そもそも欠勤控除とは?|欠勤控除に関する懸念点4つを紹介

組織・人材

そもそも欠勤控除とは?

「欠勤控除」とは「欠勤して働かなかった分の賃金を給料から差し引く」ということです。欠勤した全ての労働者が「欠勤控除」の対象になるわけではなく、給与形態により「欠勤控除」がされない場合もあります。

ノーワークノーペイの原則の適用

「労働力が提供されなければ、賃金を支払わなくてよい」という「ノーワークノーペイ」の原則が会社には適用されています。雇用関係を結んだからといって、会社は欠勤した分まで社員の賃金を支払う義務はありません。

働かなければ給料がもらえないという、当たり前ともいえるルールですが、「ノーワークノーペイ」の原則により、会社は働かなかった社員に対し「欠勤控除」を行うことができます。

会社の就業規則に定めることができる

労働基準法では欠勤控除に関しての規定は特にありませんが、会社が欠勤控除の額などを適当に決めて良いわけではありません。欠勤控除に関しては、後にトラブルに発展する恐れもあるため、就業規則にあらかじめ明記しておく必要があります。

さまざまな欠勤のケースに問題なく対応できるように、会社は賃金の規定を詳細に記し、社員は前もってよく読んでおくことをおすすめします。

減給とは違う

「減給」とは「懲戒処などにより、一定期間賃金が減額されて支払われること」です。「減額」は欠勤していないのにもかかわらず、給料が減額されてしまうことであり、欠勤をして減額されてしまう「欠勤控除」とは意味合いが違います。

また減給は、行き過ぎた減額から労働者を守るため、1回の減給額が平均賃金の1日の半分を超え、支払い期の総額の10分の1を超えてはならないと、労働基準法で定められています。

欠勤控除に関する懸念点4つ

「欠勤控除」の定義はわかっても、欠勤控除が実際どのように扱われ、どのような処理をされるのかご存知でしょうか。欠勤控除の取り扱い方は会社によって違うため、就業規則で確認する必要があります。

欠勤控除は会社任せにしないで、自ら仕組みを学んでおきましょう。ここでは、一般的な欠勤控除について、懸念される点を4つご紹介します。

欠勤控除の懸念点1:欠勤控除の端数処理の方法は?

一般的な欠勤控除の計算方法は、日割り単価に欠勤日数を掛け、月給額から引きます。日割り単価は、月給額÷1年間における月の平均労働日数で算出します。このとき、割り切れずに端数が出てしまったら注意が必要です。

欠勤控除の日割り単価の小数点以下を切り上げてしまうと、実際よりも多く控除してしまうため、小数点以下は切り捨てるのが原則です。

欠勤控除の懸念点2:割増賃金はどう計算するのか

「割増賃金」とは「残業などの時間外労働や休日出勤や深夜労働などにより、通常の賃金よりも割高に支払われる賃金」です。割増賃金の計算方法は、法定により時間外では通常賃金の2割5分以上、休日では3割5分以上、深夜は2割5分以上となっています。

欠勤時間と残業時間が同じだからといって相殺してしまうと、割り増し分が払われなくなり、労働者が損をしてしまうので注意しましょう。

欠勤控除の懸念点3:固定残業手当は欠勤控除の対象?

「固定残業手当」とは「一定時間の残業を想定して、あらかじめ支給される残業手当」です。固定残業手当は割増賃金として計算されるため、通常賃金の欠勤控除と振り返ることはできません。

欠勤控除の懸念点4:有給休暇は欠勤控除になるのか

欠勤をした場合に有給休暇を当てて、欠勤控除を免れる方法があります。有給休暇の申請時期や会社の就業規則にもよりますが、有給休暇に振り替えできれば給料が減額されなくて済みます。

場合によっては有給休暇が認められず、欠勤控除をされてしまうケースがありますので、担当者に確認しましょう。また、本人の同意なしに会社が勝手に有給休暇に振り返る場合は、違反となりますので注意しましょう。

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欠勤控除の計算方法4つ

欠勤控除は労働基準法で規定されていないため、会社独自の計算方法で行われます。次からは一般的な欠勤控除の計算方法を4つご紹介します。

その前に、基本となる給与形態をおさえておきましょう。完全月給制では欠勤控除をしないケースがほとんどで、日給制では働いた分だけで計算されます。そのため欠勤控除が行われるのは、日給月給制の給与形態が主に対象となります。

欠勤控除の計算方法1:月給額/年平均の月所定労働日数×欠勤日数

欠勤控除の計算方法1つめを見てみましょう。まず365日から土日や祝日、年末年始などの会社の「年間の所定休日」を引いて「年間の所定労働日数」を出します。次に「年間の所定労働日数」を12で割って、「年平均の月所定労働日数」を求めましょう。

「月給額」を「年平均の月所定労働日数」で割って1日分の控除額を出し、「欠勤日数」を掛けると「欠勤控除額」が算出されます。この方法は欠勤日数や月によって注意が必要です。

欠勤控除の計算方法2:月給額/該当月(−賃金計算期間)の所定労働日数×欠勤日数

2つめの欠勤控除の計算方法では、欠勤をした月の「所定労働日数」により、控除額が変わってきます。給料計算が末締めで、6月に欠勤した場合を見てみましょう。30日から土日などの休日の合計10日を引いて、「該当月の所定労働日数」20日を出します。

「月給額」を「該当月の所定労働日数」で割って1日分の控除額を出し、「欠勤日数」掛けると最終的な「欠勤控除額」が算出できます。

欠勤控除の計算方法3:月給額/年平均の歴日数×欠勤日数

3つめの欠勤控除の計算方法は「年平均の暦日数」を使います。「年平均の暦日数」は30日であるため、「月給額」を30で割って1日分の控除額を出し、「欠勤日数」を掛けたら「欠勤控除額」が算出されます。

1日当たりの控除額が少なく、「欠勤控除額」が少額で済むのは欠勤者にとっては大きなメリットですが、1ヶ月全て欠勤しても給料が発生してしまうため、問題がある方法といえるでしょう。

欠勤控除の計算方法4:月給額/該当月(−賃金計算期間)の歴日数(28日・29日・30日・31日)×欠勤日数

4つめの欠勤控除の計算方法では、該当月の暦日数によって控除額が変わってきます。「月給額」を該当月の暦日数(28、29、30、31)で割って1日分の控除額を出し、「欠勤日数」を掛けると「欠勤控除額」が算出されます。

計算方法の3でも触れましたが、この方法も欠勤控除額が少額で済みますが、全て欠勤した月でも給料が発生してしまうため問題があります。

欠勤控除について正しく理解しよう

欠勤控除は計算方法によっては問題が生じる恐れがあることを知っておきましょう。欠勤控除の対象となる「所定労働日数」は、会社によって違いがあるため、就業規則で確認することをおすすめします。

また、通常の欠勤は「減額式」で欠勤控除を行い、ある日数を超えたら「加算式」の日割り計算に切り替える計算方法が、理想的といえるでしょう。

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