労災の申請先は?労災に関する基礎知識11|労災保険の申請書記入ポイント

組織・人材

そもそも労災とは?

労災とは「労働災害」のことで、業務中や業務のための通勤中に発生した怪我や病気・障害などのことです。

労災の種類は大きく分けて3つあり、通勤中の「通勤災害」、業務中の「業務災害」、そして「第三者行為災害」があります。それぞれの労災について、詳しく見ていきましょう。

通勤災害

労災の1つ、「通勤災害」とは会社への通勤中に事故などに遭い、怪我を負ってしまった場合のことを指しています。例えば、通勤中の車での交通事故や歩行中の事故が考えられるでしょう。

ただし、通勤途中であっても業務とは関係のない寄り道をしていた場合や、本来の自宅からではない場所から通勤途中であった場合などは、労災と認定されないことがあります。労災になるかならないかはそれぞれのケースで違います。

業務災害

労災の1つの「業務災害」は、労働者が業務中(仕事中)に怪我や病気・障害を負ってしまうことを言います。

仕事中の怪我や病気なら全部業務災害かというとそうではなく、事業主の管理下にあったという「業務遂行性」が認められていなければなりません。「業務起因性」として、怪我や病気と業務に一定の因果関係があることを証明する必要があります。

例えば休憩時間の私用による怪我などは、労災とは認められないでしょう。

第三者行為災害

労災の最後である「第三者行為災害」とは、通勤途中や業務中に事故に遭い、その事故に加害者がいた場合のケースとなります。

第三者行為災害の場合は、業務に起因していることと意図せず起こったことであることが条件であり、事故の加害者が第三者となります。

労災の申請先は?労災に関する基礎知識11

労災として認められるかどうかは業務で管理下にあったことや、業務に起因しての怪我や病気が対象であると解説してきました。ここからは労災の申請先はどこなのか、労災に関する基礎知識について紹介していきます。

労災に関する基礎知識1:労災では健康保険が使えない

労災に関する基礎知識の1つ目として、まずそもそも「労災では健康保険を使うことはできない」、ということを押さえておきましょう。

労災は労災保険の適用を受けますので、健康保険は使えません。つまり、保険証を提示してはいけないということになります。

もしも健康保険で処理されてしまった場合、後から手続きをする必要があるなど手間がかかるため、通勤中や業務中の怪我はそのことをきちんと伝えておくことが大切です。

労災に関する基礎知識2:申請先は管轄の労働基準監督署

労災の申請先ですが、これは「管轄の労働基準監督署が申請先」となっています。

基本的に会社の所在地の労働基準監督署が申請先となっていますが、支店に勤務しているなどの場合は、その支店の所在地の労働基準監督署が申請先になります。

本社の方で一括取り扱いを受けていたとしても、労災の申請先はそれぞれの所在地の労働基準監督署なので、間違えないようにしましょう。

申請先労働基準監督署の調べ方

どの労働基準監督署が申請先なのか分からないという場合は、厚生労働省のホームページから申請先となる労働基準監督署を見つけることができます。

厚生労働省のホームページ「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」で都道府県を選ぶと、労働局・労働基準監督署・公共職業安定所(ハローワーク)がでてきます。このうち最寄りの労働基準監督署が申請先となります。

労災に関する基礎知識3:療養補償給付とは?

「療養補償給付」とは、労災として怪我や疾病が起こり、それに対して療養が必要だと判断されたときに労災保険から支給される給付金のことです。

こちらもまた厚生労働省のホームページ「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」から書類をダウンロードできます。請求を完了した後の問い合わせ先については、労災の申請先である管轄の労働基準監督署になります。

労災に関する基礎知識4:休業補償給付とは?

「休業補償給付」というのは、簡単に言えば労災で会社を休むことがやむを得ない場合に申請することができます。休業補償給付を受けるためには次の3つの条件を満たす必要があります。

・医師の指示に従って療養している
・会社に出勤できない状態である
・会社から賃金の支給を受けていないこと(平均賃金の60%以下)

労災の怪我や疾病により働けず、会社から賃金支払いのない人が対象です。申請先は管轄の労働基準監督署です。

労災に関する基礎知識5:障害補償給付とは?

申請先に労災申請した結果、後遺障害が認められた場合に受けられるのが「障害補償給付」です。

後遺障害というのは、労災によって負った怪我や疾病に関して治療をしっかり行ったものの、これ以上の回復は見込めない、となった場合に認められます。

労災保険では治癒とも呼ばれますが、治癒という言葉のイメージのように完治した訳ではない、というのがポイントです。症状が改善する見込みがなく、症状が固定された状態を表します。

労災に関する基礎知識6:介護補償給付とは?

「介護補償給付」とは、労災による事故や病気により労働者が介護を必要とする状況になったときに受けられる給付のことです。

障害補償年金または傷病補償年金が受けられること、障害の程度が該当していること、特別養護老人ホーム入所しておらず、病院にも入院していないことなどの条件があります。

手続きの仕方ですが、「介護補償給付支給請求書」に内容を記載して申請先の管轄の労働基準監督署に提出して行います。

労災に関する基礎知識7:遺族補償給付とは?

もしも労災で労働者が亡くなってしまった場合、労災保険から「遺族補償給付」や「遺族補償一時金」が支給されます。労働者が労災で亡くなったときに支給されるのが遺族補償年金というわけです。

亡くなった時に遺族補償年金の受給資格者遺族がいなかった、あるいはその権利を失い他に受給資格者がおらず、年金支払い額が給付基礎日額の1000日分に満たない場合は遺族補償一時金が支給されます。こちらも申請先は所轄の労働基準監督署です。

労災に関する基礎知識8:葬祭給付とは?

「葬祭給付」は「葬祭料」とも呼び、労災で亡くなった労働者の遺族に葬祭の費用として支給されますが、もしも遺族がなく会社が葬祭を行った場合は会社に支給されます。

申請先は管轄の労働基準監督署であり、「葬祭料請求書」または「葬祭給付請求書」を提出します。請求にあたって、診断書や死体検案書、検死調書などの必要書類がありますので確認しておきましょう。亡くなった翌日から2年で請求権が消滅します。

労災に関する基礎知識9:傷病補償年金とは?

労災となる怪我や疾病が発生し、療養をし始めてから1年6か月以上たってから支給されるのが「傷病補償年金」です。

傷病補償年金が支給されるには、怪我や疾病が1年6か月たってもまだ完治していないこと、傷病等級に該当していることが条件となっています。

傷病補償年金が支給されても療養補償給付は続きますが、休業補償給付は支給されないので注意しましょう。管轄の労働基準監督署が申請先であり、支給の決定を行います。

労災に関する基礎知識10:労災指定医療機関について

「労災指定医療機関」というのは、医療機関からの申請によって労災保険側が指定した医療機関であり、労災の申請先への手続きを他の医療機関よりもスムーズに行うことができます。

労災で怪我や疾病になった場合、この労災指定医療機関で治療を受ければ自費で支払う必要がなくなります。厚生労働省の「労災保険指定医療機関検索」ページで所在地を入力することで、最寄りの労災指定医療機関を見つけることができます。

労災に関する基礎知識11:労災申請に時効はある?

労災を申請するのに時効はあるのかというと、2年と5年の時効がありますので忘れずに申請先に申請書を提出しておきましょう。

療養補償給付・休業補償給付・介護補償給付・葬祭給付・二次健康診断等給付などは2年という短い時効となります。

他の障害補償給付・遺族補償給付などは5年の時効となっていますので、きちんと申請をしているか時効になる前にチェックしておいた方がよいでしょう。時効を過ぎると請求権が消滅します。

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労災保険の申請書記入ポイント4つ

管轄の労働基準監督署が申請先となっている労災保険の申請書について、記入するときのポイントを解説いたします。

きちんと労働災害と認められるかどうかは申請書の記入内容に左右されることがありますし、内容に不備があると何度も問い合わせがくることがあります。ポイントを押さえておきましょう。

労災保険の申請書記入ポイント1:労働保険番号

申請先である労働基準監督署に提出する申請書の記入ポイント1つ目は、「労働保険番号欄」に労働保険番号を記載することです。

原則として、こちらの「労働保険番号欄」に記載する番号は被災した労働者が勤務している事業主の労働保険番号となっています。

労災保険の申請書記入ポイント2:災害の原因及び発生状況

管轄の労働基準監督署が最も重視しているのがこちらの「災害の原因及び発生状況」ですので、申請先に提出する前に社会保険労務士にチェックしてもらったりすることをおすすめします。

ここでのポイントは、怪我や病気の原因が業務にあることをきっちりと説明することです。「業務遂行性」がある正当な業務であり、「業務起因性」としてその怪我・病気の原因が業務であることをはっきりと判断できる内容でなければなりません。

労災保険の申請書記入ポイント3:事業主の証明

労災保険の申請書記入ポイント3つ目の「事業主の証明」は、災害が発生した事実に間違いはないことを証明するという内容であり、労災かそうではないかを証明しているものではない、ということがポイントです。

基本的に事業主は被災した労働者の求めに従い、申請先に対する労災の手続きに助力することを求められています。被災労働者から求められれば、通常は証明をしなければなりません。

事業主の証明をもらえないときは?

もしもなんらかの事情で事業主の証明をもらえなかった場合であっても、事業主の証明を拒否されたという上申書を添付して申請先に提出することができます。

例えば長時間労働で労働者が亡くなり、遺族が労災申し立てをしたような場合です。このようなケースで事業主側が労災ではないと、証明書の記入を渋る可能性があります。そのような場合は、上申書を添付することになります。

労災保険の申請書記入ポイント4:労働者の所属事業場

「労働者の所属事業場」は、基本的には上記の事業主の証明欄と同じ住所になりますので同上ですむのですが、建設業の下請けなどの場合には被災した労働者が所属している事業所の名称や所在地を記載します。

労災の申請先を理解しよう

今回の記事では労災について、基礎知識や申請書のポイントなどを解説してきました。労災には最短で2年という短い時効があるため、申し立ては早めにしなければなりません。労災の申請先を知っておき、スムーズに届け出られるようにしておきましょう。

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