クレドとは
クレド(Credo)とは、本来は「信条」や「約束」などを意味するラテン語ですが、最近では特に、企業の対外的販売営業活動および対内的社内統治活動の基本方針となる判断基準や活動準則をまとめたもの、という意味で使われることがあります。
まだまだ聞きなれない言葉ではありますが、近時その重要性を増しつつある注目のキーワードですので、是非この機会にその内容を理解しておいてください。
クレドを使って行動指標を統一しよう
クレドがどんなものか、もう少し具体的イメージをお持ち頂けるようここで若干補足説明をします。
企業の方針や理念といったものは昔からありました。いわゆる「社訓」などが思い浮かぶでしょう。これら従来からある「社訓」などと、クレドの一番大きな違いはその具体性・明確性です。
クレドは、それが実際に行動指標として使えるよう、非常に具体的で明確な内容になっているのが特徴です。
クレドを作成する目的3つ
最近ではこのようなクレドを制定する企業が増えていますが、はたしてその目的はどんな点にあるのでしょうか。
もちろん、実際には各企業の実情に応じてさまざまな目的がありえますが、共通してあげられる目的として以下の3つがあるといわれています。
クレドの目的1:企業の信条を全社で共有
企業が成果をあげるために必要なのは何より団結力、チームワークです。
たとえば、サッカーなどで考えてみても、チームワークを維持・向上させるには、まずチームの戦略イメージを徹底的に共有することが大変重要です。
チームとしての意識の共有化ができてこそ、瞬時の判断が要求される重大な場面でも、各自がそれぞれ妥当な決断を下すことができます。
クレドは、このような戦略の共有化を、会社で行うためのツールです。
クレドの目的2:コンプライアンスの順守
最近コンプライアンスすなわち法令順守の要求はますます高まりつつあります。さらにネットの普及によって、注意すべき範囲も日々拡大しつつある状況です。
このような事情のもと、各企業はそれぞれの社員により確実・厳格にコンプライアンス順守させるためのシステムを常に模索しており、その一つの方法としてクレドが期待されています。
クレドにより守るべき基準が明確化されることは、社員にとってもメリットが大きいでしょう。
クレドの目的3:主体的なモチベーションの向上
クレドは、その企業が社会に対して生み出す価値を具体的に述べるものです。
それを読めば、利用者や顧客にはその会社の信念や方針が伝わります。同時に社員たちそれぞれに「自分はこの業務を通じて顧客や社会全体に対してこれだけの価値を提供しており、また常にそれを目指している」と自覚させることができます。
クレドにより、各社員にその業務に対する主体的なモチベーション、やりがいを与えられます。
クレドを導入している企業事例7選
ここで、実際にクレドを取り入れ実践している企業の実例をご紹介しましょう。
もちろん、クレドの規定に際しては、それぞれの会社の業種、規模や社風、企業風土などにマッチさせることが必要ですので、単純に他社の事例をそのまま導入するわけにはいきませんが、ある程度の参考にはなるはずですので是非ごらんください。
クレドを導入している企業事例1:ザ・リッツカールトン・ホテル
まず、ザ・リッツカールトン・ホテルの例をご紹介します。ホテル業界のみならず、広く接客に携わる会社にとって参考例となるでしょう。
リッツカールトンのクレドによれば、同社のもっとも大切な使命とは「お客様への心のこもったおもてなしと、快適さを提供すること」と端的に規定されています。
そしてそれは具体的には、ここちよさ、幸福感のみならず「ニーズを先読みしておこたえするサービスの心」と謳われています。
クレドを導入している企業事例2:ジョンソン・エンド・ジョンソン
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、言うまでもなく世界的なヘルスケア関連製品企業ですが、同時にまた、1943年の時点ですでに「我が信条(Our Credo)」というタイトルでそのクレドを定めた企業としても知られています。
このように歴史のあるクレドですが、1943年当時のクレドがそのまま維持されているわけではありません。適宜改正されています。現状追認ではなく、常に現代の自社の社会的役割を模索しています。
クレドを導入している企業事例3:楽天
次にあげる事例は楽天です。楽天のクレドは非常に簡潔です。「成功のコンセプト」というタイトルで、それぞれ10文字前後の短い文で5項目を規定しています。
その中でも特に印象的なのは「仮説→実行→検証→仕組化」として、各社員にも常に主体的に考えることを求めている点です。また、簡潔な文の中で「スピード!スピード!スピード!」とあえて同じ言葉を3回も繰り返しているのも特徴的です。
クレドを導入している企業事例4:三井不動産ホテルマネジメント
ここで、先にあげたリッツカールトンの事例と同じくホテル業界の三井不動産ホテルマネジメントの例を見てみましょう。
そのクレドは、楽しむ、考える、努力する、行動する、点検する、一体感をもつ、の6項目にまとめられています。
楽しむ、が第一にあがっているのが特徴的です。またクレドの徹底のため実際にこれを全社員に配布しています。クレドの内容だけでなくその保存・伝達媒体にも企業の考え方があらわれます。
クレドを導入している企業事例5:アライドアーキテクツ
クレドの保存・伝達媒体にこだわりのある企業例といえば、アライドアーキテクツ株式会社も非常にユニークな事例です。
アライドアーキテクツ株式会社はSNSを活用したデジタルマーケティングを事業として行う会社ですが、そうした業務・専門性・個性をクレドにも反映させ、クレドを表示するアプリを作成しています。
こうして営業での会話のきっかけに利用するなど、クレドの可能性をさらに広げる興味深い試みの例です。
クレドを導入している企業事例6:タック
次にあげる事例の株式会社タックは、シールドトンネル工事における「裏込め注入」の施工、関連商品の開発・販売・リース等を行う企業です。
タックのクレドは、比較的長く、詳細で多岐にわたる内容となっています。その分より具体的で明確といえます。簡潔なクレドが多い中、こうしたクレドを設けるのもまた一つの見識といえるでしょう。
クレドを導入している企業事例7:ニチレイフーズ
最後の事例、株式会社ニチレイフーズは、冷凍食品などを中心とする食品の製造販売を行う企業です。
そのクレドの中で特徴的なのは従業員のモットーとして規定されている「ハミダス」 (とらわれず、明るく)の部分です。そこにはイメージ画像も用意されています。
堅苦しくなりがちなクレドですが、社風に合わせてこうした自由な表現をしてみるのもまた上手なクレドの利用方法例です。
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クレドの作り方4ステップ
以上、クレドの導入事例をご紹介してきました。以上の具体例を通じてクレドが大体どういうものか、おおよそのイメージはつかめたはずです。
では、実際に作成する場合には具体的にどうすればいいのでしょう。
ここで、クレドの一般的な作成方法、その利用方法についてポイントをまとめていきます。これを基本形として、それぞれ応用・工夫してみてください。
クレドの作り方1:企業の信条を定める
まずは、会社がもっとも重視している価値は何なのか、何を究極の目的としているのか、社会に、顧客に、取引先に、従業員に、会社はどういう貢献をすべきなのか、などを考えます。
会社の個性に合わせ、その会社にふさわしい内容を目指します。簡潔なものでも良し、詳細なものでもまた良しです。分かりやすく具体例をあげてみるのもありです。自由な発想で考えましょう。
クレドの作り方2:クレドカードの作成
合意された内容を、いかにアウトプットするかを次に考えます。
まずは会社のホームページに掲載しましょう。これにより広く社会一般に自社のクレドを伝えることができます。
それに加えて、クレドカードを作成するのが一般的です。このカードを適宜、社員や取引先などに配布して周知に努めます。前述のように、さらに専用アプリを作成するなどして個性的な周知方法を採る企業の例もあります。
クレドの作り方3:企業全体での信条の共有
そして、企業全体でのクレドの浸透、内面化・共有化を目指します。
クレドカードを社員に配布するのも一つの方法ですし、社内で定期的にクレドの確認、再認識を目的としたミーティングを行うのも有効でしょう。各社の実情に応じた対策を考えてみてください。
クレドの作り方4:継続的な見直し
クレドは、一度作ったら終わり、というものではありません。
日々の業務から見つかる新しい気づきや課題もあるでしょう。また、社会が常に変化するものである以上、企業も、またクレドも、それに応じて変化せざるをえません。
このように、クレドを行動指針とはしつつも、同時にまた、自社のクレドはこれでいいのか、という視点もあわせ持つことが必要です。
クレドを活用して会社のモチベーションを高めよう
ここまで、クレドの意味、メリット、実例、具体的な作成手順、特に具体的事例を詳しく説明してきました。
方法を合理化するにはまずその目的を明確にすることが必要です。目的が明確になれば、必然的にその目的達成手段は明らかになってきます。
そういう意味で、クレドの作成は企業活動の合理化のためには避けることのできない必須プロセスともいえます。事例なども参考に、是非クレドを活用して会社の業績アップにつなげて下さい。