メンター制度とは
メンター制度とは、会社での上司とは別に、年齢や社歴の近い先輩社員が若手社員の指導・相談役となりサポートする制度のことです。英語でMentorは信頼できる相談相手、良き指導者などの意味があります。
サポートする先輩社員を「メンター」、サポートされる新入社員・若手社員を「メンティー」と呼びます。
メンター制度を導入する目的
メンター制度を導入する企業の目的として、離職率の低下や女性社員の活躍の推進があります。
若手社員や女性社員が離職してしまう原因として、「社内での人間関係の悩み」「仕事がうまくいかない」などがあります。
メンター制度により精神的な悩みを解消したり、仕事のやりがいや楽しさを教えたりすることができます。社員のつながりを強めることで、社内の活性化、社員の満足度向上、最終的に離職率の低下につながっていきます。
メンター制度導入のメリット3つ
メンター制度の主な目的は離職率の低下ですが、中身を詳しく見るとたくさんのメリットがあります。メンター制度は、会社全体の成長にもつながる可能性を持っている制度です。
例えば、メンターやメンティーのキャリア形成に繋がったり、人材育成を重視した風土の構築に繋がったりします。今回は、メンター制度のメリットを3つご紹介します。
メンター制度導入のメリット1:不安解消の手助けをし会社にいち早く馴染める
メンターがいることで、メンティは悩みを1人で抱え込まなくなります。メンターに相談できる環境が事前に整えられることで、悩みを早期に相談して、会社に早く馴染めるようなることが期待できます。
仕事やプライベートの悩みなど、なんでも相談に乗ってくれる先輩がいると心強くなります。メンター制度の期間が終わっても信頼関係は終わらないので、なんでも相談でき、会社での居心地がよくなるでしょう。
メンター制度導入のメリット2:メンターも成長できる
メンター制度を導入した企業で、「新入社員育成を目的としていたが、メンターの成長にもつながった」という事例も多くあります。メンターは自分の少し前の姿であるメンティーの相談に乗ることで、自分自身の成長を実感できます。
また、将来的に管理職に就いたときにも、後輩社員の指導をしたという経験を生かして、部下のマネジメント能力にもつながることが期待できます。
メンター制度導入のメリット3:部門間のコミュニケーションの活性化
メンター制度では、部門間でのコミュニケーションの活性化にもつながっていきます。メンターは同じ部署の先輩社員ではなく、メンティーの他の部署の社員にすることが多いです。
コミュニケーションのしやすさを考え、同じフロアで働く別部署の社員などを選びます。そのため、通常の業務ではかかわることの少ない社員と接する機会が増えるので、部門間の社員同士のコミュニケーションが活性化します。
メンター制度導入のデメリット3つ
このように、いいこと尽くめに見えるメンター制度ですが、うまくいかない事例もあります。事前にデメリットも確認して、メンター制度を導入する際にこんなはずじゃなかった、なんてことにならないようにしておきましょう。
メンター制度導入のデメリット1:メンターとメンティーの相性
メンター制度は、ペアになった人同士の関係によって成り立つ制度です。相性が悪く悩みや不安を打ち明けることができず、お互いの負担になってしまう可能性もあります。
どのメンターが誰をサポートをするかについては、人事がそれぞれの性格を見て判断します。しかし、大きな会社などでは一人ひとりの性格まで把握するのは難しいです。
役員や上長といった管理職にもメンター制度への理解を深めてもらい、社内研修を実施するなど会社全体の理解を得ることが必要になってきます。
メンター制度導入のデメリット2:メンターの負担が大きい
メンターを任された人は、通常の業務に加えてメンティのサポートを行うため、業務の負荷が増える傾向にあります。メンターとしての役割は通常の業務とは無関係であるため、繁忙期などにメンターの負担になってしまいます。
どれぐらいの頻度でどのように行うか、運用のマニュアルを用意することも大切です。また、メンターの上司を含め全社員の理解も必要になります。メンター制度の目的や内容について周知しておきましょう。
メンター制度導入のデメリット3:メンターによって能力にばらつきがある
メンターによって、接し方やサポートの頻度に多少なりともばらつきが出てしまいます。そのため、メンティーがほかの同期と比べて不公平に感じてしまう可能性があります。
制度ばかり作って現場任せではうまくいきません。具体的なサポートの方法などをメンターにレクチャーしましょう。また、メンタリングで行う会話のテーマをあらかじめ設計し提示することで、すべてのメンターか効果的にサポートできるでしょう。
メンター制度導入企業事例3つ
実際に導入する前に、すでに制度を導入している企業の事例を確認しておきましょう。メンター制度を導入するためのマニュアルは、自社で作成している企業や、厚生労働省の「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」を参考にしている企業など多様です。
若手社員の離職率の低下のためではなく、メンター制度を導入している事例もたくさんあります。導入企業の事例を3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
メンター制度導入企業事例1:株式会社資生堂
メンター制度を変わった形で活用している企業の1つに資生堂があります。一般的には先輩社員が若手社員のメンターとなりますが、その関係性が反転している「リバースメンター制度」という制度です。
メンターは20~30代の若手社員で、SNSやSkypeなどのITツールの使い方をレクチャーします。若手にとっては教える経験、上司などの先輩社員にとっては年齢関係なくスキルアップできるチャンスになる制度となっています。
メンター制度導入企業事例2:損保ジャパン日本興亜ホールディングス
損保ジャパン日本興亜ホールディングスは女性活躍推進のための「メンター制度」を導入しています。直属の上司以外の役員・部店長がメンター(アドバイザー)となり女性社員をサポートする制度です。
出産や育児などで退職してしまう女性も多く、女性ならではの仕事の悩みやキャリアの悩みも多いです。ベテラン女性の離職率を防ぐためにメンター制度を導入するのも1つです。
メンター制度導入企業事例3:株式会社高島屋
高島屋は、シフト勤務などで職場のコミュニケーションが希薄化し、OJTが機能しづらくなったため「メンター制度」を導入しました。
主任に昇給した翌年、入社4年目の社員をメンティとし、入社10年目前後の課長をメンターとしています。新入社員ではなく、今後の会社の中核を担うポジションに対して行っています。
メンティーのキャリアビジョンを明確にしたり、新たな気付きがあるよう働きかけている事例になります。
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メンター制度を導入する際のポイント3つ
このように導入企業によって、多様な事例がある制度です。実際にメンター制度を導入する際のポイントを簡単にまとめました。導入企業事例と共に導入のポイントを参考にして、うまくメンター制度を活用できるようにしましょう。
メンター制度導入のポイント1:導入企業事例を参考にする
メンター制度を導入する場合、目的や意義をしっかり定めることが大切です。紹介したように、メンター制度を応用して導入する事例も多々あります。色々な導入企業の事例を参考にし、どのような制度にするか決めましょう。
上手くいかない事例もあるので、失敗しないためにも成功事例を確認しましょう。厚生労働省の「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」にも企業事例が載っています。そちらの事例も参考にしてください。
メンター制度導入のポイント2:メンターを慎重に選ぶこと
人事や教育担当者などがメンターを指定するのが一般的です。社員を客観的に見て相性を考えながら決定します。メンターになる人は、相手の言うことをしっかり聞けるかが重要です。
相手が深刻に考えていることを聞き流したり、自分の話ばかりしてしまう人にはメンターの役割を理解してもらいましょう。メンティーに対してうまくコミュニケーションをとれる人には、初めてメンターになった人へのアドバイス役をやってもらいましょう。
メンター制度導入のポイント3:メンター制度の理解を社員から得ること
デメリットにもあったように繁忙期などは、メンターの負担は大きくなってしまいます。メンターばかりが負担を抱えないように、全社員へのメンター制度の周知が必要になります。
人材育成のための手段のひとつでもあるため、就業規則に明記するというのもひとつの方法です。また、メンター1人では対処できない状況が発生することも考えられます。人事担当者やメンティーの上司との連携が取れるかも事前に確認しておきましょう。
メンター制度を導入して離職を減らそう!
メンター制度は、新人教育や会社の風土づくりのためになる制度です。導入企業事例でも紹介したように導入する目的はさまざまです。メンター制度により離職率の低下や、社内の活性化、女性の活躍推進などの事例もたくさんあるので、メリットの大きい制度だといえます。
導入する企業も増えてきているので、ぜひ導入している企業の事例なども参考にして、メンター制度を活用してみてはいかがでしょうか。