出勤停止とは
出勤停止には、種類が2つあります。どのような時に出勤停止となるのでしょうか。また、自宅待機や懲戒休職などの類似した言葉もありますが、これらとはどのような違いがあるのでしょうか。
また、出勤停止になると給与の支払いがどうなるのかも気になるのではないでしょうか。給与の支払いの他にも出勤停止の期間は、どのようなことに気をつけたらいいのかもあわせてご紹介していきます。
出勤停止と自宅待機の違い
「出勤停止」とは、雇用契約は存続させながら社員の就労を一定の間禁止することを意味しています。服務規律違反に対する制裁や、感染症などで出社が認められない場合に行われます。
「自宅待機」は、懲戒解雇や解雇の前置措置として行われます。これらを前提として調査が進められる間に出勤を禁止することを意味します。つまり、法的な扱いや根拠が全く異なりますので、対象となる期間にも違いが生じます。
出勤停止と懲戒休職の違い
「懲戒休職」も、出勤停止と同じように社員の出社が認められないことを意味します。「懲戒休職」は、「出勤停止」よりも重い処分という位置付けになります。服務規律違反などに対しての制裁として行われます。
また、懲戒休職の期間は非常に長く1週間~3ヶ月程度になることがほとんどだといわれています。ただし、半年間まで及ぶことはないでしょう。過去の裁判例でも半年間の懲戒休職は不当だとされた例があります。
出勤停止の種類2つ
出勤停止と自宅待機の違いや懲戒休職との違いがわかったところで、ここからは出勤停止の種類を2つご紹介していきます。出勤停止は、雇用契約を存続することが前提として行われます。
具体的にどのような場合に、出勤停止となるのでしょうか。主に、服務規律違反などによる処分が下された場合や、感染症にかかった場合の2つに分けることができます。
出勤停止の種類1:処分が下された場合
出勤停止の種類1つめは、処分が下された場合です。出勤停止の期間については、法律で定められていません。ただし、実際には1週間~1ヶ月程度となることが多く、場合によっては3ヶ月程度となるケースもあります。
また、企業によっては出勤停止の期間によって呼称を定めているところもあります。1か月未満のものを出勤停止として扱い、1か月以上のとなる場合は懲戒休職と区別することもあります。
出勤停止の間の給与について
処分による出勤停止となった場合は、給与の支払いはありません。また、出勤停止の期間は勤続年数にも通算されないことが一般的です。労働契約は存続されますが、制裁として一定期間の就労が禁止されます。
出勤停止の種類2:感染症にかかった場合
出勤停止の種類2つめは、感染症にかかった場合です。感染症による出勤停止は少々、複雑です。本人が健康管理を怠ったことにより出勤できなくなった場合は基本的に給与が支払われることはありませんが、休業手当の支給などが関係することがあります。
会社の都合で社員を休ませた場合、休ませた所定労働日の平均給与の6割以上の手当を支払わなければならないというルールがあります。
出勤停止が発令される感染症
出勤停止が発令される感染症には、新型インフルエンザやO-157などが該当します。このような就業制限に該当する場合は、休業手当の対象にはなりません。
感染症の扱いは、第一種~第三種とその他の感染症として区分されています。第一種には新型インフルエンザなどの感染症、第二種には流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、第三種には細菌性赤痢などがあります。ノロウイルスなどの感染性胃腸炎はその他の感染症として扱われます。
出勤停止の間の給与について
出勤停止が発令された感染症にかかったことによって出勤停止となった場合、感染症法や労働安全衛生法などに基づいて給与の支払いはありません。
社員が感染症にかかったことは自己管理の問題であり、出勤停止に該当する感染症にかかったからといって会社が給与を支払う必要はないでしょう。ただし、該当していない感染症を理由に会社から出勤停止命令があった場合は、給与ではなく休業手当の対象となるといわれています。
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出勤停止の期間3例
ここからは、出勤停止の期間3例をご紹介していきます。処分が下された場合や、感染症の場合、インフルエンザの場合によって出勤停止の期間は異なります。
出勤停止となると給与が支払われないことが多く、長期に及ぶと生活も苦しくなります。どのような違いがあるのか参考にしてみてください。
出勤停止の期間1:処分が下された場合
出勤停止の期間1つめは、処分が下された場合です。服務規律違反などの処分として出勤停止となった場合、多くは1週間~1ヶ月程度が出勤停止期間となることが多いです。
場合によっては2~3ヶ月などの長期に及ぶこともあります。数ヶ月ともなると、給与の支給がないため生活が圧迫されるでしょう。
出勤停止の期間2:感染症の場合
出勤停止の期間2つめは、感染症の場合です。 職場で感染を防ぐためには「学校保健安全法」を基準とするのもいいですが、子どもと大人は異なるため就業規則が最も優先となります。
就業規則に定められていない場合は受診した医師が医師が感染の恐れがないと認めるまでが目安となるでしょう。もしくは、職場の管理者に判断に委ねる形になるでしょう。ただし、飲食店でのノロウイルス感染などの場合は一般とは異なる定めがあります。
出勤停止の期間3:インフルエンザの場合
出勤停止の期間3つめは、インフルエンザの場合です。新型インフルエンザは診断された上での出勤停止措置であれば、給与の支払いはありません。
ただし、季節性インフルエンザや新型インフルエンザの疑いという理由で医師の判断を仰がずに出勤停止となった場合は、給与支払いではなく休業手当の対象となります。季節性インフルエンザなどの扱いは法律に定めがないため、個人が仕事ができるかによって対応が変わるといえます。
出勤停止の間の行動制限
出勤停止の間はどのような行動制限があるのでしょうか。処分が下された場合や感染症の場合の行動制限についてご紹介していきます。出勤停止といっても会社は全ての行動を制限できるわけではありません。
会社が社員に対して命令できることは、業務に関連することのみです。出勤停止期間中に自宅謹慎を命じることはできるのか気になる方も多いでしょう。出勤停止による行動制限は、どの範囲まで可能なのか参考にしてみてください。
処分が下された場合
処分が下された場合、出勤停止の間の行動制限はどの範囲まで可能なのでしょうか。処分として出勤停止を下す場合、給料を支払わないだけでなく出社禁止を命じた対象の期間中に制裁の意味合いを強めるために自宅謹慎を命じたいという声も見受けられます。
しかし、出勤停止は出社禁止とその間の給与の支払いをしないという意味合いしかありません。ただし、自宅謹慎を命じることは無理ですが兼業を禁止することは可能です。
感染症の場合
感染症の場合も、社員が無理をして出勤することで伝染させてしまう恐れがあります。該当の感染症は労働安全衛生法や感染症法などによって出勤を禁止することができます。
これは自宅待機と同じ意味合いがあるといえるでしょう。感染症の種類によっては、休業手当の対象となることがあります。
出勤停止の期間の給与は基本支払われない
いかがでしたか。出勤停止の期間の給与は基本的に支払われないことがわかりました。給与が支払われないということは、感染症に羅漢しても自己管理を怠っていると判断されるということです。
給与とは他に休業手当の対象となることもありますが、出勤停止が処分による場合は対象とはなりません。万が一の事態に備えて、出勤停止について理解しておきましょう。