退職者の給与支払報告書を提出する必要はあるの?提出方法3つをご紹介

組織・人材

給与支払報告書とは

給与支払報告書とは、事業所が従業員に支払った給与の額を証明するための書類です。給与支払報告書は源泉徴収票とほぼ同じ内容の記載内容ですが、マイナンバーの記入が要ります。

給与として支払った金額や雇用形態にかかわらず、前年の給与が30万円以内の退職者を除く従業員全員分の提出が事業者の義務です。従業員それぞれが居住している市町村に毎年提出します。年明けに前年1年間分の給与をまとめて報告します。

源泉徴収票との違い

源泉徴収票と給与支払証明書は、証明する内容は従業員への給与の支払額であり共通ですが、書類の目的が異なります。源泉徴収票は従業員が基礎控除後の給与額を知り確定申告をおこなうための書類で、事業者が従業員に向けて発行するものです。

対して、給与支払証明書は市町村が住民税・地方税を算出し、従業員へ所得に応じた課税をするための書類です。提出先は市町村の課税を担当する窓口であることが多いです。

退職者の給与支払報告書を提出する必要はあるの?

退職者についても、原則給与支払報告書の提出は事業者の義務となっています。例外的に、前年の給与が30万円以内だった退職者のみ、給与支払報告書を提出しなくてもよいということになっています。

退職者が退職した当年も、給与の支払いが終了した時点までの給与額で給与支払報告書の作成が必要です。退職者が出たら都度提出ではなく、他の従業員の給与支払報告書を提出する1月に退職者の分もまとめて提出しましょう。

退職日時点に退職者が住んでいた自治体に提出

すでに退職済みの人の場合、退職後に居住市町村が変わってしまっていることもありえますが、そうした退職者の給与支払報告書はどの市町村に提出したらよいのでしょうか。

給与支払報告書を提出する市町村は、退職者が退職日に住んでいた場所を基準として提出することになっています。退職者が今現在どこに住んでいるか不明の場合でも、給与支払報告書の手続きをおこないましょう。

前年の退職者で給与が30万円以内の場合

退職者の給与が30万円以内であった場合、給与支払報告書を提出する義務はありません。しかし、適性課税の観点から提出を依頼している市町村もあります。そうした市町村では特段の事情がない限り提出に協力したほうがよいでしょう。

給与支払報告書を提出しようとしている市町村が提出を依頼しているかどうかは、各市町村のWebサイトにある給与支払報告書の提出に関するページで確認できます。

給与支払報告書の書き方

給与支払報告書は「個人別明細書」と「総括表」があり、それぞれを決められた様式を用いて記入します。市町村ごとに様式がありますが、共通版もあります。様式が変わることもあるので、今年用の書類か必ず確認してから記入します。

給与支払報告書の書類は年末調整の時期に税務署から送られてくるほか、各市町村のWebサイトでPDFかエクセルファイルをダウンロードすることができます。

個人別明細書の書き方

個人別明細書は従業員個人の給与支払報告書になっていますので、従業員人数分を作成する必要があります。

源泉徴収票と異なり、給与の支払額や各種控除額を計算だけでなく、給与受給者の個人番号を記載する必要があります。事前に従業員のマイナンバーを確認しておかなければなりません。従業員本人と、控除対象の配偶者がいる場合はその個人情報も記載します。

総括表の書き方

総括表は事業所全体の給与支払報告書のことを指し、事業所全体の報告を記入する用紙となっています。総括表には「普通徴収切替理由」や事業者の情報を記入します。

給与所得者の場合、事業者が住民税・地方税を従業員の給与から天引きする「特別徴収」が原則ですが、退職者は住民税・地方税の支払い方法を普通徴収に切り替えることができます。「普通徴収切替理由」の「退職者・退職予定者」の欄に切り替える人数を記入しましょう。

給与支払報告書作成の注意点

「16歳未満の扶養親族欄」の記入漏れ

16歳未満の扶養親族がいるかどうかは所得税額には影響しませんが、住民税・地方税非課税の判定には影響しますので、記入漏れのないようにしましょう。

親族の個人番号を記入しなければなりませんので、退職者の分もあらかじめ個人番号を確認しておく必要があります。

出産などで従業員の扶養者が増える場合もありますので、扶養者が増えた場合はなるべく早めに報告してもらえるようにしましょう。

2枚提出しなければならない

総括書は事業所全体で1枚提出の市町村と、2枚提出の市町村がありますので、各Webサイトで必ず確認しましょう。個人別明細書は従業員1人分ごとに2枚の提出が必要になります。同じ書類を2枚作成する必要がありますので、注意しましょう。

自分で様式をダウンロードして印刷する場合、給与支払報告書はA5と指定されているので、サイズも間違えないように気を付ける必要があります。

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給与支払報告書の提出期限

前年分の給与支払報告書の提出期限は、年明け1月末日までになります。1月末が土日祝日の場合はその次の平日になることもあります。期限の間違いがないよう念のため各市町村のWebサイトで確認しておきましょう。

提出期限を過ぎると市町村役所での手続きが遅れ、住民税・地方税の徴収日に間に合わないことがありますので、提出期限は必ず守りましょう。万が一遅れてしまった場合はすみやかに担当部署に連絡しましょう。

給与支払報告書の提出場所と提出方法3つ

給与支払報告書の提出先は、退職者が退職日時点で居住していた市町村の役所が送り先になります。提出の方法が3種類あり、窓口持参・郵送・電子申請のいずれかで提出することができます。

提出の仕方によって事前に追加で提出する書類がある場合や、本人が手続きするか代理人が手続きするかで必要な書類が異なる場合があります。提出方法ごとの正しい提出方法を確認しておきましょう。

給与支払報告書の提出場所と提出方法1:窓口持参

市町村の役所が提出先になりますが、提出先の名称は市町村ごとに異なっているので、市役所に持っていったときに確認するとよいでしょう。

窓口で手続きをする際、個人事業主の場合は事業主の番号確認書類(マイナンバーカードか通知カード)と身元確認書類(運転免許証など)を持っていく必要があります。個人事業主でない場合でも提出先によって本人確認される場合があるため、念のため持っていくとよいでしょう。

給与支払報告書の提出場所と提出方法2:郵送

給与支払報告書は郵送でも提出を受け付けています。郵送先の名称が市町村ごとに異なるので、郵送先もWebサイトで確認が必要です。

給与支払証明書は書留でも普通郵便でも送ることができます。基本的に普通郵便で問題ありませんが、マイナンバーなど個人情報が記載されているので、万が一のリスクを減らしたい場合は書留を利用するとよいでしょう。

給与支払報告書の提出場所と提出方法3:電子申請

給与支払報告書は、地方税に関わる手続きを電子上でおこなえるeLTAX(地方税ポータルシステム)や光ディスクなどを用いた電子書類での提出も認められています。

eLTAXで申請する場合は納税者か納税者に依頼された税理士の電子証明書を準備します。光ディスクなどを用いて電子申請する場合は、給与支払報告書提出期限の3か月前までに「給与支払報告書の光ディスク等による提出承認申請書」を提出しなければなりません。

経理担当者の重要な仕事なので内容を理解して準備しよう

給与支払証明書は各市町村が提出先になっており、地域によって提出枚数や手続きの仕方などが細部で異なる場合があるため、経理担当者は提出先の情報をよく確認しておかなければなりません。

給与支払報告書は住民税・地方税を正しく納付するための重要な書類です。退職者分の給与支払報告書もスムーズに提出できるよう余裕を持って準備をしておきましょう。

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