MECEとは?
MECEとはMutually Exclusive collectively Exhaustiveの略です。問題にダブりがなく、全体として漏れがないことを表します。
プロジェクトマネジメントにおいて重要な概念の1つであり、起こりうる問題やその原因、それに対する解決策をMECEに則って挙げることで、適切な対策をとることができます。問題を事前に防いで、即座に対応することができると考えられています。
MECEの必要性
我々ビジネスパーソンの仕事は、一括りに言うと課題解決と言えるでしょう。例として大きく複雑な課題は、そのままでは取り扱いづらく、取り組みにくいです。この複雑で大きな課題を、よりシンプルなものに切り分けることができたらどうでしょうか。
この構造化を行う上で必要な、最適な切りわけ方の指針となる概念がMECEです。
MECEの基本的な考え方の例3つ
基本的な考え方の例を3つ紹介します。複雑で大きな課題を、よりシンプルなものに切り分ける考え方は、物事を整理するときにも大切な考え方ですが、特にビジネスでは重要な意味を持ちます。
例えば、経営上の戦略を考えるときに、経営の3大原則として知られるヒト・モノ・カネですが、それに加えて以下のポイントを抑えることで、漏れなく経営を進めることができます。最近では、これに情報も追加されるようになりました。
例1:年齢と性別
例えば年齢別に分ける場合はかなり厳密にMECEできます。10歳刻みでも1歳刻みでもそうです。
性別は、実は簡単ではありません。例として男女の他に性同一性障害の人をどう扱うのか性転換者をどちらに分けるのか、性指向の分け方は難しいです。しかし、ほとんどの場合、男女別で十分です。日常のビジネスで求められる事に関しては、性の実態は必要ありません。
年齢と性別はあまり難しく考えずにMECEするといいでしょう。
例2:社会人歴
社会人歴の場合はどうでしょうか。別の切り口として、新卒採用、中途採用という切り口で考えることもできます。
ポテンシャル採用の新卒、プロフェッショナル採用の既卒といったように、採用の目的とターゲットをMECEに分類することで、効率的な採用活動が可能になります。
例3:居住地
例えば採用ターゲットが二地域居住をしているなど、例外的な重複も考えられますが、このような重複は無視できる程度でしょう。居住地でのMECEは取組やすいです。
居住地を元に採用ターゲットを分類することもできます。地方にある営業所での求人や、自宅からの距離で候補が検討されることの多いアルバイトの募集に効果的な切り口です。
MECEになっていない例2つ
反対にMECEになっていない例にはどういうものがあるでしょうか。パターンとしては、漏れがあるがダブりはないや、漏れはないがダブりがあるや、漏れもダブりも両方ある、の3つの状態が考えられます。
例として、2つのMECEになっていないものを紹介します。
1:モレがある
売上を伸ばそうと考えた時に、売上を構成する各要素について考えた方が具体的なアイデアが出しやすくなります。例えば売上の要因を顧客数と利用頻度に分類したとします。
そうすると顧客数と利用頻度を伸ばす取り組みを行うことになりますが、この分類だと1回あたりの利用金額にモレがあります。
分類の仕方にモレがあったがために、1回あたりの利用金額をあげる施策について考えないままになってしまう可能性があります。
2:ダブリがある
MECEに漏れやダブリがあると、考えるべき全体像を正しく捉えることができません。ダブリがあれば、効率性を落としてしまうことがあります。
例として判断を間違えてしまうことで、経営資源を非効率に使うことになり、最終的にはそれが売上や利益という企業として追うべき目標の未達につながる可能性があります。
問題解決を行ったり、何かの意思決定をする際には漏れもダブリもなくMECEに考える必要があるといえるでしょう。
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MECEに考えるためのアプローチ法2つ
それでは、MECEに物事を考えていくには、具体的に何をすればいいのでしょうか。そのために、代表的な例のひとつである有数ダウンアプローチとボトムダウンアプローチと呼ばれる2つのアプローチ手法が使われます。
有数ダウンアプローチとボトムダウンアプローチはよく考えれば、誰でもが自然と考え実践しているはずの手法でもあります。
1:有数ダウンアプローチ
有数ダウンアプローチは物事の全体像をみて全体を構成する一つひとつの要素を目的にそって分類していく方法です。考えるべき範囲がはっきりと分かっている場合は、全体として考えるべき領域が明確に定義できるときに有効となるアプローチといえます。
飲料の例は、飲み物という誰にでも理解できる明確な領域が定まっているため、容量やメーカー別といったように詳細に分類をしてから、カテゴリに当てはまる品目を挙げていきます。
2:ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチでは、まず考えられる事例や要素をひととおり洗いだし、それをグループ化することで全体像を導き出す方法です。どういう分類をすればよいのかが不明瞭な場合などに役立ちます。
例えば、新商品に対する顧客の反応をカテゴリ分けしていくことで、どういうアプローチをすればどういう結果が得られるのかをグループ化できるでしょう。そうやって営業手法を体系化していきます。
MECEに考えるためのポイント4つ
MECEに慣れないうちは、自分やチームメンバーの考えに抜け漏れがあるのかどうかを見極めるのは難しいでしょう。そんな時はフレームワークを使うと良いでしょう。
例えば、一般的に知られているフレームワークは、洗練されているものが多く、枠に当てはめていくだけでMECEを実現できます。
1:要素分解
これはMECEにおける最も基本的な考え方です。全体像を把握し、それを構成する要素を網羅するように挙げていきます。
その後、分類した要素の合計が全体と一致するように考えます。年齢や性別といった人間の基本的な属性から、マーケティングの4Pや3C分析などといった汎用的なフレームワークもこの考えに基づいています。
2:時系列・ステップ分け
時系列やプロセスに従って要素を並べていく方法です。例えばこの方法に基づいたバリューチェーンという考え方がありますが、これは企業運営において必要な、原材料の調達から顧客に提供するまでの流れを段階的に網羅します。
3:対象概念
対象概念とは物事を対象となる概念ごとに切り分ける方法です。これはフレームワークの基礎として有用な考え方であり幅広く応用ができます。
例えば、商品の価値を上げるにはどうすればいいかという課題にぶつかった時に、質を上げるのか量を上げるのかと分けて考えることができるため打つべき施策を明確にすることができます。
1つの要素に対してその反対は何を指すかを考えればよいので比較的利用しやすい考え方といえるでしょう。
4:因数分解
因数分解してフレームワーク を考える際は、四則演算をイメージして考えると良いでしょう。上記は足し算と掛け算ですが、他に引き算と割り算でもMECEにフレームワークを作ることができます。
国内旅行について考えるときに、全体をイメージして引き算をして、海外旅行についても検討材料に入れるなど。割り算であればCTR をクリック数、露出回数に分解してそれぞれの要素について考えることができます。
成果にフォーカスを充てることが大切
重要度が判断できると、いらない部分を捨てて、自信を持って重要な部分にフォーカスして時間を使うことができます。あなたが無駄な時間を過ごしてしまっているのは、やらなくてもいいことにまでフォーカスしてしまっているからです。
MECEでやらなくてもいいことを可視化することで、大事な部分以外なことはやらない、と認識できるようになります。