慶弔金とは
慶弔金とは、従業員の家族や身内などに不幸またはお祝いごとがあった時に会社からもらえるお金のことです。
慶弔金の範囲は、結婚・出産・死亡・傷病・災害などがあります。各会社の就業規則の内容よって、支給される範囲や支給額計も異なります。
慶弔金や見舞金は誰でも貰える制度ではありませんが、会社が制度を設けていれば、請求することができます。
具体的な慶弔金について説明していきます。
慶弔金を申請することのメリット
慶弔金・見舞金制度は、福利厚生の一環として設けられている制度です。従業員のことを考え会社から貰えるお金です。
慶弔金を請求したからといって、給料から天引きされるわけでもありません。相当な範囲であれば税金もかかりません。
従業員のためにある制度なので、遠慮せずに請求しましょう。請求には、慶弔事によって証明書などの提出が必要な場合もあります。手続き方法は各会社によって異なるため必ず確認しましょう。
会社から貰える慶弔金の種類6つ
最近では、ペット弔慰金や失恋見舞金などがある会社もありますが、一般的に慶弔金・見舞金は、結婚や出産などのお祝い事や死亡・傷病・災害など不幸があった場合に支給されます。
会社の就業規則によって、慶弔ごとに支給される金額・計算方法も変わってきます。
支給対象となる従業員本人、家族や身内の範囲や相場など、具体的にどのような場合に慶弔金・見舞金を請求することができるのか、詳しく説明していきます。
会社から貰える慶弔金1:結婚祝金
慶弔金として支給される結婚祝い金は、本人もしくは本人の子供が結婚した場合に支給される制度です。
相場は3万円から5万円と言われています。会社によって勤続年数や初婚の場合のみなど、それぞれ支給条件は異なります。
お祝い金として支給されるため課税対象にはなりませんが、社会通念上相当額を超える場合は課税対象となります。
また、取引先など社外の人が結婚した場合でも、会社から支給してもらえる場合もあります。
会社から貰える慶弔金2:出産祝金
出産祝い金は、本人もしくは本人の配偶者が子供を産んだ時に支給される制度です。
出生祝いとして1人につき1万円が相場とされています。第一子と第二子で異なる金額を設定している会社もあります。
出生祝いもお祝い金のため、基本的には非課税ですが、社会通念上相当額を超える場合は課税対象となります。
そのほか子供が、小学校・中学校・高等学校に入学した時などに支給される、入学祝い金制度を設けている会社もあります。
会社から貰える慶弔金3:死亡弔慰金(本人の場合)
死亡弔慰金は、本人が亡くなった場合、遺族に慰めとして慶弔金が支給される制度です。
死亡弔慰金はもともと非課税ですが、死亡退職金を含むなど高額になることが多いため、上限が設定されています。
業務上の死亡である場合は普通給与の3年分に相当する額、業務外の場合は普通給与の半年分に相当する額とされています。
これらの上限を超えた金額については、死亡退職金としてみなされ相続税の課税対象となります。
会社から貰える慶弔金4:死亡弔慰金(家族の場合)
家族が亡くなった場合に慰めとして支給される慶弔金は、お香典やお花代として会社から贈られることがほとんどのため、課税対象になることはあまりありません。
これまでと同じく社会通念上相当額を超える場合は課税対象となります。慶弔金は5万円から10万円が相場とされています。
本人の配偶者や子供だけでなく、本人や配偶者の両親も対象になる場合があります。会社によって条件は異なるので事前によく知っておきましょう。
会社から貰える慶弔金5:傷病見舞金
傷病見舞金は、従業員が病気やケガをした場合に会社から支給される慶弔金です。労災補償とよく似ていますが、傷病見舞金は業務上・業務外に関わらず病気やケガが理由で、入院・欠勤した場合に支給されます。
疾病見舞金は、約6割以上の会社が取り入れている慶弔金制度です。
業務上かどうか、欠勤や入院した日数によって支給額も異なります。日数に限らず一律としている会社もあるなど、条件や規定は各会社によってさまざまです。
会社から貰える慶弔金6:災害見舞金
災害見舞金は、従業員が居住する住宅が火災や床上浸水などの災害にあった場合に支給される慶弔金制度です。
従業員の持ち家か借家どうか、世帯主であるか非世帯主であるか、全焼・全壊、半焼・半壊、床上浸水・一部損壊など災害被害の状態によって支給額も異なります。支給額は5万円から10万円が相場とされています。
災害見舞金も慶弔金のため課税の対象にはなりませんが、社会通念上相当額を超える場合は課税対象になります。
慶弔金の注意点2つ
慶弔金は福利厚生の一環として設けられている制度ですが、会社の就業規則を知らないまま過ごしている人も少なくありません。
慶弔金の種類や支給額、請求方法を知っておくことも必要ですが、それ以前に就業規則の内容をしっかりと把握・理解しておくことが大切です。
支給対象になっていたのに、遡って請求ができないことにならないように、慶弔金の注意点などについてまとめています。
慶弔金の注意点1:自ら申請しないと支給されないケースもある
慶弔金の申請は会社が勝手にやってくれるものではありません。
複雑な手続きはありませんが、慶弔事を証明する書類の提出が必要です。会社によっては申請書だけでよいとされる場合もあるようですが、ほとんどが必要なので自分で市役所や区役所に行って書類をもらってくる必要があります。
行政機関の窓口は時間もかかるので、あらかじめ何が必要なのか確認しておきましょう。書類が揃わないと手続きができないので注意が必要です。
慶弔金の注意点2:会社の慶弔金の規程を確認しておく
会社の就業規則があるのは知っているけど、見たことがない、読んだことがない方がほとんどではないでしょうか。
就業規則は、誰でも見ることができる社内書類です。入社前の面接時に見せてほしいと依頼することもできます。オープンにするべきものであって隠すものではありません。
就業規則を見せることを拒む会社は危険だとも言えるでしょう。一度も見たことも聞いたこともない方は、この機会にぜひ確認してみましょう。
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万が一に役立つ会社員が知っておくべき社会保障9個
国民には、国民の生活を守るための社会保障制度が実施されています。社会保障制度のなかには、会社が従業員に慶弔金や見舞金を支給する制度とよく似た保障があります。
高額療養費制度や傷病手当金、出産育児一時金や出産手当、育児休業給付、公的介護や遺族・障害年金もすべて社会保障制度です。
これらは、いずれも何かあった時に役立つ社会保障制度です。具体的な保障内容についてまとめていますのでチェックしてみてください。
会社員が知っておくべき社会保障1:高額療養費制度
高額療養費とは、1か月(同月1日から月末締め)にかかった医療費の自己負担額が、一定の金額を超えた時に支払われる制度です。
あらかじめ医療費が高くなることがわかっている場合は、事前申請することもできます。自己負担限度額は、年齢や所得状況によって負担金額が変わりますが、世帯で合算することができます。
また、自己負担額は健康保険に加入している被保険者とその扶養者が対象となります。
会社員が知っておくべき社会保障2:傷病手当金
傷病手当金は、業務外で病気やケガで働けなくなった場合に支給される社会保障制度です。業務上の病気やケガは給付対象外です。
仕事を4日以上欠勤した4日目からが支給対象となり、給料の支払いを受けていないことが条件になります。
給料が支給された場合は、傷病手当金から支給された給料分が減額されます。また他の保障制度と重複している場合も減額される場合があります。受給期間は、支給を開始した日から最長1年6ヵ月です。
会社員が知っておくべき社会保障3:出産育児一時金
出産育児一時金とは、健康保険に加入している妊娠4か月(85日)以上の方が出産した場合、1児につき42万円支給される制度です。
退職後の出産でも、健康保険に1年以上の加入期間があり、退職翌日から60日以内の出産であれば42万円支給されます。流産や死産・早産・経済的理由による人工妊娠中絶も含まれます。
ただし、産科医療補償に加入していない医療機関での出産、22週未満で出産した場合は40.4万円となります。
会社員が知っておくべき社会保障4:出産手当金
出産手当金とは、出産のために会社を休み、給与の支払いを受けることができなかった場合に、休んだ期間の生活費を一部負担してくれる制度です。出産の日以前42日から出産の翌日以降56日目までの範囲で休んだ期間が支給対象です。
社会保険に加入していることが条件ですが、退職して資格喪失した場合でも、受給資格を満たせば、引き続き支給を受けることができます。支給額は標準報酬月額をもとに計算されます。
会社員が知っておくべき社会保障5:育児休業給付
育児休業給付金は、雇用保険に加入している方のみが受給できる制度です。
基本的には1人につき1回、母親は出産8週間後から、父親は出生日または出産予定日から最長2歳まで受給されます。
また、制度には母親と父親が時期をずらして最大1歳2ヶ月まで取得できる「パパ・ママ育児休業プラス」や、1人2回休暇を取得できる「パパ休暇」などもあります。
いずれも上限は1年間です。働き方に合わせた受給制度を選ぶことができます。
会社員が知っておくべき社会保障6:公的介護保険
公的介護保険は40歳から加入が義務付けられている保障制度です。
65歳以上の第1号被保険者と40歳から64歳までの第2号被保険者のみが受給対象者で、それぞれ保障範囲が異なります。
第1号被保険者は、老化や病気・事故やケガにより介護が必要となった場合も保障を受けることができますが、第2号被保険者は、老化を原因とする指定の特定疾病による介護が必要だと認められた場合しか保障を受けることができません。
会社員が知っておくべき社会保障7:介護休業給付金
介護休業給付金は、自身の介護や身内の介護のために、会社を休まなければならない雇用保険加入者が受給できる保障制度です。
会社から申請手続きをしてもらうことで、最長3か月・分割3回まで取得することができます。産前・産後などの育休制度と併用することはできません。
休業期間中は給料の支給を受けることができないため、休業開始前6か月の給料をもとに算出された支給額(約6割)を支給してもらうことができます。
会社員が知っておくべき社会保障8:障害年金
障害年金は、病気や事故などによって普段の生活に支障が出る状態となった場合に受け取ることができる年金です。
厚生年金・国民年金に加入しているすべての方が対象ですが、20歳未満の国民年金未加入者もしくは60歳以上65歳未満を除いては、いずれも初診日時点で、3分の2以上加入、延滞がないことが支給条件となります。
また、加入している年金の種類によって、障害と認められる障害の程度・状態の範囲なども異なります。
会社員が知っておくべき社会保障9:遺族年金
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金は国民年金に加入する子供がいる夫婦のみが対象で、遺族厚生年金は、厚生年金加入者であれば子供がいない夫婦も受給対象となります。
いずれも亡くなられた方の年金の納付状況や、遺族年金を受け取る方の年齢など、細かな条件が設けられており、すべての要件を満たした場合に受給することができます。
慶弔金を知って該当する場合は申請しよう!
会社だけでなく、社会全体で生活するために何らかのサポートや支援制度が整っています。
活用しなければ損という言い方はあまり適切な表現ではありませんが、万が一の時に頼れる制度があるということだけでも知っておきましょう。
特に慶弔金は、社会保障と違って「そんな制度あるなんて知らなかった」と言う方が多い会社独自の制度です。
就業規則をしっかりと確認、正しく理解して、軽貯金を見逃さないように請求しましょう。