従業員と役員とは
会社組織を把握しておきたいのなら、従業員と役員は抑えておきましょう。
もし会社を興して従業員を雇う場合、従業員と役員の定義が理解できていなければ、大問題です。また従業員としてい働いていれば、役員として任命されることもあるでしょう。
簡単に説明すると、従業員は会社に雇われている労働者で、役員は会社機関です。労働者である従業員と、会社機関である役員についての定義を取り上げます。
従業員の定義
法律での従業員の定義は、「労働者」です。
労働基準法で、これから会社で働く人に対して雇用契約書を提示し、雇用契約を結ぶことが決められています。雇用契約書に書かれている「労働の取り決め」に同意して雇用契約を結べば、従業員として働くことになります。
正社員・契約社員・パート・アルバイトは、働く前に雇用契約書で雇用契約を結んだ上で働いているので、従業員です。
役員の定義
法律上にて役員の定義は「機関」で、会社の舵を動かす経営者や管理職を指します。
会社法では、取締役・会計参与・監査役・執行役・会計監査人が役員です。役員になるには出世することですが、役職によっては出世だけではなれないものもあります。
例えば取締役の場合は、株主総会での選出・会計監査人は第三者である公認会計士であるのが条件です。役員は会社と委任契約を結んでいるので、社員とは別です。
役員に求められる資質
役員は従業員に命を下して会社を動かします。しかし立場的に役員が上であるにも関わらず、従業員が全く動かなければ大問題です。
従業員を動かして会社を軌道に乗せるには、彼らの言葉に耳を傾けるべきです。この耳を傾ける姿勢こそが、役員に求められている資質と言えます。
話を聞かずに勝手に動いていては、誰もついてきてくれません。従業員の声にじっくりと耳を傾ける姿勢は、会社を今よりも良い方向へと導いてくれるでしょう。
1分で分かる!従業員と役員の違い4つ
従業員は現場で働き、役員は従業員を指揮する立場であるというのは、イメージできるでしょう。
では従業員が出世したら、役員として働くことができるのでしょうか。従業員と役員は似て非なるもので、全く違います。一体何がどう違うのか、従業員と役員の違いを4つ紹介します。
従業員と役員の違い1:報酬
報酬と給与の決定的な違いは、損金算入ができるかどうかです。
役員報酬は、損金算入ができません。報酬を調整すれば会社の利益を操作することになり、法人税を大幅に下げることができてしまうからです。
一方従業員給与は損金算入が可能で、減らすも増やすも自由自在です。ただし役員の親族・婚姻関係にある従業員に支払われる給与は、損金算入は認められていません。
従業員の報酬は経費になる
従業員に支払われる報酬は、経費扱いにすることができます。
所得税法では従業員給与と役員報酬は、同じ「給与所得」です。税金の取り扱いも同じで、一見すると大きな違いは見られません。役員報酬との違いは、従業員報酬は経費で支払われる点です。
役員報酬を経費でから支払う場合、制限がかけられています。一方従業員給与を経費で使うのに制限がないので、ボーナスも経費扱いとなります。
役員の報酬は役員報酬になる
役員の報酬は、法人税法上の役員に対して支払われる「役員報酬」になり、会社側から支払われます。
法人税上の役員は、法律で定められている取締役・監査役・会計参与・執行役・理事・監事・清算人です。また従業員でも会社経営に関わっている場合、「役員」として取り扱われます。
なお、役員報酬には基本的に残業手当はありません。ただし実務内容が従業員とほとんど変わらない場合は、役員でも残業手当が出る可能性があります。
従業員と役員退職金の違い
従業員に支払われるのが退職金に対し、役員に支払われるのが退職慰労金です。退職金は退職規定、退職期労金は株式総会の決議か定款の定めに従い支払われます。
では役員と従業員を兼務している人の退職金は、どうなるのでしょうか。役員である以上は株式総会の決議がなければ、慰労金を受け取ることはできません。しかし従業員として働いていたので、総会の決議がなくても「退職金」という形で受け取ることは可能です。
従業員と役員の違い2:数え方
例えば、A株式会社という会社に社長1名・取締役2名・監査役2名・社員3名が在籍していたとします。
従業員数は単純に考えると8名におもえるでしょうが、正解の従業員数は3名です。ただし取締役の1人が兼務役員となっていた場合、従業員数は4名になります。
会社で働いている人の人数が8名であるにも関わらず、なぜ従業員数は3名~4名になるのでしょうか。答えは、従業員と役員とでは数え方が違うからです。
役員は従業員に含まれない
役員は従業員ではないので、数に含まれません。つまり役員5名・従業員が3名の会社の場合、役員5名は数えないので、従業員数は3名です。
従業員として含まれるかどうかは、雇用契約を結んでいるかどうかです。仕事内容が従業員と同じだとしても、委任契約で働いていたら「役員」で従業員に含まれません。逆に雇用契約を会社と結んでいた場合は「従業員」となり、数に含まれます。
従業員と役員を兼務している場合
従業員と役員を兼任している「使用人兼務役員」なら、労働者になるので、従業員として数えます。
ただし役員と従業員と兼任していたとしても、「使用人兼務役員」として認められない場合があります。例えば副社長の地位に就いている人が、営業部長を兼任すると、従業員として該当しません。
使用人兼務役員になる人物は、代表者以外の取締役で、他の従業員とほぼ同じ業務を承っている人です。
役員以外で従業員に含まれない場合
他の会社から出向で来た人は、従業員には含まれません。
例えばA社で従業員として籍を置いている人物が、B社へ出向していたとします。給与の支払いが出向元であるA社から出ていれば、A社の従業員になるのでB社の従業員として含まれません。
ただ出向元のA社の雇用契約が切れ、出向先であるB社で雇用契約を結べば、B社の従業員になります。
従業員と役員の違い3:契約形態
会社の雇用形態は、従業員は「雇用契約」、役員は「委任契約」になります。
従業員の立場は、「会社に雇用されることによって賃金を得る」なので「雇用契約」です。雇用契約の場合、余程の事情がない限り勝手に契約解除されることはありません。
一方役員は「会社から信頼を得て委託されている」立場なので、「委任契約」となります。なお委任契約は雇用契約と違い、基本的に契約解除は自由です。
従業員と役員の違い4:責務
会社に違法行為があり、本人に何の落ち度もなかったとしましょう。本人に落ち度がなかった場合、従業員は責任追求されることはありませんが、役員は責任追及されて賠償しなければいけません。
役員は、「会社に対しての責任」と「第三者に対しての責任」を負わなければいけません。なぜなら役員は、会社に委託されている立場にあるからです。会社を動かす立場にある以上、本人に何の落ち度がなくても、責任を負うことになります。
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役員の種類と役割
役員と一言言っても、取締役から会計監査人と種類があります。
何となくどういう役割を担っているのかは想像つくかとおもいますが、具体的な内容については曖昧になっていることでしょう。
会社組織を理解する1番の近道は、役員が担っている役割把握することです。そこで、役員の種類と役割について取り上げます。
取締役
取締役は、「株式会社」と名前がついている会社に置くことが義務付けられています。
取締役会が設けられていない会社(取締役非設置会社)の場合は業務執行、取締役会がない会社(取締役設置会社)なら、業務の決定と職務監督が主な役割です。
大まかな業務内容は定款で定められていますが、細かい部分までは決められていません。取締役の役割は、業務内容をより深く掘り下げ、会社の方向性を打ち出していきます。
会計参与
会計参与は、取締と共に貸借対照表や損益計算書などの書類を作成する役割を担っています。
会計参与の設置は任意となっており、特別に置く必要はありません。ただし取締役会を設置しておりなおかつ監査役がいない株式会社の場合は、会計参与の設置が義務付けられています。
会計参与には監査法人・税理士・税理士法人であることが条件です。取締役・監査役・執行役が就くことは、禁止されています。
監査役
監査役は、取締役の職務執行を監査する役職です。監査役が監査するのは、主に業務と会計です。
業務監査は、取締役の職務執行が法律や定款(会社の決まりごと)に違反していないかを監査します。会計監査は、定時株主総会に提出する計算書類を監査します。
もし職務執行や計算書類に違法性を発見したら、是正や阻止することも可能です。またあまりにも悪質であると判断したら、訴訟を起こすこともできます。
執行役
執行役は、幹部役員の依頼を受けて会社の重要事項を遂行する役割を持っています。
上の指示に従って速やかに従業員に支持する立場にあるので、会社利益の鍵をにぎる重要なポジションと言えるでしょう。執行役員は、最高経営責任者(CEO)と同等の責務を担っています。
ただし会社を直接動かすポジションでありながら、会社法では従業員と同じ扱いです。執行役員という役職は法律で定められておらず、社内外の敬称です。
会計監査人
会計監査人は読んで時のごとく、会計監査を行います。会計監査人に就ける人物は、公認会計士・監査法人のみです。
会計報告の虚偽表示は、絶対に許されません。そこで会社とは別に、独立した個人や組織が会計に間違いがないかどうかを確認する会計監査を行います。
もし内部の人間が会計監査をすると、不正が見逃されてしまう恐れがあります。だからこそ、会計監査は第三者の立場にいる人間が承ります。
従業員と役員の違いを理解しょう!
今回は従業員と役員の違いについて取り上げましたが、いかがでしたでしょうか。
従業員と役員の違いが把握できれば、組織についての理解も、一層深まるでしょう。従業員と役員の役割や形態は全く違いますが、「会社を支える」という点に置いては共通しています。どちらも会社にとって、なくてはならない存在です。