要です。そして、退職希望の社員には退職の再確認をお互いに行います。

また、企業側が提示する対応(短時間勤務、在宅勤務、フレックスタイムなど)次第では、退職希望していた社員が再雇用への希望に変更する場合も考えられます。

4:定年後再雇用の決定

定年対象の社員と面談が終われば、再雇用か定年退職かの決定が行われます。

再雇用が決定した場合、一度定年退職をしてからの再雇用になるので、退職金の準備などが必要です。それと同時に、再雇用の契約書などの締結もしなくてはなりません。

また高齢者雇用安定法では、企業側は定年退職者の希望条件に合わせて雇用する義務はないため、定年を迎える社員との希望条件の折り合いが悪い場合は、そのまま定年退職になります。

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給与が下がっても安心!給付金制度3つ

上述したように、定年後の再雇用においては給料が下がる場合が多いです。給料が下がると日々の生活に直結するため、死活問題になりかねません。

そこで、雇用保険制度における給料が下がっても安心できる給付金制度をご紹介します。失業などでいきなり収入がなくなった方に対しての措置で、一時的にお金の給付してくれる制度です。

1:高齢者雇用継続給付金

「高齢者雇用継続給付金」とは、失業保険などの基本手当を受給しない被保険者が対象の給付金です。

以下の全ての条件を満たす方に受給資格があります。

・60歳から65歳までの被保険者。
・5年以上の被保険者であった方。
・60歳時点の給料と比べて75%未満の金額になっている方。

詳しくは厚生労働省の公式ページに記載がありますので、そちらも併せてご確認ください。

2:失業給付金

「失業給付金」とは、会社を退職後、次の就職先が決まっていない場合に支給される給付金です。これは無期限の給付金ではなく、支給期間は決まっていますが、転職や再就職を支援するために国が支給してくれる給付金です。

給付するための条件は以下の全てを満たす必要があります。

・雇用保険の被保険者の方。
・被保険者の期間が2年間で12ヶ月以上あること。
・失業状態(働けるのに就職先が決まらない状態)であること。

3:教育訓練給付金

「教育訓練給付金」とは、教育訓練(能力開発や人材育成を目的としたさまざまな分野の指導)の受講に支払った費用の一部を支給してくれる給付金です。

支給対象者は以下のいずれかの条件を満たし、かつ教育訓練を修了した方です。

・教育訓練の受講開始日に、雇用保険一般被保険者で支給要件期間が3年以上。
・受講開始日において被保険者でない方のうち、受講開始日の1年以内に資格を喪失し、かつ支給要件期間が3年以上。

再雇用で新たな一歩を踏み出そう!

定年退職後の再雇用制度について理解を深めることはできたでしょうか。

定年退職後でも本人が希望すればまた雇用してもらえますが、給料が下がったり、雇用形態に変化があったりと、定年前と比べてさまざまな点で違いがありますのでご注意下さい。再雇用前に実施される面談で確認しておくことが大事です。

まだまだ働きたいという気持ちがある方は、ぜひ再雇用制度を利用してください。

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