3職種における経営課題の問題点と解決策|経営課題の3つの見つけ方

組織・人材

経営課題とは

近年、企業はグローバル化の波や、すさまじいスピードのテクノロジーの発展により、企業として抱える経営課題も以前に比べ高度化・複雑化し、経験値だけで解決するのが難しい内容になってきています。

企業環境の変化によるものだけでなく、少子高齢化など国として抱える問題の影響としても、労働人口の減少による人手不足にも見舞われ、企業の存続に影響の高い経営課題が増えています。

現代の経営課題が生じる原因

バブル経済の崩壊後、企業を取り巻く環境は激変しました。その後も、ITバブルの崩壊やリーマン・ショックといった世界経済の影響や、阪神淡路大震災・東日本大震災など自然災害の影響を受け、日本企業の経営課題は複雑さを増しています。

ここでは、現代の経営課題の主な原因について内容をご紹介します。

経営環境の不確実性の増加

企業が抱える経営課題として「収益性向上」が常に上位に挙げられています。収益性向上を目指すうえで、「自社の主要事業の5年後の見通しがついていない」とする企業も多く、日本には、経営に問題を抱える企業が多いことが伺われます。

大手企業では、「事業基盤の強化・再編」を重大な経営課題とし、中小企業では「売上シェア・シェア拡大」や「人材強化」を問題視しています。会社規模によって、抱える経営問題には差があります。

働き方改革の影響

多くの企業が「量的にも質的にも人材が不足している」としています。優秀な人材を確保するために、多くの企業が従業員の満足度を経営課題に挙げています。

従業員の不満を解消する意味でも、従来うまく活かされてこなかった、中途採用・女性・シニアといった人材を積極的に活用し、個々の負担を抑えようと考える企業も増えています。従業員の確保や離職防止のため、労働環境および人事施策の整備が早急に求められています。

消費者価値の変化

企業が収益性の向上を実現するうえで、「消費者価値の変化」は重要な要因となります。

経済産業省によると、2000年と2015年では、消費者の価値が大きく変化しています。以前は、「安価で経済的な商品」が好まれましたが、現代の消費者は、「消費者のライフスタイルや価値観を重視した消費」を好む傾向にあります

企業は、このような顧客となる消費者の価値の変化に敏感に対応し、消費者ニーズに応える必要があります。

3職種における経営課題の問題点と解決策

ここでは、代表的な3つの業務種別「営業・販売」「人材・業務」「グローバル化・事業拡大」がそれぞれ抱える経営課題の問題点、および解決策をご紹介します。

どのような企業でも、同じ解決策がフィットするとは限りませんが、問題点が同じである以上、ご紹介する解決策も参考になるはずです。

経営課題の問題点と解決策1:営業力・販売力

企業の営業や販売を担う部門におけるもっとも重要な経営課題は、「営業力・販売力」です。特に「企画提案力」は、顧客の信頼を得るスタート地点ともいえ、企業としてはなんとしても強化しておきたいポイントになります。

営業力・販売力という面で考えたときに、以下のような点が経営上の問題となります。

問題点:営業担当の業務負荷

営業部門は、直接収益が見える部門です。営業担当者たちは、ノルマという数値を負ったうえで仕事に臨みます。業務内容は、顧客に物を売る約束を取り付けるだけなく、提案書や契約書の作成や、部門や上司への報告業務などの事務作業もたくさんあります。

事務作業が後回しになり、本来の勤務時間を過ぎてからやっと取り掛かれるという営業担当者も少なくありません。

解決策

営業担当者の顧客対応は、営業職のメインとなる業務であり、削減すべき作業ではありません。削減対象とできるのは、事務作業などの業務負担です。事務作業の軽減には、モバイルワークの導入が効果的で、以下の効果を期待できます。

・社外からも事務作業を可能にする
・社外から、組織内のノウハウや情報の参照ができる(ノウハウの共有化)
・モバイル端末から在庫確認や受注情報の入力を可能とする

問題点:マーケティング力不足

ビジネス課題が高速で高度化・複雑化しているため、従来のマーケティング手法ではマーケティングが不十分になりつつあります。企業は、早急にマーケティング手法を見直さなければならない状況にあります。

変化する顧客の価値観やニーズに、柔軟に対応するため、企業にとって精度の高いマーケティングを行うことが最重要課題となっています。

解決策

マーケティング力を強化するためには、 市場の細分化やターゲティング・ポジショニングの見直しを行うことが不可欠といえます。

従来とは全く異なる、インフルエンサー・マーケティングや、デジタル・マーケティング、Webマーケティングといった新たなマーケティング手法についても、自社の活動に有効活用できるのか、検討する必要があります。

問題点:同業他社との価格勝負

競業他社とのコンペなど、低価格勝負となることも多く、営業部門では顧客からの価格交渉や値下げ要求が問題となります。対応方法には、単純に値下げに応じるものから、ほかの商品や機能を抱き合わせる方法などさまざまです。

解決策

競合する他社との価格勝負になったとき、問題解決のため、営業部門だけの努力で値引き対応できる場合もあれば、全社をあげて対応することになる場合もあります。

顧客から低価格化の交渉を受けないよう、以下のような振る舞いを常にしておくことが一番の解決策となります。

・価格交渉や値下げ要求を顧客が申し入れてこないだけの価値のある商品・サービスを提供する
・顧客に対して価値の高さを事前に情報発信し、周知しておく

経営課題の問題点と解決策2:人材・業務関連

少子高齢化の影響で、労働人口が減少していることに加え、質的な人材の不足も企業の経営課題となっています。業務プロセスが煩雑になるほど、組織の対応力も落ち、企業の収益に深刻な影響を与えることになります。

人材・業務関連の課題としては、主に以下のような問題があります。

問題点:新事業開発推進者の不足

企業の成長のため、新たな成長事業への参画を模索する企業も増えています。経験のない新規事業に参入する際の立ち上げでは、経営リスクとなる多くの問題が発生します。

各企業とも、新規事業開発推進者の不足が強く指摘されています。新規事業を創生するためのアイディア出し、ビジネスモデルを作り上げることは、誰でもできる業務ではなく、かなり高度なスキルセット、マインドセットを持つ人材を必要とします。

解決策

問題に対する解決策を知るために、 新規事業開発に成果を出した企業の実情を調べることが役に立ちます。新規事業開発は、マネジメントスタイルによって成果に差があると分析されています。

新規事業開発に成功する企業では、従業員自らが行動を起こしやすい企業文化を持っています。新規事業へのチャレンジに対し高い評価が得られ、失敗した場合の減点評価が廃止されている企業ほど、成果がでやすいという分析結果もあります。

問題点:非効率な業務プロセス

経営課題として「業務プロセスの改善・構築化」が重視されますが、適切な改善ができている企業は多くはありません。適切な改善が行われるどころか、非効率な業務プロセスが残っていることを問題視している企業もあります。

人手不足解消に対する施策が重視されていますが、人手不足を補うための長時間労働や、長時間労働を解消するためにスキルの低い人間を雇用することで、従業員の生産性が低下する結果となる場合もあります。

解決策

業務プロセスの見直しを図り、効率的な業務プロセスを構築することが、問題に対する一番の解決策ですが、プロセス改善は難しく、早期解決を見込むことができません。

当面の人手不足や、長時間労働に対する解決策としては、設備投資やアウトソーシングを検討することも重要です。

業務プロセス改善に向けての取り組みとしては、ホワイトカラーの間接業務を自動化する技術であるRPAの活用を検討してみましょう。

問題点:教育研修体制

多くの企業では、自社の教育研修体制に絶対の自信を持ててはいません。特に中小企業では、自社の教育研修体制について、以下のような問題を抱える会社が少なくありません。

・単発実施で完了する「手段ありき」教育
・思い立って行う「思いつき」教育
・研修を受けることで終わる「やりっぱなし」教育

解決策

自社の教育研修体制に問題を感じている場合は、以下の点を踏まえて、教育の体系化を構築することから始める必要があります。

・自社の人事制度を踏まえ、会社が社員に求める能力や資質を明確にする
・社員に求める能力や資質を評価するための基準を明確にする(数値化など)
・「会社が社員に求める能力や資質」をターゲットとする育成・教育計画を立てる

経営課題の問題点と解決策3:グローバル化・事業拡大

多くの日本企業が海外市場への期待を抱いて、市場開拓や生産拠点の場を海外に拡大しています。日本国内に閉じた経済活動とは異なり、文化や価値観が日本とは異なる現地人を適切に管理するコーポレート・ガバナンス力を発揮する必要にも迫られています。

企業がグローバル化したり、事業拡大することで発生する経営課題として、以下のような問題が挙げられます。

問題点:不正・不祥事への対応不足

海外に事業展開するグローバル企業では、海外子会社をコントロールできず、経営危機に陥るという問題が増えています。

コーポレート・ガバナンスが行きわたらず、現地における不正な経営につながってしまうこともあります。不祥事が発生した際の対応不足によって、企業価値が落ちてしまうという問題も発生します。

解決策

国内外を問わず、不正や不祥事という問題に対する防止・対応としては、徹底したリスクマネジメントが必要になります。地域リスクにつながる現地の情勢を正確に把握しておくことと、責任の所在を明確にしておくことは必須です。

リスクマネジメントによるルールの徹底と、ルールが順守されているか監視することが必要となります。日本国内のみで経済活動する場合よりも、リスクマネジメントを慎重に行う必要があります。

問題点:事業拡大を任せる人材不足

グローバル化に伴い、複数地域で事業を拡大したり立ち上げたりする場合、すべてのコントロールを日本の本社から行うのは、難しく、経営上の問題となりがちです。現地の人間を中心に進め、日本から投入するリソースを抑えたいというのが、企業の本音といえるでしょう。

事業拡大のスピードが速すぎると、事業拡大を担えるだけの人材の育成が国内外ともに追い付いていないということも、企業が抱える問題となっています。

解決策

人材不足は、一朝一夕で解決できる問題ではなく、じっくりと人を育てる必要があります。事業拡大のスピードが速すぎると、なんとか人材のやりくりする経営方法となってしまいます。

人材確保のため、社内教育で育てる方法と、優秀な人材を中途採用で採用する方法の2本立てで進めます。人材育成については、座学ではなく、優秀な人材とセットで現場に立つOJT方式を採用し、実体験を積むことで、より早い育成を期待できます。

問題点:スピード感のある事業展開

市場規模が縮小傾向にある日本国内とは対照的に、東南アジアやインド、中近東・アフリカ地域は、めまぐるしいスピードで経済発展が進んでいます。

急成長する市場に対して、スピード感を持って事業拡大の対応ができていない、という経営課題を抱え、問題視している企業も少なくありません。

解決策

スピード感を持って海外事業を展開していくには、地域特性を考え、事業展開する地域単位で管理体制を強化します。

本社からの指示を間違いなく現地で展開させるためには、地域統括会社の機能を見直し、本社からキーマンを配置するなどの体制見直しが必要です。内部監査制度を導入し、経営にかかわる問題点を、監視・解決する風潮を現地に根付かせることも、施策として有効です。

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経営課題の3つの見つけ方

経営課題には、管理者や従業員が実感しやすい問題だけでなく、現場では自覚しにくいものの、経営に多大な影響を与えている問題もあります。

こうした自覚しにくい問題も含めて、経営課題として洗い出し、解決するため、ここでは経営課題の見つけ方についてご紹介します。

経営課題の見つけ方1:経営の「見える化」の実現

問題が発生しているか否かは、数値化するとわかりやすくなります。ERPなどを利用することで、数値化が難しかった非財務関連の業務も数値で把握することができます。数値化は「経営の見える化」につながり、経営状態を把握しやすくなります。

経営課題の見つけ方2:戦略マップの活用

戦略マップは、バランス・スコア・カードの4つの視点を図式化したものです。戦略マップを活用することで、企業文化や技術力の向上、業務プロセスの改善を期待できます。また、顧客視点で付加価値を発見できるという利点もあります。

経営課題の見つけ方3:課題発見能力の育成

自社の経営課題は何かと問うたときに、何もあげられない従業員も存在します。こうした人は、日ごろから自分が担当する業務に、何の問題意識を持たずに過ごしているということです。

経営課題に対する問題意識のない人ばかりでは、企業活動の向上は見込めません。顕在化しにくい真の課題さえも見つけ出せるような「課題発見能力」を多くの社員が持つことこそ、企業活動の向上につながります。

経営課題をしっかり特定した上で対策をしていきましょう

企業活動を向上させるためには、ただ漠然と経営に携わるだけではなく、常に経営課題を意識し、問題点の洗い出しと、解決策の検討をしていくことが不可欠です。

自社の経営課題として、どのような問題があり、どうすれば解決するのか、回避できるのかといった検討をしていきましょう。

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