生産年齢人口
生産年齢人口とは経済学用語の1つで、国内で行われている生産活動に就いている中核の労働力となる年齢の人口を指します。日本では、15歳以上65歳未満の年齢に該当する人口が生産年齢人口となっています。
実際には、日本で15歳から18歳の年齢層で約90%あまりは中学3年生または高校生に該当するため、特殊な事情がない限り自主的に労働に従事する層はほとんど存在しません。
生産年齢人口の意味
生産年齢人口の意味はわかりやすく言い換えると、労働できる能力や資格を持つ年齢層を指す言葉と言えます。生産年齢人口が減少すると、経済活動を担う人が減り、経済の活力が衰退していきます。その一方で、社会保障の支えても先細りしていくことを意味します。
生産年齢人口の推移と予測
内閣府から発表されている平成29年版高齢社会白書内の「将来推計人口でみる50年後の日本」では、2015年から少しずつ日本の総人口も減少しながら、生産年齢人口に当たる年齢層の人口も2065年には2010年の約半分近く減少する予測が出ています。
65歳以上の高齢化の推移予測は、2020年から2050年までは安定した推移をたどり、2020年から急激に減り続ける総人口に比べると2065年以降は緩やかです。
世界と比較した日本の生産年齢人口
モルガン・スタンレーの生産年齢人口15~64歳までの人口に対する55~64歳の高齢割合の推移を調査したグラフから、日本は世界的にも高齢化が進んでいることがわかります。世界平均は2016年で13%、2040年でも15%と緩やかなカーブを描いています。
しかし、日本は2016年で世界平均を上回る21%、2040年で27%になる予想になっています。そして、世界的に見ても労働力の確保が難しいとわかります。
生産年齢人口減少時代の働き方改革
前に述べたように、日本の生産年齢人口は世界的に見ても減少時代に突入しています。そこで、一億総活躍社会を目指すための生産年齢人口減少時代の働き方改革や、改革の背景3つを具体的に紹介します。
働き方改革とは?
働き方改革とは、「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みのための改革と言えます。一億総活躍社会とは、少子高齢化が進んでも50年後も人口一億人を維持し、職場や家庭、地域で誰もが活躍できる社会のことです。
また多様な働き方を可能にしながら、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避、成長と分配の高環境を実現させることです。そして政府は、働く人の立場と視点を大切に取り組んでいくとのことです。
生産年齢人口減少時代の働き方改革の背景3つ
生産年齢人口減少時代の働き方改革には、3つの背景があります。1つ目は生産年齢人口の減少、2つ目は労働生産性の向上、3つ目は長時間労働の問題です。そこでそれぞれについて、詳しく説明していきます。
生産年齢人口減少時代の働き方改革の背景1:生産年齢人口の減少
生産年齢人口減少時代の働き方改革の背景1つ目には、生産年齢人口の減少があげられます。一億総活躍社会を目標に掲げられた背景には、生産年齢人口が総人口を上回るペースで減少していることが原因にあります。
また内閣府から発表されている「日本の将来推計人口」のグラフからも、生産年齢人口(15~64歳)が想定以上のペースで減少していることがわかります。このままでは、国全体の生産力・国力の低下は避けられません。
生産年齢人口減少時代の働き方改革の背景2:労働生産性の向上
生産年齢人口減少時代の働き方改革の背景2つ目は、労働生産性の向上があげられます。労働生産性の向上には、労働市場に参加していない女性や高齢者を含む働き手を増やすことや出生率をあげて将来の働き手を増やし、また労働生産性をあげる必要があります。
日本の労働生産性は、OECD加盟国の全35か国中22位で、主要7か国の中で最下位となっています。そのため、労働力不足を解消し、一億総活躍社会を作る必要があります。
生産年齢人口減少時代の働き方改革の背景3:長時間労働の問題
生産年齢人口減少時代の働き方改革の背景3つ目は、長時間労働の問題です。2013年、日本は国連から長時間労働について是正勧告がされています。世界的に見ても日本の長時間労働は深刻な問題で、特に30~40代の割合が高くなっています。
また長時間労働だけでなく、転勤や配置転換の命令に従わなければ、有期契約社員やパートとして働かされる場合もあります。その上、長時間労働は出生率にも影響があると考えられます。
政府が掲げる働き方改革実行計画3つ
生産年齢人口の減少により政府が掲げる働き方改革実行計画は、3つあります。1つ目は正規・非正規雇用の格差是正、2つ目は長時間労働の是正、3つ目は柔軟な働き方がしやすい環境整備です。次にそれぞれについて、詳しく説明していきます。
政府が掲げる働き方改革実行計画1:正規・非正規雇用の格差是正
平成29年3月に会議決定している「働き方改革実行計画」の中に、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善が織り込まれています。項目としては労働同一賃金のガイドラインと、法改正の方向性があげられています。
同一労働同一賃金のガイドラインには、基本給、各種手当、福利厚生や教育訓練の均等・均衡待遇の確保、派遣労働者の取扱があがっています。また、法改正の方向性についても、次の内容があります。
- 労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備
- 労働者に対する待遇に関する説明の義務化
- 行政による裁判外紛争解決手続の整備
- 派遣労働者に関する法整備
政府が掲げる働き方改革実行計画2:長時間労働の是正
政府が掲げる働き方改革実行計画2つ目は、長時間労働の是正があります。
正規・非正規雇用の格差と同様、基本的な考え方や法改正の方向性に加え、長時間労働の上限規制やパワーハラスメント・メンタルヘルス対策、勤務間インターバル制度、法施行までの準備期間の確保があげられています。
その他にも、現行制度の適用除外などの取扱や事前に予測できない災害その他事項の取扱などまだまだ細かく計画にあがっています。
政府が掲げる働き方改革実行計画3:柔軟な働き方がしやすい環境整備
政府が掲げる働き方改革実行計画3つ目は、柔軟な働き方がしやすい環境整備です。出産や育児、介護などでどうしても長期休暇の取得が必要な時期があります。そのため育児休暇などを取得後の復帰に際し、不安を抱く人も多いでしょう。
しかし、週休3日制や在宅ワークの実現で、キャリア中断することなく仕事復帰をすることが可能になります。また、週休3日で増えた休暇を利用し、副業が認められている場合は副業も可能になります。
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働き方改革による労働者へのメリット
働き方改革による労働者へのメリットは、ライフワークバランスが取れた生活を送られることです。働き方改革によって、ストレスも減り仕事への集中力もあがり、結果的に生産性も向上します。
そして、法律によって残業時間の上限も決められるため、それ以上働くことができなくなります。その結果、適度な休息も取れ健康的な生活にも繋がります。
生産年齢人口について理解を深めよう!
今回は、生産年齢人口減少時代の働き方改革の背景や政府が掲げる改革実行計画3つ、またそのメリットを紹介しました。今後、生産年齢人口が減少していく日本に大切なのは、正規・非正規社員の格差や長時間労働の是正、柔軟な働き方がしやすい環境整備などです。
日本にとってこれからの時代は、生産年齢人口が減少しても生産性が向上できるような働き方改革がとても重要になってきます。