組織市民行動の尺度と具体例5つ|組織市民行動を促す方法4つを紹介

組織・人材

組織市民行動とは?

人材についての評価ポイントのひとつとして挙げられる、「組織市民行動」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。

組織市民行動とは、組織に所属する人が、その人にとって職務の範囲外の仕事を自発的に行うことです。下記より、詳しく説明していきます。

組織市民行動の組織とは?

市民行動における「組織」とは、「その人材が属する団体」のことを指します。

例えば、学生であればクラスや部活動、社会人であれば、企業、部署などが当てはまります。このページでは主に、企業での場合を例にお伝えしていきます。

組織市民行動の市民行動とは?

行動における「市民行動」とは、「自分の役割以外の仕事をすること」です。例えば、自分の担当業務が終わった時、まだ同僚が作業をしていたので手伝ったり、職場にゴミが落ちていたので掃除したりなどが当たります。

つまり組織市民行動をとることは、その人にとっては自分の業務が進むわけでもなければ、多くの場合特別な給与が出るわけでもないことを自発的に行うこと、と言えます。

組織市民行動とは?組織市民行動の尺度と具体例5つ

組織市民行動は、「愛他主義」「誠実さ」「スポーツマンシップ」「礼儀正しさ」「市民の美徳」の5つの尺度で考えることができます。

それぞれの解説と、それに伴う具体例を見ていきましょう。

組織市民行動の尺度1:愛他主義

愛他主義とは、下記のように定義される尺度です。愛他主義とは、何か問題を抱えた同僚を助ける気持ちから成るもので、組織市民行動をとる要因のうち最も多いのが、この愛他主義であると言えます。

「組織に関連する課題や問題を抱えている特定の他者を援助する効果のある任意の行動のすべて」

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愛他主義をアピールする行動の具体例

この場合の具体例としては、「病気で休んでしまった同僚の業務を代わりに請け負う」、「パソコンが苦手な上司に操作をレクチャーする」などが挙げられます。

何か問題を抱えてしまい先に進めなくなっている他者を助けるという行動が、愛他主義から来る組織市民行動に当たります。

組織市民行動の尺度2:誠実さ

誠実さという尺度は、下記のように定義されます。つまり、その人自身が考える「社会人としての常識」を遵守する行動が、この「誠実さ」から来る組織市民行動に当たります。

「出勤、規則への服従、休憩をとるといった点で、組織に関する最小限の役割要件をはるかに超えた従業員による任意の行動」

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誠実さをアピールする行動の具体例

具体例としては、「外回りの営業中誰も見ていないからといってよけいな休憩は取らない」、「休日出勤の場合でも会社規定の服装を遵守する」などが挙げられます。

定時が9時始業であっても、8時に出社して雑務をこなしておくといったような、組織から求められるルール以上の行動を自発的にとることが、誠実さから生まれる行動です。

組織市民行動の尺度3:スポーツマンシップ

スポーツマンシップという尺度は、下記のように定義されます。これは、働く上で起こる問題について、多少のことは目をつぶり我慢をしようということです。当然、職場があまりにブラックであると言った場合はこの限りではありません。

「従業員が理想的な環境でないことに不満を言うことなく我慢することを厭わない―すなわち、不満を言わない、ささいな苦情を口にしない、無礼な態度に不平を言わない、そしてつまらないことを裁判沙汰にしない―こと」

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スポーツマンシップをアピールする行動の具体例

例えば、業務が大変多くなり数日残業が続いたとします。このとき、「残業続きだからブラック企業だ、訴えよう」とするのではなく「たまたま今回は業務が立て続いている。ここは我慢して頑張ろう。」とする考えが、スポーツマンシップから来る組織市民行動です。

小さなことを大ごとにしない、良い部分を見ず悪い部分だけを取り上げるなどが当てはまります。

組織市民行動の尺度4:礼儀正しさ

4つ目の尺度は、「礼儀正しさ」です。上記のように定義されます。

「礼儀正しさ」という言葉からイメージできるように、他人の権利を悪用したり、同僚の邪魔をしたりしないことです。他人を蹴落とすなど、組織の中でしばしば見られる争いはこれに反している、ということになります。

「助言、情報伝達、具申といった仕事に関連した問題が他人に起こることを回避しようとして起こす任意の行動」

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礼儀正しさをアピールする時の具体例

例えば、同僚が外出中にその人宛の電話を取ったとします。先方には「貴社次第すぐ折り返してほしい」と頼まれました。その後同僚が帰社した際、電話の内容を正確に伝え、同僚の業務が問題なく進むようにすることが、この「礼儀正しさ」から来る組織市民行動と言えます。

このとき、わざと電話の内容を伝えなかったり、自分が電話に出たからと仕事を横取りするようなことをしないことが、礼儀正しい行動ということです。

組織市民行動の尺度5:市民の美徳

最後は、「市民の美徳」という尺度です。組織市民行動における市民、つまりその組織に属する者としての責任感から来る行動です。

仕事として与えられたわけではなくても、その企業で働く上で重要だと思われることを進んでする、ということが主な例に当たります。

「会社の生活に責任をもって参加あるいは関与しているか、それを気にかけている人が行う行動」

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市民の美徳をアピールする時の具体例

具体的には、「会社で取得を強制されているわけではないが、仕事をする上で役立つと思われる資格を取るために自ら勉強する」、「会社のイメージアップになるような行事に自分から参加する」などが挙げられます。

会社の一員として、会社イメージを背負っていると自覚した行動を取ったり、責任を持ってその会社での仕事を全うするための行動が、市民の美徳から来る組織市民行動です。

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部下の組織市民行動を促す方法4つ

ここまでは、組織市民行動の具体例について紹介してきました。

組織内にこのような行動を取れる人が増えれば、組織内の一人ひとりが助け合うようになり、職場の人間関係など就業環境はとても良くなるのではないでしょうか。

そこで、ここからはどのようにしたら部下の組織市民行動を促すことができるのか、その方法を紹介していきます。

組織市民行動を促す方法1:部下に組織のビジョンを伝えること

まずは、部下に組織のビジョンを理解させましょう。

ビジョンを明確化することで組織の将来像が具体的に見えてくるため、未来に希望が生まれます。また、組織一人一人の役割をはっきりさせることもできます。

組織全体の目標や個人の評価は、一部の人間が理解しているだけでは機能せず、組織全体で意識、理解して初めて、組織が一丸となって進んでいくための指標となります。そのために部下にビジョンを提示し、行動で示しましょう。

組織市民行動を促す方法2:OJT

次はOJT、つまり部下とともに働きながら指導し、職場内で訓練を行う方法です。OJTには主に、尺度1で紹介した「愛他行動」を助長する効果があります。

上司が職場内で指導することで、直接働き方を見せることができるとともに、部下は上司にお返しをしたいという意識を持ちます。

さらに、部下が将来上に立つ際は、自分がされたことを下にも伝えようとすることが期待でき、長期的な組織市民行動に繋がると言えます。

組織市民行動を促す方法3:上司が仕事内外で部下をサポートすること

3つ目は、部下をサポートするということです。

この「サポート」には、大変多くの面があります。例えば、直接仕事を助けてやることはもちろん、経験上得た知識などを提供することや、仕事内外の相談にのってやること、評価し認めることなどまで多岐にわたります。

部下をきめ細かくサポートすることで、OJTと同様の効果が得られ、長期的な組織市民行動を促すことができます。仕事・プライベート問わず相談される関係が理想です。

組織市民行動を促す方法4:上司が率先して手本を示すこと

最後は、上司が率先して手本を示すという方法です。

これは、ビジョンを示す項やOJTの項でも紹介したとおり、上司自らの行動により部下の組織市民行動を促すやり方です。部下は上司を見て育つものですから、まずは自分の行動から意識していくことが最も重要だと言えます。

上司の行動は、直属の部下、そして組織全体の意識改革に繋がっていきます。

組織市民行動について知ろう

ここまで、組織市民行動について解説しました。組織市民行動を取れる人が居れば居るほど、その組織の関係性は良好となり、一人一人が仕事のしやすい環境が整っていきます。逆に、組織市民行動をしない人がいる組織はまとまりがなく、足を引っ張りあうことにもなりかねません。

まずは自分が組織市民行動を取れる人間になることで、組織を良いものにしていきましょう。

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