出勤簿としてタイムカードを活用する注意点3つ|出勤簿の書式と保存の仕方

組織・人材

出勤簿とは

出勤簿とは労働基準法を根拠として、労働者の出勤した日と労働した時間を記録し、労働者の適切な労務管理を行ううえで事業場に備えておくことが義務付けられた法定三帳簿の一つです。

使用者は労働者の労働時間を適切に把握する義務があることから、厚生労働省の通達で出勤簿の作成も義務付けられています。また事業場の規模に関係なく、労働者を雇う全事業場で作成しなければなりません。

法定三帳簿のひとつ

法定三帳簿とは労働基準法第107条、第108条を根拠として作成が義務付けられた出勤簿、賃金台帳、労働者名簿の三つです。労働者名簿は労働基準法第107条、賃金台帳は労働基準法第108条を根拠に作成が義務付けられ、出勤簿は厚生労働省の通達で作成が義務付けられています。

いずれも労働者の適切な労務管理に必要な大切な書類で、事業場の規模に関係なく、作成し備え置く必要があります。

出勤簿に記載すべき対象者

出勤簿に記載すべき対象者は、基本的に正社員、パート、アルバイトといった雇用形態を問わず、全てを記載することになります。

ただし経営者と同じ立場であるとされる管理監督者は、自由に出勤や退勤ができる自由裁量を持っているため、出勤簿に記載する必要はないと考えられます。

しかし、2019年4月から管理監督者であっても労働時間の把握が必要となり、出勤簿の記載対象に含めることがベターになりました。

タイムカードを出勤簿として活用する際の注意点3つ

出勤簿は労働者の働いた日と働いた時間を記録するためのものです。それに対して、タイムカードは労働者が出勤した時間と退勤した時間を記録するためのものであるため、タイムカードを出勤簿として活用する場合、両者にはズレが生じることがあります。

以下にタイムカードと出勤簿のズレがあるための注意点をあげていきます。

タイムカードを出勤簿として活用する際の注意点1:タイムカードは正確だとは限らない

タイムカードはあくまで出勤した時刻と退勤した時刻を記録するためのものであるため、実際の労働時間を正確に反映したものではありません。

そのため正確な労働時間の記録がなされる出勤簿の作成が、労働者の適切な労務管理に大切になってきます。

実際の労働時間を示す証拠にはならない

タイムカードに記録された出退勤の時刻と実際の労働時間にはズレが生じることがあるため、タイムカードの記録だけでは労働時間の証拠とはなりません。

始業前に会社にいったり、終業後に労働をするわけではなく会社に残っている場合などはタイムカードの記録と実際の労働時間が異なることになります。また違法なサービス残業や長時間労働のために使用者が労働者に異なる時間をタイムカードに記録させる場合もあり得ます。

タイムカードを出勤簿として活用する際の注意点2:タイムカード以外に補足資料が必要

タイムカードを出勤簿として活用する際には、実際の労働時間を正確に反映させるために作業日報や残業許可証、ICカードやパソコンの利用時間などの補足資料が必要となります。

会社側と労働者側がサービス残業や長時間労働など記録された労働時間と実際の労働時間が異なるとして争いになった場合には、これらの資料によって労働時間が客観的に認定されることになり、未払いの残業代などが払われることになります。

作業日報や残業許可証

タイムカードの補足資料として一日の作業内容を上司や上長に報告するための作業日報や残業許可証を用いることがあります。

どの時間帯からどの時間帯にどのような作業を行ったかわかる作業日報や、確かに残業を行ったことがわかる残業許可証を補足資料として用いることで、タイムカードだけはわからない実際の労働時間を正確に反映させます。

ICカードやパソコンの利用時間

タイムカードの補足資料としてICカードや業務で利用したパソコンの利用時間を用いることがあります。

ICカードはシステムで管理するため正確で客観的な証拠となりますし、業務で利用したパソコンの起動時刻と終了時刻のログデータもパソコンを利用する業務であれば、タイムカードと併せて実際の労働時間を反映したものになります。

タイムカードを出勤簿として活用する際の注意点3:検証作業が必要

タイムカードを出勤簿として活用する際には両者の間に労働時間のズレがないかといった検証作業が必要となります。また実際の労働時間を示すため、補足資料を用いる場合は資料の客観性や正確性の検証も必要となります。

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出勤簿の書式や保存について

出勤簿の書式には決まりがありませんが、保存期間については労働基準法で定められています。

以下に出勤簿に記載すべき項目、出勤簿の書式、出勤簿の保存期間、違反した場合の罰金などについて詳しく説明していきます。

出勤簿に記載すべき項目

出勤簿には労働者の適切な労務管理のため、以下の項目を記載しなければなりません。

・各労働者の出勤日、労働日数
・始業時刻、終業時刻
・日別の労働時間数、休憩時間数
・時間外労働を行った日付、その時間数
・深夜労働を行った日付、その時間数
・休日労働を行った日付、その時間数

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインに則り、この項目を出勤簿に記載することになります。

出勤簿の書式について

労働者の労働時間がわかるものであれば、出席簿の書式には法律上の決まりはありませんので、手書きやエクセルデータなど、どのようなものでも構いません。

出勤簿の書式に定めはありませんが、労務管理や給与計算の担当者が作業しやすい形式のものが望まれます。またインターネットから無料で出勤簿のテンプレートをダウンロードできるサービスも存在します。

出勤簿の保存期間

出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録に関する書類については、労働基準法第109条でいう「その他労働関係に関する重要な書類」に該当しますので、出勤簿の保存期間は作成から3年間となります。

この3年間は出勤簿に記載された最後の出勤日から起算して3年間です。また労働基準法第115条で退職手当の請求時効が5年とされていることから、退職金に関する争いに備えて出勤簿を5年間保存することが望ましいです。

出勤簿の保存に関する罰金制度

出勤簿をはじめとする法定三帳簿は3年間の保存が義務付けられ、違反した場合には30万円以下の罰金が科せられます。労働者の適切な労務管理に欠かせない重要な書類であるため、このような重い罰則を設けています。

正確な記入と管理を行い求めがあれば迅速に対応できるようにしよう

出勤簿は労働者の適切な労務管理や給与の支払いのために重要な書類であることから、正確な記入と管理保存を行い、間違いがあれば求めに応じて、迅速に対応しなければなりません。

出勤簿は正確な記入と管理を行うことにより、トラブルを未然に防ぎ使用者と労働者が信頼し合える良い関係を築きましょう。

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